鳥類・・・実は恐竜です。

 

 

 

鳥類

起源と進化

分類

分布と生態系

気嚢

羽毛

コミュニケーション

社会システム

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鳥類は、人類の身近な存在ですが・・・

系統分類では、鳥類は、マニラプトル類という、獣脚類恐竜コエルロサウルス類)に分類されます。

実は、鳥類は・・・恐竜です。

 

尚、コエルロサウルス類には、ティラノサウルスも含まれるため、ティラノサウルスの幼体には羽毛があった可能性があるようです。

 

知能も高く、カラスやオウムは、道具を使用するものもあります。

 

更に、コミュニケーションも行っており、社会的です・・・

世代間で、知識の文化的伝達を行うものもあるようですね。

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鳥類

現生鳥類は、卵生で、体表が羽毛で覆われた恒温動物あり、前肢が翼になっています。

 

鳥類は、1.5億年から2億年前のジュラ紀に、獣脚類恐竜から進化したとされ、

6,550万年前のK-T境界絶滅イベントを生き延びた、恐竜の唯一の系統群です。

 

現存する鳥類は、約1万種で(8,600種や、9,000種等とする説もあります)、

四肢動物の中では、最も種類が多い綱です。

 

大きさは、マメハチドリの5cmから、ダチョウの2.75m

体重は、マメハチドリが2g、ダチョウは100kgです。

 

現生鳥類の特徴は、

羽毛がある、

歯のないくちばしを持つ、

硬い殻を持つ卵を産む、

高い代謝率、

二心房二心室の心臓、

軽量ながら強靭な骨格を持つ、等です。

 

翼は、前肢が進化したもので、ほとんどの鳥がこの翼を用いて飛ぶことができますが、

平胸類(走鳥類)や、ペンギン類等では、翼が退化して飛べなくなっています。

 

尚、数百年前に絶滅したモア類のように、完全に翼を失ったものもあります。

 

鳥類は、飛翔することに高度に適応した、独特の消化器や呼吸器を持っています。

 

カラス類やオウム類は、

最も知能の高い動物種の一つであり、

道具を加工して使用する種も多く、

様々な社会的な種が、世代間の知識の文化的伝達を示しています。

 

鳥類は、北極から南極に至る、広範囲の生態系に生息しています。

多くの種が、毎年長距離の渡りを行い、

更に多くが、不規則な短距離の移動を行っています。

 

鳥類は、社会的であり、

視覚的な信号や、地鳴き、さえずり等の聴覚的な伝達行動を取ります。

そして、協同繁殖や捕食(狩り)行動、群れ形成

モビング(偽攻撃、捕食者に対して、群れをなして騒ぎ、撃退する行動)等の社会的行動に加わります。

 

卵は、通常、に産卵され、両親鳥によって抱卵されます。

 

ほとんどの鳥類は、孵化後、しばらく続けて、親鳥が雛(ひな)の世話をします。

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起源と進化

鳥類は、竜盤類の獣脚類恐竜の亜群で、

マニラプトル類という、ドロマエオサウルス類やオヴィラプトル類を含む獣脚類の仲間です。

 

 約1.5億年から2億年前のジュラ紀に、獣脚類から進化したとされます。

 

1990年代以降、中国で発見された小形獣脚類に、羽毛があったことが明らかになりました。

 

ドロマエオサウルス科のミクロラプトル(ミクロラプトル・グイ)等は、

滑空または飛行が可能であった特徴を持っています。

 

 鳥類またはアヴィアラエ類は、デイノニコサウルス類の最も近縁で、

更に、これらは原鳥類と呼ばれるグループを構成します。

 

最も基系統である、デイノニコサウルス類は、非常に小型であり、

原鳥類に属する祖先が、樹上性であったか、滑空することができたと考えられています。

 

初期の鳥類は、肉食であった始祖鳥や羽毛恐竜とは異なり、草食であったことが示唆されています。

 

始祖鳥は、ジュラ紀後期の、約1.5億万年前に生息したとされ、

最初に発見された、ミッシングリンクの一つとして有名です。

従来の爬虫類の特徴である、歯や、鉤爪のある指、長いトカゲに似た尾のみならず、

現生鳥類と同様、風切羽を持つ翼を持っていました。

尚、始祖鳥は、現生鳥類の直接の祖先ではなく、現生鳥類の真の祖先と近縁とされます。

 

鳥類の広範な形態への多様化は、白亜紀に起こりました。

 

鉤爪のついた翼や歯等、共有派生形質を維持したままのグループも多く存在しましたが、

歯は、現生鳥類(新顎類)を含むグループで、個々に失われていきました。

 

始祖鳥のような最も初期の形態では、長く骨のある尾を保持していましたが、

より進化した、パイゴスティル類の尾は、尾端骨の出現により、短くなりました。

 

