海の進化・・・地球は太陽系の外からやってきた?
地球以外の海 :氷衛星( エウロパ、ガニメデ、カリスト、タイタン、エンケラドゥス)、火星
参考 : 水、針鉄鉱、ボストーク湖
氷に富む太陽系外惑星が、惑星系の内側に移動した場合、
表層に厚い海を持った海洋惑星になる可能性が考えられています(氷衛星)・・・
地球も、太陽系の外からやってきたのでしょうか???(詳細不明)
尚、天王星と海王星は、木星や土星の近傍で形成された後、外側へ移動したようです。
海を構成する水は、地球形成時から存在していたとするには揮発性が高すぎます。
そのため、太陽系の外側にある、低温の領域から供給された可能性があり、
ジャイアント・インパクト期に、初期の小惑星帯からもたらされたようです。
尚、彗星起源の水は、地球にある水の6%以下と考えられています。
ちなみに、木星の内側に、凍結線という、蒸発した大量の水がたまる領域があります。
さて、液体の水がある海は、生命にとって非常に重要です。
海は、40億年前には既に存在していたようです。
誕生直後の地球の表面は、マグマの海(マグマオーシャン)だったようです。
徐々に気温が下がると、水が雨となって、大量に降り続け、海が誕生したとされます。
尚、当時の雨は、300度という非常に高温だったようです。
最古の生命の化石は、35億年前のバクテリアと思われる化石ですが、
この生物が活動した場所は、1000m以上の深い海底であったと考えられています。
海は、地球誕生後まもなく形成され、現在まで継続しています。
海の主成分は、液体の水です。
水は、太陽系の外側で低温の領域から供給された、という説があります。
地球は約46億年前、誕生しました。
誕生直後の地球の表面は、微惑星の衝突エネルギーによる熱で、岩石が溶けたマグマの海(マグマオーシャン)に覆われていました。
地表は、マグマの熱と、大気中に大量に存在した二酸化炭素による温室効果で、非常に高温となっており、
水は全て水蒸気(分厚い雲)として大気中にありました。
水と二酸化炭素は、微惑星がぶつかった際に放出されたものと考えられます。
その後、微惑星は、原始惑星へ吸収される等して次第に数を減らし、微惑星が地球へ衝突する回数も徐々に減り始めます。
すると高温だった地球も温度が下がり、溶岩も冷えて固まり出します。
徐々に気温が下がると、水蒸気として上空に存在していた水が雨となって、大量に降り続け、
マグマオーシャンは、それらに更に冷やされて固まり、海が誕生したとされます。
この頃に降った雨は、気圧の関係で、300度という非常に高温でした。
海が出来ると、大気中の二酸化炭素が急速に海水に溶解し、温室効果が減って気温が更に低下しました。
同時に、気圧も、現在に近い所にまで下がりました。
現在判明している海の最古の証拠は、グリーンランドで発見された40億年前の火山岩で、
海洋プレートの沈み込み場所に生成した、花こう岩です。
海の生命
現在、最古の生命とされるのは、西オーストラリアのビルバラで見つかった35億年前のバクテリアと思われる化石です。
この生物が活動した場所は、1000m以上の深い海底であったと考えられています。
27億年前の地層から、ストロマトライトの化石が見つかっています。
この化石は、光合成を行うシアノバクテリアと考えられています。
この時期に大規模な火山活動があり、初めて大陸と呼べる陸地が形成されたようです。
シアノバクテリアが光合成を行うためには、光の届く浅い海底が必要であり、
シアノバクテリアの誕生と大陸の形成とは関連があると考えられています。
当初、海水中は、酸素分子の存在しない還元的な雰囲気でしたが、
生命活動による酸素の生産が続いて、海水成分の変化が始まりました。
当時海水に大量に溶けていた2価の鉄イオンが酸化され、水に溶解できなくなり、海底に沈殿・堆積し始めました。
この堆積は19億年前まで継続し、その堆積物が縞状鉄鉱床となりました。
これが、鉄鉱石鉱山の起源です。
海中の鉄イオンのほとんどが沈殿した後、酸素は気体としてたまり始め、大気中の酸素濃度が上昇し始めます。
この頃、二酸化炭素の減少による温室効果の減退に起因する寒冷化が進み、氷河期があったとされます。
19億年前に、火山活動が非常に活発になって、大きな大陸が形成され、同時に大気中の酸素濃度が上がり始めました。ヌーナ大陸
最初の真核生物が生まれたのもこの時期であり、
環境の変化と生命の進化の相互関係について、検討されているようです。
6億から8億年前、地球の全ての海洋が凍結する全地球凍結が起こったと考えられています。
この事件の直後の6億年前には、最後の大規模な陸地形成が起こりました。ゴンドワナ大陸
増加した大陸から、大量のナトリウムやカルシウムが海中に供給され、
塩分濃度の上昇や、二酸化炭素の固定化(石灰石:炭酸カルシウムの形成)が進行しました。
全球凍結の少し前に発生していたとされる多細胞生物は、氷河期が終わった後に急速に進化しました。
この時代を代表する生物群としては、エディアカラ生物群があります。
