たかつき
高坏


【見どころ】
そりゃもう、下駄でのタップダンス! お見事!と言うより他にないざんす。
日本舞踊ってゆったりのタメが苦しそうだなぁ・・・なんて思っちゃうんだけど、
これは実にリズミカルで、笑いも弾ける本当に珍しい舞台でありんす。
次郎冠者と高足売りのやり取りもユーモラスで笑える。

【あらすじ】
とある大名、供に太郎冠者と次郎冠者を引き連れ花見に出かけた。
酒宴を開こうとしたが高坏(食物や盃をのせたりするのに使う足つきの台のこと)がない。
買ってこい。大名は次郎冠者に命じた。さてこそ困った!のは次郎冠者。
なんせ高坏がどういうものか知らないのだ。
無知なものだから、ずる賢い高足売り(高下駄を売る行商人)の言うことを真に受け、
預かってた酒も高足売りといっしょに飲んで、したたかに酔っぱらってしまう。
高坏の代わりに高足を買い、しかも酒を一滴残らず飲み干されたとあっては
大名は怒りが収まらない。次郎冠者を追い掛け回すが、
酔っぱらった次郎冠者は高足を踏み鳴らし陽気に踊り狂うのだった。

【うんちく】
いちおー見た目は松羽目物だが、まったくのオリジナル作品。
昭和八年(1933年)の初演当時に流行っていたタップダンスを
歌舞伎に取り入れて、名優と言われる六代目尾上菊五郎が次郎冠者を演じた。
六代目は2回しか演じなかったそうだが、それを継承したのが故・中村勘三郎。
現在は、亡父の芸を受け継いだ中村勘九郎の当り芸になっている。