古生代

 

 古生代は、約54200万から約25100万年前までの、約29100万年続いた地質時代です。

古生代・中生代・新生代と分かれる地質時代(顕生代)の大きな区分の一つで、先カンブリア時代の後の時代です。

 古生代は更に、カンブリア紀オルドビス紀 シルン紀 石炭(せきたんき) 、ペルに区分されます。

無脊椎動物の繁栄から、恐竜が繁栄しはじめる中生代の前までの期間です。

 

 カンブリア紀には、カンブリア爆発という生物の多様性がみられました。

カンブリア爆発は、眼ができたことで硬い殻をもつ生物が出現するようになった、という説があります(光スイッチ説)。

一方で、オルドビス紀末とデボン紀末、及びペルム紀末に生物の大絶滅がみられました。

 

 カンブリア紀

 カンブリア紀は、約54200万年前から約48830万年前までの、約5400万年続いた地質時代です。

 この紀では、地球の表面は、ほとんど海で覆われていました。気候は、概ね温暖で、極地方には氷河がなかったと考えられています。

 

 カンブリア紀における生物相の多様性は、バージェス動物群の発見により知られるようになりました。

バージェス動物群は、現在の生物と比べると、非常に奇妙な姿をした生物が多く見られます。

カンブリア紀の初期には動物門のほとんどすべてが出現したとされ、動物の多様性が一気に増大したと考えられています。

これをカンブリア爆発といいます。海中で様々な種類の海洋生物が現れ、中でも三葉虫等の節足動物が繁栄し、藻類も発展しました。

更に、最古の脊椎動物である無顎類(史上最古の魚とされる、ミロクンミンギアやハイコウイクチスなど)が登場しました。

 

 

 オルドビス紀

 オルドビス紀は、約48830万年前から約44370万年前までの、約4400万年続いた地質時代です。

 オルドビス紀も、カンブリア紀並に生物の多様化が進みました。この紀には、植物(コケ類に近縁のもののようです。)が陸上に進出したと考えられています。

(現代知られる最古の陸上植物は、約42500万年前(シルル紀中期)の地層から発見されたクックソニアです。)

オウムガイに代表される軟体動物や三葉虫のような節足動物、筆石のような半索動物に加えて、オルドビス紀後期には顎を持つ魚類が登場しました。

 

 オルドビス紀末には大量絶滅が起こりました。絶滅した属の割合で見ればペルム紀末の大量絶滅に次ぐ大規模なもので、海生多細胞生物の科の22%、属の49%が絶滅しました。

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 シルル紀

 シルル紀は、約44370万年前から約41600万年前までの、約2800万年続いた地質時代です。

 シルル紀初期、南半球にはゴンドワナ大陸という大きな大陸があり、赤道付近には、シベリア大陸、ローレンシア大陸、バルティカ大陸という

3つの中程度の大きさの大陸と幾つかの小大陸がありました。ローレンシア大陸、バルティカ大陸、アバロニア大陸の間にはイアペトゥス海という浅い海が広がり、

多くの生物が繁栄していました。しかし、3つの大陸は徐々に接近し、約42,000万年前に衝突しました。

このためイアペトゥス海は消滅し、赤道直下にユーラメリカ大陸(ローラシア大陸)という大陸が形成されました。

現在の北アメリカ東海岸、グリーンランド、スコットランドがユーラメリカ大陸の一部に相当します。

 ユーラメリカ大陸には、大陸が衝突した時、巨大な山脈ができました(スカンジナビア半島からスコットランドにかけて分布する

カレドニア山地、及び北アメリカ大陸のアパラチア山脈が相当します。古い時代に形成されたため浸食が進んでいます。)。

 

山脈ができると、大気の流れを大きく遮ることで上昇気流が発生して雨雲ができます。

雨がたくさん降ることで、河川ができ、河川に沿って動植物が大陸内部まで活動範囲を拡げていくことが可能となりました。

 

 この紀に、昆虫類が出現しました。

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 デボン紀

 デボン紀は、約41600万年前から約35920万年前までの、約5700万年続いた地質時代です。デボン紀は、「魚の時代」とも呼ばれています。

 デボン紀には、アーケオプテリスなどのシダ状の葉を持つ樹木状植物が誕生し、河川に沿って最古の森林が形成されました。

森林が拡大するにつれて湿地帯も同時に形成されていきました。

 河川と森林、湿地帯の存在が生物種の進化を促しました。さらに大陸内部の気候は乾燥しやすいため、昆虫類や両生類など、より乾燥に強い生物種が誕生しました。

気候が乾燥する時期には、水中の酸素濃度が低くなるため、ハイギョやシーラカンスなどの肺を持った肉鰭類が誕生しました。

更に、ハイギョ類から、アカントステガやイクチオステガといった両生類が誕生しました。

 海洋では河川から流れてくる栄養もあり、サンゴ等が大規模なコロニー(個体群)を形成し、板皮類などの古いタイプの魚類が繁栄していました。

 

 デボン紀後期から石炭紀初期は、サンゴ礁を作る赤道域の浅海域で選択的に大量絶滅が起こり、

板皮類や、原始的な脊椎動物である無顎類や三葉虫の大部分など、海洋生物種の82%が絶滅しました。原因として、デボン紀後期に、気候の急激な寒暖の変化、海水面の後退、乾燥化、低酸素化、などの大きな環境変化が繰返し発生したことなどが考えられています。

  

 

 石炭紀

 石炭紀は、約35920万年前から29900万年前までの、約6000万年続いた地質時代です。

この期間はデボン紀末の大量絶滅からペルム紀直前の数百万年に及ぶ氷河期で区切られています。

 

