自己組織化・・・エントロピー減少の法則?で成り立つ、生命。
散逸構造: ベナール・セル、ベロウソフ・ジャボチンスキー反応
参考 :各種定数、演算子、法則、方程式、行列
渦、伝熱 、フォトニック結晶、酸化還元反応、フィボナッチ数
自己組織化は、生命等でみられる、自律的に秩序を持つ構造を作り出す現象のことです。
これは、一見、熱力学第二法則が成り立たないようにみえます。
(ネゲントロピー・・・シュレーディンガー方程式などの、シュレーディンガーにより提唱されました・・・
余談ですが、シュレーディンガーの猫、というのもあります・・・To be or not to be, that is the question ? )。
この法則は、あくまで、外部との熱の出入りがない、閉じた系で成り立つ法則ですので、
生命のように、代謝等で、環境(外部)にエントロピーを排出できる場合は、自己組織化が可能となります。
(環境全体からみると、他の部分でエントロピーが増えています。)
以下のような法則があります。
熱力学第一法則 :熱力学におけるエネルギー保存の法則です。 dU = δQ – δW
(dUは系の内部エネルギー U の変化量、δQは系に与えられた熱量、δWは系から取り出された仕事、です。)
熱力学第二法則 :熱の出入りがない系では、内部変化は常にエントロピーが増大する方向に起こる、という法則です。 トップ
熱力学第三法則 :完全結晶のエントロピーは、絶対零度ではすべて等しくなる、という法則です。
熱力学第零法則(物体AとB、BとCがそれぞれ熱平衡ならば、AとCも熱平衡にある、という法則)、もあります。
ギブズ自由エネルギー :平衡定数との関係、標準酸化還元電位との関係
エントロピー ( S ) ギブズ自由エネルギー
系の微視的な乱雑さ、を表す物理量です。
クラウジウスにより、Q(熱量) / T(温度) を、エントロピーと名付けられました。
また、統計力学では、系が定められたエネルギー・体積の下でとりうる状態の数 W 、ボルツマン定数 k を用いて、
S = k log W 、で定義されます。単位は、J/K です。 トップ 自己組織化
エンタルピー ( H ) ギブズ自由エネルギー
熱含量。物質の発熱・吸熱の挙動にかかわる状態量です。
内部エネルギー U 、圧力 p 、体積 V を用いて、
H = U + pV 、で定義されます。単位は、J です。
等圧条件下にある系が、
発熱して外部に熱を出すと、エンタルピーが下がり、
吸熱して外部より熱を受け取ると、エンタルピーが上がります。
ギブズ自由エネルギー( G )
等温等圧条件下で、仕事として取り出し可能なエネルギー量です。
エンタルピー H 、温度 T 、エントロピー S を用いて、
G = H – TS 、で定義されます。単位は、J です。
ギブズ自由エネルギー変化と、平衡定数Kとの間には、
凾f = - R T ln K、の関係があります。( R は気体定数、ln は自然対数)
標準状態( 「○」。25℃(298.15K)、105Pa )においては、以下のようになります。
凾f○ ( kJ / mol ) = -5.708 log10 K 。
標準酸化還元電位との関係は、
E○ = 凾f○ / n F、です。
n は価数、 F は(ファラデー定数)です。 ネルンストの式 酸化還元反応
自律的に秩序を持つ構造を作り出す現象で、自発的秩序形成ともいいます。
地球の生命の起源について、カウフマンによると、
「生物のシステムと有機体の複雑性は、ダーウィンの自然選択説以上に、
自己組織化と、熱平衡状態から大きく離れた系に由来するのかもしれない」、
とのことです。
非平衡開放系は、散逸構造論として唱えられました。
散逸構造系は、開放系であるため、エントロピーは一定範囲に保たれ、
系の内部と外部の間でエネルギーのやり取りもあります。
生命現象は、定常開放系としてシステムが理解可能、とされます
生物の細胞が、DNAを設計図として機能を持った組織を作り出す現象も、高度な自己組織化の結果、とされます。
自己組織化は、
雪の結晶の成長、
フォトニック結晶構造に由来する模様(構造色)、
シマウマのゼブラ模様、
心臓の鼓動、
過飽和溶液の中で、結晶が成長して固体となって析出する現象、
思考や学習などに伴う、神経回路の構築、
等、様々な自然現象の中にも見出すことができます。
