岩石・・・生命誕生の場?
生物は、なんと地下5kmまでは生存しているようです(地下生物圏)。
地下数kmで発生した化学合成独立栄養生物を生命の起源とする説もあります。
更に、粘土や黄鉄鉱(パイライト)上で生じた物質から生命が誕生した、とする説もあります。
黄鉄鉱は、地下水と反応して硫酸を生成しますが、硫酸還元細菌と硫酸還元古細菌は、
硫酸塩呼吸(無酸素状態で硫酸イオンの還元を行い、最終的に硫化水素に変換してエネルギーを産生するもの)を行うことができます。
また、黄鉄鉱は半導体性がありますが、これが生命の誕生に関係するかどうかは、不明です。
あと、リンは、生命にとって非常に重要な割には、海水にはあまり含まれないため、
リンを含むリン灰石も、生命誕生に関係するかもしれません。
尚、リン酸塩鉱物は、硫酸塩鉱物とケイ酸塩鉱物と同じグループです。
地球最古の岩石は、冥王代のものです。
地球最古の鉱物は、西オーストラリアのジャックヒルズのクォーツァイトに含まれる44億年前のジルコンです。
地球最古の地殻の痕跡は、カナダのハドソン地域の片麻岩で、マントルからの分離は42億年前です。
地球最古の岩石は、カナダ北西地域のアカスタで発見された、約40億年前の片麻岩です。
(カナダの東部で、42億8000万年前ものが発見されたようです。)・・・
地球誕生後数億年で、すでに岩石があったようです。
地球外にも岩石があり、地球型惑星の外側、月や小惑星は岩石からできています。
非常に稀ながら、45億年前までの岩石は月で発見されています。
太陽系外縁天体などは氷と岩石からできていると考えられます。
隕石や彗星から、アミノ酸や核酸塩基が発見されていますので、
「地球上の最初の生命は宇宙からやってきた」とする仮説(パンスペルミア仮説)もあります。
生命の誕生には、岩石や、岩石に含まれる鉱物も関係しているかもしれませんね・・・
それが、地球で起こったのか、地球外で起こったのかはわかりませんが。
鉱物
圧電効果
半導体
黄鉄鉱(パイライト)
鉄と硫黄からなり、化学組成はFeS2で表されます。
理想的な質量比は、硫黄53.4%、鉄46.6%です。
結晶系は、主に六面体や八面体、正十二面体です。
硫化鉱物としては硬く、鉄よりも硬いです。ハンマーなどで叩くと火花が飛び散ります。
湿気には弱く、非常にもろくなります。
風化などの原因で、表面が酸化分解されて褐鉄鉱などに変化しやすいです。
また、地下水と反応して硫酸を生成します。
リン酸塩鉱物に加えて、硫酸塩鉱物とケイ酸塩鉱物も含むグループです。
これは、リン酸塩基と、硫酸塩基、ケイ酸塩基が全て正四面体の構造で、大きさも似ているため、置換関係にあるためです。
結晶系は、六方晶系です。
組成式は、A5(XO4)3Z ですが、
結晶化学的には、A2A3(XO4)3Z と、Aが2つに分かれています。
Aには Ca 、Pb 、Sr 、Ba 、Y 、La 、Ce 、Nd 、Na 、Bi が入ります。
希土類元素 (REE) 、ランタノイド (Ln) が入ることがあり、不純物として Th 、Fe が入る事があります。
Xには P 、S 、Si 、As 、V が入ります。不純物として B 、Al が入る事があります。
ZにはF 、Cl 、(OH) が入ります。不純物として O が入る事があります。
マグマが冷えたり、堆積物が続成作用を受けて固結したり、既存の岩石が変成作用を受けたりしたもので、
地殻とマントルを構成する主要な物質です。
マグマが冷え固まったり、火山活動で他の岩石などと混ざって固まったりしたものです。
火成岩は大きく分けて、
火山岩(マグマが急激に冷えて固まったもの)と、
深成岩(マグマがゆっくり冷えて固まったもの)、の2つに分類されます。
