タンパク質構成アミノ酸1(グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン)
アミノ酸2(アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、プロリン)
アミノ酸3(バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)
葉酸・テトラヒドロ葉酸
SAM(S-アデノシルメチオニン)
3-ホスホグリセリン酸
インテイン
グリシンは、タンパク質を構成するアミノ酸の中で最も単純な形をしており、唯一不斉炭素を持ちません。
トレオニンは、光学活性中心を2つ持つため、4つの異性体があります。
セリンとアスパラギン酸は、L体の他にD体も存在します。
グリシンとアラニン、メチオニンは、疎水性で、
セリンとトレオニン、システインは、親水性です。
セリンとトレオニンは、ヒドロキシ基(OH基)を持ち、
システインとメチオニンには硫黄が含まれます。
コドンの数は、最多がセリンとアルギニン、ロイシンの6個で、最小がメチオニンとトリプトファンの1個です。
メチオニンのコドンAUG は、開始コドンでもあります。
尚、真正細菌では、開始コドンのAUGはメチオニンではなく、N-ホルミルメチオニンに対応しており、
GUG(バリン)、UUG(ロイシン)、AUA(イソロイシン)なども開始コドンに使用されています。
タンパク質を構成するアミノ酸の中で最も単純な形を持ちます。
示性式は、H2NCH2COOH。
不斉炭素を持たないため、生体を構成するα-アミノ酸の中では唯一立体異性がありません。
非極性側鎖アミノ酸です。
糖原性です。
コドンは、GGU、GGC、GGA、GGG。
グリシン開裂系は、テトラヒドロ葉酸(THF)により、グリシンを開裂します。
THF + グリシン + NAD+ = 5,10-メチレンTHF + NH3 + CO2 + NADH + H+
グリシン開裂系とは別に、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼにより、
可逆的にグリシンをL-セリンに相互に変換し(retro-aldol cleavage)、5,10-メチレンTHF をTHFに変換する反応もあります。
5,10-メチレンTHF + グリシン + H2O = THF + L-セリン
2つの反応を複合すると以下の反応となります。
グリシン + NAD+ + H2O → セリン + CO2 + NH3 + NADH + H+
グリシンが脱アミノ化を受けるとグリコール酸が生成し、
酸化を受けるとグリオキシル酸が生成します。
グリシンは様々な生体物質の原料として利用されています。
コラーゲン
コラーゲンタンパク質のペプチド鎖を構成するアミノ酸は、
「―(グリシン)―(アミノ酸X)―(アミノ酸Y)―」と、グリシンが3残基ごとに繰り返す一次構造をもちます。
この配列は、コラーゲン様配列と呼ばれます。
グリシンとスクシニルCoAから生成される、アミノレブリン酸から合成されます。
グルタチオン
グルタミン酸、システイン、グリシンが、この順番でペプチド結合したトリペプチドで、
抗酸化物質として機能します。
クレアチン
アルギニンとグリシンから、クレアチンリン酸として合成されます。
この反応はヒトでは、腎臓と肝臓にて行われます。
クレアチンは、ヒトでは筋肉中に存在し、エネルギー源として貯蔵されます。
プリン体の原料
アラニン(A、Ala。2-アミノプロピオン酸)
グリシンについで2番目に小さなアミノ酸です。
示性式はCH3CH(COOH)NH2。
ほとんどすべてのタンパク質に含まれます。
疎水性アミノ酸、非極性側鎖アミノ酸。
非必須アミノ酸。
糖原性です。
コドンは、GCU、GCC、GCA、GCG。
生体内では、解糖系の中間体であるピルビン酸が、
アラニントランスアミナーゼによるグルタミン酸からのアミノ基の転移を受けて生合成されます。
セリン(Serine(英)。S 、Ser。2-アミノ-3-ヒドロキシプロピオン酸) システイン 葉酸
ヒドロキシメチル基(OH基)を持つアミノ酸。
セリン(とアスパラギン酸)は、D体も存在します。
極性無電荷側鎖アミノ酸。
非必須アミノ酸です。
糖原性です。
コドンは、 UCU、UCC、UCA、UCG、AGU、AGCと、アルギニン、ロイシンと並び最多です。
