タンパク質構成アミノ酸3バリンロイシンイソロイシンフェニルアラニンチロシントリプトファン

 

 

アミノ酸1グリシンアラニンセリントレオニンシステインメチオニン

 

アミノ酸2アスパラギン酸グルタミン酸アスパラギングルタミンアルギニンヒスチジンリシンプロリン

 

 

 

バリン

ロイシン

イソロイシン

 

フェニルアラニン

チロシン

トリプトファン

 

 

シキミ酸経路

フラボノイド

植物ホルモン

 

 

 

バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファンは、疎水性

チロシンは、親水性です。

 

チロシンは、ヒドロキシ基(OH基)を持ちます。

トリプトファンは、側鎖にインドール環(ベンゼン環とピロール環が縮合した構造)を持ちます。

 

ロイシンのコドン6つで、セリンアルギニンと並び最多です。

トリプトファンのコドン1つで、メチオニンとともに最小です。

 

開始コドンは、ほぼ AUG(メチオニン)ですが、

真正細菌では、AUGがメチオニンではなく、N-ホルミルメチオニンに対応しており、

リボゾーム結合部位(シャイン・ダルガノ配列など)の数〜10塩基程度下流に存在します。

また、真正細菌では、開始コドンにGUG(バリン)、UUG(ロイシン)、AUA(イソロイシン)なども使用されています。

 

チロシン、フェニルアラニン、トリプトファンは、シキミ酸経路によって合成されます。

 

トリプトファンは、NAD(H)や、インドール酢酸(植物ホルモン)の前駆体としても重要です。

 

 余談ですが、植物はジャスモン酸類を放出して植物間でコミュニケーションを取ることができます。

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バリンVVal2-アミノイソ吉草酸)

側鎖にイソプロピル基を持つアミノ酸。

示性式はHOOCCH(NH2)CH(CH3)2

ロイシンイソロイシンと同様に、疎水性アミノ酸、非極性側鎖アミノ酸に分類されます。

必須アミノ酸です。

糖原性です

 

コドンは、GUUGUCGUAGUG

 

植物は、ピルビン酸から合成できます。

合成過程の最初の部分はロイシンと共通です。

中間体のα-ケトイソ吉草酸は、ロイシンアミノトランスフェラーゼにより、

グルタミン酸からのアミノ基転移を受けて合成されます。

 

1. ピルビン酸 → 2-アセト乳酸 + CO2

2. 2-アセト乳酸 + NADPH + H+ 2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸 + NADP+

3. 2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸→ 2-オキソイソ吉草酸 + H2O

4. 2-オキソイソ吉草酸 + L-グルタミン酸 L-バリン + 2-オキソグルタル酸

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ロイシン (LLeu)

側鎖にイソブチル基を持つアミノ酸。

疎水性アミノ酸、非極性側鎖アミノ酸で、分枝鎖アミノ酸に分類されます。

必須アミノ酸。

ケト原性です

 

コドンは、UUAUUG CUUCUCCUACUGと、セリンアルギニンと並び最多です。

 

タンパク質の生成や分解を調整する機能があるようです。

ロイシンジッパーという、モチーフがあり、

遺伝子発現の調整に関わるタンパク質等にみられます。

 

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イソロイシン (IIle2-アミノ-3-メチルペンタン酸(2-アミノ-3-メチル吉草酸))

側鎖に sec-ブチル基を持つアミノ酸。

ロイシンの構造異性体で、疎水性アミノ酸に分類されます。

必須アミノ酸です。

糖原性・ケト原性です

 

コドンは、AUUAUC

 

2-オキソブタン酸からバリンに似た経路で合成されます。

途中、グルタミン酸からアミノ基を受け取ります。

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フェニルアラニンFPhe

側鎖にベンジル基を持ちます。

非極性側鎖アミノ酸で、芳香族アミノ酸。

必須アミノ酸。

糖原性です。

 

コドンは、UUUUUC

 

L-フェニルアラニンは、生体内で L-チロシンに変換されます。

 

シキミ酸経路によってプレフェン酸から生合成されます。

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チロシンYTyr4-ヒドロキシフェニルアラニン)