また、SiO2の含有量(重量%)によって、酸性岩・中性岩・塩基性岩・超塩基性岩に分けられます。
尚、「酸性:SiO2量が多いもの」、「塩基性:SiO2量が少ないもの」という語は、化学で用いられる場合とでは意味が異なります。
苦鉄質鉱物(苦鉄質鉱物、マフィック鉱物)と珪長質鉱物(無色鉱物、フェルシック鉱物)の量比により、
超苦鉄質岩・苦鉄質岩・中間質岩・珪長質岩に分けられることもあります。
火成岩のうち、急激にマグマが冷えて固まったものです。
同じ火成岩の深成岩に比べ、岩石中の鉱物の粒が小さいことと、石基を持つ点が異なります。
火山岩の典型的なものは、石基(せっき)と斑晶(はんしょう)からなる斑状組織を持ちます。
石基: 斑晶の間を埋める物質で、微細な結晶の集合または非晶質(ガラス質)です。
液体のマグマが急激に冷えて充分に結晶化しなかった部分と考えられます。
斑晶: 周囲より大きな鉱物結晶で、マグマが冷え固まる前に既にマグマだまり内で結晶となっていたものです。
酸性岩 :流紋岩、デーサイト
中性岩 :安山岩
塩基性岩 :玄武岩
超塩基性岩 :コマチアイト
火成岩の一種で、マグマがゆっくり冷えて固まったものです。
地球深部で固まるものだけではなく、地上付近でゆっくり冷え固まったものも含まれます。
同じ火成岩の火山岩に比べ、岩石中の鉱物の粒が大きいです。
また時間をかけて冷却していくため、低温で結晶化する正長石や石英なども充分成長し、等粒状組織となっています。
酸性岩 :花こう岩
中性岩 :閃緑岩
塩基性岩 :斑れい岩
超塩基性岩 :かんらん岩
既存の岩石が風化・侵食されてできた、礫(レキ)・砂・泥、また火山灰や生物遺骸などの粒子(堆積物)が、
海底・湖底などの水底または地表に堆積し、続成作用を受けてできた岩石です。
地球の陸の多くを覆い、地層をなすのが普通です。
既存の岩石が、熱や圧力による変成作用を受けて変化した岩石です。
片麻岩などがあり、これは片麻状組織を持つ岩石です。
組成による分類ではなく、変成作用を受けた条件によって分類されます。
結晶片岩(片岩)とでき方は同じですが、
低温で変成があまり進まなかったものを結晶片岩、高温で変成が進んだものを片麻岩といいます。
石英、長石、雲母などを主成分とするものが多いです。
SiO2含有量(重量%)が66%以上の岩石。
珪長質岩とほぼ同じ意味で使われることも多いですが、
定義(苦鉄質鉱物(マフィック鉱物)と珪長質鉱物(フェルシック鉱物)の量比から定義)が異なるので注意が必要です。
珪長質岩(フェルシック岩)
輝石、角閃石などの苦鉄質鉱物に乏しく、長石や石英などの珪長質鉱物に富む岩石です。
流紋岩、デーサイト、花こう岩
SiO2含有量(重量%)が52-66%の岩石です。(≒中間質岩)
安山岩、閃緑岩
SiO2含有量(重量%)が45-52%の岩石です。(≒苦鉄質岩)
苦鉄質岩(マフィック岩)
カンラン石、輝石、角閃石などの苦鉄質鉱物に富み、長石や石英などの珪長質鉱物に乏しい岩石です。
玄武岩、輝緑岩(粗粒玄武岩)、斑れい岩など。
SiO2含有量(重量%)が45%以下の岩石です。(≒超苦鉄質岩)
超苦鉄質岩(超マフィック岩)は、ほとんどが苦鉄質鉱物からなり、
長石や石英などの珪長質鉱物をほとんど含まない岩石です。
かんらん岩、輝石岩、角閃石岩、蛇紋岩など。
天然で産生され、一定の化学組成を持つ、無機質結晶質物質です。
岩石は、鉱物または岩石破片の集合体で、化学的に不均一ですが、
鉱物は、化学的にほぼ均質で、原子・イオンレベルで3次元的な秩序配列(結晶構造)を持ちます。
造岩鉱物は、地球上の大多数の岩石を構成する鉱物です。
参考、ジルコン