セリンは、水とメタノール、シアン化水素、アンモニアからなる単純な氷(simple ices)に、
紫外線を照射すると(illuminate)、自然に産生されるようです。
これは、寒冷な場所でも容易に生産される可能性を示唆します。
生体内では、解糖系の中間体である 3-ホスホグリセリン酸から、
ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ
ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ、
ホスホセリンホスファターゼ、の働きにより合成されます。
グリシンと可逆的に相互変換される関係にあります。
セリンは、プリン、ピリミジン、(バクテリアでは)グリシン、システイン、トリプトファンなどの生合成に関与します。
生合成での炭素基(fragments)の供与体(donor)である、スフィンゴ脂質や葉酸などの前駆体でもあります。
トリプシンなど、多くの酵素の活性中心に存在し、求核試薬として機能しています。
タンパク質の構成要素としては、側鎖のヒドロキシ基によってグリコシド結合を形成するという特徴を持ちます。
真核生物におけるシグナル伝達の際に、
キナーゼによってリン酸化される3種のアミノ酸残基(セリンの他、トレオニン、チロシン)の1つです。
リン酸化されたセリン残基は、ホスホセリンといいます。
側鎖にヒドロキシエチル基(OH基)を持つアミノ酸。
極性無電荷側鎖アミノ酸。
必須アミノ酸。
糖原性及びケト原性です。
コドンは、ACU、ACA、ACC、ACG。
光学活性中心を2つ持つため、4つの異性体があります。
L-トレオニンには2つのジアステレオマーが存在しますが、(2S,3R) 体のみが L-トレオニンと呼ばれます。
(2S,3S) 体は天然にはほとんど存在せず、L-アロトレオニンといいます。
側鎖のヒドロキシ基は、グリコシル化を受けて糖鎖を形成します。
トレオニンキナーゼによりリン酸化され、ホスホトレオニンとなります。
植物や大部分の微生物は、トレオニンをアスパラギン酸から合成しています。
まず、アスパラギン酸のβ-カルボキシル基をリン酸化します。
そして、還元されて、β-アスパルテートセミアルデヒドになります。
これはトレオニン、メチオニン、リシンの生合成において重要な中間体です。
これから、トレオニンが生成されます。
後、トレオニンがピルビン酸に変換される経路の中間体が、
CoAとチオール開裂(thiolysis)して、アセチルCoAとグリシンが生じます。
システイン (C、Cys。チオセリン。2-アミノ-3-スルファニルプロピオン酸)
側鎖にチオール基(SH基)を持つ、含硫アミノ酸。
親水性アミノ酸、中性極性側鎖アミノ酸。
非必須アミノ酸。
糖原性です。
コドンは、UGU、UGC
酸性条件下では安定ですが、中・アルカリ性条件では微量の重金属イオンにより容易に空気酸化され、
シスチン(2分子のシステインが、チオール基の酸化によって生成するジスルフィド結合を介してつながったもの)となります。
システインは、酸化型のシスチンに対し、還元型であることを明らかにするため、 CySH と記されることもあります。
メチオニンがホモシステインとなり、これがセリンと結合してシスタチオニンとなって、システインが生成されます。
少量ですが、多くの蛋白質にみられます。
誘導体である N-アセチル-L-システイン (NAC)は、抗酸化剤のグルタチオンへと代謝されます。
求核性が非常に高いチオール基を持つため、求核性触媒として働きます。
システインを求核剤として含むタンパク質
ユビキチンリガーゼは、ユビキチンをタンパク質に結合させます。
カスパーゼは、アポトーシスの際のタンパク質分解に関与します。
インテインは、システイン触媒の補助によって作用することがあります。
システインは、タンパク質を分子間で架橋させることができます。
これにより、細胞外の厳しい環境で分子の安定性が向上して、タンパク質が分解されにくくなります。
(タンパク質の排泄にはコストがかかるので、最小限に抑える方が有利です)。
ポリペプチド中のシステイン間のジスルフィド結合は、タンパク質の三次構造を維持します。
ジスルフィド結合の生成は、ジスルフィド異性化酵素によって触媒されます。
細胞内で、デヒドロアスコルビン酸が小胞体へと輸送され、酸化的な環境を作り出します。
ここでシステインは、シスチンに酸化され、求核剤としての作用を失います。
メチオニン(M、Met)