比較的小さな分子が、自然に集まって高次構造を構築するものとしては、
超分子(複数の分子が、共有結合以外の結合(配位結合、水素結合など)や、比較的弱い相互作用により、秩序だって集合したものです。)、
自己組織化単分子膜、
ミセル結晶(エマルション。ミセルは、水と油等、混じり合わない液体のうちの一方、または両親媒性物質が、粒状(層状)に会合している構造です。)、
ブロックコポリマー(共重合。ブロック共重合は、 同種の単量体が、長く連続してブロックを作り、共重合したものです。)、
などがあります。
プリゴジンが提唱した、平衡状態でない開放系構造で、定常開放系、非平衡開放系とも言います。
エネルギーが散逸していく流れの中に、自己組織化によって生まれる、定常的な構造です。
散逸構造は、渦潮のように、一定の入力があるときにだけ、その構造を維持し続けているようなものを指します。
散逸構造系は、開放系であるため、エントロピーは一定範囲に保たれ、系の内部と外部の間でエネルギーのやり取りもあります。
プラズマ(気体を構成する分子が電離して、陽イオンと、電子に別れて自由に運動している状態。)の中に自然に生まれる構造、
宇宙の大規模構造にみられる、超空洞(ボイド。泡沫状に分布する超銀河団領域が、膜のような形となって包含している、何も存在しない空間)
が、連鎖したパンケーキ状の空洞のパターン、
など、があります。
散逸構造のうち、最もよく知られたものです。
薄い層状の流体を下側から均一に熱したときに生じる、規則的に区切られた細胞(セル)状の対流構造です。
各セルは渦を形成しているので、ベナール渦ともいいます。
ベナールの実験(1900年)で発見されました。
ベナール・セルは、典型的には正六角柱になりますが、条件によっては正四角柱になることもあり、
横と縦の比率(アスペクト比)は、1対2〜3になります。
セルの配列は非決定論的であり、微視的初期条件によってその後の巨視的状態は大きく異なります。
これは、カオス理論におけるバタフライ効果の例です。
ベナール・セルは、
味噌汁を熱した時、
季節風が一方向に吹いている時の雲の気象衛星画像、
太陽表面、
などで、見られます。
これは、上下2枚の平らな板の間に水などの液体を入れ、下から均一に熱するものです。
下の板の温度を上よりわずかに高くすると、下から上への熱伝導が起こります。
温度をさらに上げると、下側の流体の密度が低くなって浮力が生じ、レイリー数が、一定の値を超えた所で、対流が起こります。
それとともに、それまでの微視的で乱雑な分子運動が、自発的に秩序化して、巨視的な運動になり、ベナール・セルが形成されます。
レイリー数は、流体中での伝熱に関係する無次元数です。
熱は、臨界レイリー数以下では、主に熱伝導によって伝達され、
限界値以上では、主に対流によって伝達されます。(伝熱)
さらに水平方向の運動には回転も加わり、渦が生じます。
ベナール渦は、一旦できると安定し、時計回りと反時計回りのものが、交互に並びます。
ベロウソフ・ジャボチンスキー反応(BZ反応)
セリウム塩などの金属塩と、臭化物イオンを触媒として、
マロン酸などのカルボン酸を、臭素酸塩により、ブロモ化する化学反応、のことです。
系内に存在するいくつかの物質の濃度が、周期的に変化するため(振動反応(時計反応))、
溶液の色が、数十秒程度の周期で変化します。
時計反応は、
化合物の濃度が周期的に変化したり、一定の誘導時間が経過した後に突然物質の性質が変化したりする、化学反応です。
反応液の色の変化は、
触媒となっている金属塩の酸化還元反応に伴うものであり、用いた金属種によって、色が異なります。
セリウム塩では、無色と黄色に変化しますが、
フェロイン(鉄のフェナントロリン錯体)を用いると、赤と青の間で変化します。
反応液をよくかくはんした状態では、一定の時間ごとに、反応液全体の色の変化が起こります。
一方、反応液をシャーレのような浅い容器に静置した状態におくと、
まず数箇所に色の変化した点が現れ、そこから同心円に色の変化が広がっていきます(ターゲットパターン)。
FKNメカニズム
プロセスA :臭素酸塩と臭化物イオンが反応して、最終的に臭素が発生する反応です。
プロセスB :還元型の金属塩(セリウム塩など)による、臭素酸塩が、次亜臭素酸へ還元される反応です。
これは、臭素酸塩と亜臭素酸が反応して、2分子の二酸化臭素が生成し、
