糖・・・生体高分子の起源?
参考 :アルデヒド、ケトン、アセタール、グリコールアルデヒド
糖は、多価アルコールの最初の酸化生成物であり、アルデヒド基 ( −CHO ) またはケトン基 ( >C=O ) を一つ持ちます。
アルデヒド基を持つ糖をアルドース、
ケトン基を持つ糖をケトース、といいます。
単糖の一般組成は、nの値が3以上の( CH2O )nです。
尚、定義上、糖類ではありませんが、ジオース(二炭糖)には、グリコールアルデヒドがあります。
カルボニル基は、求電子性も、求核性も示すため、炭素・炭素結合生成に重要です・・・
糖自身は重合して、多糖を形成しますが、生体の高分子には、少なからず糖が関係するようですね。
核酸は、(デオキシ)リボースが含まれます。
脂質は、糖アルコールのグリセリンを含みます。
また、脂質に糖が結合した糖脂質は、細胞膜の外側にあり、
エネルギーの供給や、細胞認識の標識として働きます。
アミノ酸に糖鎖が結合した糖タンパク質もあり、
アスパラギンに結合したもの(N結合型)と、セリンやトレオニンに結合したもの(O結合型)があります。
尚、アミノ酸はL体ですが、生物が利用する糖は、ほとんどがD体です・・・なぜでしょう?
余談ですが、ビタミンC(アスコルビン酸)は、L体で、ラクトン構造を持ちます。
グルコースから生成され、コラーゲン合成に重要ですね。
アルデヒド、ケトンのアセタール化反応は、二段階の可逆反応であり、
反応中間体としてヘミアセタール ( R1−C(OR')(OH)−R2 ) が生成します。
これは通常は不安定ですが、単糖は安定しています。
尚、炭水化物のアセタールは、配糖体といいます。
糖は、糖新生(解糖系の逆)の他、ペントースリン酸経路や、カルビン回路によって、生合成されます。
ホルモース反応には、
グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、
エリトロース、エリトルロース、
リボース、リブロース、
が登場しますが・・・
解糖系には、
グリセルアルデヒド-3-リン酸、ジヒドロキシアセトンリン酸、
フルクトース-6-リン酸、フルクトース-1,6-ビスリン酸、グルコース、グルコース-6-リン酸、
ペントースリン酸経路には、
グリセルアルデヒド-3-リン酸、
エリトロース4-リン酸、
リボース-5-リン酸、リブロース-5-リン酸、キシルロース-5-リン酸、
フルクトース-6-リン酸、グルコース-6-リン酸、
セドヘプツロース-7-リン酸
カルビン回路には、
グリセルアルデヒド-3-リン酸、ジヒドロキシアセトンリン酸、
エリトロース-4-リン酸、
リボース-5-リン酸、リブロース-5-リン酸、リブロース-1,5-ビスリン酸、キシルロース-5-リン酸、
フルクトース-6-リン酸、フルクトース-1,6-ビスリン酸、
セドヘプツロース-7-リン酸、
が登場します・・・五炭糖までの糖は、すべてホルモース反応に登場する糖ですね。
尚、シキミ酸経路には、
エリトロース4-リン酸
(と、ホスホエノールピルビン酸 :解糖系)、が登場します。
六単糖は、フルクトース、グルコースの他、ガラクトース、マンノース、などがありますが、
フルクトースがベースでしょうか・・・
解糖系では、フルクトース-1,6-ビスリン酸(FBP)が開裂して、
グリセルアルデヒド3-リン酸とジヒドロキシアセトンリン酸が生成します・・・
逆にいうと、両者からFBPが生成されますね。
FBPは、解糖系の調節にも重要です。
また、フルクトースは、メイラード反応が起こりやすいです(グルコースの約10倍)・・・
酵素が存在しない状態でも、アミノ基と反応可能ですね。
尚、解糖系の中間体である3-ホスホグリセリン酸(カルボン酸)は、セリン生合成の前駆体でもあり、
セリンは、ホモシステイン回路でのシステインやグリシンの前駆体です。
ヒトでは、ガラクトースはウリジン二リン酸(UDP)誘導体を経由し、グルコース-6-リン酸へ変えられます。(ルロワール経路)
単糖を連結するアセタール構造です。
単糖は、ヒドロキシ基とカルボニル基(アルデビトまたはケトン)をもつ直鎖構造と、