側鎖に硫黄を含んだ疎水性のアミノ酸です。
必須アミノ酸。
糖原性です。
対応するコドン(AUG)が一つであるアミノ酸(もう1つはトリプトファン)で、
AUG は、開始コドンとしても重要で、真核生物と古細菌では、全てのタンパク質のN末端はメチオニンになります。
しかし、これは翻訳中のタンパク質に限られ、普通は翻訳完了後に修飾を受けて取り除かれます。
メチオニンはN末端以外の位置にも出現します。
硫黄移動経路により、システイン、カルニチン、タウリンの生合成や、レシチンのリン酸化などリン脂質の生成に関与します。
メチオニンの誘導体である S-アデノシルメチオニン (SAM) は、メチル基の供与体として働きます。
植物や微生物は、アスパラギン酸と、システインから生合成を行います。
アスパラギン酸は、β-アスパルテートセミアルデヒドに変換されますが、これはリシンやトレオニンの生合成経路でも重要です。
その後、ホモセリンとなり、更にシステインと反応してシスタチオニンとなります。
シスタチオニンから、ピルビン酸とホモシステインが生成し、
ホモシステインがテトラヒドロ葉酸(THF)でメチル化されて、メチオニンとなります。
補因子として、ピリドキシル-5'-リン酸やビタミンB12を必要とします。
ホモシステインは、メチオニンに戻る経路の他に、システインに変換される経路もあります。
これは、ホモシステインがセリンと結合して、シスタチオニンとなり、その後システインとα-ケト酪酸になる経路です。
更に、α-ケト酪酸は、プロピオニルCoAに変換され、最終的にはスクシニルCoA(コハク酸CoA)へと代謝されます。
プロピオニルCoAは、ビオチン依存性酵素によって(S)-メチルマロニルCoAに変換されます。
(S)-メチルマロニルCoAは、 (R)-メチルマロニルCoAに変換されます。
(R)-メチルマロニルCoAは、スクシニルCoAに変換される(炭素-炭素結合の移動に、コバラミン(ビタミンB12)が必要です)
メチルマロニルCoAは、補酵素Aにメチルマロン酸が結合した形をしています。
奇数個の炭素をもつ脂肪酸は、最後にプロピオニルCoAが残ってしまいます。
プロピオニルCoAは、この経路を経てスクシニルCoAとなり、クエン酸回路に入ります。
葉酸( folate。ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸)
パラアミノ安息香酸(PABA)に、
プテリン(プテリジン類。プテリンの生合成は、GTPから開始します。)と、
グルタミン酸が結合した構造を持ちます。
水溶性ビタミンに分類されます。
葉酸は、ジヒドロ葉酸に還元され、さらに還元されてテトラヒドロ葉酸(THF)が生成されます。
NADPH(ビタミンB3)は、両方の反応の補因子として必要です。
THFは、アミノ酸と核酸の合成に用いられています。
5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10-メチレンTHF)は、
THFに、3つの炭素供与体(ギ酸塩(formate)、セリン、グリシン)の1つからメチレン基を付加されて生成されます。
チミジル酸シンターゼ (FAD)によってチミジン生合成に使われる補酵素でもあります。 THF
5-メチルテトラヒドロ葉酸(5-メチルTHF)は、
5,10-メチレンTHFから、NADPHの存在下でメチレン基が還元されて生成します。
ビタミンB12が、5-メチルTHF唯一の受容体(acceptor)で、この反応で、メチルコバラミンが生成されます。
メチルコバラミンの唯一の受容体は、ホモシステインです。
ホモシステインからメチオニンが再生され、5-メチルTHFはTHFになります。
つまり、次の反応経路となります。
葉酸 → ジヒドロ葉酸 → テトラヒドロ葉酸 ⇔ 5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸 → 5-メチルテトラヒドロ葉酸 → テトラヒドロ葉酸 SAM
5,10-メテニルテトラヒドロ葉酸( 5,10-メテニルTHF )
メテニル基( CH2= )の受容体および供与体です。
メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ(NAD+)または(NADP+)によって、5,10-メチレンTHFから合成されます。
また、ヒスチジンの代謝中間体として、5-ホルムイミノテトラヒドロ葉酸から合成されます。
