リボソーム・・・起源はRNA ポリメラーゼ?

 

 

リボソーム :リボソームRNA、リボソームタンパク質

 

参考 RNAポリメラーゼ、沈降速度

 

 

リボゾームは、mRNAに転写された遺伝情報から、タンパク質に翻訳を行う場です。

 

リボゾームは、大小二つのサブユニットからなります

小サブユニットには暗号解読センターがあり、mRNAのコドンを解読してtRNA と結合させる役割をもちます。

大サブユニットにはペプチジル転移酵素中心があり、ペプチド結合の形成に働きます。

 

大腸菌のDNA依存性RNAポリメラーゼ(ホロ酵素)は、コア酵素と、σサブユニットからなります。

コア酵素は、RNAを合成する部位です。

σサブユニットは、コア酵素を特定の遺伝子に導きます・・・

リボゾームも、大小二つのサブユニットからなりますね。

 

RNAウイルスがもつ、RNA依存性RNA ポリメラーゼは、RNAを鋳型にRNA を合成します・・・

リボゾームは、mRNAを鋳型にしてtRNA を結合します・・・

 

原核生物におけるリボゾームでの翻訳速度は、毎秒20アミノ酸(20×3 60ヌクレオチド)です。

この値はRNAポリメラーゼによる合成速度である、毎秒50100ヌクレオチドに近いです・・・

 

リボゾームの起源は、RNA ポリメラーゼなのでしょうか???(詳細不明)

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リボソーム

リボソームRNA

リボソームタンパク質

 

mRNAの遺伝情報を読み取って、タンパク質に翻訳が行われる場です。

 

全生物の細胞内に存在する構造で、粗面小胞体 ( rER ) に付着しているものと、遊離しているものがあります。

ミトコンドリア葉緑体も、独自に真正細菌のものと類似したリボソームをもちます。

 

原核生物(真正細菌と古細菌)には、細胞核がなく、

転写翻訳同区画で行われるため、リボソームは転写されている mRNA に速やかに集まり、翻訳を開始します。

原核生物の翻訳の平均速度は、毎秒20アミノ酸( 20×360ヌクレオチド)です。

この値はRNAポリメラーゼによる合成速度である、毎秒50100ヌクレオチドに近いです。

 

真核生物では、細胞核と細胞質が核膜によって隔てられているため、

mRNA は様々な修飾を受けた後、リボソームがある細胞質へと移行する必要があります。

真核生物の翻訳は、毎秒24アミノ酸という、ゆっくりした速度で進みます。

 

一本の mRNA に複数のリボソームが連結した状態を、ポリリボソームポリソーム)といいます。

 

リボソームは、大小2つのサブユニットからなる、大きく複雑な構造をしており、

50種類以上のタンパク質(リボソームタンパク)と、

少なくとも3種類のRNArRNA )から構成されています。

 

リボソームの大小2つのサブユニットは、遠心力をかけた時の沈降速度によって命名されています。

 

真正細菌と古細菌では、

小さいサブユニットは、30Sサブユニット

大きいサブユニットは、50Sサブユニットと呼ばれ、

この2つからなる完全なリボソームは、70Sリボソームといいます。

 

真核生物のリボソームは少し大きく、

40Sサブユニットと、

60Sサブユニットからなり、

あわせて80Sリボソームとなります。

 

リボソームの基本的な機能は、全生物でほぼ共通しますが、構造は各ドメインや界ごとに少しずつ異なります。

リボソーム

 

リボソームRNA rRNA

リボソームを構成するRNAで、RNAとしては生体内で最も大量に存在します。

 

rRNAは、タンパク質合成の触媒反応の活性中心を形成しているようです。

 

古細菌や真正細菌の23S rRNAは、

真核生物では二つに分かれており、28S rRNA5.8S rRNAといいます。 沈降速度

 

原核生物のリボソームは、

大サブユニット(50Sサブユニット)には、23S5Sが含まれます。

小サブユニット(30Sサブユニット)には、16SrRNAが含まれます。

 

クレンアーキオータ(5Sが独立)を除き、16S, 23S, 5Sの順に並んだ、オペロン構造を持っています。

 

真核生物では、

大サブユニット(60Sサブユニット)には、一般に28S5.8S5S rRNA

小サブユニット(40Sサブユニット)には、18S rRNAが含まれます。

 

ヒトでは、

28S5.8S18S RNAは、一つの転写単位に由来します。

これはrRNA前駆体という約2 kbRNAであり、RNAポリメラーゼIによって核小体で転写されます。

 

転写されたrRNA前駆体は、snoRNA等の様々なRNAやタンパク質の働きにより、

不要な部分が取り除かれたり、修飾を受けたりしてrRNAになります。

 