自己のヒドロキシ基を巻き込んだ環状アセタールの環構造の、二つの構造をとります。
環状アセタールを形成する際に、糖が連結した多糖が形成されます。
糖が環を形成する時、環を含む平面に対して構造が非対称なため、
グリコシド結合も、環平面に対して上向きと下向きの二つの構造をとります。
下向きにグリコシド結合を生成する場合をα-グリコシド結合、
上向きの場合をβ-グリコシド結合といい、
両者は性質が異なります。
グルコースが、
α1→4結合で多数連結するとアミロース(デンプン)となり、
β1→4結合で多数連結するとセルロースとなります。
グリコシド結合は一般名で、個々の糖については、糖名+オシドで表記します
グルコース : グルコシド
ガラクトース : ガラクトシド
2種類の糖による結合の場合は、アセタールを形成する糖の名前で呼びます。
そのため、加水分解酵素は同じ糖類に作用するとしても、
酸素を挟んでどちら側でグリコシド結合を分解するかによって名前が異なります。
ラクトース分解酵素は、
ヒトではβ-グルコシダーゼ、
大腸菌ではβ-ガラクトシダーゼ。
多くの不斉炭素を持つ異性体の集合で、一ヶ所の不斉炭素が異なるだけのジアステレオマーを、相互にエピマーといいます。
単糖やオリゴ糖は、水に溶けやすいです。これは、
疎水性の炭化水素基の割合に対して、親水性のヒドロキシ基の割合が大きいためです。
多糖では、炭化水素基の割合が大きいので、水に溶けにくいです。
単糖2分子がグリコシド結合により1分子となったものを二糖といい、
単糖3分子が結合したものを三糖、以下、四糖、五糖・・・といいます。
単糖2分子〜20分子程度が結合したものをオリゴ糖といいます。
多数の単糖がグリコシド結合により重合したものを多糖といいます。
糖のヒドロキシ基を水素に置換したものをデオキシ糖、
アルドース末端の炭素をカルボキシル基に置換したものをウロン酸、
ヒドロキシ基をアミノ基に置換したものをアミノ糖、
ケトン基やアルデヒド基がアルコールに還元されたものを糖アルコールといいます。
尚、アルドースの1位のホルミル基がカルボキシル基に変わったモノカルボン酸を、アルドン酸(グルコン酸:グルコースの酸化物、等)、
更に、主鎖末端のヒドロキシメチル基がともにカルボキシル基に変わったジカルボン酸を、アルダル酸(グルカル酸:グルコースの酸化物、等)
といいます。
また、アルドースの還元によって生じた糖アルコールは、アルジトール(最も単純なものは、グリセリン(グリセロール)です)といいます。
環状ヘミアセタールにおいて、五員環のものをフラノース(参考、ピラン)、六員環のものをピラノース(参考、フラン)といいます。
糖の種類によってほとんどがフラノースまたはピラノースとなりますが、若干の異性体を含みます。
(グルコースは、ほとんどがピラノースです。)
単糖の場合、炭素の数によっても分類されます。
糖を構成する炭素の数が、
3つのものは三炭糖(トリオース)、
4つのものは四炭糖(テトラオース)、
5つのものは五炭糖(ペントース)、
6つのものは六炭糖(ヘキソース)、
7つのものは七炭糖(ヘプトース)、といいます。
|
トリオース(三炭糖) |
テトロース(四炭糖) |
ペントース(五炭糖) |
ヘキソース(六炭糖) |
ヘプトース(七炭糖) |
アルドース |
|
||||
ケトース |
|
三炭糖及びアルドースです。
二価アルコールでもあります。
不斉炭素を持つ最も簡単な単糖で、通常D体が存在します。
ホルモース反応の中間生成物でもあります。
三炭糖及びケトースです。
グリセルアルデヒドとともに、最も小さな単糖です。
不斉炭素を持たず、単糖の中で唯一光学活性がありません。
ホルモース反応の中間生成物でもあります。
四炭糖及びアルドースです。
不斉炭素原子を2個持ちます。
異性体のトレオースとともに、不斉原子が2個ある化合物における命名の基準となっています。
フィッシャー投影図で、同じリガンドが反対側にくるものをトレオ体、同じ側に来るものをエリトロ体といいます。
4位にリン酸基の結合したエリトロース4-リン酸は、ペントースリン酸経路の中間産物であり、シキミ酸経路などに供給されます。