10-ホルミルテトラヒドロ葉酸(10-ホルミルTHF)は、
5,10-メテニルTHFの酸化や、
ギ酸塩からTHFにホルミル基を供与されることで、合成されます。
同化作用においてホルミル基の供与体として機能します。
プリン体(アデニンやグアニン)の生合成で、2個所のホルミル化の反応に関わります。
また、N-ホルミルメチオニルtRNA(fMet-tRNA)のホルミル化では、メチオニルホルミルトランスフェラーゼの基質となります。
(真正細菌では、開始コドンの AUG は、N-ホルミルメチオニンに対応しています)。
10-ホルミルTHFは、THFとギ酸に分解されます。
DNA合成
葉酸誘導体は、メチル基転移の基質であり、
dUMP(デオキシウリジン一リン酸)からdTMP(チミジル酸 = チミジン一リン酸)の合成にも関わります。
なお、DNAの合成は、dUMP−dTMP−dTDP(チミジン二リン酸)−dTTP(チミジン三リン酸)と進むことで完結します。
葉酸は、DNA合成に必要であり、すべての細胞分裂に必要なビタミンB12が含まれる反応の基質です。
THFは、アミノ酸と核酸の代謝など多くの反応に関わる補酵素です。
1炭素基供与体として機能しますが、この炭素は他の生合成によって合成されたホルムアルデヒドから得られます。
THFは、ホルミル基 (−CHO)、ホルムイミノ基 (−CH2NH-)、メチレン基 (>CH2)、メチル基 (−CH3) など、
1つの炭素原子を含む断片をドナー分子から受け取り、それをアミノ酸や核酸合成の中間体へ渡す役割を担います。
ヒトでは、ジヒドロ葉酸レダクターゼによって、ジヒドロ葉酸から合成されます。
5-メチルテトラヒドロ葉酸(N5-メチルTHF)からの生成
メチオニン合成酵素(MTR)は、補因子であるメチルコバラミン(MeB12)を含み、N5-メチル-THFと、ホモシステインを基質とします。
この酵素反応は二段階のピンポン機構で進行します。
始めに、N5-メチル-THFからのメチル基転移で、MeB12とTHFが生成します。
次に、メチル基がMeB12からホモシステインに転移し、コバラミン(B12)が再生すると同時にメチオニンが生成します。
メチルコバラミンは、メチオニン合成酵素、
アデノシルコバラミンは、メチルマロニルCoAムターゼ(メチルマロニルCoAを、スクシニルCoAへの異性化を触媒する酵素)、の補酵素です。
5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10-メチレンTHF)からの生成 グリシン
グリシン開裂系
セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼによる生成反応
チミジル酸シンターゼ (FAD)による生成
5,10-メチレンTHF + デオキシウリジン一リン酸(dUMP) + FADH2 → チミジル酸(dTMP) + THF + FAD
DNAの合成は、dUMP−dTMP−dTDP(チミジン二リン酸)−dTTP(チミジン三リン酸)と進むことで完結します。
葉酸は、DNA合成に必要で、すべての細胞分裂に必要なビタミンB12が含まれる反応の基質です。
真正細菌の中に、ジヒドロプテロイン酸シンターゼを使ってジヒドロプテロイン酸を合成するものがあります。
サルファ薬などスルホンアミド系抗菌剤は、この酵素の基質である4-アミノ安息香酸(PABA)前駆体と競合します。
ヒトでは葉酸の生合成系がないため、サルファ薬は病原体にのみ選択的に作用します。
S-アデノシルメチオニン(SAM、活性メチオニン 英)
アデノシンとメチオニンから合成される補欠分子族の一種で、メチル基供与体として作用します。
メチルトランスフェラーゼによる、メチル基移動(メチル化)に用いられます。
アデノシンとメチオニンは、メチルスルホニウム結合を介して結合していますが、この結合は高エネルギー結合であり、
このメチル基がコリン・クレアチニンなどのメチル化合物生成に利用されます。
メチル基を失ったS-アデノシルメチオニンは、S-アデノシル-L-ホモシステイン(SAH)となり、ホモシステインに変換されます。
SAMの生産、消費、再生産の反応は、SAMサイクルと呼ばれます。
このサイクルの最初の段階は、SAHを産生することです。
SAHは、ホモシステインとアデノシンに加水分解し、
