ヒト(生物)の祖先1

 

ヒトは、人類の進化で述べたように、霊長類(サル目)に属します。霊長類は、哺乳類の中の有胎盤類です。

更に哺乳類の祖先をたどっていくことを繰り返すと、共通祖先という全生物の祖先型生命にたどり着くと考えられます。

 

哺乳類(→哺乳形類)→キノドン類獣歯類獣弓類盤竜類単弓類有羊膜類両生類硬骨魚類(肉鰭綱)(→軟骨魚類?)→無顎類(最古の脊椎動物と考えられています。)

 →脊索動物→左右相称動物(後口動物)→三胚葉動物→真正後生動物→ホロゾア→オピストコンタ(→ユニコンタ→アモルフェア(詳細不明です。))→真核生物

→共通祖先 ヒト(生物)の祖先2

 

 どう進化したか、私なりに、考えてみました・・・

 哺乳類が、K-T境界を生き残れたのは、恒温性に加えて、穴居(けっきょ)性が大きいようです

・・・地下の方が、敵からのがれやすいだけでなく、温度が保たれやすいので恒温性を維持するエネルギー消費が抑えられます。更に、環境が厳しい時、冬眠できますので。

三畳紀後期の大絶滅は、恐竜が繁栄したため、哺乳類には、不利に働いたようですね・・・聴覚と嗅覚が発達したので、夜行性が可能?になりましたが。

P-T境界を生き残れたのは、K-T境界と同じく、恒温性と穴居性でしょう・・・環境が厳しい時は、小型の方が有利のようですね。

有羊膜類では、羊膜を獲得したことが大きく、乾燥した陸上生活に、より適応しました。

両生類の時点で四肢ができて、かなり陸上での移動ができるようになりました。

硬骨魚で、肺と骨格ができました・・・これらは、陸上での呼吸と、抗重力性獲得に必要と思います。

軟骨魚は、よくわかりませんが・・・あえて言うなら、顎ですかね・・・捕食に有利でしょうか・・・後、免疫グロブリン等、獲得免疫は、軟骨魚からみられます。

最古の脊椎動物と考えられている、無顎類では、脊椎を獲得しました・・・でも、ヌタウナギは、脊椎がないので、有頭動物、というものに分類される可能性もあります。

 

 さて、哺乳類(ほにゅうるい)が含まれる、脊椎動物の祖先、を調べてみました。

 

 哺乳類は、現生種を含むグループは、原獣亜綱、後獣下綱、有胎盤下綱の3つです。

 原獣亜綱は、三畳紀に出現しました。卵生で、現生のものは単孔目(カモノハシ目)の1目のみです。

 後獣下綱は、白亜紀紀後期に出現しました。現生のものは全て有袋類(カンガルーなど)に含まれます。

 有胎盤下綱は、白亜紀後期に出現しました。現生の哺乳類は、ほとんどがこのグループに含まれます。白亜紀の哺乳類はネズミほどの大きさのものが多かったです。

 

以下に、哺乳類(有胎盤類)の一般的な特徴の一部を挙げました。

乳房をもち、授乳を行います。乳房は、汗腺が分化したものです。

胎生で、体内の胎盤で子を育てます。

恒温動物で、体毛をもちます。体毛は、皮膚の角質層に由来します。体毛は体温の発散を防ぐ役目などがあります。

肋骨は、胸椎にはゆるく関節し、体を前後左右に曲げるだけでなく、ねじることもできます。

また、腹部には肋骨がありません(体をねじれることと、腹部の肋骨を欠くことにより、メスは寝そべって子どもに授乳することができます)。

横隔膜があり、肋骨と共同して肺呼吸を可能にしています。

鼓膜の振動を内耳に伝える耳小骨が、アブミ骨・キヌタ骨・ツチ骨の3個あり、聴覚が発達しています。

(下顎が1つの歯骨だけでできていますが、キヌタ骨とツチ骨は、爬虫類の方形骨・関節骨(顎関節を構成しています)がそれぞれ変化したものです。

爬虫類や鳥類の耳小骨は、アブミ骨のみです)。

色覚は退化し、ほとんどの哺乳類は錐体細胞を2タイプ(2色型色覚)しか持ちません。

これは、初期の哺乳類は主に夜行性であったため、色覚は生存に必須ではなかったためとされています。

しかし、ヒトの生活は、色覚に依存することが大きいため、3色型色覚を再獲得しました(魚類、両生類、爬虫類、鳥類には4タイプの錐体細胞(4色型色覚)を持つものが多いです)。