 地質的にはバリスカン造山運動があったとされています。デボン紀から存在していたライク海(リーク海、レーイック海またはミドローピアン海ともいいます)は、

ゴンドワナ大陸とユーラメリカ大陸にはさまれて末期には消滅し、これがやがてパンゲア大陸となります。ライク海の消滅とともに生物の陸上進出も進みました。

この他にもシベリア大陸、カザフ大陸(カザフスタニア)などの小さな大陸が存在していました。

 

 多くの地域は年間を通して季節の変化はあまりなく、1年中湿潤な熱帯気候といわれています。

一方で南極では氷河が形成されるなど、寒冷化が進行しつつありました。

 森林の繁栄により、大気中の酸素濃度は35%もあったといわれ、このことが動植物の大型化を可能にしたと考えられています。

また、植物が繁栄したことで大量の二酸化炭素が吸収され、その多くが大気中に還元されずに石炭化していったため、大気中の二酸化炭素濃度が激減しました。

これが寒冷化と氷河の発達、更には氷河期の一因とされています。

 巨大な陸塊であるゴンドワナ大陸の南部が南極にあったこともあり、ここには大規模な氷河(氷床)が形成されました。 

石炭紀の終盤には数百万年に渡る氷河期が到来し、多くの生物が死滅しました。

 

 石炭紀には、陸上では、シダ植物が発達し、昆虫や両生類が栄えました。

 巨大なシダ類が繁栄し、湿地帯に大森林を形成していました。中でもリンボク(レピドデンドロン)は、高さが20mから30m、大きいものでは直径2m、高さ38mのものも存在しました。

 デボン紀から引き続いて節足動物、昆虫の巨大化も著明で、全長60cmもある巨大なウミサソリ(メガラシネ)や、

翼長70cmの巨大トンボ(メガネウラ)、全長2mの巨大ムカデ(アースロプレウラ)などが発見されています。

更にパレオディクティオプテラやゴキブリの祖先プロトファスマなど翅を持った昆虫が初めて出現しました。

 逆に三葉虫は衰えてプロエトゥス目(またはプロエタス目)のみとなりました。

 両生類から陸上生活に適応した有羊膜類が出現し、やがて二つの大きなグループが分岐しました。

一つは単弓類(哺乳類へと繋がる系統)で、もう一つは竜弓類(双弓類。鳥類を含む爬虫類へとつながる系統)です。

当時の爬虫類には、ヒロノムスなどがあります。また、後期にはエダフォサウルスなどの単弓類が繁栄していきます。

 

 アメリカのイリノイ州には石炭紀の無脊椎動物の化石を多く出土する地層があり、ここから出土する動物群を特にメゾンクリーク動物群と呼びます。

メゾンクリーク動物群には腕足類やウミユリなどが多く含まれ、トリモンストラム・グレガリウム(トゥリモンストゥルム)など異様な形態の動物もみられます。

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 ペルム紀

 ペルム紀(ペルムき)は、約29,900万年前から約25,100万年前までの、約4800万年続いた地質時代です。

 ペルム紀の初期には、ユーラメリカ大陸が赤道付近に存在し、ゴンドワナ大陸が南極地域に存在しました。

 その後、ゴンドワナ大陸が南半球から北上してユーラメリカ大陸に衝突し、ペルム紀末期には、北極から南極に至るパンゲア大陸と呼ばれる超大陸が形成され、

 ほぼ全ての陸地が1つにまとまりました。北半球に存在したシベリア大陸もパンゲア大陸と衝突し、

石炭紀末期からペルム紀にかけてウラル山脈の形成が始まりました。これは、三畳紀からジュラ紀初期頃まで続きます。

 

 ペルム紀の初期には、ゴンドワナ大陸が南極地域にあり、大規模な氷床が発達していたため、気候は寒冷でした。

しかしゴンドワナ大陸が北上して南極地域を脱したことから、氷床は融解しはじめ、気温は上昇に転じました。

ペルム紀の末期には激しい気温上昇が起こり、地球の平均気温は23℃にも達しました。これは、6億年前から現在までで最も高い気温です。

古生代最後のペルム紀と中生代最初の三畳紀の境目(P-T境界)には世界的な海退もあったようです。

 

 ペルム紀には、シダ植物に加えてイチョウ類やソテツ類といった裸子植物も繁栄を始めました。

更に、恐竜や現生爬虫類の祖先となる双弓類が登場しました。哺乳類の祖先に当たる単弓類も繁栄しました。

 

 ペルム紀の終わり(P-T境界)に、地球史上最大規模とも言われる大量絶滅が起こりました。

三葉虫は絶滅し、それまで繁栄していた単弓類などもほとんどが絶滅してしまいました。

このとき絶滅した種の割合は、全ての生物種の90%から95%にも達すると言われています。

 原因として、パンゲア超大陸が形成されたことにより、地球内部からスーパープルームにより地球史上もっとも激しい火山活動

(この時シベリア台地玄武岩が形成されました。)が起きたとする説があります。即ち火山活動により大規模な環境変化が発生し、

大量絶滅に繋がったとするものです。また、最大規模の海洋無酸素イベントが発生したようです。

 

 主竜類の中で、気嚢により低酸素環境に適応していた恐竜が後の時代に繁栄していく基礎となったようです。

また、単弓類の中で横隔膜を生じて腹式呼吸を身につけたグループは低酸素時代の危機を乗り越え、哺乳類の先祖となりました。

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