6位にリン酸基の結合したエリトロース6-リン酸は、カルビン回路の中間産物です。
ホルモース反応の中間生成物でもあります。
四炭糖及びアルドースです。
エリトロースの異性体です。
酒石酸やトレオニンと構造が似ています。
DNAやRNAのリボースの代わりに、トレオースが結合したトレオヌクレオチド (TNA) は、
ワトソン-クリック塩基対形成によって、DANやRNAとも安定な2重ラセンを形成します。
四炭糖及びケトースです。
ジヒドロキシアセトンと性質がよく似ています。
ホルモース反応の中間生成物でもあります。
五炭糖及びアルドースです。
リボ核酸の構成糖で、核酸塩基と結合してヌクレオシドを形成しています。
生体内では、ペントースリン酸経路又はカルビン回路で作られます。
ホルモース反応の中間生成物でもあります。
五炭糖及びアルドースです。
天然にはD体のみが存在します。
五炭糖及びアルドースです。
他の単糖とは異なり、D体よりもL体の方が多いです。
L-アラビノースは、穀類の繊維質など、植物の細胞壁を構成するヘミセルロースに多く存在します。
五炭糖及びアルドースです。
分枝糖(炭素骨格が枝別れした糖)の一種。
多くはD体です。
植物の細胞壁に含まれている、ラムノガラクツロナンII の構成要素です。
五炭糖及びケトースです。
L体、D体の両エナンチオマーが存在します。
1位と5位にリン酸基のついたリブロース-1,5-ビスリン酸は、
光合成のカルビン回路において、二酸化炭素を固定する働きをしています。
この反応を触媒するリブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(RuBisCO)は、地球上で最も多いタンパク質です。
また、5位にリン酸基のついたリブロース-5-リン酸は、ペントースリン酸経路で作られ、核酸を構成するリボースを作る原料となります。
ホルモース反応の中間生成物でもあります。
五炭糖及びケトースです。
キシロースから、キシロースイソメラーゼによる異性化、
またはキシリトールから、キシリトールデヒドロゲナーゼによる脱水素により生成します。
その後キシルロキナーゼによってリン酸化されてキシルロース5-リン酸となり、ペントースリン酸経路に入ります。
六炭糖(ヘキソース)及びアルドースです。
ヒトを含む、動物や植物が活動するためのエネルギーとなる物質の一つです。
天然に多く存在するのはD体です。
水溶液中では、ごく一部が鎖状構造となっています。
この構造の末端にはアルデヒド基が存在するため、還元性を示します。
水溶液中で平衡状態に達した時、
α-グルコース(α-ピラノース、38%)とβ-グルコース(β-ピラノース、62%)の形で存在しており、
ほとんどがピラノースとなります。
他の異性体(フラノース、鎖状体)は合わせても1%もありません。
α-ピラノースとβ-ピラノースの純品の結晶を水に溶かすと、
平衡状態へ移行する過程で旋光度の変化がみられます(変旋光)。
グルコースは、チマーゼによりエタノールと二酸化炭素に分解されます(アルコール発酵)。
六炭糖(ヘキソース)及びアルドースです。
マンノースは、ヘキソキナーゼによってマンノース-6-リン酸になり、
マンノース-6-リン酸イソメラーゼによって、解糖系の中間体であるフルクトース-6-リン酸になります。
尚、マンノースはヒトではあまり代謝されません。
マンノースは、糖タンパク質の糖鎖の重要な構成成分です。
N-結合型糖鎖に多く存在します。
C-マンノシル化も、コラーゲン様部位でみられます。
マンノースは、ロブリー・ドブリュイン-ファン エッケンシュタイン転位によって、グルコースから生成します。
六炭糖及びアルドースです。
粘液でみられます。
ヒトの体内でも合成され、糖脂質や糖タンパク質の一部を形成します。
ガラクトースは、通常の解糖系では分解されないため、C4をエピマー化してグルコースにする必要があります。
ヒトでは、ガラクトースはウリジン二リン酸(UDP)誘導体を経由し、グルコース-6-リン酸へ変えられます。(ルロワール経路)
