有羊膜類・・・陸上への大躍進

 

 

 

 

有羊膜類

胎生

 

参考  羊膜、羊水、卵黄、卵白、卵黄嚢、アルブミン、輸卵管、PEG10ゲノムインプリンティング

 

 

 

有羊膜類は、胚が羊膜を持つものです。

陸上生活に適応するよう進化した動物です。

有羊膜類から、爬虫類鳥類哺乳類が誕生しました。

 

 

最初に陸上に進出した生物は、おそらく原核生物でしょう・・・ウイルスもいたでしょうが。

ちなみに、真正細菌デイノコッカスは、陸のはるか上にある、成層圏にも存在するようです。

 

先カンブリア時代27億年前の地層から、ストロマトライトの化石が見つかっていますが、

これは、光合成を行うシアノバクテリアと考えられています。

この時期に、初めて大陸が形成されたようです。 クラトン

シアノバクテリアが光合成を行うためには、光の届く浅い海底が必要であるので、

シアノバクテリアの誕生と大陸の形成とは関連があるようです。

尚、光合成に利用可能な太陽光は、水深数十m 程度までしか届かないようです。深海

 

6億年前(先カンブリア時代ヴェンド期)に生息していた、エディアカラ生物群ディッキンソニアは、

陸上に着生していた地衣類のような微生物のコロニーであった、とする説もあります。

 

古生代のオルドビス紀からデボン紀にかけて、陸上植物が地上に進出したとされます。

陸上植物は、車軸藻に近縁な、淡水性の緑藻類から進化したようです。

現代知られる最古の陸上植物は、42500万年前(シルル紀中期)の地層から発見されたクックソニアですが、

植物は、それよりも少なくとも5000万年前から上陸を開始していたそうです。 大人のための図鑑:地球・生命の大進化 p.114

 

4.8億年前無脊椎動物昆虫が地上に進出しました・・・手足が四肢ではなく、六脚ですが。

昆虫は外骨格のため、大型化できなかったようですが、大量絶滅の時代は小型のほうが有利ですね。

有羊膜類も、小型で地下生活穴居性)のものが生き残りました。

 

有羊膜類は、石炭紀後期に、両生類から進化しました・・・

最古の有羊膜類は、石炭紀前期3.4億年前に生息していた、ウェストロティアーナのようですが、詳細不明です。

両生類で、四肢を獲得しています。

ちなみに、両生類は、淡水魚から進化しました・・・

硬骨魚類の体液の塩分濃度は、0.9ですが、

これは、硬骨魚類の祖先が、淡水で生活していたからだそうです。(現在の海水の塩分濃度は、3.5です。)

両生類の卵は、殻を持たず、ゼラチン質で包まれています。

 

 

生物が、陸上生活に適応するために、

乾燥対策                            表皮

重力に抗する支持組織         :有羊膜類は内骨格、昆虫は外骨格、陸上植物は細胞壁

呼吸(ガス交換)                   :有羊膜類、昆虫は気管、陸上植物は気孔

陸上生活に適応した胚           :有羊膜類羊膜、昆虫は表面の膜、陸上植物は種子(の種皮)

水や栄養分を全身に運ぶ管    :有羊膜類閉鎖血管系、昆虫は開放血管系血管)、陸上植物は維管束

等が進化したと思われます。

あと、陸上植物は、水を吸い上げるが発達しました。

余談ですが、硬骨魚類(浮き袋)は、からできたようです。

 

有羊膜類は、羊膜によって、陸上で大型の胚が呼吸することが容易になりました。

 

更に、羊膜腔という、羊水で満たされた空洞があり、

安定した環境の中で、胚が発生することが可能になりました。

 

加えて、卵殻の進化によって、水分の蒸散が抑えられるようになりました。

 

また、水分の貯蔵庫として、卵アルブミンからなる、卵白が進化したことによって、

水辺以外にも生息範囲を広げることができるようになりました。

 

ちなみに、栄養分が豊富な卵黄は、卵細胞です。

卵白卵殻は、母親の輸卵管で付加されます。

 

尚、ヒトでは、精子と卵子は、卵管膨大部受精します。

子宮は、輸卵管から形成されます。

 

