昆虫・・・最古の飛行動物

 

 : 特徴・発生・生態・分類

 

 : 完全変態・不完全変態・過変態・無変態

 

 

は、最古の飛行動物とされています・・・宇宙からやって来たかどうかはわかりませんが。

ちなみに、真正細菌デイノッカスは、なんと対流圏の上にある、にも存在するようです・・・

どうやって成層圏に行ったのかはわかりませんが・・・

成層圏には、真珠母雲極成層圏雲)という雲が存在するので、

生命の生存に必要な、はあるようです(あと、硫酸や硝酸もあります)。

 

昆虫綱のうち、最も早く分岐したグループは、です。

 

4.8億年前、陸上植物が出現して間もない時期に、原始的な昆虫が出現・・・

オルドビス紀初期からいたようです(4億年前デボン紀前期より、さかのぼっています)。

4億年前翅(はね)で飛ぶ昆虫が現れ、

3.5億万年前に、完全変態する昆虫が登場したようです。

 

昆虫の翅は、胸部の背面から突き出したもので、鳥類のような前足が変形したものではありません。

昆虫の翅の起源は、胸部の体節にあったヒレ状の突起、という説があります。

原始的な翅をもつのは、カゲロウ目トンボ目です。

両者は、左右の翅が羽ばたく方向以外の向きに動かすことができません。

また、両者とも幼虫が水中生活で、陸上生活に適応した昆虫としては、例外的にを持ちます。

 

余談ですが、日本を、古くは秋津島(あきつしま)といいましたが、秋津(アキツ、アキヅ)とは、トンボのことです。

 

史上最大の昆虫は、メガネウロス・アメリカラという原始的なトンボで、翼開長が最大約75cmもあります。

巨大な昆虫が現れたのは、

石炭紀大気中の酸素濃度が約35%と高かった、

地球全体の平均気温がはるかに高かった、

捕食性脊椎動物が少なかったため、とする説があります。

 

空を飛ぶ動物には、

昆虫の他に、翼竜鳥類コウモリがあります。

ヒヨケザルも飛膜を持ち、滑空します・・・飛行と森林生活とは関係するのでしょうか? 最古の森林 植生遷移

 

昆虫は、外骨格をもった節足動物の中でも、陸上で進化したグループです。

節足動物は、左右相称動物に含まれます。

左右相称動物は、前口動物と後口動物に分けられますが、

節足動物は、前口動物原口が口)に分類されます。(動物は、後口動物です。)

 昆虫は陸上生活に適応しているため、えらがある昆虫は少ないですが、

ムカシトン亜目には、えら(気管鰓)があります・・・しかも、えらは、直腸にあります・・・

脊椎動物のえらが、咽頭(口側)にあるのと、ちょうど反対になっているのは、興味深いですね。

 

昆虫は、種多様性が非常に高く、昆虫綱全体で80万種以上あり、全生物種の半分以上を占めます。

未記載種を含めると、100万種を超えるとされます。

カブトムシが含まれる、35万種と最大です。

 

成虫は、頭部、胸部、腹部の3に分かれています。

胸部にのみ、肢(あし)が6あります(原始的なイシノミは、腹節にも付属肢があります)。

2対の翅をもち、空を飛ぶことができます(イシノミには翅がありません。ハエは一対です)。

 

紫外線を知覚する能力もあります。

モンシロチョウの翅(はね)の色は、ヒトの目ではオスとメスの色の区別ができません。

しかし、オスとメスの翅で、紫外線反射率に差があるため、

モンシロチョウの目では、オスとメスの翅は全く別の色と認識できているようです。

ちなみに、モルフォチョウの翅やタマムシの色は、構造色です。

余談ですが、バタフライ効果という、カオス運動の予測困難性、初期値鋭敏性を意味するものがあります。相互作用

尚、によって恐竜が絶滅したかどうかは、不明です。

 

フェを出す昆虫がありますが、その受容は、触角で行われます。

フェロモンの原料は、テルです。

ハチやアリは、社会性がありますが、フェロモンは、社会構造を維持するために重要です。

 

昆虫は、を行います。 胚発生 生活環

一説には、石炭紀からペルム紀にかけての気候の悪化へ対応するため、

蛹(さなぎ)の段階を経ることによって、寒冷期を乗り切るように進化したとされます・・・

寒さを乗り越えるのは、の状態の方がよい気もしますが。

ちなみに、ナンキョクユスリカは、南極に生息しています・・・体液が凍っても生存できるようです。

の段階がある、完全するものは、ペルム紀以降に出現した、進化が進んだ種とされます。

成虫は、生殖のため配偶者を求めて広範囲を移動することに、

幼虫は、摂食と成長に、適応しているようです。

 

