・・・意外な所に影響する潮汐力

 

 

 

 月の起源

 月の性質

 月の表面

 月の影響

 

潮汐

 

 

は、地球の衛星です。

 

月の起源は、地球とテイアという天体との衝突によって飛散した物質が、集まって形成されたとする説(巨大衝突説)が有力です。

 

惑星に対する衛星の直径比率は、月は地球の1/4と、非常に大きいです。

 

表面温度は、赤道付近で最高約110℃、最低約 -170となっており、温度の変化が大きいですが・・・

両極付近のクレーター内には、永久影という、常に日陰となる領域があるため、極低温で、温度変化は少ないようです・・・

が存在する可能性もあるようです。

 

月面は、砂(レゴリス)によって覆われています。

レゴリスの約半分は、酸素で構成されています・・・といっても酸化物として存在しているようですが。

尚、地球の地殻にも、酸素は約46 - 47 %、含まれているので、よく似ていますね。

 

月の満ち欠けは、月の一昼夜と同じく、29.5周期で、

が約15日間、

も約15日間、続きます。

尚、太陰暦は、月の満ち欠けをもとに決めた暦です。

 

は、深発月震浅発月震がみられます・・・

現在、月にはマントル対流は存在しませんが・・・

潮汐力は、液体だけでなく、固体の岩盤の上下伸縮も引き起こすので、潮汐力によるのでしょうか?

ちなみに、地球が月に及ぼす潮汐力は、

地球と月の直径(半径)比が1/4なので、月が地球に及ぼす潮汐力の、1/4ですね。

尚、地球での地震にも、潮汐が影響することがありますが、これは、全体の約5%のようです。

 

衛星の進化は、潮汐力によります。

のように、惑星の自転と同じ方向に公転し、惑星の自転周期が衛星の公転周期よりも早い場合は、

衛星は、外側の軌道に移動するため、月と地球の距離は、年間約3.8cmずつ離れています。

また、惑星の自転速度は、時間とともに遅くなります

月が誕生した当初は、地球の自転速度は、1日に5 - 8時間でした。

 

潮汐力といえば、

エウロパは、生命が存在する可能性があるようですが、

潮汐力で発生する熱で、氷がとけてできた、があります。

熱水噴出孔も存在するようです。

 

イオでも、活火山が観測されていますが、これも潮汐力によるものとされます。

 

ちなみに、エウロパエウローペー)と、イオイーオー)の名前は、ギリシア神話に由来します。

 

更に、は、地球の生命にも影響を及ぼしています。

 

潮汐力は、距離の3乗に反比例します・・・

月が誕生した頃は、地球に非常に近い所を回っていたため、潮汐力も現在に比べてとても大きく、

生命誕生にも関係した・・・かもしれませんね。

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地球の唯一の衛星(地球を回る天体)です。

 

尚、は、広義には、「ある惑星から見てその周りを回る衛星」を指します。

 

月の直径 ( 3,474km ) は、

木星の衛星ガニメデ ( 5,262km )、土星の衛星タイタン ( 5,150km ) 、木星の衛星カリスト ( 4,800km )イオ ( 3,630km ) に次ぎ、

太陽系の衛星の中で、5番目に大きいです。

 

惑星に対する衛星の直径比率は、月は地球の1/4で、地球と月の組が1番です。

ガニメデが木星の約1/27、タイタンが土星の約1/23であるのに比べて、桁違いに大きいです。

 

尚、準惑星を含めると、冥王星とカロンの組の比率が50%を超え、地球と月の組が2番となります。

 

月と地球の質量比も、81分の1もあります。

 

月の明るさは、満月で -12.7にもなり、地球から見える天体の中では、太陽の次に明るいです。

白色に光って見えますが、これは自ら発光しているのではなく、太陽光を反射したものです。

 

太陽光が当たっていない、欠けた部分も、肉眼でもうっすらと見えることがありますが、これは地球照と呼ばれるもので、

地球で反射した太陽光が、月を照らすことによって生じます。

 

月の出、月の入りの頃等に、赤い月が観測されることがありますが、

これは夕焼けと同様の原理で、 レイリー散乱

月が地平近くにあることから、月からの光が大気の中を長く通り、赤以外の光が散乱してしまうことによります。

 

月の視直径は、腕を伸ばして持つ、五円玉の穴の大きさとほぼ同じです。

 

地球から月を見ると、月の明るい部分の形は毎日変化し、29.5周期で同じ形となっています。

太陰暦は、月の満ち欠けをもとに決めた暦です。

 