 

有羊膜類の中には、卵胎生になったものや、胎生哺乳類)になったものがあります。

昆虫でも、アブラムシツェツェバエ等が胎生です。

種子植物種子には、幼い植物体が入っており、受精卵が植物体になるまで栄養供給して育てる、という点では胎生に似ています。

もっとも、水生のミジンコウミタナゴ(卵胎生)、サメ等も胎生ですので、胎生が陸上生活に適応したものというわけではありませんが。

 

ちなみに、胎盤形成に重要なPEG10遺伝子が、レトロウイルスに由来するそうで、

胎盤はウイルス感染がきっかけだった、という説があります。 生命大躍進p.99-

PEG10遺伝子発現は、ゲノムインプリンティングによる父方アレル (父親由来の遺伝子)でのみ起こります・・・

母親のPEG10遺伝子は発現していないようですが・・・胎盤は、父親の遺伝子が作っているということでしょうか?

 尚、ゲノムインプリンティングは、DNAメチル化により起こるようですが、

DNAメチル化には、宿主のゲノムに取り込まれたウイルスや、有害遺伝子の発現を抑制する役目もあるようです。

 

 一方、メジロザメ科のサメ(軟骨魚類)にも胎盤があり、へその緒をもつサメもいるようです・・・まれに、単為生殖する個体もあるようです。

真胎生、という用語もあるようです・・・ハイランドカープというメダカ(硬骨魚類)にも、胎盤やへその緒があるようです。

 PEG10遺伝子は、魚類鳥類のゲノムには存在しないようなので、どうやって胎盤を形成するのでしょう?

ちなみに、ゲノムインプリンティングによるもの(哺乳類)は、単為生殖が起こらないようです。

 

謎は深まるばかりです。

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有羊膜類 オムニオタ、無鰓類

四肢動物のうち、発生の初期段階に、胚が羊膜を持つものです。

 

有羊膜類から、爬虫類鳥類哺乳類が生まれました。

 

石炭紀後期に、両生類から進化しました。

有羊膜類そのものは、両生類には分類されません。

 

両生類の中からは、陸上産卵する系統が何度も進化しています。

 

羊膜は、こうした系統の一つで、陸上に生みつけられた、卵黄の多い大型卵の中で、

胚の呼吸を容易にする、呼吸器官として進化したと考えられています。

 

羊膜の存在によって、陸上で大型の胚が呼吸することが容易になりました。

 

更に、羊膜腔という、安定した環境の中で、胚が発生することが可能になり、

発生プロセスにおいて、外界の環境変動から、胚を保護することも容易になりました。

 

加えて、卵殻の進化によって、水分の蒸散が抑えられるようになりました。

 

また、発生に必要な水分の貯蔵庫として、保水性の強い卵アルブミンからなる、卵白が進化したことによって、

水辺以外にも、生息範囲を広げることが容易になりました。

 

有羊膜類は、初期に竜弓類単弓類2系統に分化しました。

後に、

竜弓類の系統から爬虫類が、

単弓類の系統から哺乳類が生まれました。

 

羊膜の形成

祖先的な状態では、羊膜類は、に守られたを産みます。

 

卵の中で、神経胚期以降に、胚体外域(側板)の細胞が持ち上がって、羊膜褶(ようまくしゅう)を作ります。

それが胚体の上方で融合して、羊膜となり、閉ざされた空間(羊膜腔)を作ります。

この時、他の胚膜(漿膜、尿嚢、卵黄嚢)等も作られます。

 

霊長類等では、羊膜腔の作り方が異なり、

羊膜褶を作らず胚盤胞外胚葉部分に、最初から空所として現れ、その空間が増大して胚を包み込みます。

 

羊膜類の中には、

卵胎生(ヘビ・トカゲの一部)になったものや、

胎生(哺乳類)になったものがあります。

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胎生 有羊膜類

動物において、雌親が体内で卵を孵化させ、

子は親から栄養を供給されて、成長した後に体外に出るような繁殖形態のことです。

 

動物は、の形で新しい個体を形成しますが、

卵をそのまま体外に出すのではなく、雌の体内で孵化させ、子供の形で産む動物があります。

 

