生活環・・・成長と生殖のサイクル

 

 

 

生活環       :規則的な生活環(単相単世代型・複相単世代型・単複世代交代型・特殊な型)、

                 可変的な生活環(単為生殖・相変異・幼生による生殖)

 

体細胞分裂  : (間期)→前期→前中期→中期→後期→終期

減数分裂     : 減数第一分裂、減数第二分裂

 

染色体        : 細胞周期における染色体、姉妹染色分体、相同染色体、二価染色体

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生活環は、生物の成長や、生殖に伴う変化が、ひと回りする間の様子です。

 

真核生物は、生活を営む時期と、繁殖を行う時期で、核相n 染色体のセット数)が異なります。

 

動物の多くは、生活する体は複相で、減数分裂によって、単相の生殖細胞になります。

 

緑藻類や菌類の一部は、生活する体は単相で、体細胞分裂によって、生殖細胞を作ります。

そして、接合によって複相の接合子を形成します。

 

植物等は、単相と複相の両方の体があります・・・

 

生殖細胞形成=減数分裂、というわけではないようですね・・・

 原核生物単相ですから、元々は、単相単世代型のような気もしますが。

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生活環

規則的な生活環 : 単相単世代型・複相単世代型・単複世代交代型・特殊な型

可変的な生活環 : 単為生殖・相変異・幼生による生殖

 

生活環は、生物の成長、生殖に伴う変化がひと回りする間の様子です。

特に、核相の変化、世代交代等、生殖に関わる部分を見る場合に使われます。

 

生活史という用語は、より生態学的な意味が強いです。

 

生物には、

栄養を摂取し、成長し、生活を営む時期と、

繁殖のための特別な活動を行う時期があります。

 

生物が生活を行う状態になる体を、世代ともいいます。

 

これらを経て、生物はその姿を変えて行きます。

その中で、ほとんど姿を変えず、時に生殖細胞の形になるだけのものがありますが、

何通りかの生殖細胞があり、それぞれから現れる姿が異なるものもあります。

 

特に、生活を営む姿が生殖細胞を隔てて2つ以上ある場合、世代交代といいます。

しかし、それらの姿の出現順番や出現する状況は一定であり、もとの状態に戻ります。

この一回りが、生活環です。

 

生物の生活環には、いろいろな型があります。

動物では、単純で変化がありませんが、

植物や藻類菌類には、多くの型があります。

 

ただし、他の形質から近縁と思われる群において、異なった生活環の型が見られる場合もあるので、

意外に変わりやすい形質の可能性もあるようです。

生活環

 

規則的な生活環

生活環の中で、世代が一つしかないものもあれば、複数の世代をもつ場合もあります。

また、世代の変化と核相の変化が、連動する場合と、しない場合があります。

 

単相単世代型

生活する体は単相で、体細胞分裂によって生殖細胞を作ります。 

 

接合によって複相の接合子を形成し、

発生(孵化、発芽)の前に減数分裂が起きます。

 

緑藻類の、アオミドロ類、シャジクモ類、

菌類では、接合菌類や子のう菌類等があります。 トップ

 

複相単世代型

生活する体は複相で、減数分裂によって生殖細胞を形成します。

生殖細胞の接合による接合子は、そのまま発生(孵化、発芽)し、元と同じ体を形成します。

 

大部分の動物

藻類のケイソウ類、褐藻類のヒバマタ目(ホンダワラ等)、

菌類のツボカビ類、他に卵菌類等があります。

 

単複世代交代型

2つの体がある型です。

 

単相の体は、体細胞分裂によって生殖細胞(配偶子)を作ります。

配偶子は、接合して複相となります。

接合子は、発生(孵化、発芽)し、複相の体を形成します。

 

複相の体は、減数分裂によって生殖細胞を形成し、

生殖細胞は、発生(発芽、孵化)によって単相の体に発達します。

 

この場合、核相の変化に伴う世代交代が存在することになり、

単相世代を、配偶体または有性世代

複相世代を、胞子体または無性世代といいます。

 

二つの世代は、ほぼ同じ程度に発達するものもあれば、両者の大きさが極端に異なるものもあります。

 