造岩鉱物のうち、無色でも白色でもないものです。
黒雲母、角閃石類、輝石類、カンラン石類、磁鉄鉱などがあり、ケイ素(Si)が少なく、鉄(Fe)やマグネシウム(Mg)に富みます。
有色鉱物を多く含む岩石は低温度で融解します。
無色鉱物に比べて比重が重いです。
玄武岩など海洋地殻を構成する造岩鉱物に多く含まれます。
雲母(うんも)は、ケイ酸塩鉱物の一種です。
雲母の化学式は一般的に I M2-3 □1-0 T4 O10 A2 で表されます。
I には主として K、Na、Ca が入りますが、Ba、Rb、Cs、NH4 が入ることもあります。
M には主として Al、Mg、Fe、Li、Ti が入りますが、Mn、Cr、Zn、V が入ることもあります。
□は空孔です。
T には主として Si、Al、Fe3+ が入りますが、Be、B が入ることもあります。
A には主として OH、F が入りますが、Cl、O、S が入ることもあります。
角閃石(かくせんせき)は、ケイ酸塩鉱物の一種です。
水酸基 ( OH- ) を持つ含水鉱物として有名です。
色は、無色・緑色・褐色・青色などで、ガラス光沢を持ちます。
単斜晶系または斜方晶系で、自形結晶は長柱状です。
結晶形は輝石に似ています。
輝石(きせき)は、ケイ酸塩鉱物の一種です。
多くの火成岩や変成岩に含まれる代表的な造岩鉱物です。
色は無色・緑色・褐色・黒色などで、ガラス光沢を持ちます。
自形結晶は短柱状。
角閃石に似ています。
基本的な化学組成は、XY(Si,Al)2O6です。
(ただし、X はCa、Na、Fe2+、Zn、Mn、Mg、Li、Y はCr、Al、Fe3+、Mg、Mn、Sc、Ti、V、Fe2+)で表されます。
かんらん石は、鉱物(ケイ酸塩鉱物)の一種です。
マグネシウムや鉄のネソケイ酸塩鉱物です。
Mg2SiO4(苦土かんらん石)と、 Fe2SiO4(鉄かんらん石)との間の連続固溶体をなします。
一般式は (Mg,Fe)2SiO4で、Mn、Ni、Ti を少量含みます。
結晶系は斜方晶系です。
ガラス光沢で、色は黄緑色です。
形状は、粒状または短柱状結晶です。
磁鉄鉱(じてっこう、マグネタイト)は、酸化鉱物の一種です。
化学組成は Fe3+2O4(四酸化三鉄)、結晶系は等軸晶系。結晶は正8面体をしています。
鉄分を含むため黒色で、金属光沢があります。
強い磁性を持つのが特徴で、磁鉄鉱そのものが天然の磁石になっている場合もあります。
造岩鉱物のうち無色または白色のものです。
シリカ鉱物(石英など)、長石類(アルカリ長石、斜長石)、準長石類などです。
Si、Al、Na、Kなどに富み、Fe、Mgが少ないです。
無色鉱物を含む火成岩は全体的に白っぽい色になります。
また、高温にならないと融解しません。
有色鉱物に比べて比重が軽いです。
花こう岩など大陸地殻を構成する造岩鉱物に多く含まれます。
石英(せきえい、クォーツ)は、二酸化ケイ素 (SiO2) が結晶してできた鉱物です。
六角柱状の自形結晶をなすことが多く、特に無色透明なものを水晶といいます。
1気圧、573℃で、三方晶系の低温型石英から、六方晶系の高温型石英に転移します。
高温型石英は六角柱面を持ちません。
さらに高温では、鱗珪石やクリストバライトに、
また超高圧下でコーサイトやスティショバイトに相転移します。
水晶(低温型石英)は圧電体であり、時計の水晶発振器などで活用されています。
長石(ちょうせき)は、ケイ酸塩中にあるケイ素原子の一部をアルミニウム原子に置き換えた構造を持つアルミノケイ酸塩を主成分とする、
三次元網目構造のテクトケイ酸塩です。
地殻中に普遍的に存在し、最も存在量が多く、
ほとんどの岩石(火成岩、変成岩、堆積岩)に含まれる造岩鉱物です。