それが金属塩によって還元されて、2分子の亜臭素酸となる段階を含む、自触媒反応です。(金属塩は、酸化されて発色します。)
自触媒反応は、
化学反応において反応生成物が、その反応を促進する触媒の役割をする反応です。
まず、プロセスAが始まり、臭素酸塩は、臭化物イオンによって亜臭素酸、次亜臭素酸、臭素と順次還元されていきます。
亜臭素酸が生成すると、プロセスBが、開始します。
しかし、プロセスAが進行している間は、亜臭素酸が臭素へ還元されて消費されるため、プロセスBは、ほとんど進行しません。
その後、臭化物イオンがなくなると、プロセスAが停止します。
すると、亜臭素酸が指数関数的に増加し、それとともにプロセスBの反応速度も急激に上昇します。
これにより、溶液の還元型の金属塩が、急激に酸化型へと変化し、溶液の色が変化します。
一方、プロセスAで生成した臭素とマロン酸と反応して、ブロモマロン酸となります。
また、マロン酸とブロモマロン酸は、
酸化型の金属塩によって酸化されてギ酸と二酸化炭素となり、還元型の金属塩と、臭化物イオンが再生されます。
臭化物イオンが再生されると、
プロセスAが再開するため亜臭素酸が臭素まで還元され、プロセスBが停止します。
このため、酸化型の金属塩が減少し、再び反応液の色は、もとに戻っていきます。
再び、プロセスAで臭化物イオンが消費しつくされると、プロセスBの速度が再び急激に増加する、ことを繰り返し、
反応液の色の変化が、繰り返されます。
尚、BZ反応は、セル・オートマトンを使ってシミュレートできるようです(詳細不明)。
格子状のセルと、単純な規則による、離散的計算モデルです。
定数 : 気体定数、 アボガドロ定数、ボルツマン定数、プランク定数、ファラデー定数、電気素量
演算子 : ナブラ( ∇ )、勾配( grad )、発散( div )、回転( rot )、ラプラス作用素( ∆ )、ハミルトニアン( H )
法則 : ファラデーの電磁誘導の法則、レンツの法則、ルシャトリエの原理、角運動量保存の法則(回転運動)
方程式 : マクスウェルの方程式、シュレーディンガー方程式、熱伝導方程式、気体の状態方程式、ネルンストの式
エルミート行列、ユニタリ行列、単位行列、随伴行列、余因子行列、転置行列など
伝熱(対流、熱伝導、熱放射)
フォトニック結晶(構造色、薄膜干渉)、(参考:レイリー散乱)
1/n × PV / T = 8.314 4621(75) J K-1mol-1です。
理想気体において、P :圧力、V :体積、T :絶対温度、とすると、
ボイル=シャルルの法則より、PV/Tは一定であり、
アボガドロの法則より、定圧・定温下では、体積は物質量 n に比例するため、
PV / T も、物質量n に比例します。
参考、気体の状態方程式
6.02214129(27) × 1023mol−1です。
1 mol に含まれる粒子(分子、原子、イオンなど)の数です。
kB = R / NA = 1.3806488 (13) × 10−23 J/K、です・・・非常に小さい値ですね。
温度とエネルギーを関係付ける物理定数で、気体定数 R と、アボガドロ定数 NA の比です。
プランク定数 h
6.62606957(29) × 10−34 J s、と非常に小さい値です。
これは、光子のエネルギー = hν(νは、光子の振動数)の、比例定数です。
F = NA e = 96,485 C mol−1です。
電子の物質量( 1mol )あたりの電荷です。
余談ですが、ファラデーといえば、電磁誘導の法則、があります。
電気素量 e
1.602 176 565 (35) ×10−19 Cです。
電子の電荷の絶対値(陽子の電荷の大きさ)を表します。
演算子 マクスウェルの方程式
ナブラ( ∇ )
勾配( grad )
発散( div )
回転( rot )
ハミルトニアン( H )
ベクトル解析における演算子です。
ナブラ ( ∇ ) マクスウェルの方程式
座標 ( x, y, z )で、
∇ = ex ∂/∂x + ey ∂/∂y + ez∂/∂z
で与えられるベクトルです。
ex、ey、ez、は、それぞれ x、y、z 方向の単位ベクトルで、
∂(ラウンド)は、偏微分です
勾配 ( gradient )
スカラー場 、f のベクトル微分です。