月の公転軌道は、地球の公転軌道に対して、約5度傾いています。

この傾きが、周期的に月食・日食を引き起こしています。

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月の起源

月は、455000万年前に誕生しました。

 

巨大衝突説(ジャイアント・インパクト説)

月は、地球と他の天体との衝突によって飛散した物質が地球周回軌道上で集積してできたとする説です。

 

地球がほぼ現在の大きさになった頃、

火星程の大きさの天体 (テイア) が、斜めに地球へ衝突し、

その衝撃で蒸発・飛散した両天体のマントル物質の一部が、地球周回軌道上で集積して月が形成されたという説です。

 

衝突から1ヶ月程度で、現在の月が形成されたと考えられています。

 

この説を用いると、

月の比重 (3.34) が、地球の大陸地殻を構成する花こう岩(比重1.7 - 2.8)よりも大きく、海洋地殻を構成する玄武岩(比重2.9 - 3.2)に近いこと、

地球と比べて揮発性元素が欠乏していること、

地球やテイアのマントルを中心とする軽い物質が集積した月のコアが小さいこと、

月の石の酸素同位体比が、地球とほとんど同一であること、

月の質量が現在程度になること、

月と地球の全角運動量が現在程度でも不思議はないこと、等について、矛盾なく説明できるようです。

 

尚、月は2つあった、という説もあります。

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月の性質

月の形は、ほぼ球形です。

 

月面の最高点は、平均高度より +10.75km、最低点は -9.06kmで、共に裏側にあります。

 

月の直径は、3,474kmです。

 

質量は、7.35×1022 kg です。

 

表面積 3800km2 )は、地球の表面積の7.4%に相当し、

アフリカ大陸オーストラリア大陸を合わせた面積よりもわずかに小さいです。

 

地球中心から月の中心までの平均距離は、38.4km( 約1.3光秒 )であり、地球の赤道半径の約60.27倍です。

 

月は、天の北極から見て反時計周りの方向に、地球の周りを、公転しています。

 

公転周期と自転周期は、27.3で、完全に同期しています(自転と公転の同期)。

 

月の一昼夜は長く(29.5)、が約15日間、が約15日間、続きます。

 

尚、月の公転周期が、約27.3日であるのに対して、昼夜が、約29.5日となっているのは、

月が地球の周りを公転する間、地球も太陽の周りを公転しており、

太陽から見ると、その分公転しなければならないためです。

 

つまり、地球上から月の裏側を直接観測することは永久にできません。

尚、これはそれほど珍しい現象ではなく、他の衛星でもみられます。

 

ただし、一致してはいても、月の自転軸が傾いていて軌道離心率が0ではないので、

地球から見た月は、秤動と呼ばれる、ゆっくりとした振動運動を行なっており、月面の59が地上から観測可能です。

 

逆に、月面からは、地球は、天空のある狭い範囲(秤動に応じて、東西南北約±7°程度の範囲)に留まって見えます。

 

40億年前の月の自転軸は、現在の自転軸と比べると数十度ずれていたようです。

 

月は、ナトリウムやカリウム等からなる大気をもちますが、

地球の大気に比べると、地球1017分の1と薄く、ほぼ真空です。

そのため、気象現象が発生しません。

 

磁場は、地球の1/10,000と、極めて微弱です。

月全体では磁場が存在せず、局所的に、磁場が異常に強い地域と、弱い地域が混在しています。

現在の月には、大規模な磁場はありませんが、

40億年前の月中心部では、溶けた鉄が活発に運動し、磁場を発生していたとされます。

 

中心から700 - 800kmの部分は、液体の性質を帯びており、

液体と固体の境界付近等で、マグニチュード1 - 2程度の深発月震が多発しています。

 

また、浅発月震と呼ばれる、地下300km前後を震源とする地震は、

マグニチュード3 - 4にもなりますが、発生原因の特定はできていません。

 

表面から60kmの部分が、地球の地殻に相当し、長石の比率が高いです。

地球型惑星と同様に、岩石と金属からなり、深さによって成分が異なる(分化した)天体です。

 

ただし、水は極地にの形で存在するだけであって、

熱水(鉱化溶液)による元素の集積は起きないとされていて、鉱脈は存在しないと推定されています。

 

現在は地質学的にも死んでいて、マントル対流も存在しませんが、

少なくとも25億年前までは、火山活動があったことが確認されています。

 

チタン等の含有量は非常に多いです。

 