ホモシステインは、5-メチルテトラヒドロ葉酸(メチルTHF)からメチル基の転移を受けて、メチオニンにリサイクルされます。
メチオニンは、SAMに変換され、サイクルが終了します。
SAMサイクルの律速段階は、MTHFR (メチルTHFリダクターゼ)で、不可逆的に5,10-メチルTHFを 5-メチルTHFに変えます。
ラジカルSAM酵素
鉄硫黄クラスターを含む多くの酵素は、ラジカルSAM酵素という中間体として、
5-デオキシアデノシル5-ラジカルを産生するため、還元的にSAMを開裂します
この特性を持つ酵素は、CxxxCxxCモチーフを含む領域をもちます。
ラジカルSAM酵素は、好気的生物より、嫌気的バクテリアでより豊富にあります。
ラジカルSAM酵素は、
spore photoproduct lyase、
activases of pyruvate formate lyase、
anaerobic sulfatases、
lysine 2,3-aminomutase、
補因子生合成の酵素、ペプチド修飾、金属タンパク質クラスター形成、tRNA修飾、脂質代謝に関する様々な酵素を含みます。
3つの炭素からなる有機化合物で、解糖系やカルビン回路の代謝中間体となります。
1,3-ビスホスホグリセリン酸 ⇔ 3-ホスホグリセリン酸 ⇔ 2-ホスホグリセリン酸
カルビン回路では、2分子の3-ホスホグリセリン酸が還元され、グリセルアルデヒド-3-リン酸を生成します。
これは、カルビン回路で初めての、3つの炭素からなる化合物です。
3-ホスホグリセリン酸は、セリン生合成の前駆体となります。
タンパク質の一部分で、自己触媒的に自身を切除し、
残った部分(エクステイン)がペプチド結合で再結合される(タンパク質スプライシング)ものです。
タンパク質イントロン(遺伝子中のイントロンではありません)ともいわれ、
インテインによるスプライシングは、mRNAが翻訳されてタンパク質になった後に起こります。
インテインは、138 – 844のアミノ酸からなり、すべての生物界(真核生物、真正細菌、古細菌)で発見されています。
ほとんどの真正細菌や古細菌では、代謝におけるタンパク質の核酸?に挿入されて
(to be inserted into nucleic acid metabolic protein)発見されています。
後生動物(metazoan)では、ヘッジホッグ(hedgehog 英。発生で最も重要なモルフォゲンです。)タンパク質に関連しています。
インテインの前駆体は、N-末端側エクステイン、インテイン、C-末端側エクステイン、の3つの部分からなり、
スプライシングによってできたタンパク質も、エクステインと呼ばれます。
インテインは、スプライシングドメインと、多くはホーミングエンドヌクレアーゼドメインを持ちます。
スプライシング
前駆タンパクのインテイン部分における最初の残基(セリン、トレオニン、システイン)の側鎖が、
上流のペプチド結合(N末端エクステインの最後の残基)を求核攻撃し、
線状(linear)エステル(またはチオエステル)の中間体を形成します。
C末端エクステインにおける最初の残基の側鎖が、新たに形成された(チオ)エステルを攻撃し、
インテインのN末端をフリーにした時、エステル交換反応(transesterification)が起こります。
これは、N末端とC末端エクステインが攻撃されて、分岐した中間体(branched intermediate)を形成します。
最後のインテイン残基は常にアスパラギンで、
アスパラギンのアミドの窒素原子が、インテインとC末端エクステインの間のペプチド結合を切り離し、
末端の環状イミドを伴うフリーなインテインとなります。
最後に、C-末端側エクステインのフリーなアミノ基がチオエステルを攻撃し、
N末端とC末端エクステインが結合し、機能的に結合したタンパクを産生します。
ホーミングエンドヌクレアーゼドメイン(HEG 英)
インテインの伝播に関わります。
これは、インテイン(配列)を含まない相同染色体のDNAを切断して損傷修復システムの引き金となり、
組み換え修復の過程でインテイン(配列)をコピーします。
インテイン(遺伝子)は、利己的遺伝要素(寄生的遺伝要素)とされます。
前駆体タンパク質のインテインが2つのタンパク質からできている場合もあり、これは分離インテインといいます。
シアノバクテリアのDnaE(DNAポリメラーゼIIIの触媒サブユニットα)は、dnaE-nとdnaE-cの2つの遺伝子にコードされています。