極性基をもち、官能基または側鎖の時は、チロシル基といいます。

極性無電荷側鎖アミノ酸、芳香族アミノ酸です。

必須アミノ酸です。

糖原性・ケト原性です。

 

コドンは、UAUUAC

 

プロテインキナーゼの作用でリン酸基による修飾を受け、

酵素の機能や活性を変化させるため、シグナル伝達で重要な役割を果たしています。

 

チロシンは、

甲状腺ホルモンや、

メラニン色素、

カテコールアミンの前駆体です。

 

シキミ酸経路で、プレフェン酸を経て合成されます。

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トリプトファンWTrp2-アミノ-3-(インドリル)プロピオン酸)

側鎖にインドール環を持ち、芳香族アミノ酸に分類されます。

必須アミノ酸。

糖原性・ケト原性です。

 

コドンは、UGG

 

ナイアシンの体内活性物質であるNAD(H)

セロトニン、

メラトニンといったホルモン、

キヌレニン等生体色素、

植物において重要な成長ホルモンであるインドール酢酸の前駆体、

インドールアルカロイド(トリプタミン類)などの前駆体として重要です。

 

 シキミ酸経路によって生合成されます。

 

トリプトファンの代謝

キヌレニン経路         :肝臓。インドールアミン酸素添加酵素 (IDO) によりL-キヌレニンを経てキノリン酸を生成する経路。ヒトで約95%

NAD 経路              :肝臓。(キヌレニン経路で生成されたキノリン酸から) NAD の合成に向かう経路。

グルタル酸経路         :肝臓。(キヌレニン経路で生成された2-アミノ-3-カルボキシムコン酸セミアルデヒドから)

 エネルギー源としてアセチルCoA(アセト酢酸?)に代謝される経路。

 

セロトニン経路          :腸・脳・マスト細胞。セロトニン・メラトニンの合成に向かう経路。

トリプタミン経路        脱炭酸によりトリプタミンの合成に向かう経路。

インドール経路         脱アミノによりインドールピルビン酸の合成に向かう経路。

 

タンパク質合成          :全細胞。タンパク質を構成するアミノ酸の一つとして使用されます。

 

その他                    :腸内細菌 腸内細菌や真菌による、インドールを合成する経路。

 

 

 

参考

シキミ酸経路

ホスホエノールピルビン酸

エリトロース-4-リン酸

シキミ酸

コリスミ酸

 

フラボノイド

 

植物ホルモン

 

 

シキミ酸経路

芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)の生合成反応経路。

間接的にフラボノイドアルカロイドなどの生合成にも必要です。

多くの微生物や植物でみられますが、動物にはありません。

 

解糖系ホスホエノールピルビン酸と、

ペントースリン酸経路エリトロース4-リン酸の縮合反応で始まります。

 

反応はコリスミ酸で各アミノ酸への反応に分岐するので、ここまでをシキミ酸経路としている場合もあります。

 

 シキミ酸経路の反応

1. ホスホエノールピルビン酸 + エリトロース 4-リン酸 → 7-ホスホ-2-デヒドロ-3-デオキシアラビノヘプトン酸 + リン酸

2. 7-ホスホ-2-デヒドロ-3-デオキシアラビノヘプトン酸 + NADH 3-デヒドロキナ酸 + リン酸 + NAD+

3. 3-デヒドロキナ酸 → 3-デヒドロシキミ酸 + H2O

4. 3-デヒドロシキミ酸 + NADPH シキミ酸 + NADP+

5. シキミ酸 + ATP 3-ホスホシキミ酸 + ADP

6. 3-ホスホシキミ酸 + ホスホエノールピルビン酸 → 3-ホスホ-5-エノイルピルビルシキミ酸 + リン酸

7. 3-ホスホ-5-エノイルピルビルシキミ酸 → コリスミ酸 + リン酸

 

8.コリスミ酸 → プレフェン酸

 

フェニルアラニンの合成

1.プレフェン酸 → フェニルピルビン酸 + CO2 + OH-

2.フェニルピルビン酸 + グルタミン酸 → フェニルアラニン + 2-オキソグルタル酸

 