∇f = grad f = ex ∂f / ∂x + ey ∂ f / ∂y + ez ∂f / ∂z
と表せます。
これは常に f の最も増加が大きい方向を指し、その点における最大増加率に等しい大きさを持ちます。
発散 ( divergence ) マクスウェルの方程式
div v = ∂v x /∂x + ∂v y/∂y + ∂v z /∂z = ∇・v (v はベクトル場で、 v ( x, y, z ) = vx ex + vyey + vz ez )
で表されます。
ナブラ(ベクトル)とベクトルの内積なので、スカラー場です。
発散は、ベクトル場の指す方向に、それがどれくらい増加するかを測るものです。
回転 ( curl 、rotation ) マクスウェルの方程式
curl v =rot v = (∂v z /∂y — ∂v y /∂z )ex + ( ∂v x /∂z — ∂v z /∂x ) ey + ( ∂v y /∂x — ∂v x /∂y ) ez = ∇ × v
(v はベクトル場で、 v ( x, y, z ) = vx ex + vyey + vz ez )
で表されます。
ナブラ(ベクトル)とベクトルの外積なので、ベクトル場です。
各点における回転の値は、その点に中心を持つ、軸周りのトルク(回転力)に比例します。
3次元の直交座標系では、
∆ = ∂2/∂x2 + ∂2/∂y2 + ∂2/∂z2 = ∇・∇= ∇2
で与えられます。
∆の作用は、勾配ベクトル場の発散をとることに相当します。
ベクトル場にも、スカラー場にもほどこすことができる、スカラー作用素です。
ハミルトニアン( H ) シュレーディンガー方程式
物理学におけるエネルギーに対応する物理量です。
ハミルトニアンは、系の時間発展に密接に関連するため、量子論の定式化で重要な働きをします。
古典力学では、正準変数の関数であり、
量子力学では、正準変数を量子化した演算子(または行列)の形をとります。
ハミルトニアンH は、T を運動エネルギー、V をポテンシャルエネルギーとして、全エネルギーを、
H = H ( q , p ; t ) = T + V
のように、一般化座標 q 、一般化運動量 p によって、表した関数です。(t は時間)
量子力学においても、
ハミルトニアンは、系の全エネルギーを表します。
ただし、量子力学では、正準量子化に従って、位置と運動量を演算子で表すため、
ハミルトニアンは、演算子としての性質を持ちます。
また、両側を基底関数で挟むことによって、無限次元の行列としても表現されます。
角運動量保存の法則(回転運動)
この時、生じる誘導起電力の大きさは、その回路を貫く磁界の変化の割合に比例します。
ソレノイド(単線密巻)コイルを貫く磁界に変化があった時の、コイルの誘導起電力Vは、
V = — N ΔΦ /Δt
N :巻数、
ΔΦ/Δt : 微小時間Δtの間に、コイルを貫く磁束の変化、です。
右辺のマイナスは、磁束の変化を打ち消す方向に誘導起電力が発生することを意味します(レンツの法則)。
尚、この法則は、コイル等に関わらず、任意のループ(閉曲線)に適用できます(ファラデー ・ マクスウェルの式)。
レンツの法則 ファラデーの電磁誘導の法則 ルシャトリエの原理
誘導電流が発生する場合、電流の流れる方向は誘導電流の原因を妨げる方向と一致するという法則です。
レンツの法則に似たもの?に、ルシャトリエの原理、というものがあります。
これは、平衡状態にある反応系において、
状態変数(温度、圧力(全圧)、反応に関与する物質の分圧や濃度)を変化させると、
その変化を相殺する方向へ平衡は移動する、というものです。
外力が働かない(または、トルクが0)場合、質点系の角運動量は常に一定、という法則です。
角運動量 L
運動量のモーメント(回転運動、を与える力の能率。単位はニュートン・メートル( N・m ) )で、
位置 r 、において、運動量 p 、を持つ質点の角運動量 L は、L = r × p、で定義されます(「×」は、外積)。
運動量 p
物体の運動の状態を表す物理量で、質量 m と、速度 v の積、p = m v 、として定義されます。
トルクとは、固定された回転軸のまわりの力のモーメントで、ねじりの強さ、を表します。単位は、 (N・m)です。
慣性モーメントI を用いると、剛体の角運動量 L と、角速度 ω の関係は、L = I ω、と表されます。