種子植物では、配偶体は胞子体の体内に寄生した状態になっています。

 

シダ植物、コケ植物、種子植物や、緑藻類、褐藻類の多く、変形菌等があります。

 

菌類ではツボカビ類のカワリミズカビだけが、これにあたります。

 

特殊な型

紅藻類では、

単複世代交代型に近いですが、配偶体の上で接合細胞が発芽し、小さいながらも多細胞となり、果胞子というものを形成します。

果胞子は発芽して胞子体となります。

つまり、2つの世代の間にもう1つの世代が挟まっており、この世代を果胞子体といいます。

 

担子菌類では、

減数分裂で生じた担子胞子の発芽で菌糸体を生じ、菌糸の接合を行いますが、

接合の後も核は融合せず、二核共存体として成長します。

 

二核菌糸は、二核共存体で成長を続け、子実体を形成して担子器を形成し、

そこで初めて融合し、その位置で減数分裂を行い、担子胞子となります。

 

尚、サビキン類では、寄生生活や季節による宿主の変更を行うものもあり、更に複雑になっています。

 

ただし、実際にはそれぞれの世代が独立して生活活動を行うとは限りません。

 

複相と単相の二つの世代を持つものでも、両方が同等に生活活動をするものはまれで、

片方がはるかに小さいもの、

一方が他方に寄生的に生活するもの、

ほとんど痕跡的なものもあります。

 

被子植物花粉(花粉管)は、配偶体とみなされていますが、

実際には細胞は分かれず、その中に花粉管核と、精細胞が分化するのみです。

これを配偶体という一つの世代と判断するのは、シダ植物との系統関係に基づきます。

 

独立して生活活動を行う体を、栄養体ともいいます。

生活環

 

可変的な生活環

状況や周囲の環境に応じて姿を変えるものです。

この場合、規則的な変遷の形を取らず、出現頻度は不定であったり、季節に対応したりして生じます。

 

単為生殖を含む場合

アブラムシ、ミジンコ等では、

好適な環境下では、単為生殖によって雌が雌を生み、

悪化すると、雄が生じて両性生殖を行います。

 

相変異

バッタは、集団で生活すると、移動型に変化します。

 

カメムシ等で、密度が高まると羽根の発達した個体が出現し、移動するものが見られます。

 

幼生が生殖を行う場合

クラゲでは、幼生のポリプが無性的に増殖をするので、これを無性世代という場合があります。

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 体細胞分裂 減数分裂 染色体

真核生物が行う、細胞分裂の様式の一つです。

 

1個の体細胞(多細胞生物を構成している細胞のうち、生殖細胞以外の細胞)が分裂して、

同じ遺伝情報を持つ2個の娘細胞を生み出す過程です。

 

体細胞分裂のステージは、間期前期前中期中期後期終期、に分類されます。

 

前期から後期に起こる核分裂と、

後期終盤から終期に起こる細胞質分裂に分けられます。

 

前期

分裂期の最初のステージです。

 

核膜は存在しますが、核小体が消失し、染色体凝縮が開始します。

間期に複製された二つの中心体が、モータータンパク質であるキネシンの働きで離れていきます。

細胞骨格として細胞質内であった微小管が一旦崩壊し、

間期で複製されていた二つの中心体の間に多数の短い微小管が再重合し、紡錘体の形成が始まります。

アクチンミオシンIIからなるストレスファイバーも同様に一旦崩壊します。

ゴルジ体の構造が崩れ、断片化を始めます。

体細胞分裂

 

前中期

核膜の崩壊が起こると共に、染色体凝縮が進行し、姉妹染色分体が識別可能となります。

 

離れた二つの中心体が紡錘体極となり、

紡錘体極から伸びた微小管(動原体微小管)が、姉妹染色分体のそれぞれの動原体に結合します。

この時期の染色体は、両極からの動原体微小管との相互作用で、両極の間を行き来します。

体細胞分裂

 

中期

高度に凝縮した染色体が、紡錘体赤道面に並び、中期プレート(中期板)が形成されます。

 