チロシンの合成

1.プレフェン酸 + NAD+ 4-ヒドロキシフェニルピルビン酸 + CO2 + NADH

2.4-ヒドロキシフェニルピルビン酸 + グルタミン酸 → チロシン + 2-オキソグルタル酸

 

トリプトファンの合成

1.コリスミ酸 + グルタミン → アントラニル酸 + グルタミン酸 + ピルビン酸

2.アントラニル酸 + 5-ホスホリボシル-α-二リン酸 → ピロリン酸 + N-(5'-ホスホリボシル)-アントラニル酸

3.N-(5'-ホスホリボシル)-アントラニル酸 → エノール1-o-カルボキシフェニルアミノ-1-デオキシリブロース-5-リン酸

4.エノール-1-o-カルボキシフェニルアミノ-1-デオキシリブロース5リン酸 → インドール3グリセロールリン酸 + CO2 + H2O

5.インドール-3-グリセロールリン酸 → インドール + グリセルアルデヒド-3-リン酸

6.インドール + セリン → トリプトファン + H2O

参考

 

 

ホスホエノールピルビン酸PEP

解糖系や糖新生の経路でみられ、-62KJ/molと生体中で最もエネルギーの高いリン酸結合を持ちます。

植物では、様々な芳香族化合物の生合成や炭素固定にも関わっています。

 

PEPは、シキミ酸経路コリスミ酸を作る原料となります。

さらに、C4型光合成植物では、PEPは炭素固定の際の重要な基質です。

この反応は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、によって触媒されます。

 

ホスホエノールピルビン酸 + CO2 オキサロ酢酸

 

解糖系

PEPは、2-ホスホグリセリン酸から生成します。

ピルビン酸キナーゼによるPEPからピルビン酸への代謝では、

基質レベルのリン酸化により1molATPを生成します。

 

ホスホエノールピルビン酸からピルビン酸に変化する反応は、不可逆反応です。

このため、ピルビン酸から解糖系の逆反応で直接糖新生を行うことはできません。

 

2-ホスホグリセリン酸 → ホスホエノールピルビン酸 → ピルビン酸

 

糖新生

PEPは、オキサロ酢酸の脱炭酸によって生じ、1分子のGTPを加水分解します。

この反応は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、によって触媒され、糖新生の律速段階となります。

 

GTP + オキサロ酢酸 → GDP + ホスホエノールピルビン酸 + CO2

参考

 

 

エリトロース-4-リン酸E4P

四炭糖で、ペントースリン酸経路カルビン回路の中間体の一つです。

また、シキミ酸経路の開始物質でもあります。

 

ペントースリン酸経路では、トランスアルドラーゼによって、

グリセルアルデヒド-3-リン酸とセドヘプロース-7-リン酸から、フルクトース-6-リン酸と共に合成されます。

 

カルビン回路では、トランスケトラーゼによって、

グリセルアルデヒド-3-リン酸とフルクトース-6-リン酸から合成されます。

参考

 

 

シキミ酸 コリスミ酸

ほとんどの植物でみられる、シキミ酸経路を構成する環状ヒドロキシ酸で、

芳香族化合物が生合成される経路の中間体です。

3-デヒドロシキミ酸がシキミ酸デヒドロゲナーゼによって還元されて生成し、

シキミ酸キナーゼによってリン酸化され、シキミ酸三リン酸になります。

 

インフルエンザの治療薬である、オセルタミビルの原料としても用いられます。

参考

 

 

コリスミ酸 PEP

植物の代謝過程の中間体として存在する重要な物質の一つ。

シキミ酸経路で、シキミ酸から生成し、経路の分岐点となっています。

フェニルアラニン、チロシンなどの芳香族アミノ酸や、トリプトファンなどのインドール化合物、

植物ホルモンサリチル酸アルカロイドなど、様々な生体物質の原料となります。

参考

 

 

フラボノイド

クマル酸CoAマロニルCoAが重合してできる、カルコンから派生する植物二次代謝物です。

ポリフェノールの一種で、アントシアニン、カテキンやイソフラボンなどがあります。

ポリフェノールは、ポリ(たくさんの)フェノールという意味です。

 

