かってにおすすめベスト3

ひと口に歌舞伎と言ってもいろいろありんす。
そこで、実際に見た演目の中から、わっち流の勝手な切り口でそれぞれベスト3を選んでみました。
本来ベスト3に入りそうな演目が入ってないので
通の方にはお目汚しですが、ビギナーさん向けということでどうかご勘弁を
(なんせ、わっちがビギナーに毛の生えた程度なんで)
そうそ、好みは偏ってます(笑)だぶらないように気をつけたつもりですが・・・。

「あ、これ興味があるなぁ」と思ったら、演目をクリック。より詳しい演目紹介にジャンプします。

【歌舞伎らしい歌舞伎】
「これぞ歌舞伎って、何?」というような難しい問いに答えるのは、本当にすんごく難しい。
とりあえず、わっちがおすすめするベスト3はこれ。

白浪五人男
文句なく面白い、かっこいい。名ぜりふが聞ける。大仕掛けも見もの。

勧進帳
ほんとは、これ、いちばん歌舞伎らしからぬ演目ではないかとも思っているが、
上演回数が最も多いらしい。徹底的に構成された美の舞台は必見。

廓文章
和事の典型と言われてる。上方歌舞伎らしく、はんなり、おかしい。

【時代物ベスト3】
時代物が堪能できるようになったら歌舞伎通と言えるのかもしれやせん。
わっちゃぁ、まだまだ「何て言ってんのぉ?」でやんす。先は遥かに遠いぜ(苦笑)

義経千本桜
通しで見られるなら見たほうがいい。
三大狂言と言われる演目のひとつ。さすがに傑作なり。

壇浦兜軍記
通称「阿古屋」。こんなシュールな舞台があっていいのかー!っと目が点に。
時代物の堅そうなイメージに惑わされちゃダメだ、と思わせた演目。

源平布引滝
「義賢最期」の場面。壮絶。かっちょええ。くぅーッ!

【世話物ベスト3】
な〜んも考えずに並べると、白浪五人男+鶴屋南北になってしまうんで(苦笑)
それは避けようということで・・・。

夏祭浪花鑑
BGMが効いてる舅殺しの場。祭り囃子とともに見てる方の気持ちも高ぶる。
お辰の決めぜりふは言ってみたいナンバーワン。いちど聞いてみて。

野崎村
お染、久松、お光の三角関係。身を引くお光がけなげで哀れ。涙を誘うざんす。

女殺油地獄
放蕩息子の衝動殺人か!? 油にまみれ滑って転んでの殺し場が見もの。

【舞踏劇ベスト3】
わっちゃぁ基本的に踊りが苦手なんですわ。すぐに寝る。気がつくと終わってる(自爆)
お弁当で腹ふくれた後だからなぁ・・・(言い訳)。
そんなわっちが寝なかったものから3つ。

高坏
酔っぱらって下駄でタップ(!)を踏む。芸なり。めちゃくちゃ面白い。

鏡獅子
踊りが苦手なわっちの目も覚めた。特に、獅子になっての出端は鳥肌ものなり。

船弁慶
静の静御前と動の知盛の怨霊をひとりで踊り分ける。最後の引込みがすごい!

【鶴屋南北の歌舞伎】
生世話の生みの親とも言われる大南北。
歌舞伎の戯作者の中ではいちばん好き、だぁ〜い好きっ。
3つに絞るのが難しい。困っちゃうな〜♪

盟三五大切
色のために忠義を棒に振った男の凄まじい復讐劇。壮絶なり、よ。殺し場とその後が。

絵本合法衢
仇討狂言だけど、そこは南北、普通じゃない。主役は悪行の限りをつくす大悪人。善人ほどあっけなく死ぬ。

桜姫東文章
稚児の生まれ変わりのお姫さまの波乱万丈の物語。めちゃおもろい。

【名ぜりふの歌舞伎】
うたうような七語調の名ぜりふの数々を聞くのも歌舞伎の醍醐味。
つーことで、名ぜりふ(え、どこがどのように?っつーのは分からん・苦笑)あり、
と言われてる演目はこちら。