一方、5S RNAは、RNAポリメラーゼIIIにより転写されます。

 

rRNAは、それ自体の加水分解やスプライシングを触媒することで、リボザイムとして作用します。

リボソーム

 

リボソームタンパク質

真正細菌が57

ユリアーキオータ(古細菌)が63

クレンアーキオータ(古細菌)が68

真核生物が78、あります。

 

真正細菌のものが、他の生物とやや異なります。

 

真核生物は、古細菌のものをほぼ引き継ぎます(67のタンパク質が共通)が、新たに11のタンパク質が追加されています。

 

リボソームは、コドンに応じてtRNAが運んでくるアミノ酸を連結して、ペプチド鎖を作る反応を触媒します。

 

小サブユニットには暗号解読センターがあり、mRNAのコドンを解読してtRNA と結合させる役割をもちます。

大サブユニットにはペプチジル転移酵素中心があり、ペプチド結合の形成に働きます。

 

ペプチド結合形成の触媒作用の中心的な働きは、タンパク質ではなく、rRNAが担います。

 

rRNAは、リボソーム内部でコアを形成するのに対し、

リボソームタンパク質は、リボソーム表面に存在し、折りたたまれたrRNAの隙間を埋めており、

主に、RNAコアの安定化を担います。

この他、翻訳の開始・終結地点の決定、翻訳の制御・維持等もタンパク質が行っています。

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参考

RNAポリメラーゼ

沈降速度

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RNAポリメラーゼ リボソーム

真正細菌のRNAポリメラーゼ

真核生物のRNAポリメラーゼ

 

リボヌクレオチドを重合させて、RNAを合成する酵素です。

 

DNAの鋳型鎖(一本鎖)の塩基配列を読み取って、

相補的なRNAを合成する反応(転写)を触媒する酵素を、

DNA依存性RNAポリメラーゼ(単に、RNAポリメラーゼ)といいます。

 

真核生物では、DNAを鋳型にしてmRNAや、snRNA遺伝子の多くを転写するRNAポリメラーゼII Pol II

35S rRNA前駆体を転写するRNAポリメラーゼI Pol I

tRNAU6 snRNA5S rRNA前駆体等を転写するRNA ポリメラーゼIII Pol III 、等があります。

 

RNAを鋳型にRNA を合成する、RNA依存性RNA ポリメラーゼもあり、

多くのRNAウイルスや、microRNAの増幅過程に利用されます。

 

鋳型を必要としないものもあります。

真核生物のもつpoly ( A ) ポリメラーゼは、鋳型を必要とせず、

Pol II転写産物の3'末端に、poly ( A )鎖を付加することで、転写後の遺伝子発現を制御します。

 

真核生物RNAポリメラーゼでは、10種類以上のサブユニットから構成されます(基本的には12種)。

 

古細菌RNAポリメラーゼも、サブユニット数が多く、9 14種類あります。

古細菌のものは、Aサブユニットが2つに分かれています。

 

一部のクレンアーキオータには、真核生物の12種類のサブユニットが全て保存されており、

真核生物の持つ3種のRNAポリメラーゼの祖先型と考えられています。

 

真正細菌RNAポリメラーゼは、真核生物や古細菌のものより単純な構成です。

ααββ'ω45サブユニットからなるコアエンザイムに、

σが会合した、ホロエンザイムという形態で、正常なプロモーターを認識します。

 

σサブユニット(σ因子)は、遺伝子上流のプロモーター配列を認識して転写を開始する役割を担います。

RNAポリメラーゼ

 

真正細菌のRNAポリメラーゼ

サブユニット

伸長複合体

 

大腸菌のRNAポリメラーゼホロ酵素は、

2分子のα ( α12 )

1分子ずつのβ、β’、σ、ω サブユニットを含みます。

 

RNAポリメラーゼコア酵素は、σサブユニット以外からなり、RNAを合成する部位です。

 

σサブユニットは、ホロ酵素の特異性を担い、コア酵素を特定の遺伝子に導きます。

真正細菌のRNAポリメラーゼ

 

真正細菌のRNAポリメラーゼサブユニット

 

αサブユニット

RNAポリメラーゼホロ酵素に2つ存在します。

開始段階では、プロモーターのUPエレメントの認識を担います。

伸長段階になると、コア酵素の会合を含む様々な活性をします。

 

αサブユニットのN末端とC末端が独立して

α-NTD

α-CTD、というドメインを形成します。

 

α-NTDは、RNAコア酵素において、他のタンパク質と相互作用します。

α-CTDは、UPエレメントに結合し、DNAとホロ酵素との結合を強固にするようです。

 