 

昆虫

 

昆虫は、硬い外骨格をもった節足動物の中でも、特に陸上で進化したグループです。

 

世界の様々な気候、環境に適応しており、種多様性が非常に高いです。

 

昆虫綱全体で、80万種以上が知られており、現在知られている生物種の、半分以上は昆虫です。

未記載種を含めると、100万種を超えるとされます。

 

昆虫は、4億年前動物の陸上進出が始まった頃に上陸した動物群の一つです。

昆虫綱のうち、最も早く分岐したグループは、イシミ目です。

 

201411月の学説では、

陸上植物が出現して間もない4.8億年前には原始的な昆虫が現れ、

翅で飛ぶ昆虫(空を飛んだ最初の動物とされます)は、4億年前、 

変態昆虫は、3.5億万年前に出現したとされます。

 

3.6億年前に上陸した脊椎動物の両生類よりも、早い時期です。

 

恐竜出現以前の2-3億年前には、現在のゴキブリトンボ等の祖先がすでに登場しており、大繁栄しました。

現在も、昆虫の繁栄は続いています。

 

系統論は確定していません。

従来、多足類の先祖が陸上進出し、その一部から昆虫が進化したとする説があります。

 

一方、ネイチャー2010年)によると、

まず、ウミグモやカブトガニ、クモ、サソリ等の鋏角類

次に、ムカデ等の多足類が分岐・出現しました。

その後、ウミホタル類

更に、ミジンコやエビ・カニ等の甲殻類

それから、ムカデエビ類等が分岐・出現し、

最後に、昆虫等の六脚類が出現したとされます。

 

特徴

成虫の体は、頭部、胸部、腹部の3に分かれています。

 

節足動物の体は、体節という、節(ふし)の繰り返し構造でできていますが、

体節がいくつかセットになり、機能的、構造的にまとまった部分に分かれます。

 

昆虫以外の節足動物では、明確な部域に分かれないグループや、2つの部位(頭胸部と腹部)に分かれるもの等があります。

 

基本的に、胸部にのみ、肢が6あります。

 

ほとんどの昆虫は2対の翅をもち、空を飛ぶことができます。

 

飛翔する器官を標準的に備えている動物は、

のレベルでは、節足動物門の昆虫綱と、脊椎動物ののみです。

のレベルでは、哺乳綱のコウモリ目等もあります。

 

呼吸器官として、気管があります。

 

特別な感覚器官として、触角があります。

 

視覚は、頭部にある1対の複眼と、少数の単眼で受容されます。

複眼は、主要な視覚器として働きます。

また、紫外線を知覚する能力もあります。

モンシロチョウの翅の色は、ヒトの目ではオスとメスの色の区別ができません。

しかし、オスとメスの翅で、紫外線反射率に大きな差があるため、

モンシロチョウの目では、オスとメスの翅は全く別の色と認識できているようです。

 単眼は、明暗のみを感知します。

 

味覚と嗅覚(化学物質の受容)は、触角、口器、及び歩脚の先端部である附節で受容されます。

個体間の誘因等の役割を担う、フェロモンを出す昆虫がありますが、

その受容は、触角で行われます。

 

聴覚に特化した器官を持つものは、コオロギやセミ等、一部に限られます。

 トッ

 

発生

多くは卵生ですが、

フタバカゲロウのような卵胎生

アブラムシツェツェバエのような胎生昆虫もいます。

 

昆虫の場合、幼生は幼虫といいます。

 

生育過程で、幼虫が成虫に変化する、変態を行います。

 

成虫になる時に、翅(はね)が発達しますが、

シミ目等、翅がない種類もいます。

 

生態

昆虫の生態的な多様性は非常に大きいです。

 

分布は世界中にわたり、高山から低地まで生息していますが、熱帯域での多様性が高いです。

 

陸上、土壌中、淡水中に生息し、更に原則としてすべて空を飛べます。

 

しかし、には、潮間帯のウミユスリカ、海水面上のウミアメンボ等、ごく少数しか生息していません。

これは、海洋でのニッチが、昆虫の祖先である甲殻類によって占められていたため、という説があります。

 

小さいものは0.2mm5μg以下と、大型の原生動物(ゾウリムシ等)を下回ります。

 

食性も、草食性、肉食性、雑食性等様々です。

 

寄生性のものもあり、カエルキンバエラセンウジバエのように、脊椎動物に寄生するものもあります。

昆虫に寄生するものでは、捕食寄生という独特な寄生の型を持つものもあります。

 