地球のような液体の金属核は、存在しないと考えられています。

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 月の表面

月の表側地球から観測される側)の北緯60 - 南緯30度にわたる領域は、

光をあまり反射せず黒く見えることから、と呼ばれています。

海は、月表面の35%を占めますが、

月の裏側にはほとんど存在せず高地と呼ばれる急峻な地形からなります。

 

尚、海といいますが、液体の水はありません。

 

月の海は、まだ内部が熱く溶け、地表の下に溶岩がある時代に隕石の衝突によって生じたクレーターの底から、

玄武岩質の溶岩がにじみ出てクレーターが埋められたものとされています。

 

20kmの厚みがある、冷えて固まった黒っぽい玄武岩の層で覆われているために、光をあまり反射せず、他と比べて暗く見えます。

 

表側にのみ海が存在するのは、

そちら側に集中して熱を生み出す放射性物質が存在したためとか、

また、地球からの重力の影響により、より強い重力の働く地球側でのみ、溶岩が噴出したためとする説も存在しますが、

現在の所、定説はありません。

 

海以外の部分は、小石が集まった角礫岩(かくれきがん)から構成されています。

これは、太陽系初期から残った微惑星の衝突によって生じたものです。

 

月には大気や水がほとんど存在しないため、微小な隕石も、そのまま月面に衝突してクレーターをつくります。

また水や風による浸食や地殻変動の影響を受けることもないので、数多くのクレーターがそのまま残ります。

 

宇宙線や太陽風等も、大気や磁場にさえぎられることなく月面に到達します。

 

また、大気や水(海)等の、熱を対流させて均衡化するものがないため、月の一昼夜が長いことと相まって、

表面温度は、赤道付近で最高約110℃、最低約-170となっており、温度の変化が大きいです。

 

月面は、砂(レゴリス)によって覆われています。

レゴリスは、隕石等によって細かく砕かれた石が積もったもので、

月面のほぼ全体を数十cmから数十mの厚さで覆っています。

レゴリスの約半分は、酸素で構成されており、

分布密度は小さいものの、太陽風によって運ばれた水素ヘリウム3も吸着されています。

 

両極付近のクレーター内には、永久影という、常に日陰となる領域があるため、

が存在している可能性が高いようです。

 

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) によると、月探査機 かぐや が撮影した画像の解析で、

月の表側にある平地、嵐の大洋の中央部にある、マリウス丘に、地下溶岩トンネルに通じる縦穴を発見したようです。

 

TLP (一時的月面現象)という、月面に一時的な発光現象が起こることがあります。

原因として、

隕石の衝突、

月、太陽、地球の位置関係、

レゴリス、

ガス噴出、等があります。

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月の影響

月の重力は、地球に影響を及ぼし、潮の満ち引きを起こします(潮汐作用)。

 

月の潮汐作用により、主に海洋と海底との摩擦(海水同士、地殻同士の摩擦等もあります)による熱損失から、

地球の自転速度が、約10万年に1秒の割合で遅くなっています。

 

また、地球-月系の角運動量は、重力による地殻の変形を介して、月に移動しており、

これにより、月と地球の距離は、年間約3.8cmずつ離れつつあります。

 

この角運動量の移動は、地球の自転周期と月の公転周期が一致するまで続くと考えられていますが、

そこに至るまでには、50億年を要します。

 

逆に、かつて月は、現在よりも地球の近くにあって、より強力な重力や潮汐力の影響を及ぼしており、

地球(と月)は、より早く回転していました。

 

4億年程前には、1日は約22時間で、1年は400日程あったとされます。

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潮汐 月の影響

主に他の天体の潮汐力により、天体の表面等が上下する現象です。

 

地球の海面の潮汐である、海洋潮汐・海面潮汐が有名です。

 

液体でなくても、大気大気潮汐)や、固体地球地球潮汐)にも起こります。

 

また他の天体でも起こります。

 

海(や大気)のように、天体の表面が流体で覆われている場合、

潮汐に伴い、表面が下がる所から、上がる所へ流体が寄せ集められるために、流体の水平動が生まれます。

これを潮汐流(潮流)といいます。

 

原因

潮汐は、潮汐力(起潮力)によって引き起こされます。

 

潮汐力は、重力場の強さが場所により異なることで生まれる、二次的な力です。

 

潮汐力は、月や太陽等の天体によって、地球の周りの重力場に勾配が生じることで起こります。

つまり、天体との距離の二乗に反比例して、引力が弱まることと、

地球上での場所が違うと、天体からの引力の方向も異なることに起因します。

 