カンブリア紀から、世界各地で生物化石がたくさん発見されています(カンブリア爆発)。
この時代は、まだ生物は全て水中(海中)で生活していたようです。
尚、エディアカラ生物群が、陸上性の地衣類、という説もあります。
カンブリア紀以後は、海洋成分の大きな変化はないようです。
氷衛星 : エウロパ、ガニメデ、カリスト、タイタン、エンケラドゥス
木星や土星の氷衛星のいくつかは、氷の地殻の下に、液体の水からなる海があると推測されています。
エウロパ、ガニメデ、カリスト、タイタン、エンケラドゥスに、海がある可能性が高いようです。
尚、タイタンの表面には、液体のメタンやエタンで覆われた地形がありますが、これらは規模が小さいため、湖と呼ばれます。
また、氷に富む太陽系外惑星が惑星系の内側に移動した場合、表層に厚い海を持った海洋惑星になる可能性が考えられています。
潮汐力で発生する熱によって、表面の固い氷層の下は、深さ数十から百数十kmにわたって氷が融け、
シャーベット状または液体の海になっており、地球の海洋深部にあるような熱水噴出孔も存在すると考えられています。
氷に覆われた海は、南極のボストーク湖に近い環境と推測されており、生命が存在する可能性が指摘されています。
ガニメデの表層(厚さ150km)の下に、深さ100kmの海があり、水の量は地球の海よりも多い、ようです。
木星探査機ガリレオは、カリストの磁場に変動があることを発見しました。
これは、表層にある氷層の底に、深さ10 km以上の閉ざされた海洋が存在し、
その中でイオンが流れていると考えると説明できるようです。
表面に、液体メタンによるものと思われる、海や川、湖、陸地・デルタ状の河口があります。
2014年、NASAによると、タイタンの氷の下にある海は、濃い塩水でできているようです
水の密度は、真水よりはるかに高く、硫黄やナトリウム、カリウムを含む塩水でできていると推定されます。
2014年4月、土星探査機カッシーニの観測から、液体の水からなる地下海が発見されたようです。
2015年3月、カッシーニが検出した微粒子の中に、
岩石と熱水が反応してできる鉱物の微粒子、ナノシリカが含まれているようです。
ナノシリカができるためには、90℃以上の熱水環境が必要で、現在も活動が続いている可能性が高いようです。
地質時代には、海(液体の水)があった可能性があります。
メリディアニ平原で採取した岩石から、小さな球形の赤鉄鉱(ヘマタイト)が発見されました。
この球体は、直径数mmしかなく、数十億年前に、水の多い環境の下で堆積岩として作られたものと考えられています。
コロンビア・ヒルズで、針鉄鉱も発見されています。
これは(赤鉄鉱とは異なり)、水が存在する環境でのみ、作られる鉱物です。
2006年、火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーが撮影した写真から、
クレーター内壁の斜面を液体が流れた痕跡が見つかりましたが、
1999年に同じ場所を撮影した写真には写っておらず、それ以降にできたものとされます。
火星には、水と二酸化炭素の氷からなる極冠があり、火星の季節によって変化します。
二酸化炭素の氷は、夏には昇華して、岩石からなる表面が現れ、冬には再び氷ができます。
火星には、多くのクレーターも存在します。
最大のものはヘラス盆地で、明るい赤色の砂で覆われています。
2005年、火星の北極地方のクレーターで、氷が発見されました。
火星の大気は希薄で、大気中の水蒸気圧が小さいため、
火星表面のほとんどの地域では、液体の水はすぐ蒸発してしまい存在できません。
液体の水が存在できるのは、ヘラス盆地等限られた場所のみです。
太陽系外惑星にも、液体の水を保持している可能性がある惑星が発見されています。
ケプラー22b、HD 85512 bといった惑星は、地球と同じような環境で、水の海を持つと推定されています。
GJ 1214 b、かに座55番星eといった惑星は、地球とは異なり、高温高圧の、超臨界水の海を持つとされています。
2011年、クエーサーAPM 08279+5255の降着円盤に、地球の水の140兆倍という膨大な量の水が発見されました。
これは、宇宙誕生から16億年後に存在する天体であり、この時代に、既に大量の水が存在していた事を示しています。
1気圧で、
沸点は、 99.9839℃、
融点は、 0.0000℃です。
3.98℃ の時、最も密度が大きく、固体は液体より密度が小さいです(異常液体)。
そのため固体である氷は、液体の水に浮き、氷に圧力をかけると融けます。
これは、多くの他の分子とは異なる水の特性であり、
氷の結晶構造が、水分子間での水素結合により、かさ高いことによります。
氷が融解して水になると、体積は約11分の1に減少します。
液体の状態では、 10−7 ( mol / dm3 ) ( 25℃ ) が電離し、
水素イオン(オキソニウムイオン)と、水酸化物イオンとなっています。
水の色は、一般に無色透明と言われる場合が多いですが、