配糖体や糖鎖の構成成分として、動植物に幅広く存在します。
また一部の海藻類の細胞壁には、L体も存在します。
動物 : 人を含む後生動物のプロテオグリカン、ガングリオシド
陸上植物 : 細胞壁多糖(キシログルカン、ペクチン、ガラクト脂質)
藻類 : 細胞壁多糖(アガロース、カラギーナン)
フルクトース(果糖)
六炭糖及びケトースで、グルコースの異性体です。
ヒトでは、肝細胞でフルクトキナーゼにより、リン酸化されてフルクトース-1-リン酸を生成し、
フルクトース-1,6-ビスリン酸を経て、解糖系に入ります。
全ての糖の中で、最も多く水に溶けます。
40℃の水溶液中では、
β-フルクトピラノース (57%) 、β-フルクトフラノース (31%) 、α-フルクトフラノース (9%)及び、
少量の鎖状構造を含むその他の構造との間で、化学平衡の状態にあります。
酵母とバクテリアによって、エタノールと二酸化炭素に変換されます(アルコール発酵)。
アミノ酸によりメイラード反応を受け、非酵素的に褐色化します。
グルコースよりも開環構造での存在が大きいため、メイラード反応が起こりやすいです(グルコースの約10倍)。
容易に脱水し、ヒドロキシメチルフルフラール (HMF) を生成します。
塩基性水溶液中では、
ロブリー・ドブリュイン-ファン エッケンシュタイン転位による異性化によりアルドースに変化し、還元性を示します。
中性・酸性下では酸化剤と反応しません。
六炭糖及びケトースです。
天然にはL型の方が多く、自然界から見つかった初めてのL型糖です。
D-グルコースを、酢酸菌やグルコン酸菌で発酵させて生成します。
七炭糖及びケトースです。
天然に存在する、数少ない七炭糖です。
リン酸エステルのセドヘプツロース-1,7-ビスリン酸はカルビン回路、
セドヘプツロース-7-リン酸は、カルビン回路とペントースリン酸経路両方の中間体です。
グルコース二分子からなる二糖
結合位置 |
α体 |
β体 |
1-1 |
||
1-2 |
||
1-3 |
||
1-4 |
マルトース(麦芽糖) |
|
1-6 |
その他の二糖
ラクトース : β-ガラクトースとβ-グルコースが1,4ガラクシド結合
スクロース : β-グルコースとフルクトースがグリコシド結合。圧電性。
オリゴ糖(少糖) |
ラクトン(環状エステル) |
|||||
フルクトオリゴ糖 ガラクトオリゴ糖 |
(ビタミンC) |
カルボニル炭素に、水素原子が一つ置換した構造をもつ有機化合物です。
一般式は、 R-CHO です。
任意の基(-R)を取り除いた部分を、アルデヒド基( -CHO )といいます。ホルミル基( formyl group )ともいいます。
アルデヒドは、炭素骨格の終端となりますが、
ケトンは、炭素骨格の中間点となる点で異なります。
ホルムアルデヒドを除くアルデヒドには、ケト-エノール互変異性があり、酸または塩基によって触媒されます。
通常、平衡はケト型へ傾いています。
水素結合が非常に弱いため、自己会合は弱いです。
アルコールに比べて極性溶媒に溶けにくいですが、極性があるため水に溶けます。
また、炭化水素基をもつため、有機溶媒にも溶けます。
アルデヒドは、還元性を持ち、銀鏡反応、フェーリング反応に陽性。
多くの生物にとって有害で、アルデヒド基がタンパク質の側鎖のアミノ基と反応を起こし、
さらには架橋反応に進むため、これを凝固させる作用を持ちます。
第一級アルコールを酸化すると、アルデヒドになります。
アルデヒドが酸化されると、カルボン酸( COOH )になります。
ジカルボン酸の片方のカルボキシル基が還元されてアルデヒド基になったものは、セミアルデヒドといい、
コハク酸セミアルデヒド、グルタミン酸-1-セミアルデヒドなどがあります。
アルデヒドとグリニャール試薬を反応させて、酸で処理すると、還元されてアルコールが生成します。
R-CHO + R'MgBr → RR'CHOH (R = 有機基または H)
アルデヒドを、酸化剤(亜塩素酸ナトリウムなど)で酸化するとカルボン酸になります。
R-CHO + HClO2 → R-CO2H + HOCl