変温動物である種が多いですが、

ハナバチ類等に、0℃の気温時に30℃以上の体温を安定して保てるような、ほぼ完全な恒温性のものも存在します。

 

多くの昆虫は、3℃以上の環境でないと、成長が行われず、冬眠状態となります。

 

成虫の場合、一般に、-3℃以下、または45℃以上の環境にさらされ続けると死滅します。

しかし、セッケイカワゲラヒョウガユスリカのように、0℃以下の低温に適応したものもあり、に生息しているものもいます。

の状態では、温度耐性の範囲が大きくなるものが多いです。

 

バッタ、イナゴ、蝶、ハチ等、多くの昆虫の血糖は、トレハロース(二糖)であり、

トレハラーゼによって、ブドウ糖(グルコース)に変えて利用しています。

昆虫の血糖としてのトレハロース濃度は、400 - 3,000 mg/dLで、

ヒトの血糖(グルコース)値100 - 200 mg/dLに比べて、はるかに高いです。

これには、トレハロースがタンパク質と糖化反応を起こさず、グルコースに比べて生体に有害性をもたらさないため、という説があります。

 

 

昆虫綱の分類

無翅亜綱  : シミ目、

有翅亜綱

旧翅下綱 : カゲロウ目、トンボ目

新翅下綱

 

まず、比較的原始的な、翅のない無翅類と、

翅を腹側にたためない旧翅類に分けられます。

しかし、無翅類は、原始形質でまとめられた側系統という説が有力です。

 

代表的な昆虫のほとんどは、新翅類に含まれます。

 

種類が多いグループ

甲虫目(鞘翅目)   : カブトムシ等、35万種

チョウ目(鱗翅目)  : チョウ、ガ、17万種

ハエ目(双翅目)   : ハエ・カ・アブ等、15万種

ハチ目(膜翅目)   : ハチ、アリ、11万種

カメムシ目(半翅目) : セミ、カメムシ等、82千種

バッタ目(直翅目)  : バッタ、コオロギ等、2万種

トンボ目(蜻蛉目)  : トンボ、5千種

 

生態が多様なハエ目やハチ目は、実際には甲虫目を上回る種が存在する可能性があります。

昆虫

 

 

イシノミ目(古顎目) 無変態

昆虫綱のうち、最も早く分岐したグループで、現生のうち最も原始的な昆虫の目です。

 

尚、より古い時代に分岐した内顎類コムシ目、カマアシムシ目、トビムシ目)を、広義の昆虫に含めることもあります。

 

腹部を地面に叩きつけてジャンプを行うことから、この名があります。

 

翅(はね)を持たない昆虫(無翅昆虫)です。

かつては、シミ目(総尾目)のイシノミ亜目されていましたが、

体の基本構造に、非常に原始的な形質を有するため、側系統群として分けられました。

 

普通の昆虫は、大顎が頭蓋と2ヶ所で関節するため可動性が制限されるのに対し、イシノミ目では1ヶ所だけで関節しています。

そのため、イシノミ目のみからなる単関節丘亜綱をたて、それ以外の昆虫を双関節丘亜綱として分類されるようです。

 

全世界の湿った土壌に生息する、15mm以下の小さな昆虫です。

 

体は細長く、複眼・単眼が発達しています。

体表は、シミ同様に鱗粉に覆われます。

胸節には明確な3対の歩脚をもつ他、腹節の腹面にも対をなした付属肢を有します。

 

陸生の微細な藻類地衣を食べます。

水は口から飲まず、腹部にある嚢状体を結露した水滴等に押し付け、吸収します。

 

雌の体内に精子を導入する交尾器を持たず、

雄は糸を分泌してその上に精液の滴を置き、複雑な配偶行動で雌を誘導して生殖口から吸収させます。

 

寿命は長く、約3年です。

イシ

 

 

メガネウラゴキブリトンボ

2.9億年前古生代石炭紀末期)の森に生息していた、原始的なトンボです。

 

原蜻蛉目(げん せいれい もく。原トンボ目)に分類されます。

 

メガネウラ科は、模式属であるメガネウラ属と、近縁のメガネウロプシス属からなります。

 

史上最大昆虫は、メガネウロプシス・アメリカラです。

同種は、史上最大の飛翔性節足動物でもあります。

 

捕食性(肉食性)です。

 

翼開長70cm前後(最大約75cm)もあります。

しかし、翼開長が最小で約12 cmと、現生トンボ類と変わらない大きさの種も多数存在しました。

 

原蜻蛉目のトンボは、原始的な翅の構造から、現生トンボ類にみられるようなホバリングの能力はなく、

翅を時折はばたかせながら滑空していたと考えられます。

 

