先カンブリア時代・・・地球誕生から、エディアカラ生物までの時代

 

先カンブリア時代、古生代中生代新生代

 

 

 先カンブリア時代は、46億年前から54,200万年前までの40億年、続いた地質時代で、

冥王代始生代(太古代)原生代に区分されます。

 

 地球誕生後、生命が誕生し、肉眼で見える大きさで、硬い殻を持った生物の化石が初めて産出するまでの時代です。

 

 

 先カンブリア時代の地球

 先カンブリア時代の生命

 

 

 先カンブリア時代の地球

 地球は、46億年前に、太陽の周囲をまわっていた、直径10km程度の小さな微惑星が合体して形成されたとされています。

小さなチリ等が合体して火星ほどの大きさになり、さらに10個ほど衝突して現在の地球となったようです。

 

 このうち、最後の衝突は、ジャイアント・インパクトと呼ばれ、この時、ができたと考えられています。

 この影響で、月が誕生した当初は1日に5時間から8時間だった地球の自転速度が遅くなり、現在の自転速度(24時間)になっていったようです。

尚、現在でも地球と月は1年に3.8cmずつ遠ざかり、地球の自転速度も100年間に2mm秒長くなっているようです。大人のための図鑑、P66))

 

 原始地球の表面は、岩石が溶けたマグマの海(マグマオーシャン)で覆われ、

 水は、水蒸気や雲として大気中に存在していたと考えられています。

 やがて微惑星の衝突がおさまり、表面温度が下がると、地殻が形成されました。

 現在地球上で見つかっている最古の大陸地殻の破片は、約40億年前のアカスタ片麻岩です。

(西オーストラリアのジャックヒルズ地域から、約44400万年前のジルコン粒子

(ジルコンは、大陸地殻に特徴的な花こう岩に含まれています。尚、海洋地殻は、玄武岩でできています。)

が発見されており、大陸形成は更に前に起こっていた可能性もあります。)

 

 40億年前から38億年前のクレーターの調査から、

それまで減少傾向だった隕石の衝突が、再び急激に増加したことが明らかになり、隕石後期重爆撃期と呼ばれています。

 

 地球の表面温度が下がると、水蒸気は雨となり、原始海洋を形成しました。

 この時の雨の温度は200もあり、pH1以下の強酸性であったと考えられています。

 しかし、原始地殻の岩石に含まれる、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン

等と反応して、中和されたと考えられています。

 40億年前には、地球のほぼ全体がで覆われるようになったようです。

 

 当初、地球表面のほとんどが海で、陸はまれであったと考えられています。

 その後、プレートが他のプレートの下に沈み込む場所で造山運動が始まり、

小さな島や日本列島のような弧状列島等ができました。

 やがてそれらが拡大したり、合体したりして次第に大きな陸塊へと成長していったようです。

 

 27億年前には、マントルの対流が二層対流から一層対流へと変わった(マントルオーバーターン)ことでプレートが大きくなり、

より大きな大陸(現在のグリーンランド、インド西部、南アフリカ等が含まれます)が形成されたようです。

 またこの頃、激しい火山活動があり、大陸が急成長したようです。

 

 19億年前には、初めての超大陸である、ヌーナ(ローレンシア)大陸が形成されたようです。

これは現在の北アメリカ大陸ほどの大きさと考えられています。

 この頃、2度目の大陸急成長が起きました。

 その後の大陸移動の様子は種々の説があり、詳細は不明です。

 

 7億年前から5億年前頃には、3度目の大陸急成長期がありました。

 

 先カンブリア時代には、何度かの氷期があった痕跡が認められます。

 現在知られている最古の氷河時代は、24億年前から約23億年前の頃の、ヒューロニアン氷河時代です。

 更に7億年前から65000万年前頃2度の氷河時代が訪れ、スターチアン氷河時代マリノアン氷河時代と呼ばれています。

 これらの氷河時代において、地球が赤道まで氷河に覆われるスノーボールアース全球凍結)と呼ばれる状態になった可能性があります。

 

 初期の大気は、水素ヘリウムが主体の大気(一次大気)でしたが、

水素やヘリウムは、ジャイアント・インパクトにより宇宙空間に散逸されたようです。

 

 その後地球の表面は、マグマオーシャンに覆われますが、マグマに溶けていた水蒸気二酸化炭素窒素等、揮発成分の脱ガスにより、

大気(二次大気)が形成されたと考えられています。

 二次大気は、水蒸気が約300気圧、二酸化炭素や一酸化炭素が50気圧から100気圧、窒素が1気圧ほどだったと考えられています。

 

 初期太陽の光度は、現在の70%程度でしたが、大量にあった二酸化炭素による温室効果のため、現在よりもかなり気温が高かったようです。

 地表の気温が60を超えていたと考えられる痕跡も残っています。

 

 地球の表面温度が下がると、水蒸気が凝縮して雨となって降り、大気は二酸化炭素が主成分となったと考えられています。

 その後二酸化炭素は海に吸収されたり、炭酸カルシウムとなり沈殿したりして、徐々に減少していったようです。

 

 27億年前には、シアノバクテリアによる光合成が始まり、酸素が大量に作り出されるようになったと考えられています。

 生じた酸素は、当初、主に海水中の鉄イオン等と化学反応を起こし、大量の酸化鉄を沈殿させました。

 古い岩石には縞状鉄鉱層が大量に含まれており、これがと酸素が結合して沈殿した証拠とされます。

 海水中のイオンをほとんど沈殿させると、酸素は大気中へと放出され、蓄積していきました。

 こうして、現在のように、酸素が大気の主成分の1つとなっていきました。

 