嗅覚について。多くの哺乳類は嗅覚に強く依存した生活をしているため、多数の嗅覚受容体遺伝子を持ちます。

しかし嗅覚の重要性が低い霊長類は、嗅覚受容体遺伝子の多くが偽遺伝子となっています。

両生類、爬虫類、哺乳類においては、鋤鼻器(じょびき)という嗅上皮と異なる嗅覚に関する感覚器があります。

元々は口腔内の食物の臭いを感じる器官といわれています。これは、哺乳類ではフェロモン様物質を受容する器官に特化していると考えられています。(ヒトでは退化しています。)

心臓2心房2心室をもち、血液の体循環は左大動脈弓のみによります。

二次口蓋という板状の骨があり、口と鼻道の間が完全に仕切られています(爬虫類ではこの分離が不完全です)。

肛門と泌尿生殖門(尿と胎児が出てくる孔)が分離しています。(爬虫類や鳥類も1穴です。)

は、機能別に、切歯(門歯)・犬歯・前臼歯(小臼歯)・臼歯(大臼歯)の4種類に分化しています。両生類や爬虫類は同型歯であり、鳥類は歯をもちません。

長骨は、中心部分ではなく両端の骨端軟骨部分で成長し、成長中の若い個体では、それらが軟骨でつながっています(爬虫類では、骨は中心部分からしか成長ません)。

指骨の数は、基本的に親指が2個、その他の指は3個です(爬虫類はこれより多いです)。 

 

 初期の哺乳類を含めた従来の広い意味での哺乳類を、哺乳形類(ほにゅうけいるい)といいます。

最古の哺乳形類といわれるアデロバシレウスは、中生代三畳紀後期の22,500万年前に生息していました。

これは、顎関節の改変、四肢の直立化及び呼吸器の改良など、哺乳類的な特徴を備えています。

特に、顎関節の改変により聴覚が発達したため、夜間においても行動が可能となり、恐竜が繁栄した中生代においても生活が可能となりました。

 

哺乳形類の祖先はキノドン類です。 

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キノドン類は、古生代ペルム紀後期、獣弓類テロケファルス亜目に近いグループから派生したといわれています。 

最も古いキノドン類は、24,800万年から24,500万年前に生息したドヴィニアです。

 

ペルム紀末から三畳紀初頭におこった、大量絶滅(P-T境界)によって地球上の生命の9割が絶滅しました。

この時、高温を避け、低酸素の環境にも耐え得る能力を持った生物のみ(気嚢システムを持つ恐竜の祖先など。)が地上では生きながらえる事ができたと考えられています。

それには穴居(けっきょ)性が大きく関わっていると考えられています。

 

中生代三畳紀前期に生息していたトリナクソドンは、腹部の肋骨を退化させ、更に横隔膜を獲得して腹式呼吸を行うことができるようになりました。

これにより、低酸素の環境を乗り切る事が出来たと考えられています。

 更に、身体を丸めて休眠した姿のまま化石化したものも発見されています。これは、恒温化が進み、眠っている間に体温が失われない様にしていたためと推定されています。

 また、既に洞毛だけでなく体毛が生じていた可能性もあります。

加えて、乳腺を獲得していた可能性もあり、哺乳行動を行っていた可能性もあります。丘や川の氾濫原などに浅い穴を掘って巣を作り、子を育てていた可能性もあります。

また、嗅覚によるコミュニケーションが発達しており、マーキング行動により各自の縄張りを主張していたとされます。

 P-T境界以降も、キノドン類は繁栄し、四肢の直立化顎関節の改変など、哺乳類的な特徴を獲得していきました。

 

しかし、三畳紀末期初頭の大量絶滅により、キノドン類も、トリティロドン類、トリテレドン類、そして哺乳形類の三グループが生き延びただけでした。

これらはいずれも小型のグループで、新たな競合者となった恐竜によって多くのニッチを奪われてしまいました。

 

キノドン類の祖先は、獣歯類です。 

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獣歯類(じゅうしるい)は、ペルム紀中盤の約26,500万年前に現れたと考えられており、哺乳類的な歯をもっていました。 

これに属す主なグループは、ゴルゴノプス類、テロケファルス類、キノドン類の三つです。

 

最初の獣歯類は、ゴルゴノプス類です。

洞毛(感覚毛)の痕跡と思われるくぼみがある化石が発見されており、既にこのグループが体毛まで獲得していた可能性も指摘されています。

しかしペルム紀末、P-T境界で絶滅しました。

 

次いで現れたのは、テロケファルス類で、ゴルゴノプス亜目に近いグループから派生したとされています。

これは、不完全ながらも骨性二次口蓋を獲得していました。恒温性も獲得しつつあったと考えられています。

ペルム紀末期、衰退するゴルゴノプス類に代わって大型肉食獣の地位を占め、P-T境界後も、かろうじて生き延びました。

 

そして、もう一つがキノドン類です。

 

獣歯類の祖先は、獣弓類です。 

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 獣弓類(じゅうきゅうるい)は、古生代ペルム紀前期、盤竜類のスフェナコドン科に近いグループから進化したといわれています。