この時、卵の持つ栄養で子供が成長して生まれるものは、卵胎生といいます。

 

一方、卵から生まれた子が、何らかの形で母親の体との連絡を持ち、

母体から栄養等の供給を受けて成長し、十分に発育した後に生まれてくるものを、胎生といいます。

 

卵生及び卵胎生と、胎生の間には、連続する、様々な中間段階のものがみられます。

 

胎生は、親による子の保護の型としては、手厚い方に位置するとみなされています。

しかし、子供を保護することなく大量の子孫を生産する、アブラムシミジンコの多くが、胎生であり、

胎生が、子供の保護と密接に関連しているとは限りません。

 

子は、親によって栄養補給されるだけでなく、体内にいるため、捕食からも保護されています。

 

また、大きい卵を産む場合、親は産卵までにすべての栄養を集めなければならないのに比べて、

親が自身の栄養補給する際に、長期にわたって少しずつ集めればよく、負担が少ないです。

 

逆に、母親にとっては、子を体内で育てる期間の負担が大きくなります。

そのため、大型の子供を産むものほど、一回あたり産子数が少ないです。

蛹化寸前の幼虫を産むツェツェバエや、

多くのサル類等、

一回あたりの産子数は、原則として1匹です。

 

胎生を行う動物としては、

獣亜綱哺乳類のうち、カモノハシ等のハリモグラ目を除いたもの)が有名です。

 

それ以外にも、胎児に卵黄以外の栄養源を供給する動物としては、

昆虫(アブラムシ、ツェツェバエ等)、

節足動物門のサソリの一部、

有爪動物門カギムシ類

硬骨魚類(ウミタナゴ等)、

軟骨魚類のサメの一部等、

多くの分類群にまたがっており、

胎生は、何度も独立に進化しています。

 

胎児

胎生の動物では、卵は、雌親の体を出ないで、体内受精で受精し、胎児となります。

 

胎児への栄養補給方法は、

哺乳類やメジロザメ科イタチザメは、メジロザメ科では唯一の非胎盤形成型胎生種のようです)のように、

子宮内に物質交換用の器官である、胎盤を形成するもの

ツェツェバエやウバザメのように、餌を子宮内に分泌するものに大別されます。

 

卵胎生の場合は、胎児は、卵の卵黄嚢から栄養を補給されます。

 

子宮 羊膜 羊水

雌親の体内で胎児を育成する、袋状または管状の器官のことです。

子宮は普通、輸卵管の一部から形成されます。

 

種子植物

植物に対しては、普通は胎生とはいいません。

 

しかし、種子植物の種子には、幼い植物体が入っており、

受精卵が植物の形になるまで栄養供給して育てる、という点では胎生に似ています。

 

尚、マングローブを構成する、ヒルギ科の植物は、

枝についた果実から太い根が伸び、根の先に新芽ができた状態で果実から抜け落ちます。

これを胎生種子といい、種子が親植物の上で、根を伸ばすまで育ちます

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参考

羊膜

羊水

卵黄

卵白

卵黄嚢

アルブミン

輸卵管

PEG10

ゲノムインプリンティング

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羊膜

有羊膜類発生過程において形成される、胎子と羊水を包む胚膜の一つです。

 

漿膜と共に胎児を包みますが、羊膜は、直接胎児を包みます

 

外胚葉起源です。

 

羊膜の胎子側の空洞は、羊膜腔と呼ばれ、羊水によって満たされています。

羊水は、胎子と羊膜との付着を防ぎ、胎子の運動を可能にしています。

分娩時には、破水を起こし、胎子の娩出を助けます。

 

ヒトでは

羊膜は、子宮と胎盤の最内層を覆う、半透明の薄い膜(約100150μm)で、胎盤胎児側と、臍帯(さいたい)の外周を包みます。

羊膜上皮組織と、

その下の基底膜、

コラーゲンに富む、無血管性の実質(間質)組織から構成されます。

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羊水

羊膜上皮から分泌され、羊膜腔を満たす液体で、

有羊膜類の胚や胎児は、羊水に浮かんで発育します。

 

尿膜水と一括して、胎水ともいいます。

 