 最近では、8億年前から6億年前に起こった全球凍結後に、

光合成を行う微生物が爆発的に増殖したため、大気中の酸素濃度が1%から20%に急増した、とする説もあります。

 

 氷河が溶けて雨が降ると、岩石が浸食されて、硝酸塩リン酸塩等の栄養分が海へ流れ込み、

生物が大繁殖した可能性もあります。

 

 酸素濃度の増加により、エディアカラ生物コラーゲン産生可能となり、多細胞生物が出現した、という説もあります。

 トップ

 

 生命

 生命がいつ誕生したかについては諸説ありますが、

38億年前の岩石に、生命由来のものと思われる炭素の層が、グリーンランドのイスア地方で発見されています。

 

 35億年前細菌類の微化石が、オーストラリア南アフリカで発見されています。

 

 35億年前から30億年前頃ストロマトライトシアノバクテリアの化石)の確かな化石は、27億年前のようです。)、

原核生物の藍藻類(シアノバクテリア(藍色細菌)ともいいます。)という真正細菌が現れ、初めて酸素発生型光合成を行ったようです。

 これらの生物が光合成を行うことで、酸素の濃度が少しずつ増えていきました。

 酸素は、嫌気呼吸を行う生物にとっては非常に有害です。

 しかし、酸素を利用する呼吸は、酸素を利用しない嫌気呼吸に比べて、非常に効率的にエネルギーを生み出します。

 

 そのため、27億年前頃には、酸素を必要としない嫌気呼吸をする嫌気性細菌と好気性細菌が入れ替わったと考えられており、

地球生命史における、生物の最初の大絶滅すみ分けがあったと考えられています。

 

 複雑な多細胞生物と考えられる最古の証拠は、6億年前のものです。

 世界各地の6億年前から約54200万年前にかけての地層から、

現在のものとは全く違う、軟体動物の痕跡が見つかっています。

 これらは、エディアカラ生物群と呼ばれています。

陸上性の地衣類である生命の歴史、まえがきii)、という説もあります。)

 

 先カンブリア時代末期の54,400万年前には、有殻微小動物群と呼ばれる、異なった形態の生物が出現します。

 これらの生物は、大きさは数mm程度で、炭酸カルシウムでできた殻からできている小さな骨格を持っています。

 カンブリア爆発の第一段階を示すものと考えられています。

 

 エディアカラ生物群は、次のカンブリア紀初期に絶滅し、入れ替わるようにして多様な生物群が出現しました(カンブリア爆発)。

これはバージェス動物群といいます。

 トップ

 

 冥王代(めいおうだい)は、

地球誕生から40億年前(または38億年前)の、約6億年続いた地質時代です。

 この時代に地球が形成され、地殻ができ、

有機化合物の化学進化の結果、最初の生命が誕生したと考えられています。

 化石以前に、岩石自体が非常にまれであるため、地質学的証拠はほとんどない時代です。

 トップ

 

 始生代(しせいだい、または太古代(たいこだい))は、

40億年前(または38億年前)から25億年前までの、約15億年続いた地質時代です。

 冥王代との境界の年代値は公式には決まっておらず、暫定的な値として40億年前が使われています。

 原核生物が誕生してから、真核単細胞生物が現れるまでの時代です。

 地層が現存する最初の地質時代で、最古の地層はグリーンランド西部、イスア地域のイスア緑色岩帯で、約38億年前のものです。

 残っている岩石のほとんどは、変成作用を受けています。

 

 始生代の初期に全生物の共通祖先が現れ、細菌の祖先と古細菌類の祖先が誕生したと考えられ、微化石も発見されています。

 

 始生代は、更に4つに分類されます。

 原始生代:始生代初期。40億年前(または38億年前)から36億年前

 古始生代:始生代前期。36億年前から32億年前

 中始生代:始生代中期。32億年前から28億年前

 新始生代:始生代後期。28億年前から25億年前

 トップ

 

 原生代(げんせいだい)とは、

25億年前から約54,200万年前の、約19.6億年続いた地質時代です。

 真核生物単細胞)から多細胞生物が現れるまでの時代です。

 シアノバクテリアによる光合成によって大気中に酸素が増加し、オゾン層ができて紫外線が地表に届かなくなりました。

 

 また、古細菌から原始真核生物が分岐し、

更に、αプロテオバクテリア(後のミトコンドリア)が共生することで、現在の真核生物が成立したと考えられています。

 後期には、多細胞生物も出現しました。

 最古の化石は、21億年前岩石から、原生生物と考えられるものが発見されています。

 

 17億年前頃から、球形をした化石が無数に見つかっています。

 直径は数分の1mm程度の原始的な藻類の胞子と考えられており、アクリタークと呼ばれています。

 

 原生代後期のエディアカラ紀には、エディアカラ生物群と呼ばれる生物が登場しますが、次のカンブリア紀初期絶滅しました。

 

 原生代は、更に、前期、中期、後期に分類されます。

前期 古原生代は、約25億年前から約16億年前。

中期 中原生代は、約16億年前から約9億年前。

後期 新原生代は、約9億年前から54,200万年前。

 トップ

 

 

ホーム