地球は、重力場の中を自由落下しています。

そのため、外部の重力と逆向きの慣性の力が生まれ、地球全体としては重力場を感じません。

しかし、地球の重心から離れた地点の重力場が、地球の重心と異なる場合、その差分に応じた重力場があるようにみえます。

 

月の真下の海面では、月に近いため、地球の重心より強い重力場が働いており、より強く月に引き付けられています。

 

月の反対側の海面では、地球の重心より弱い重力場しか働いていません。

そのため、残りの地球のほうが、より強く月に引き付けられ、海は取り残されます。

これらの位置では、上向きの潮汐力となります。

 

また一方で、その中間である、月から90度離れた位置の海面は、

月から見て斜め方向であるため、重力場はわずかに地球中心向きの成分を持ちます。

このため、下向きの潮汐力が生まれます。

尚、この潮汐力の大きさは、月の直下及び反対側で受ける潮汐力の半分です。

 

月の公転軌道は、地球の赤道に対して傾いているため、

同じ日の干潮・満潮でも、午前と午後で同じ場所に働く潮汐力は異なり、日潮不等が生じます。

 

更に、月の公転軌道が地球の公転軌道に対して傾いていること、

月や地球が楕円軌道を描いて公転しており、地球や太陽との距離が一定ではないこと等によっても、

干満の差や日潮不等の大きさは変化します。

 

半径R、質量Mの天体に、距離 だけ離れた、質量 の天体が及ぼす潮汐力は、

2GMmR / r3 Gは万有引力定数)と、

潮汐力は、距離の3乗に反比例します。 トップ

 

月の潮汐力を、太陰潮

太陽の潮汐力を、太陽潮といいます。

太陽潮は、月の潮汐力の0.45です。

 

尚、火星が地球に最も近づいた時の、火星による潮汐力は、月の約100万分の1であり、無視することができます。

他の惑星についても同様です。

 

実際の満潮・干潮は、

海水の慣性や、海流、水温や塩分濃度、気圧、湾岸の形状等、種々の要因によって、

天文学的に導かれる時刻とずれが生じます。

 

実際の潮位の変化は、周期と振幅が異なる様々な波を重ね合わせた、フーリエ級数で表すことができ、

個々の波(フーリエ係数)を、分潮といいます。

 

海岸

垂直・水平それぞれの方向に、干満の差が大きい海岸、小さい海岸があります。

 

水平方向の差の大きさは、海岸の傾斜により、同じ水位差であれば傾斜が緩い方が、つまり遠浅な方がその差は大きいです。

砂浜や、特に干潟のような、傾斜のなだらかな場所では、

水平方向にして数百 - 数千mにも及ぶ海岸線が変化することがあり、そこに豊かな生態系が育まれています。

 

垂直方向の差(潮位差)は、一般に内湾的な海域では小さいです。

これは水位変化のためには、海水が大きく移動しなければなりませんが、

内湾的傾向が強ければ、海水が閉じこめられてしまっていて、水位変化が起きないためです。

日本海や地中海は、潮位差が小さいことが知られています。

 

河口域

潮の満ち干(みちひ)によって、干潮時には淡水が最河口まで流れくだり、満潮時には海水が上流方向に侵入します。

そのため、一定の幅で海水と淡水が混じる区域があり、これを汽水域といいます。

 

非常に大きい河口の場合、潮汐による海水面の変化により、流れ込む水の量が大きくなり、大きなを形成することがあります。

これを海嘯(かいしょう)といい、アマゾン川のポロロッカや、中国の銭塘江のものが有名です。

 

生物との関係

海と陸とでは、棲息する生物相が全く異なります。

 

海岸線では、干潮時には海水から顔を出し、満潮時には海水中に没する地域があり、これを潮間帯といいます。

潮間帯は、生物にとっては海の区域でありながら、一時的に陸になる区域であり、独特の生物相を持ちます。

 

尚、潮間帯の直下、低潮線の下を、潮下帯

潮間帯のすぐ上、高潮線の上を、潮上帯といいます。

 

潮の満ち引きは、海に住む生き物達にも大きな影響を与えます。

大潮(特に満月)の時に産卵することが知られています。

また、大潮になると、魚類の活性が上がるとも言われています。

 

地震との関係

潮汐力は、地球内部の岩盤にも影響を与え、上下伸縮を引き起こしています。

 

特に、断層の方向と地球潮汐の方向が一致して、力が最大となった時に、

地殻変動やひずみの限界と重なると、地震を誘発することがあるようです。

 

尚、潮汐が地震の引き金になったとみられるケースは、世界における地震全体の約5%のようです。

潮汐

 

 

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