前中期の染色体は、両極からの動原体微小管との相互作用で振動していますが、

染色体の動原体が、すべて紡錘体赤道面に並ぶことで中期プレートが形成されると、

後期に移行し、姉妹染色分体の分離が始まります。

すべての染色体が中期プレート上へ整列することは、後期への移行に必須です。

 

ゲノム情報を均等に分配するために、紡錘体形成チェックポイントが働いており、

均等に分配できるまで後期の移行が起こりません。

体細胞分裂

 

後期

姉妹染色分体が分離し、両極に移動します。

 

離れた姉妹染色分体の間に、中央紡錘体が形成されます。

動原体微小管が脱重合によって縮むことで、それぞれの染色体が紡錘体極へと移動し、

その後、紡錘体極の間に存在する微小管(極微小管)の働きで、紡錘体極の距離が伸びると考えられています。

体細胞分裂

 

終期

体細胞分裂の最後の段階で、紡錘体極へと到着した娘染色体が脱凝縮し、

極微小管の消失、核膜核小体の再形成、ゴルジ体の再形成等が起こります。

体細胞分裂

 

細胞質分裂

染色体分離に引き続いて起こる、細胞質を二分する過程です。

 

後期終盤から終期の段階からみられます。

 

動物細胞の細胞質分裂では、

中央紡錘体に集積したタンパク質群により、

低分子量GTPaseであるRhoが、赤道面の細胞膜のすぐ内側で活性化・集積します。

その後、アクチンフィラメントとミオシンII等、多数のタンパク質からなる収縮環という構造が形成され、

それらの相互作用により収縮し、分裂溝が生じます。

最終的に二つに切断されますが、詳細不明です。

 

植物細胞の細胞質分裂では、

紡錘体の中央部域に、ゴルジ小胞が集まって細胞板が形成され、細胞が二つに分けられます。

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減数分裂

真核生物の細胞分裂の一つです。

生じた娘細胞では、染色体の数が分裂前の細胞の半分になります。

 

減数分裂は、配偶子形成において、遺伝的な多様化を生じさせ、

環境変化への対応や、進化に貢献していると考えられています。

 

体細胞分裂と異なる点は、

染色体の複製の後に相同染色体が対合し、

中間でDNAを複製せずに、二回連続して細胞分裂(減数第一分裂、第二分裂)が起こることです。

 

減数分裂は配偶子形成において、遺伝的な多様化を生じます。

 

更に、遺伝の多様性を生み出す仕組みには、染色体の一部が入れ替わる乗り換え(相同組換え)があります。

乗り換えは、減数第一分裂に行われます。

分子機構としては DNA の二重鎖切断が起きて、DNA修復によってつなぎ直される際に起こります。

 

減数分裂において染色体が正常に分配されない現象は、染色体不分離といい、

染色体数の異なる配偶子を生み出します。

 

減数分裂における染色体の挙動

減数分裂に先立って、

細胞はDNA複製を行い、DNAの量を倍化させ、姉妹染色分体が形成します。

 

減数第一分裂

二本の染色分体からなる相同染色体同士が対合し、二価染色体を形成します。

その後、それぞれの相同染色体は、別々の方向に別れ、第一分裂が終了します(還元分裂)。

 

減数第一分裂前期では、相同染色体の間で乗り換え(交差または交叉)が起こり、一部の配列を取り替えます(組換え)。

相同染色体が乗り換えた部位で形成される構造は、キアズマといいます。

 

減数第二分裂

引き続き、新たなDNA合成を行わず、減数第二分裂が開始します。

第二分裂では、二本の姉妹染色分体が別の方向に別れます(均等分裂)。

 

こうして出来た4個の娘細胞には、それぞれ元の細胞の半分DNAが含まれます。

 

減数分裂により、

組換えによる、様々な遺伝子の組み合わせを生み出し、

しかも異なった組み合わせの染色体を持つ配偶子が形成できます。

 

また、乗り換えの過程そのものが、染色体分離を正常に行わせるのに必須であるようです。

 

脊椎動物の減数分裂周期は、

1. 第一減数分裂前期での分裂停止・ホルモン刺激による停止解除(MPF Cdc2 / サイクリン複合体 ]の活性化)