赤色光を僅かに吸収するため、ごく僅かな青緑色を呈します。
水は比熱容量が、非常に大きいです。
反磁性を示し、
強力な磁石を近づけると、水が反発して逃れるように動く現象を、モーゼ効果といいます。
また、水分子の回転のエネルギー準位が、マイクロ波のエネルギーに対応するため、
水はマイクロ波を吸収しやすく、電子レンジはそれを利用して加熱をしています。
純粋な水は、電気(電流)をほとんど通さない絶縁体ですが、
イオン等の不純物が含まれると、電気を通すようになります。
水の臨界点は、圧力22.12MPa、温度374.15℃ ( 647.30K ) です。
水は臨界点まで、蒸気圧曲線に従い、ある温度で、ある圧力以上をかけると、液体の状態を保ちます。
この状態の水(下限は大気圧、100℃)を、亜臨界水といいます。
臨界点以上の圧力・温度条件の水を、超臨界水といいます。 太陽系外の水
亜臨界水では、イオン積が常温常圧の水より高く、オキソニウムイオンと水酸化物イオンの濃度が高くなります。
超臨界水では、イオン積が常温常圧の水より低くなります。
また、比誘電率が低く、トルエンと同程度までになるため、常温常圧水と異なり、油との混合が可能となります。
過冷却水
融点(1気圧では0℃)以下でも凍っていない、液体の水です。
不安定であり、振動等の物理的ショックにより、結晶化を開始して氷に相転移します。
アモルファス氷
非結晶の氷です。
通常の氷は結晶ですが、液体からの急冷、結晶氷を加圧、または気相からの蒸着等の方法により、非結晶の氷が生成されます。
高密度アモルファス氷、低密度アモルファス氷の、密度の違う2つの状態が存在します。
化学的には、化学式 H2O で表される、水素と酸素の化合物です。
水分子の酸素原子と水素原子は、共有結合で結びついており、
水素原子と酸素原子から、価電子を1つずつ供給されてできています。
酸素原子の最外殻には、共有結合に使われていない孤立電子対が2つ存在します。
水素と酸素の電気陰性度の違いから、O-H 結合においては、酸素原子側が電気的に負、水素原子側が正となり、局所的に電気双極子を作っています。
分子全体でも H-O-H 結合角が曲がっていることから、極性を持ちます。
そのため、水の比誘電率は、79.87 ( 20℃ ) と高く、イオン間の静電気力を弱め、イオン結晶の結合格子を破壊して溶解させる、溶媒として働きます。
複数の水分子の間では、水素原子と酸素原子の間に水素結合を作ります。
水だけでなく、窒素、酸素、フッ素、水素等は、水分子と水素結合を作ることができます。
そのため、糖等、イオン性ではない分子も水に溶けます。
一方、炭化水素は、イオン性でなく、水素結合も形成しないため、水には溶けず、寄り集まって油滴を作ります。
水に溶けない疎水性の化合物同士が、水の中で見かけ上親和性を示す現象を、疎水効果といいます。
水分子は、水素イオン ( H+ ) の供給源として、酸としての性質を示します。
水分子の酸素原子上に、孤立電子対があることから、水は、塩基、配位子としても働きます。
水分子を配位子とする錯体は、水和物(アクア錯体)といいます。
水は、6-ナイロンの合成等、化学反応の触媒としても用いられることがあります。
また、酸や塩基等を触媒として、エステルやアミド等の加水分解や、アルケンへの付加反応(水和反応)の基質となります。
光合成等、生化学反応でも、重要です。
水酸化鉱物(水酸化物からなる鉱物)の一種です。
化学組成はFeO ( OH ) です。
黄鉄鉱( FeS2 )、菱鉄鉱( FeCO3 )、磁鉄鉱( FeFe3+2O4 )等が酸化することによって生じる二次鉱物です。
また、水中の沈殿物としても生じます。
南極大陸に存在する氷底湖です。
氷底湖である、ボストーク湖やウィランズ湖で、新種のバクテリアも発見されています。氷衛星
最も広い場所で幅40km、長さ250kmに達し、二つの水盆(水深の深い場所)に分かれています。
水深は、水盆を分断する尾根の部分で約200m、北側の水盆では約400m、南側の水盆では800mとみられています。
湖の総面積は、1万4,000 km2(琵琶湖の20倍以上)です。
総貯水量は、5,400 km3で、淡水と推測されています。
平均水温は-3℃で、これは一般的な真水の結氷温度を下回っていますが、上側を覆う氷の重さによる高圧のため液体を保っています。
(水は圧力によって凝固点が下がるため)
また、地球で最も寒い場所に、液体の水が存在する理由として、
湖底が地熱によって温められているという説や、
分厚い氷床が、断熱材の役割を果たしているという説があります。
ボストーク湖の氷は、約42万年前にできたようです。
その事は、湖が50万年から100万年にわたって氷に封印されていた事を示しています。
湖に、潮汐があり、太陽と月の位置によって、湖の表面は1、2 cm上昇します。
湖の表面の変動には、微生物の生存に必要な、水を循環させ続けるポンプの効果があると推測されます。