物体の回転運動の変化(回りだす、止まる)のしにくさ(慣性)、のことです。
角速度 ω
物体の回転の速さで、角度と時間の商、で定義されます。単位は、ラジアン毎秒(rad/s)です。
尚、回転運動と直線運動(並進運動)の関係、は、
回転運動の角度( θ )は、並進運動の位置(r)に、
角速度( ω )は、速度( v )に、
角加速度( α )は、加速度( a )に、
慣性モーメント( I )は、質量( m )に、
角運動量( L )は、運動量( p )に、
力のモーメント( N )は、力( F )に、 それぞれ対応します(単位は違いますが)。
理想気体の体積と圧力、温度に関係する法則です。
気体の圧力P は、体積V に反比例し、絶対温度T に比例する、という法則です。
つまり、P ・ V / Tは一定です。
同一圧力、同一温度、同一体積のすべての種類の気体には、同じ数の分子が含まれるという法則です。
電磁場の振る舞いを記述する方程式です。
磁束保存の式: 磁場には源がありません。
∇・ B = div B = 0 (∇はナブラ、divは発散、B は磁束密度)
ガウス-マクスウェルの式: 電場の源は、電荷です。
∇・ D = div D = ρ (D は電束密度、ρ は電荷密度)
ファラデー ・ マクスウェルの式: 磁場の時間変化で、電場が生じます。(電磁誘導の法則)。
∇× E = rot E = — ∂B /∂t (rotは回転、E は電場の強度、∂(ラウンド)は、偏微分です。)
アンペール-マクスウェルの式: 電流( j )と、電場の時間変化(変位電流。∂D / ∂t )、で磁場が生じます。
∇× H = rot H = j +∂D / ∂t (H は磁場の強度、j は電流密度)
シュレーディンガー方程式(時間に依存しない場合)
固有関数または固有状態を Ψ、エネルギー固有値を E とする、固有値問題の形をとります。
H Ψ = EΨ
固有値 E が実際に観測される量であるためには、H は、エルミート(行列)である必要があります。
比例係数λ(熱伝導率)を、一定かつ等方的とすると、温度場T が従う式として、
単位体積当たりの熱容量(温度がどの程度変化するか、を表します。) CV [ J/m3K ]を使って、
CV ∂T /∂t = λ∆T
で表されます。λ/CV を、熱拡散率(温度伝導率)といいます。
P V = n R T、で表されます。
p は気体の圧力、V は気体が占める体積、n は気体の物質量、R は気体定数、T は気体の熱力学温度です。
また、実在気体の状態方程式(1モルの気体に対する、ファン・デル・ワールスの状態式)は、
気体の体積と、分子間の相互作用を考慮して、
(P + a / V2 )(V – b ) = R T、で表されます。
a と b はファン・デル・ワールス定数といいます。
Ox + z e-= Redという、酸化体Oxと、還元体Redの間の電子授受平衡反応を考える時、
平衡時に、系に挿入された不活性電極が持つ電位 (電極電位) E、を表す式です。
E = E○ + (RT /zF) ln (aOx / aRed)
E○:標準電極電位
R :気体定数
T :温度(K)
Z :移動電子数
F : ファラデー定数
a :還元側(Red)と、酸化側(Ox)の活量
イオンXに対して透過性がある膜を隔てて、
片側の区画(o)でのイオンXの濃度が[ X ]o、
他方の区画(i)での濃度が[ X ]i、とします。
イオンXは濃度勾配に従って膜を透過しますが、
それによって生じる電荷の移動により、膜を隔てて電位差が生じます。
平衡に達した時の区画oに対する、区画iの電位Eは、
E = ( RT /zF ) ln ( [ X ]o / [ X ]i ) 、です(ネルンストの式)。
エルミート行列 (自己随伴行列) シュレーディンガー方程式
自身の随伴行列(共役転置)と一致する、正方行列です。
A = A† (†:ダガー) ( A = A*)
成分は、任意の添字 i, j について ( i, j )-成分は、( j , i )-成分の複素共役、と等しくなります。
任意のエルミート行列の主対角成分は、自身の複素共役と一致することから、実数でなければなりません。
任意のエルミート行列は、ユニタリ行列で対角化して、得られた対角行列の成分がすべて実数となるようにすることができます。