特に花こう岩には60%前後含まれ、玄武岩にも50%前後含まれます。
通常は白色です。
長石の一般式は、(Na,K,Ca,Ba)(Si,Al)4O8、または (Na,K,Ca,Ba)Al(Al,Si)Si2O8です。
普通に産する長石は、
KAlSi3O8(カリ長石、Or)
NaAlSi3O8(曹長石、Ab)
CaAl2Si2O8(灰長石、An)
の3成分系のものであり、
Or-Ab 系列をアルカリ長石といい、主に花こう岩に含まれます。
Ab-An 系列を斜長石といい、主に玄武岩に含まれます。
ケイ酸塩鉱物の一種。オーストラリアで、地球最古の鉱物として発見されています。
化学組成は ZrSiO4ですが、ジルコニウムの一部がハフニウムで置き換えられたものは、ハフノン(HfSiO4)となります。
微量成分として希土類元素や、ウラン、トリウムなどを含みます。
結晶系は正方晶系です。
火成岩中に微小な結晶として広くみられます。
風化変質が強く、砂岩などの堆積岩にも見られます(ジルコンサンド)。
また、それらが変成した岩石にも含まれます。
ジルコンは、ウラン、トリウムに富み、鉛に乏しいので、ウラン・鉛法またはトリウム・鉛法の放射年代測定の対象鉱物として重要です。
物質(水晶やセラミックなど)に圧力(力)を加えると、圧力に比例した分極(表面電荷)が現れる現象です。
また、逆に電界を印加すると物質が変形する現象は、逆圧電効果といいます。
尚、これらの現象をまとめて圧電効果という場合もあります。
これらの現象を示す物質は圧電体と呼ばれ、誘電体の一種です。
天然結晶
石英(水晶)(SiO2)
ベルリナイト(リン酸アルミニウム:AlPO4)
ショ糖(スクロース)
ロッシェル塩(酒石酸カリウム-ナトリウム)(KNaC4H4O6)
トパーズ(黄玉、ケイ酸塩)(Al2SiO4(F,OH)2)
電気石(トルマリン)グループ鉱物
圧電気(ピエゾ電気)は、結晶格子を通る電気的変化の分離として生じると考えられています。
物質が(電気的に)ショートしていなければ、電圧を誘導します。
圧電性の結晶内では、正と負の電荷が分離していますが、結晶全体では電気的に中性です。
これら各々のサイトは、電気双極子を形成し、近くの双極子は、ワイス・ドメイン(磁区)で、互いに一直線に並ぶ傾向があります。
ドメインの方向は通常不規則ですが、強い電場がある(ポーリング。磁気ポーリングとは別)間は一直線に並びます。
機械的応力をかけると、電荷の非対称性により電圧が生じます。
例えば、1cm片の石英立方体に2kN(500lbf)の荷重をかけると、12,500Vの電圧が生じます。
正圧電効果のある物質(応力を加えた時、電気を生ずる)は、
逆圧電効果(電場があれば、縮んだり、伸びたりする)もあると、考えられています。
電気をよく通す「導体」(良導体)と、通さない「絶縁体」の中間的な性質を示すものです。
半導体は、価電子帯の部分が完全に電子で詰まった充満帯となっている一方、伝導帯は空(空帯)で、
価電子帯と伝導帯の間にバンドギャップ(禁制帯)が存在します。
適切な幅のバンドギャップを持つバンド構造をもつと、
電子が伝導電子になったり価電子になったりすることで、熱や光、磁場、電圧、電流などの影響で、性質が著明に変化します。
材料として、元素では半金属元素に多い他、有機・無機の化合物半導体などがあります。
半導体には、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム化合物などがあります。
発光ダイオードでは、リン化ガリウム、窒化ガリウムの他、ダイヤモンドや窒化アルミニウムでも報告されています。