鳥胸類エナンティオルニス類(反鳥類)は、多様化した短尾の鳥類の系統として最初に進化しました。

生態系において、砂浜で餌をあさるものや、魚を捕食するものから、

樹上に棲むもの、種子を食べるものまで、多彩な生態的地位ニッチ)を占有しました。

 

真鳥類ヘスペロルニス目は、魚の捕食に非常によく適応して、

飛翔する能力を失い、主として水中に生活するようになりました。

 

 真鳥類には、現生鳥類も含まれます。

 

すべての現生鳥類を含む、新鳥亜綱が、

白亜紀の終わりまでに、現代の系統へと進化したことが、

主に Vegavis の発見によって判明しているようです。

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分類

リンネ式分類では、鳥綱に分類されます。

 

系統分類では、鳥綱を、恐竜である、獣脚類の系統群に分類しています。

 

系統学的には、通常、鳥類は、現生鳥類と始祖鳥の最も近い共通祖先 ( MRCA ) の子孫のすべてと定義されています。

始祖鳥は、この定義では、最古の鳥です。

 

一方、鳥綱を、現生鳥類だけを含む、クラウン生物群として定義することもあります。

これは、始祖鳥等、化石のみで知られるほとんどのグループを、鳥綱(鳥類)から除外し、

鳥類及びそれらを、アヴィアラエ類(鳥の仲間)に位置づけています。

 

現生鳥類は、新鳥亜綱に位置づけられており、

更に古顎類と、新顎類に分類されます。

 

古顎類には、平胸類(走鳥類。ダチョウ等)と、シギダチョウ類が含まれます。

 

新顎類には、キジカモ類と、Neoavesが含まれます。

キジカモ類には、

キジ目(キジ、ライチョウ類等)と

カモ目(カモ類、ガン類、ハクチョウ類等)が含まれます。

 

現生種のうち、古顎類は0.5%、キジカモ類は4.5%を占めるにすぎず、

Neoaves に、種の95%が含まれます。

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分布と生態系

ほとんどの陸上に生息しています。

南限はユキドリの繁殖地で、南極大陸の内陸 440 kmです。

熱帯地方で、多様性が最も高いです。

 

世界中の海洋での生活にも適応しています。

 

人類も、ヒトの黎明期から鳥類との関係を持ってきました。

人為的に移入された地域で、繁殖個体群を確立した種もあります。

 

鳥類は、広範囲にわたる生態的地位を占めています。

 

森林のような、単一の生息環境においても、生態的ニッチは様々で、

森林の鳥は、食虫性であったり、果食性、蜜食性であったりします。

 

水鳥は、魚を採食したり、植物を食べたり、他の鳥から奪い取ること(盗賊的寄生)により、採餌します。

 

猛禽類は、哺乳類や他の鳥類の捕食に特化し、

ハゲワシ類は、腐肉食に特化しています。

 

蜜食性の鳥類は、重要な受粉媒介者であり、

多くの果食性の鳥類が、種子の散布において重要な役割を果たしています。

植物と受粉する鳥類は、共進化していることが多いです。

 

鳥類は、島嶼の生態系に対して、重要な役割を持つことも多いです。

島では、一般に大型動物によって演じられる生態的役割を、鳥類が果たすこともあります。

 

海鳥の営巣も、

島嶼やその周囲の海域の生態系に影響を与えることがあります。

これは主に大量のグアノ(鳥糞石)の集積により、その地域の土壌や、周辺海域が豊かになることによります。

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気嚢

鳥類は、すべての動物群の中で、最も複雑な呼吸器を持ったグループの一つです。

 

鳥が息を吸う時

新鮮な空気の75%が、肺を迂回して、後部気嚢に直接流れ込み、空気で満たされます。

後部気嚢は、肺から広がって骨の中の気室(含気腔)につながっている気嚢グループです。

残りの25%の空気は、直接肺に行きます。

 

鳥が息を吐く時

使われた空気が肺から排出され、同時に、後部気嚢に蓄えられていた新鮮な空気が肺に送り込まれます。

 

このようにして、鳥類の肺には、息を吸う時にも、吐く時にも、常時新鮮な空気が供給されています。

 

鳥の声は、鳴管を使って作り出されています。

鳴管は、筋肉質の鼓室であり、気管の下部末端から分岐し、複数の鼓形膜が組み合わされています。

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羽毛

羽毛は、鳥類に特有の特徴です。

 

羽毛によって、飛翔が可能になり、

断熱によって体温調節を助け、

ディスプレイやカモフラージュ、情報伝達にも使用されます。

 

羽毛は皮膚に付属した上皮成長物であり、羽域(羽区)と呼ばれる、皮膚の特定の領域にのみ生じます。

 

鳥の体における羽毛の配列や外観を、羽衣といいます。

 

羽衣は、同一種の中でも、年齢、社会的地位、性別によって変化することがあります 。

 