魚類両生類といった、羊膜を形成しない脊椎動物の胚は、

外界のが胚の周囲を循環することで、胚の排泄する排泄物の除去や、ガス交換を行い、

発生が行われる空間の環境を維持しています。

 

一方、有羊膜類の胚は、

羊膜腔に保持され、pHや浸透圧等の変動を一定に抑え、

恒常性を保った羊水を作り出す事で、胚発生の行われる空間の環境を、胚にとって良好に維持しています。

 

卵や子宮の中には、最初から羊水があるわけではなく、

胚に漿膜や羊膜といった胚膜が形成され、

胚の本体が羊膜腔に包まれると、その中に羊水が満たされます。

 

発生の進んだ胚では、羊水を嚥下する運動が観察されます。

 

哺乳類では、出産の直前に羊膜が破れ、羊水が体外に出ます(破水)。

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卵黄黄身) 有羊膜類 卵黄嚢

卵の中央にある、黄色い球体で、生物学的には、卵細胞です。

 

鶏卵の黄身は、通常の人間がみかける、最大の細胞です。

 

卵黄は、卵子(卵細胞)内部の貯蔵栄養物で、卵細胞中に油滴のような形で存在します。

鶏卵では黄色に見えるのは、卵細胞内に蓄積された、胚発生のための栄養素が、非常に大量にあるためです。

 

鳥類の卵では、卵黄は卵白の中に浮遊し、カラザで卵殻のほぼ中心に固定された状態で存在します。

鳥類や爬虫類以外の動物では、白や黒、卵が小さいと透明のものも多いですが、これらも便宜上、卵黄と呼ばれます。

 

卵黄の上面には、円形に透明に近い部分が見られますが、

ここは卵細胞の細胞質が集中した部分であり、

鳥類の卵割は、ほとんどこの部分に限定して進みます(盤割)。

 

発生が進むと、黄身の上に胚が乗ったような状態となり、

黄身表面には血管が広がって、胚発生に必要な栄養素を胚へ送ります。

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卵白(白身) 

鳥類等、有羊膜類の卵において、卵黄膜と卵殻膜の間にあるゾル状の物質です。

 

ちなみに、蛋白質の蛋白は、元来、卵白を指す言葉です。

 

90%近くが水分で、残りは主に蛋白質です。

 

胚の発生に必要な、水分を保持、供給し、

胚と卵黄を物理的、化学的に保護する役割も持ちます。

 

卵黄は、受精卵の細胞に由来しますが、

卵白と卵殻は、母親の輸卵管で付加されます。

 

卵黄を卵白中に浮遊させる構造として、カラザがあり、これも卵白の一部です。

 

卵白タンパク質の主成分は、アルブミンです。

 

他には、リゾチームという、加水分解酵素が含まれており、

細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンを加水分解して、溶菌を引き起こすことで、卵に対する細菌感染を防いでいます。

 

また、オボトランスフェリンという糖タンパク質も含まれており、雑菌からキレート作用により鉄分を奪い、その繁殖を抑制しています。

ヒトでは、鉄分の吸収を高める働きもあります。

 

卵生の有羊膜類は、系統的には、本来卵白を持っていましたが、

トカゲ、ヘビのような有鱗類の卵は、二次的に卵白が退化して、発生に必要な水分を、土壌等から吸収します。

そのため、卵は発生の進行に伴って、水分を吸って膨張するようです。

この性質は、有鱗類の祖先がいったん卵胎生の性質を獲得した後に、二次的に卵生に戻ったため、とする説があります。

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卵黄嚢 胎生

魚類羊膜類等の妊娠期における、卵黄を包む膜状の嚢(袋)です。

 

ヒトの場合、卵黄嚢といいますが、(魚類等と違い)嚢内に卵黄はなく、液が入っています。

 

胎生して約2週目で、ヒューザー膜(ホイザー膜、胚外体腔膜)で覆われた、一次卵黄嚢(原始卵黄嚢)が形成され、

卵黄嚢壁に、血島(血管や血球の原基)ができます。

 

ここでの造血活動は、卵黄嚢造血と呼ばれ、胎生10日〜2ヶ月の間の造血が行われます。

 