酸触媒の存在下、アルコールと脱水反応を行わせると、アセタールが得られます。
この反応はホルミル基の保護に利用されます。
R-CHO + 2 R'OH → R-CH(OR')2
その他アルデヒドは、オキシム、イミンの原料となります。
アルデヒドを基質とする人名反応には、
クネーフェナーゲル縮合、ウィッティヒ反応、シュミット反応などがあります。
いずれも炭素-炭素結合生成として重要な反応です。
R−C(=O)−R' (R, R' はアルキル基など)で表される有機化合物です。
アセトンなどがあります。
R または R' が水素原子であるものは、アルデヒドです。
環状不飽和炭化水素のパラ位がカルボニル基になっているものは、キノンといいます。
カルボニル基が持つ極性のため、低分子量のケトンは、極性溶媒、非極性溶媒ともに溶けます。
第二級アルコールを酸化すると、ケトンになります。
RR'CH-OH + 酸化剤 → R-C(=O)-R'
アルケンをオゾン酸化すると、2分子のケトンが得られます。
フリーデル・クラフツ反応によるアシル化で、芳香族ケトンが得られます。
RC(=O)Cl + ArH + AlCl3 → R-C(=O)-Ar
その他、ケトンを生成する人名反応として、
ピナコール転位、マンニッヒ反応、クライゼン転位などがあります。
化学的には比較的安定ですが、
グリニャール試薬や有機リチウムなど、求核性の強い有機金属とは反応し、
続いて酸で加水分解すると第三級アルコールが得られます。
R-C(=O)-R' + R''MgBr → RR'R''C-OH (加水分解後)
また、水素化アルミニウムリチウムやボランなどで還元すると第二級アルコールになります。
R-C(=O)-R' + LiAlH4 など → RR'CH-OH
クレメンゼン還元やウォルフ・キッシュナー還元では、メチレン化合物 R-CH2-R' になります。
酸触媒下に2分子のアルコールを脱水縮合させると、アセタールが得られます。
これはケトンの保護法のひとつです。
R-C(=O)-R' + 2 R''OH + H+ → RR'C(OR'')2
ウィッティヒ反応等で、アルケンになります。
その他、ケトンを基質とする化学反応には、
アルドール縮合、バイヤー・ビリガー酸化、シュミット反応、ヴィルゲロット反応などがあります
尚、ケトンとアルデヒドとを区別するには、
ケトンは還元性を持たないため、銀鏡反応やフェーリング反応を起こさないことが利用できます。
有機化合物のうち、R3−C(OR1)(OR2)−R4 で表されるエーテルで、
アルデヒドまたはケトンに、酸触媒下で、アルコールを縮合させると得られます。
かつてはアルデヒドから得られるものをアセタール、
ケトンから得られるものをケタールと呼んで区別していましたが、
現在はいずれもアセタールといいます。
アルデヒド、ケトンのアセタール化反応は、二段階の可逆反応であり、
反応中間体としてヘミアセタール ( R1−C( OR' ) ( OH )−R2 ) が生成します。
これは通常は不安定なので、直ちに別のアルコールと反応してアセタールとなるか、
脱アルコールして元のアルデヒド、ケトンに戻ります。
アセタールは、アルデヒドやケトンのような求電子性をあまり示さず、
アルコールのような求核性も示しません。
更に、温和な酸性条件で、元のアルデヒドやケトン、ジオールへと戻すことができます。
そのため、保護基として使用されます。
ジオールとアセトンが縮合してできる環状アセタールのことを、アセトニドといいます。
アセタール構造を持つ重合体として、ポリアセタール(アセタール樹脂)があります。
存在できるものの中で、アルデヒド基とヒドロキシル基の両方を持つ最も単純な分子で、
唯一可能な、ジオースです。
地球外でも存在する有機化合物で、IRAS 16293-2422という原始星で、発見されました。
ホルモース反応の中間生成物で、2分子のホルムアルデヒドが縮合して生成します。
グリシン等からも生成され、
解糖系の、フルクトース-1,6-ビスリン酸から生成し、
ペントースリン酸経路中では、チアミンピロリン酸によって輸送されます。