羽衣は、定期的に生え変わっています(換羽)

 

鳥の標準的な羽衣は、繁殖期の後に換羽したものであり、非繁殖羽「基本」羽)といいます。

 

繁殖羽、または基本羽の変化したものは、「交換」羽として知られます。

 

ハクチョウ類、ガン類、カモ類は、すべての風切羽が一度に抜け、一時的に飛ぶことができなくなります。

 

営巣に先立って、ほとんどの鳥類の雌は、腹に近い羽毛を失うことで、皮膚の露出した抱卵斑を得ます。

この部分の皮膚は血管がよく発達し、鳥の抱卵の助けになります。

 

羽毛はメンテナンスが必要であり、鳥類は毎日、羽繕いや手入れを行い、日常の9%前後を、この作業に費やしています。

くちばしは、羽毛から異物を払い出すだけではなく、尾腺からの蝋のような分泌物を塗ることにも使われます。

分泌物は羽毛の柔軟性を守り、抗菌薬としても働き、羽毛を劣化させる細菌の成長を阻害します。

 

鳥類においては、羽毛が紫外線の皮膚への到達を妨げています。

鳥類は、皮膚から皮脂を分泌し、羽毛を羽繕いすることによって、口からビタミンDを摂取しているとの説もあります。

この説は、毛皮を有する哺乳類にも該当します。

 

鳥類の鱗(うろこ)は、くちばしや、鉤爪、蹴爪と同じく、ケラチンから作られています。

鱗は、主に趾(あしゆび)や、跗蹠(ふしょ)にみられますが、

種によっては踵(かかと)の上の部位までみられるものもあります。

鳥類の鱗は、爬虫類や哺乳類のものと相同と考えられています。

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コミュニケーション

鳥類は、基本的に視覚的信号と、聴覚信号を使って、コミュニケーションを行います。

これらの信号は、異種の間(種間)の場合も、同一種内(種内)の場合もあります。

 

鳥類相互の視覚的コミュニケーションには、

羽繕いや、羽毛の位置の調整(整羽)、儀式化されたディスプレイ等があります。

 

鳥類は、社会的な優位性を判断したり、主張したりするために、羽衣を使用することがあります。

 

性淘汰が起こった種の中では、繁殖可能な状態にあることを示すために使われることもあります。

 

ジャノメドリでは、親鳥が幼い雛を守るため、

大型捕食者の擬態をして、タカ類等を追い払うために、羽衣が使われることもあります。

 

羽衣のバリエーションは、異種間において、種の識別を可能にします。

 

ディスプレイは、

攻撃や服従の信号である場合もあるし、

つがい(ペア)関係の形成に寄与する場合もあります。

最も精巧なものは、求愛の際に行われます。

 

 

鳥類の聴覚的コミュニケーションには、地鳴きや、さえずりがあります。

 

鳴管の両側をそれぞれ独立して機能させることができる種もあり、

これによって2つの異なるさえずりを同時に発声することを可能にしています。

 

鳴き声は、

つがい相手の誘引や、

可能性のあるつがい相手の値踏み、

つがいの形成、

縄張りの主張と維持、

他の個体の識別(親鳥が集団繁殖地(コロニー)で雛を探す時や、繁殖期の初めにつがい相手が再会する時) 、

捕食者の接近を他の鳥へ警告、

等、様々な目的に使用されます。

 

機械的に発生させた音を、聴覚的コミュニケーションに使用する鳥類もあります。

オオジシギ等は、羽毛に空気を通して振動させます。

キツツキ類は、縄張りでドラミングを行い、

ヤシオウムは、ドラミングのために道具を使うようです。

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社会システム

群れの形成

鳥類は、縄張りでの生活や小さな家族群での生活を基本としたり、大きな群れを形成したりします。

 

群れの利点は、数が多いことによる安全性や、採餌効率の向上です。

 

捕食者に対する防御は、樹林のような閉じた生息地では、重要です。

そこでは待ち伏せ型の捕食者が一般的であり、複数の目による監視によって、早期警戒態勢を準備することができます。

そのため、多くの種の、少数の個体から構成される、多くの混群が形成されます。

 

 

群れを形成することの代償には、

社会的地位が低い鳥に対する、より優位な鳥によるいじめや、

特定の条件下での採餌効率の低下、等があります。

 

 群れは、群集による安全性をもたらしますが、資源を得るための潜在的な競争も増やします。

 

鳥類は、鳥類以外の種と関連することもあります。

 

上空から急降下して潜水し、捕食するタイプの海鳥は、魚群を海面に押し上げてくれるイルカやマグロの群れに加わるようです。

 

サイチョウ類は、コビトマングースと相利共生的な関係にあり、

一緒に餌を探し、猛禽や、その他の捕食者の接近を互いに警告しあうようです。

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