白浪五人男
また出たよ(笑)でも、これに関しちゃぁ、わっちも文句はないざんす。

与話情浮名横櫛
死んだはずだよ、お富さん♪(知ってる?)の芝居でござんす。

三人吉三廓初買
和尚、お坊、お嬢の、いずれも吉三という名をもつ三人のワルのお話。


【変化もの】
異類のものたちが人間に姿を変えてあらわれる。けっこう多いですよ、歌舞伎って。
そんな変化ものの中から、印象的な芝居をかってに3つ。

義経千本桜
親の皮でできた鼓を慕う子狐の心根がいじらしく泣ける。けれんも見もの。

芦屋道満大内鑑
葛の葉と呼ばれる演目。安部晴明の母(実は白狐)、わけあって夫と別れるはめに。
   泣く泣く口に筆をくわえ(!)障子に別れの言葉を記す。

京鹿子娘道成寺
白拍子花子、じつは清姫。恋の妄執から蛇体と化して安珍を追いかける。

【納涼歌舞伎】
こわ〜い話だといっぱいありすぎるんで、ポピュラーな幽霊物を選んでみました。
いずれも皆さん御存知のものでやんしょう。にしても、女ばっかしだなぁ。

東海道四谷怪談
お岩さん。仕掛けもいっぱい。怪談物はこれがいち押し。

怪談牡丹燈籠
お露さん。三遊亭円朝の怪談噺、ゲタの音がカラ〜ンコロン、が原作。

播州皿屋敷
お菊さん。一枚、二枚、三枚・・・。ひぇ〜っ。って、実は嬲りモノだったりする。


【ケレン味たっぷり】
目を引きつけて離さない、先人達の知恵がいっぱい。
歌舞伎にケレン味がなかったら、ここまで好きになっていたかどうか疑わしい、とぞ思ふ。

義経千本桜
狐の忠信がさまざまなケレンを見せる、通称「四の切」がいちおし。

於染久松色讀販
別名、お染の七役。ひとり七役の早替りがお見事。南北の作。

加賀見山再岩藤
骸骨が人間になる骨寄せから、宙乗りでの引っ込みにかけてが見もの。

【舞台装置が絶景かな】
歌舞伎って舞台装置もすごいんですよ。
目を見張るような大掛かりな演出のあるものから、だぶらないように選ぶとこうなった。

楼門五三桐
「絶景かな♪絶景かな♪」は、これに出る石川五右衛門のせりふなりよ。

妹背山女庭訓
山の段。客席が川になっちゃう。吉野川の鮎になったつもりで見る(笑)

白浪五人男
ダブらないように、とか言いながら、やっぱ極楽寺の場面は外せんのだぁ。

【文豪が作った歌舞伎】
なんと、文豪と呼ばれる作家たちも歌舞伎を書いてましたとさ
(原作を脚色したのもあるけど・・・)
で、実際に見たことのあるものの中から3つをチョイス。

鰯売恋曳網
三島由紀夫作。笑えるです、意外にも。いちばん歌舞伎らしいかな。おすすめ。

ぢいさんばあさん
森鴎外の原作。しみじみ。それにしても、何とかならんかったのか、タイトル(苦笑)

十五夜物語
谷崎潤一郎作。ん〜。あんまり印象にない。ってことは、ぢみ?(爆)

【タイトルが面白いじゃん♪】
歌舞伎のタイトルの中にはすごくしゃれた、とゆーかダジャレの域(?)に達してるのもある。
客の期待感をあおろうとしてるわけで、広告コピーとも言える、かも?

忍夜恋曲者
「しのびよる、こいは、くせもの」と読む。いい感じ。

心謎解色糸
「こころのなぞ、とけた、いろいと」と読む。南北作品。

謎帯一寸徳兵衛
「なぞのおび、ちょっと、とくべえ」と読む。同上、南北作。

<番外>
慙紅葉汗顔見勢
「はじもみじ、あせのかおみせ」と読んだだけでは「?」だが、これ別名は「伊達の十役」。
ひとり十役の早替りで忙しいったらありゃしない。
紅葉のように真っ赤になって大汗たらたらの顔をお見せしますよ、
はずかしながら。つーことなんですねぇ(笑)

【迷ぜりふ】
いわゆる「名ぜりふ」じゃあござんせん。
「なぁにぃ? ねー何よ、それぇ?」と目が泳いじゃったせりふでんがな。あしからず。

びびびびび〜
小娘が「あっかんべーっ!」するときの言葉なり。けっこう可愛いんである。

しぇ〜っ
驚いた時なんかに発する言葉。女形が海老ぞりになって言うんでありんす。

ヤットコトッチャ、ウントコナ
荒事で聞く言葉なんだけど、何、これ?(爆)「よっこらしょ」みたいな意味かしらん?



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