体つき等は、トンボというより、カワゲラに似ています。

 

石炭紀に、メガネウラ等、巨大な陸生節足動物が数多く進化した理由として、

シダ植物群の大繁殖によって、当時の大気中の酸素濃度が約35と高かったためとする説や、

節足動物を餌とする、捕食性脊椎動物が少なかったからとする説、

現在と違って、地球全体の平均気温がはるかに高かったためとする説、等が唱えられています。

ネウラ 

 

 

変態

不完変態

 

動物の正常な生育過程において、形態を変えることです。

 

栄養摂取に特化し、生き残りと成長に最適化された幼生と、

次世代を生み出すための生殖機能を備えた成体の間で、形態が大きく変わることが多いです。

それに伴い、生活様式や場所が変化する場合もあります。

 

昆虫では、卵から孵化(うか)すると、幼虫という形態となります。

幼虫が、生殖能力を有する成虫になる過程で変態を行います。

ただし、原始的な種類には、変態をしないものもあります。

 

昆虫類が変態を行うようになった理由は明らかではありませんが、

古生 石炭紀からペルム紀にかけての気候の悪化へ対応するため、

蛹(さなぎ)の段階を経ることによって、寒冷期を乗り切るように進化した、という説があります。

変態

 

完全変態

幼虫が成虫になる際、一旦という形態をとり、蛹から脱皮して成虫となるものです。

 

卵→(孵化)→幼虫→(蛹化)→蛹→(羽化)→成虫 という段階を経ます。

 

蛹は、昆虫類独自の形態で、他の動物には同様の形態はみられません。

 

チョウ、ハチ、ハエ、カブトムシ等があります。

 

これらは、昆虫類の中でも、二畳紀(ペルム紀)以降に出現した、進化が進んだ種と考えられます。

 

尚、完全変態をする昆虫の中で、シリアゲムシが、現生では最も古い群と考えられています。

 

完全変態を行う種の幼虫は、成体と全く異なった形態である場合が多く、いわゆる、イモムシ型やジムシ型の幼虫です。

これらの形は、複雑な形態である昆虫本来の姿とはかけ離れ、節足動物の原初的な形態に近い、単純な外見を示します。

 

は、

カブトムシ類のように、比較的成虫に似た形のものから、

ハエ類のように、成虫とは似ても似つかないものもあり、様々な形態を取ります。

 

蛹は、短いを出して体を固定したり、長大な糸によって繭(まゆ)を作ってその中に入ったりするものが多いです。

ほとんど動かず、休眠しているようにみえますが、

体内では、幼虫の体を構成していた諸器官が、食細胞の働きにより一旦分解され、

幼虫期に摂取し、備蓄した栄養分を用いて、成虫の体を形作る部位である、成虫原基を中心に、新しく形態形成が行われます。

 

 

不完全変態

蛹を経ず、幼虫が直接成虫に変態するものです。

 

昆虫の基本的な変態様式で、

この場合の幼虫は、完全変態するものと区別するため、若虫(じゃくちゅう、わかむし)と呼ばれます。

 

セミ、カマキリ、トンボ、バッタ、ゴキブリ等があります。

 

不完全変態をする種では、若虫と成虫の形態がよく似ており

若虫期に数回の脱皮を繰り返して、成虫に変態することが多いです。

 

バッタ、ゴキブリでは、若虫と成虫の外見上の違いは、体の大きさ以外では、翅(はね)があるかどうかの程度です。

翅は、若齢の若虫ではみられず、脱皮と共に多少大きくなり、成虫になると一気に完全なものになります。

 

トンボのように、形態変化が大きなグループもあります。

トンボの若虫である、ヤゴは、水中でエラ呼をし、発達した伸縮自在の大顎で捕食生活をしますが、

成虫は、特徴的な腹部を持ち、姿は非常に異なるものの、

大型の複眼を有する頭部の形等、基本的な構造は共通しています。

 

無変態とは異なり、幼虫は交尾・産卵不可能です。

 

過変態

幼虫期に生活様式にあわせて、形状が著しく変態するものです。

ツチハンミョウや、ネジレバネ等の一部の昆虫が行います。

 

過変態の昆虫は、寄生虫であることが多く、

幼虫が宿主へ移動するための形態と、寄生するための形態に幼虫期で変態します。

 

尚、多変態という語もあります。

変態

 

無変態

成長過程で形態がほとんど変化せず、脱皮によって大きさだけが変化するものです。

 

シミノミのみです。

 

幼虫・成虫共、交尾・産卵可能です。

変態

 

 

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