IV族半導体:Si、Geなど
化合物半導体
II-VI族半導体 :ZnSe、CdS、ZnOなど
III-V族半導体 :GaAs、InP、GaNなど
IV族化合物半導体 :SiC、SiGeなど
I-III-VI族半導体 :CuInSe2などカルコパイライト系半導体
有機半導体
半導体中における電荷の移動のキャリア(担体)は、伝導電子と正孔です。
これらは、電圧を加えられることで互いに反対方向に移動し、継続的に流れると電流となります。
尚、半導体でいう「電子」は、伝導電子のみを指します。伝導電子は自由電子とほぼ同じ意味です。
多数キャリアとは、n型半導体中の電子とp型半導体中の正孔を指します。単に「キャリア」と言った場合は、通常は多数キャリアを指します。
少数キャリアとは、n型半導体中の正孔とp型半導体中の電子を指します。
不純物や格子欠陥を全く含まない半導体結晶を真性半導体といい、全温度領域でキャリアは価電子の励起によってのみ供給されます。
半導体として機能するためには、純粋な真性半導体のままでは電気伝導性が低いため、
ドーパントという微量の添加物を混ぜて、不純物半導体とします。
このドープを調整することで、電子や正孔であるキャリアの密度を上げ、最適の特性を持つようになります。
多数キャリアが電子か正孔のどちらであるかによって、n型とp型があります。
n型半導体
電圧がかけられると伝導電子の移動によって電荷が運ばれる半導体です。
価数の多い元素をドーピングすることで作られます。
例えば、シリコンやゲルマニウム(4価)の結晶に、ヒ素などの5価の原子を混ぜることでn型となります。
不純物の導入によって生成されたキャリアは、導入された不純物原子から受けるクーロン引力により束縛されます。
ただしその束縛は弱く、単独原子の束縛を離れて結晶の原子同士間を自由に動き、原子は互いの電子を共有する状態となります。
バンド構造で言えば、通常、ドーパント原子は禁制帯の上端付近にドナー準位を形成し、そこから熱エネルギーによって伝導帯へ励起されます。
p型半導体
電圧がかけられると正孔の移動によって電荷が運ばれる半導体です。
価数の少ない元素をドーピングすることで作られます。
例えば、シリコン(4価)の結晶に、ホウ素などの3価の原子を混ぜることでp型となります。
電子が伝導帯側に遷移して価電子帯側の電子が不足することで生じる電子軌道上の空隙が、正孔となります。
結晶の原子同士間の自由電子が隣の正孔に移動することで、正孔の位置は自由に移動でき、電圧に応じて電子とは逆方向へ流れます。
移動速度は電子に比べて遅いです。
バンド構造で言えば、ドーパント原子は禁制帯の下端付近にアクセプター準位と呼ばれる空の準位を形成し、
アクセプター準位へ価電子帯から熱エネルギーによって価電子が励起されることで、価電子帯に正孔が生じます。
キャリアの補償
ドナーとドーパント(アクセプター)の両方が存在する場合、ドナー準位からアクセプター準位に電子が遷移します。
このためドナー密度がアクセプター密度よりも大きい時は全体としてn型となり、逆の場合はp型となります。
温度の影響
半導体は、通常温度が上がると電気伝導性が増します。
キャリアが、不純物原子のクーロン引力による束縛を離れている温度の領域を、飽和領域または出払い領域といい、
キャリアが束縛を受ける温度領域を、不純物領域といいます。
また、温度が上昇すると、価電子も熱励起されてキャリアの供給源となり、この温度領域を真性領域といいます。
半導体素子として利用する場合は、飽和領域が利用されます。
逆バイアスされたPN接合などにおいて、温度が上がりすぎるとキャリアの増加で電流が増加し、その抵抗でさらに温度が上がる熱暴走が発生します。