一次卵黄嚢は、縮んで消滅しますが、

二次卵黄嚢もできます。

 

最終的に、二次卵黄嚢の背方部は、原腸となり、他は萎縮します。

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アルブミン

卵白albumen )を語源とし、

卵白の構成タンパク質のうち、65を占めるタンパク質です。

 

更に、これとよく似た生化学的性質を持つタンパク質としても用いられます。

 

卵白を構成する、卵アルブミン

脊椎動物の血液の血漿に含まれる、血清アルブミン

乳汁に含まれる、乳アルブミン、があります。

 

ヒト血清アルブミン

分子量、約66,000

血清タンパク質の、約5065%を占めます。

 

肝臓で生成されます。

 

機能

浸透圧の保持

アルブミンは、他の血清タンパクに比べ分子量が小さく、量が多いため、血液の浸透圧調整の役割を担います。

物質の保持・運搬

血漿に存在する脂肪酸やビリルビン、無機イオン、または酸性薬物等の外来物質を吸着します。

尚、血漿中の塩基性薬物は、主としてα1酸性糖タンパクと結合します。

低分子物質は、各種臓器に取り込まれて代謝・排泄されますが、

アルブミンに結合した物質は、臓器に取り込まれず、血中を循環することができます。

pH緩衝作用

各組織へのアミノ酸供給(アルブミンは、必須アミノ酸には乏しいです。)

抗酸化作用

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輸卵管 卵白

哺乳類鳥類でみられる、卵巣と子宮を結ぶ管です。

 

卵管漏斗、卵管膨大部、卵管峡部に分けられます。

 

卵管漏斗は、卵巣からの卵細胞を収容します。

 

卵管膨大部は、卵管漏斗に続く太い管で、精子と卵子が受精する場です。

ここに到達した精子は、数日間劣化せずに残留することが可能です。

 

卵管峡部は、卵管膨大部に続く細管であり、受精卵を子宮へ運びます。

哺乳類では、ここを通過するのに45日かかり、着床までの初期胚の発生の場となります。

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 PEG10 (英)

 レトロトランスポゾン由来のタンパク質です・・・

 ちなみに、レトロトランスポゾンは、ヒトゲノムのなんと40%以上を占めるようですね。

 

 生命大躍進p.99-、も参考になります。

 

 PEG10遺伝子の、

 短いアイソフォームは、CCHC-Znフィンガーモチーフを持ちます。

 このモチーフは、レトロウイルスとレトロトランスポゾンのgagタンパクに特徴的で、TGF-β受容体ファミリーと相互作用して機能します。

 

 長いアイソフォームは、pol タンパクのプロテアーゼドメインにおけるDSGコンセンサス活性化サイト?を持ちます。

 このアイソフォームは、レトロウイルスでみられる、-1翻訳フレームシフト?( -1 translational frameshifting )により生じます。

 

 二つのアイソフォームの発現は、インプリンティングによる父方アレル (父親由来の遺伝子)でのみ起こります。

 

 遺伝子発現は、ほとんど胎盤で起こります。

 

 この遺伝子は、ほ乳類に高度に保存されており、細胞の増殖や分化、アポトーシスに加えて、胚発生に重要です。

参考

 

 ゲノムインプリンティングゲノム刷り込み) PEG10

 遺伝子が、両親のどちらからもらったのかを覚えていることです。

 

 ゲノム刷り込みは、個体発生胎盤形成と密接な関係があります。

 

 DNAのメチル化により生じるようです。

 

 哺乳類は、父親と母親から同じ遺伝子を二つ(性染色体の場合は一つ)受け継ぎますが、

片方の親から受け継いだ遺伝子だけが発現するものがあります。

 

 ゲノム刷り込みが起こるのは、有袋類と有胎盤類で、単孔類では起こりません。

 また、有袋類と有胎盤類の間でも、大きく進化しています。

 

 一方の親から受け継いだ遺伝子だけが選択的に発現することは、

遺伝子に欠陥があった場合にバックアップがない、というデメリットがあります。

 

 哺乳類にゲノム刷り込みが備わっている理由に、

 単為発生を防ぐため、

 全ての遺伝子を発現させるため、

等の説があります。

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