アントシアニンは、花の色素として知られ、紅葉(赤色)の原因でもあります。

カテキンは、茶の渋み成分です。

イソフラボンは、ダイズなどのマメ科の植物に多く含まれています。

 

シキミ酸経路でできるフェニルアラニンの脱アミノで生成するクマル酸が、

補酵素Aと結合してクマル酸CoA4-クマロイルCoA)ができます。

 

次にクマル酸CoAが、酢酸マロン酸経路(脂肪酸とポリケチドの生合成)の

マロニルCoA 3分子と反応して、カルコンが生成します。

 

カルコンからフラバノンが生成されます。

 

フラボノイドは、フラバノンが様々な修飾をうけることで生合成されます。

参考

 

 

植物ホルモン

植物自身が作り出し、低濃度で自身の生理活性・情報伝達を調節する機能を持つ物質です。

 

高等植物(裸子植物と被子植物)だけでなく、

シダ植物の造精器誘導物質であるアンセリディオゲン等、シダ植物・コケ植物にも存在します。

 

動物ホルモンとは異なり、分泌器官や標的器官が明確ではなく、輸送メカニズムも共通していません。

また同一の物質であっても、作用する場所や濃度に応じて、その生理活性が著しく異なります。

 

定義上、植物ホルモンとは区別されますが、合成された化学物質や、微生物などが生産する物質の中には、

植物成長物質、植物成長調節物質、成長阻害物質など、植物の成長や生理活性に影響を与えるものが存在します。

 

ポリアミンは、

常に存在すること、

細胞内でのみシグナル機能を有すること、

不可逆的に反応すること、

高濃度(mM)で作用を示すこと、などから植物ホルモンとはされていません。

 

 

植物ホルモンの種類

オーキシン(インドール-3-酢酸): 主にトリプトファンから生成されます。細胞伸長や細胞分裂を誘導します。

 

ジベレリン: テルペノイドイソプレンを構成単位とする化合物)経路で合成されます。

生長軸の方向への細胞伸長促進、種子の発芽促進や休眠打破の促進、老化の抑制に関わります。

 

サイトカイニン: オーキシン存在下で細胞分裂、シュート形成の誘導効果をもちます。

 

アブシシン酸: 休眠や生長抑制、気孔の閉鎖などを誘導します。

また乾燥などのストレスに対応して合成されるため、「ストレスホルモン」とも呼ばれます。

 

エチレン: 植物ではメチオニンから合成されます。生長阻害、花芽形成抑制、果実の成熟に関与します。

 

ブラシノステロイド: ステロイド骨格をもち、ステロールから合成されます。

植物体全身の伸長成長、細胞分裂と増殖、種子の発芽などを促進します。ストレス耐性も誘導します。

 

ジャスモン酸類: 葉緑体膜中のω-3脂肪酸であるα-リノレン酸から合成され、傷害に対する応答に関与します。

揮発性であり、植物はジャスモン酸類を放出して植物間でコミュニケーションを取ることができます。

 

 

フロリゲン: 花芽形成を誘導します。

 

ストリゴラクトン: ラクトン構造を有するカロテノイド誘導体で、分枝を抑制する機能を持ちます。

 

植物ペプチドホルモン

100アミノ酸以下の比較的短い分泌型ペプチドで、細胞間情報伝達に関与しているものがあります。

 

システミン

アミノ酸200残基からなる前駆体である、プロシステミンC末端側がプロセッシングを受けて生じる、18残基の小ペプチドです。

害虫に対する化学防御を活性化する長距離シグナルとして機能します。

 

システミンは、タンパク質防御化合物であるプロテアーゼ阻害剤の産生を誘導します。

 

CLV3/ESR-related (CLE) ペプチドファミリー

CLV3 は、膜結合型CLV1受容体様キナーゼに対する短距離リガンドとして機能する小分泌ペプチドをコードしています。

細胞の分化促進または阻害に関与します。

 

植物ホルモン(様物質)

サリチル酸 : コリスミ酸から合成されます。

一酸化窒素

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