βサブユニット

β'サブユニットとともに、転写産物の伸長を担います。

どちらもDNAとの結合部位を持ち、静電相互作用で弱く結合します。

 

DNAとの接続で中心になるのは、β'サブユニットの結合部位ですが、

βサブユニットの結合部位は、その上流に位置し、RNAポリメラーゼの活性を維持します。

 

ホロ酵素の活性部位を構成するタンパク質の一つであり、

補因子であるMg2+と結合する、3つのアスパラギン酸を持ちます。

 

β'サブユニット

転写の開始段階において、RNAポリメラーゼホロ酵素が -11 +1位を巻き戻すことを助け、開放型複合体を形成します。

 

伸長段階では、RNAポリメラーゼホロ酵素のDNA結合を担います。

 

σサブユニット

転写開始段階で、σ因子があると、

RNAポリメラーゼは、不特定のDNA部位(緩い結合部位)に弱く結合し、滑って移動してプロモーターを探します。

これにより、RNAポリメラーゼが転写させる遺伝子の発見が非常に速くなります(σ因子がない場合の100倍)。

 

結合した時の安定性も増し、解離までの半減期が約60分と長くなります(σ因子がない場合1秒以下)。

ホロ酵素とプロモーターの結合定数は、プロモーターによって様々で、転写頻度の違いを生み出します。

 

伸長段階への移行に必要なDNAの巻き戻しも担います。

 

伸長段階に入ると、RNAポリメラーゼは構造を変え、σ因子の結合が非常に弱くなります。

離れたσ因子は、別のコア酵素と結合し、σ因子は再利用されるようです。

 

特別な遺伝子を専任するσ因子もあります。

真正細菌は、成長機能に関する遺伝子(通常の増殖に必要な遺伝子)を転写する主要σ因子( σA を持ちます。

熱ショック遺伝子や、胞子形成遺伝子等も、特別なσ因子が担当します。

多くの種類があるのは、環境条件によって適切な遺伝子群を発現するためとされます。

 

σ因子の領域

領域1から4に分類されます。

 

領域1は、主要σ因子にしか存在しません。

σ因子が、RNAポリメラーゼを伴わずにプロモーターと結合することを阻害します。

σ因子単独の結合は、コア酵素とプロモーター間の結合の阻害につながるため、重要です。

 

領域2は、全てのσ因子に存在し、最も共通性が高いです。

DNAと結合に重要です。

更に領域2.1から2.4に分類されます。

特に重要なのは領域2.4で、これは- 10ボックスに特異的に強く結合します。

 

領域3は、コア酵素とDNA両方の結合に関与します。

領域34をつなぐ連結鎖は、ほとんどの転写で最初に合成されるアデニンとの特異的な結合に関わります。

合成されたばかりのアデニンは、DNAとの2本の弱い水素結合でのみ結合しており、ホロ酵素との特異的な結合が必要です。

 

領域4は、4.14.2に分けられ、ホロ酵素のプロモーター認識において重要であるようです。

真正細菌のRNAポリメラーゼ

 

真正細菌の伸長複合体

真正細菌のコア酵素T. Aquaticus

カニのはさみのような構造をしています。

βとβ'サブユニットは、爪に相当します。

α12サブユニットは、ヒンジにあり、それぞれβ、β'に結合しています。

ωサブユニットは、峰に存在し、β'サブユニットのC末端に巻きついています。

 

触媒活性中心は、βとβ'サブユニットの内部にある活性中心溝で、広さ約25Åです。

ここにはMg2+が、βサブユニット中の3つのアスパラギン酸にキレート結合しています。

この3つは、全ての細菌で保存されています。

 

真正細菌のホロ酵素

1.σ因子( σA )と、β及びβ’サブユニットとの間には、広範囲の相互作用があります。

 

2.σ因子中のドメイン1.1は、割れ目をこじ開けてDNAを結合させると推測されています。

 

3.σ因子中のドメイン34をつなぐループは、RNAポリメラーゼホロ酵素の活性部位に近く、転写産物の出口に存在しています。

このことから、σ因子は、リン酸ジエステル結合の形成や、アボーティブ転写産物の形成に関わる可能性があります。

 

真正細菌のホロ酵素−DNA複合体

ホロ酵素とDNAがなす複合体は、転写時の状態であり、RF複合体といいます。

 

ホロ酵素に結合するDNAは、σサブユニットがある場所を横切ります。

 

ダーストらによる仮説。

DNAの上流で、二本鎖DNAが曲がることによって、DNaseTの標的部位が生じます。

下流領域では、二重ラセンが融解します。

閉鎖型から開放型へと複合体が移行します。

 

