さんもんごさんのきり
楼門五三桐【別の名前】
ごさんのきり
五三の桐
【見どころ】
さしたる筋はないので、やはり舞台美術が見ものでしょうな。
十五分程度のいたって短い舞台に、絢爛たる歌舞伎の醍醐味が凝縮されておりやす。
幕があいたと思ったら、また水色の幕(浅葱幕)。
それを振り落とすと、突然、眼前に満開の桜をバックに南禅寺山門が出現する。
一瞬にして、春らんまんの世界に放り込まれたような印象で、
まさに「絶景かな、絶景かな」とはこのことなり。
あとの山門のセリ上げも「おおっ!」ってな感じ。はじめて見たときは感激したよ。
【あらすじ】
上演される「楼門」の場だけ紹介。とはいえ、筋らしい筋はなし。
「楼門」
都を一望できる南禅寺山門上に住んでいた石川五右衛門は、
煙管をくゆらせながら悠然と花見をしていた。「絶景かな、絶景かな」
そこへ、なぜか真柴久吉が現れる。
五右衛門「石川や浜の真砂は尽くるとも」
真柴久吉「や、何と」
五右衛門「世に盗っ人の種は尽きまじ」
で、両者顔を見合わせて、最後に「巡礼にご報謝」(←意味不明なり。苦笑)。
・・・。何が何やらさっぱしわからん(爆)
このワケわからんちんなとこが、何とも歌舞伎ちっくなんだわねぇ(笑)
【うんちく】
安永7年初演。作者は並木五瓶。
石川五右衛門を主題にした原作は壮大なスペクタクルロマンらしい。
真柴久吉に侵略された明国の王の息子が石川五右衛門その人で、
復讐をしようと久吉をつけ狙うという話である。
その二幕目にあたるのが、現在よく上演される機会の多い「楼門」。
五右衛門が上で、久吉が下で決まる幕切れの見得は、「天地の見得」と呼ばれる。