2. 第一・第二分裂遷移時のS期の省略(サイクリンの部分的分解・再合成等による、MPFの部分的不活性化・再活性化)

3. 第二減数分裂中期での分裂停止(CSFによる、MPFの活性維持)・受精刺激による停止解除(サイクリンの完全な分解等による、MPFの不活性化)

 

という3点で、体細胞分裂周期と異なる、重要な特徴を持っています。

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染色体

細胞周期における染色体

姉妹染色分体

相同染色体

二価染色体

 

遺伝情報の発現と伝達を担う生体物質です。

尚、真核細胞内に存在するDNAとタンパク質の複合体を、クロマチン染色質)といいます。

 

細胞分裂期にみられる、棒状の構造体で、

分裂期の染色体は、一対の姉妹染色分から構成されます。

 

広義では、形態や細胞周期に関わらず、真核生物にある、ゲノムDNAとタンパク質の複合体を指します。

更に、原核生物や、ミトコンドリア等の細胞小器官が持つゲノムを含めて、染色体(核様体)ということもあります。

ウイルスのゲノムも、染色体という場合があります。

 

染色体は、主にDNAヒストンからなります。

 

ヒストンの他にも、多くのタンパク質因子が結合しており、

RNAポリメラーゼのような、基本転写因子や、

特定の遺伝子座に結合し、その遺伝子の発現を制御するもの、

クロマチンの状態を維持または変化させるもの、等があります。

 

トポイソメラーゼは、DNA超ラセン状態を制御します。

 

コンデンシンは、染色体凝縮に、

コヒーシンは、姉妹染色分体の接着に関わります。

 

染色分体同士が、より強固に接着している領域は、セントロメアといいます。

セントロメアをはさんで、

長い側を長腕

短い側を短腕といいます。

染色体の末端部は、テロメアいいます。

 

分裂期には、セントロメア上に形成されるキネトコア微小管紡錘糸)が結合し、染色分体を両極へ牽引します。

染色体

 

細胞周期における染色体 体細胞分裂

前期では、クロマチンが凝縮を開始します。

 

前中期では、核膜が崩壊し、染色体凝縮がさらに進行します。

 

分裂中期では、姉妹染色分体が、セントロメアで、より強固に結合した形態をとります。

細胞の両極から伸びた紡錘糸が、キネトコアに結合します。

 

分裂後期に入ると、姉妹染色分体間の接着が解除され、紡錘糸は各染色分体を細胞の両極に向けて引き離します(染色体分離)。

 

最終的に各娘細胞は、1セットの染色分体を受け継ぎます。

細胞分裂が完了すると、染色分体は再び脱凝縮して、細胞核内に収納されます。

 

核型カリオタイプ

コルヒチン等で細胞を処理し、細胞分裂をM期で停止させてから、ギムザ等の染色を施し、凝縮した染色体を並べたものです。

 

種ごとに一定で、

ヒトの二倍体細胞は、22対の常染色体と1対の性染色体、計46本の染色体を持ちます。

 

有性生殖を行う多くの種は、二倍体 ( 2n ) の体細胞 と、一倍体 ( 1n ) の配偶子を持ちます。

 

雄由来の配偶子と、雌由来の配偶子が接合(受精)すると、二倍体の接合子(受精卵)となり、

体細胞分裂を繰り返して個体を形成します。

 

一倍体の配偶子をつくるための特殊な細胞分裂は、減数分裂といいます。

 

無性生殖で増殖する種の多くは、染色体を1セットしか持ちません。

染色体

 

姉妹染色分体 体細胞分裂 減数分裂

元の染色体と同じ配列(遺伝情報)を持った二本の染色体のペアです。

DNA複製により、細胞のDNA量が倍化した時、形成されます。

染色体

 

相同染色体 減数分裂

二倍体細胞でみられる、互いによく似た(相同な)関係にある2本の染色体です。

相同染色体の一方は母方から、

もう一方は父方から受け継ぎます。

染色体

 

二価染色体 減数分裂

減数第一分裂でみられ、二本の染色分体からなる相同染色体同士が、対合したものです。

つまり、四本の染色分体からなります。

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