これにより、エルミート行列 A の全ての固有値が実数であり、
A が n 個の線型独立な固有ベクトルを持つことがわかる・・・ようです。(詳細は成書を参考して下さい。)
尚、ユニタリ行列は、
U* U = U U* = I
で定義される、複素正方行列です。I は単位行列、U* は行列 U の随伴行列(UT)です。
その他
余因子行列 :余因子を行列の要素とする行列の転置行列です。
余因子 :i 行j 列を除いた行列式に、( -1 ) i + j をかけたものです。
転置行列 :行と列を入れ換えた行列です。
流体のような物体が、回転して発生する、ラセン状のパターンです。
流体が、ある位置に急に集められる場合、生じることが多いです。
ちなみに、風呂の栓を抜くと、渦ができますが、
その渦の速さが次第に速くなるのは、角運動量保存の法則、が関係するようです。
温度や表面張力などにより、流体の内部で不均質性が生じ、重力によって流動が生ずる現象です。
鉛直対流、水平対流、マランゴニ対流、などがあります。
レイリー・ベナール対流は、鉛直対流の一種です。
流体に、水平方向の温度差が与えられた場合に生ずる流体の運動を、水平対流といいます。
季節風: 大陸と海洋の温度差によって生ずる風、
海陸風: 海岸の近くにおける地表面と海面の温度差によって生ずる風、
郊外風: 都市部の気温が上昇すること(ヒートアイランド現象)により都心に吹き込む風、
などがあります。
主に温度差、濃度差により、流体表面の表面張力が不均質になることで、
流体の流れが駆動される対流を、マランゴニ対流といいます。
他に、
熱放射: 熱が電磁波として運ばれる現象、または物体が熱を電磁波として放出する現象、
熱伝導: 物質の移動を伴わずに、高温側から低温側へ熱が伝わる移動現象 、があります。
対流と熱伝導は、熱振動(原子の振動)のまま伝わりますが、
熱放射では、輸送元の物体が電磁波を出し、輸送先の物体が電磁波を吸収することによって熱が運ばれます。
屈折率が周期的に変化するナノ構造体であり、構造色を生じます。
光の波長またはそれ以下の微細構造による発色現象です。孔雀の羽や、シャボン玉などでみられます。
光の波長程度の薄い膜(薄膜:はくまく)では、膜の上面で反射する光と、下面で反射する光が干渉するため、
膜の厚さに対応した波長光が、色づいて見えます(薄膜干渉)。
複数の波の重ね合わせによって、新しい波形ができることです。
波の重ね合わせの原理は、波の振幅が、すべての波の振幅の和となることです。
同じ点で、波の山と山、または谷と谷が干渉すると、振幅は大きくなり、
山と谷が干渉すると、振幅は小さくなります。
尚、青空、夕焼けなどの色は、
太陽光が、大気中の窒素分子や酸素分子によって散乱されるためです。
このような、光の波長より小さな粒子による散乱現象はレイリー散乱と呼ばれます。
化学反応のうち、原子やイオンなどの間で、電子の授受がある反応です。
対象とする物質が、電子を失う化学反応、または、原子の酸化数が大きくなる化学反応です。
物質に、酸素が化合する反応、
物質が、水素を奪われる反応、等があります。
対象とする物質が、電子を受け取る化学反応、または、原子の酸化数が小さくなる化学反応です。
物質から酸素が奪われる反応、
物質が水素と化合する反応、等があります。
n 番目のフィボナッチ数を、Fnで表すと、
F0= 0
F1= 1
Fn+2= Fn + Fn+1 (n≧0)
で定義されます。
この数列は、フィボナッチ数列と呼ばれ、0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21・・・と続きます。
隣り合うフィボナッチ数の比は、黄金比 φ に収束します。
フィボナッチ数列の最初の2項を 2, 1 に置き換えた数列の項を、リュカ数といいます。
フィボナッチ数列やリュカ数の列を一般化したものが、リュカ数列、といいます。
フィボナッチ数は、
花びらの数、
ヒマワリのらせんの数など、植物の花や実に現れるらせんの数、
パイナップルのらせんの数(時計回りは13、反時計回りは8)、
葉序(植物の葉の付き方)、
ハチやアリなど、オスに父親がない家系(父母2匹、祖父母3匹、曽祖父母5匹、高祖父母8匹・・・)、
など、自然界の現象にも、数多く出現するようです。