開放型複合体では、- 10ボックスがβとβ’ サブユニットの間で融解しますが、

β’舵型構造によって、DNAの再会合は阻止されます。

活性部位には、2つのMg2+が、3つのアスパラギン酸によって支えられます。

 

開放型複合体になったホロ酵素には、内部に通じる5つの通路があります。

 

NTP取り込み通路は、基質であるリボヌクレオチドを、触媒活性中心に入れます。

 

RNA出口通路は、後の伸長段階で合成したRNA鎖の部分を出します。

 

他の3つの通路は、DNAが出入りするために使われます。

下流のDNAは、下流DNA用通路から二重ラセンのまま活性中心溝に入ります。

活性中心溝で、DNA+ 3から2本の一本鎖に分かれます。

 

非鋳型鎖は、非鋳型鎖用通路( NT通路 )を抜けて、ホロ酵素の表面に沿って進みます。

 

鋳型鎖は、触媒活性溝を突き進み、鋳型鎖用通路( T通路 )から外に出ます。

 

2つの一本鎖は、ホロ酵素の後方にある上流DNA - 11の位置で、二重ラセンに戻ります。

真正細菌のRNAポリメラーゼ RNAポリメラーゼ

 

真核生物のRNAポリメラーゼ リボソームRNA 核小体低分子RNA

真核生物にはRNAポリメラーゼT、U、V3種類のRNAポリメラーゼがあります。

 

RNAポリメラーゼTは、

rRNA前駆体を合成します。

 

RNAポリメラーゼUは、

タンパク質をコードするmRNAの他、

ヘテロ核内RNA hnRNA )や、

核内低分子RNA snRNA )の大部分を合成します。

hnRNAsnRNAは、成熟mRNAの合成に関わります。

 

RNAポリメラーゼVは、

tRNA

5S rRNA

ポリメラーゼIIとは別のsnRNA前駆体、の合成を担います。

 

細胞内の分布も別で、

RNAポリメラーゼTは核小体にだけ、

UとVが核質にだけ存在します。

 

細菌は、開始因子が一つ( σ因子 )だけですが、

真核生物では複数の基本転写因子 GTF )を必要とします。

 

RNAポリメラーゼUについて。

RNAポリメラーゼUのサブユニット

1. 真正細菌の酵素に構造・機能とも類似するコアサブユニット

2. 酵母では3種類の核内RNAポリメラーゼ全てにある共通サブユニット

3. 酵素活性に必須ではない、非必須サブユニット

 

RNAポリメラーゼUの立体構造

全体の構造は顎のようで、酸性のDNAをくわえる深い溝があります。

このため酵素表面は酸性であるのに対し、溝には塩基性残基が並びます。

 

触媒活性中心には、2個のMg2+があり、メタルAと、メタルBがあります。

メタルAは、3個のアスパラギン酸と強固に結合しています。

メタルBは、基質のリボヌクレオチド三リン酸と結合します。

 

真正細菌同様、RNAポリメラーゼUにもポア1という、合成したRNAを出す出口があります。

ポア1外縁には、出てきたRNAを切断するTFUSと結合するアミノ酸が並びます。

一方、入り口は14Åにもある、クランプモジュールが回転することによって開閉されます。

プロモーターは酵素表面でほどかれ、相補鎖を外に残して、鋳型鎖が溝の中へ誘導されます。

 

RNAポリメラーゼUの伸長複合体

単独のクランプモジュールは開いており、外から活性中心に近づけましたが、

伸長複合体のクランプモジュールは、DNAが酵素から離れないように閉じ、鋳型鎖と転写産物を覆います。

 

メタルAは、新しく付加された2つのリボヌクレオチド間のリン酸に結合できる位置にあります。

まっすぐに伸びた状態では、基質のリボヌクレオチド三リン酸が入れるよう、ポア1は開いています。

曲がった状態になると、活性中心は閉ざされます。

 

酵素表面でほどかれた鋳型鎖は、RNAと二重ラセンを形成しますが、

ラダーというタンパク質により、9bpに制限されます。

それ以上付加されると、塩基対形成している最後のリボヌクレオチドがDNAから離れ、RNAの出口から抜け出します。

 

DNAも別の出口で脱出し、鋳型鎖と非鋳型鎖は、二重ラセンに戻ります。

RNAポリメラーゼ 参考

 

 

沈降速度

遠心力をかけた時の沈降速度です。

沈降速度に使われる単位は、スベドベリSvedbergS )で、

Sが大きいほど沈降速度が速いです。

 

沈降速度は、質量と形態の両方で決まるため、

大小2つのサブユニットからなるリボゾームの沈降速度は、サブユニットの和になりません。

 

スベドベリ単位は、rRNAを区別するのにも使われます。

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