最古のものは、古生代ペルム紀前期の26,880万年から25,970万年前に生息したテトラケラトプスです。

初期こそ盤竜類と大差ない姿でしたが、やがて体毛、恒温性という哺乳類的な特徴を獲得していき、パンゲア大陸での生態系の頂点となったと考えられています。

 

 ディノケファルス亜目、異歯亜目、獣歯類があります。

 

 ディノケファルス亜目の一つである、エステメノスクスの化石には皮膚が残されており、その表面には鱗(うろこ)はなく、無数の腺が発見されました。

これは汗腺であり、既に発汗による体温調節能力を持っていたとする説もあります。

大型種もあり、タピノケファルスは体重約2t、全長約4.5 mもあったと考えられています。

ペルム紀後期に繁栄するものの、ペルム紀末までには絶滅しました。

 

 異歯亜目は、ディキノドン類を含むグループです。初期は小型のものが多く、P-T境界を生き延びたディキノドン類は、穴居性の小型種だったと考えられています。

大量絶滅後の三畳紀初頭、大いに繁栄したのはリストロサウルスです。パンゲア大陸に広く分布し、三畳紀前期の示準化石となっています。

また、三畳紀のディキノドン類は大型化し、全長5mのイスキガラスティアなどが現れました。

しかし、三畳紀後期の大量絶滅により、ディキノドン類は大半が絶滅しました。

 

 そして、もう一つが獣歯類です。

 

獣弓類の祖先は、盤竜類です。

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 盤竜類は、単弓類の初期グループです。

 最古の盤竜類は、古生代石炭紀後期の31,130万年から3920万年前に生息していたとされるアーケオシリスです。

 石炭紀後期には、植物食に適応したエダフォサウルスが、ペルム紀前期には、強力な捕食動物であるディメトロドンが現れました。

 その後、盤竜類は衰退し、ペルム紀後期には絶滅しました。盤竜類の形態は、現在の哺乳類からはかなり異なっています。

しかし、生える場所によって歯の形態が異なる異歯性が現れ始めているなど、哺乳類的な特徴が見られます。

 

 単弓類(たんきゅうるい)は、陸上に上がった四肢動物のグループの一つで、石炭紀中期?に、双弓類と分岐しました。

 共通する特徴としては、「側頭窓」と呼ばれる穴がそれぞれ1つずつあり、その下側の骨が細いアーチ状(弓)となっていることです。

」を片側に一つ持っているために単弓類と呼ばれます。

 

 単弓類の祖先は有羊膜類です。

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 有羊膜類(ゆうようまくるい)とは、発生の初期段階に胚が羊膜を持つ四肢動物です。また、鰓(えら)を持たないことから無鰓類とも呼ばれます。

古生代石炭紀後期?に現れました。石炭紀中期?に竜弓類(双弓類?)と単弓類の2系統に分化しました。

後に竜弓類の系統から爬虫類が、単弓類の系統から哺乳類が生まれました。

 

羊膜は、卵の中で胚の呼吸を容易にする呼吸器官として進化したと考えられています。

また羊膜腔により、外界の環境変動から胚を保護することが容易になりました。

更に、卵殻の進化によって水分の蒸散が抑えられ、

また発生に必要な水分の貯蔵庫として卵白(卵アルブミン)が進化したことで、水辺以外にも棲息範囲を広げることが可能になりました。

 

有羊膜類の祖先は、両生類です。

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 両生類(りょうせいるい)に加えて、爬虫類・哺乳類・鳥類は、足(脚)をもつ脊椎動物であり、四肢動物(ししどうぶつ)ともいいます。

四肢は魚類の対鰭(ついき)から派生した構造で、前肢は胸びれ、後肢は腹びれが発達したものです。

また、鰭(ひれ)が四肢と異なる点は、その骨格が背骨とつながっていないことです。つまり、肩と腰の骨が魚類にはありません。

骨格化石が発見されている最も古い四肢動物(両生類?)は、古生代デボン紀後期初期の約37500万年前に生息していたエルギネルペトンです。

 

デボン紀は、特に大陸内部の乾燥化が著明であったため、より乾燥に強い生物が誕生しました。

 両生類は、尚、水への依存が大きいものの、初めて陸上に適応した脊椎動物です。

最初期のアカントステガイクチオステガは、曲がりくねった大河川に住んでいたと考えられていますが、

やや時代が下ったチュレルペトンのように海生と考えられる種もいました。

この時期の四肢動物は、まだ鱗(うろこ)に覆われた魚類のような皮膚と、水をかくのに適した6本以上の指がある四肢を持ち、ほとんどを水中で過ごしていたようです。

石炭紀になるとペデルペスのように陸上生活に適応した四肢を獲得し、二次的に水中に戻った種も含め多様な種が生まれました。

 

これら古いタイプの両生類は、中生代になっても三畳紀には数mにも及ぶ巨大な種が繁栄していましたが、三畳紀末の大絶滅以降急激に衰えていき、白亜紀前期に絶滅しました。

 

両生類(四肢動物)の祖先は、魚類(顎口上綱)の肉鰭綱です。

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顎口上綱(がっこうじょうこう)は、顎を持つ脊椎動物をまとめた分類群です。この中の最も原始的な魚類は、オルドビス紀後期に登場しました。

 

(あご)は、かつてえらを支える器官(鰓弓)だったものが発達し、次第に効率的に口を開け閉めして水をえらに運ぶ働きを持つようになったものと考えられています。

もう一つの大きな特徴は、ニューロンの髄鞘化と、獲得免疫システムです。下記のように免疫グロブリンをもつのは軟骨魚類以上の脊椎動物です。

 

顎口上綱に属する現生の魚類は、硬骨魚類と軟骨魚類があります。

 

硬骨魚類(こうこつぎょるい)についてです。これは、骨格が、硬骨と呼ばれる硬い骨からできている魚類です。

大きく、肉鰭類(にくきるい)と条鰭類(じょうきるい)があり、四肢動物は肉鰭類から進化したとされています。

肉鰭類の魚類は現在シーラカンス(総鰭亜綱)とハイギョ(肺魚亜綱)のみです。

 

骨格の他にも、硬骨魚類は、楯鱗をもたない、肺やそこから派生した鰾(浮き袋)をもつ、といった特徴によっても、軟骨魚類から区別されます。

 

デボン紀には、さらに大陸内部の気候は乾燥しやすく、気候が乾燥する時期には、水中の酸素濃度が低くなるため、

ハイギョやシーラカンスなどのを持った肉鰭類が誕生しました。更に、肉鰭類から両生類が誕生しました。

肺を獲得した硬骨魚類の祖先は淡水で生活しており、海棲の硬骨魚類は二次的に海洋に進出したと考えられています。

そのため硬骨魚類の体液の塩分濃度は約0.9%であり、現在の海水の塩分濃度(3.5%程度)よりかなり低いです。

(淡水での進化を経験していない軟骨魚類の体液の塩分濃度は、現在の海水のそれに近いです。)

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軟骨魚類(なんこつぎょるい)についてです。これは、骨格が軟骨でできている魚類です。

サメ、エイ、ギンザメなどがあり、魚類中最大のジンベエザメもこの中に含まれます。

深海種も多く、ギンザメ類のほとんどが深海に生息します。軟骨魚類は浮き袋を持たず、肝臓にスクアレン(肝油)を蓄積することで浮力を調節しています

比較的原始的な分類群であり、最古の化石記録は、鱗の破片が古生代シルル紀後期の地層から見つかっています。

 

硬骨魚類は軟骨魚類から分岐したと考えられていますが、

脊椎動物の頭蓋骨は、板皮類の皮骨起源で本来、硬骨であり、軟骨魚の頭蓋骨は二次的に軟骨化したものであるという説、もあり、詳細は不明です。

 

いずれにせよ、魚類を含む顎口上綱の祖先は、無顎類と考えられています。

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 無顎類(むがくるい)は、脊椎動物のうち、顎口類以外の動物で、最古の脊椎動物と考えられています。

現在生息しているのは円口類ヤツメウナギ類ヌタウナギ類)のみです。

無顎類の最古の化石は、カンブリア紀後期の地層から発見されています。これは、あまり遊泳力がない、皮骨で覆われたオタマジャクシのような姿をしていました。

 

 円口類共通の特徴は、

 顎を持たず、口には真の歯はなく、代わりに表皮が角質化した歯状突起を持っています。

 体の両側に1-16対の鰓孔(ヤツメウナギは7対)があり、口から取り入れた水をそこから排出して呼吸します。

 外鼻孔は、単一のみで、頭頂に開口します(顎口類は1対開口します)。

 体は細長くウナギ型で、体表は粘膜で覆われています。対鰭(ついき。対になった鰭(ひれ))はありません。

 骨格は軟骨でできており、その軟骨も、lamprin等、独特なタンパク質(ヤツメウナギの軟骨細胞外マトリックス)です。

 神経堤細胞の発生が独特で、支持器官として太い脊索をもちます。椎体はありません。小脳もありません。

 内耳の半規管は2つです(顎口類は、三半規管をもちます)。

 卵巣と精巣を両方持ちますが、機能しているのはどちらか一つです

 免疫グロブリンがありません(軟骨魚類以上の脊椎動物には存在します)。

 

 目は退化していますが、化石種の解析から、祖先は比較的発達した目を持っていたと考えられています。 

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