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漢方をもっと身近に

西洋薬と東洋薬のハイブリットにより、
より効果的で安全な治療を。

ビタミン

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ビタミンは5大栄養素の一つで、食事などで摂取する必要がある成分です。

アルファベットのAから順に付けて分類されていましたが、発見当時はビタミンと思われていたものが、微かながら体内合成されていたり腸内細菌が合成していることが判明し、ビタミンの区分から外されたものも少なからずあります。

ここでは、正式なビタミンと、削除されたけれども微量な必要成分とされているものを紹介します。

水溶性ビタミン

水に溶ける成分で、尿中に出ることから排泄されやすく、欠乏症が起こりやすい特徴があります。

蓄積しにくいために過剰症が問題になることはありませんが、備蓄がないので継続的に摂取する必要があります。

ビタミンB1

コカルボキシラーゼとしてTCAサイクルに必須の成分です。欠乏すると、脚気・糖質代謝異常やコルサコフ症候群・ウエルニッケ脳症などの認知症と似た症状を起こすことがあります。

ビタミンB2

FADという酸化還元反応の補酵素です。欠乏すると口内炎・口角炎・角膜炎や脂漏性皮膚炎が起こります。

ビタミンB6

アミノ基転移・脱炭酸反応の補酵素です。ヒスタミン・GABA・ドパミンの合成に関与しており、脳関門通過前にレボドパをドパミンに変換しますのでパーキンソン病を治療中の人には影響することがあります。グリコーゲン分解やヘム合成、副腎皮質ホルモンの作用抑制にも関係します。欠乏すると蕁麻疹・湿疹・貧血・痙攣や末梢神経障害を起こします。

ビタミンB12

核酸合成・アミノ酸代謝・メチル基転移反応に関与する成分です。欠乏すると巨赤芽球貧血・神経障害・精神障害や消化器粘膜の異常などを起こします。

ナイアイシン

ニコチン酸とも言い、昔はビタミンB3とも呼ばれていました。脱水素反応に関与するNAD・NADPの構成成分です。欠乏すると、ペラグラと呼ばれる光過敏性皮膚炎・下痢・口内炎や認知症症状を起こす場合があります。

パントテン酸

ビタミンB5と呼ばれていた成分で、アセチル化反応に関与するアセチルCoAの構成成分です。欠乏すると、頻度は低いものの、副腎機能の減退・神経障害・弛緩性便秘を起こします。

ビオチン

ビタミンB7やビタミンHと呼ばれていた成分で、糖質代謝や脂質代謝に関与しています。腸内細菌が合成したものを吸収していますので欠乏することは少ないようですが、欠乏で皮膚炎を起こす可能性があります。

葉酸

ビタミンB9やビタミンMと呼ばれていた成分で、糖質代謝・脂質代謝およびDNA合成に必要な成分です。胎児期に欠乏すると神経管欠損が起こりますので、妊婦には積極摂取が推奨されています。また、欠乏ではビタミンB12と同様に巨赤芽球貧血が起こります。メトトレキサートやサルファ剤は葉酸を阻害して作用する薬ですので、併用すると薬効が低下する可能性があります。

ビタミンC

酸化還元系・チロシン代謝・ステロイド合成・電子伝達系やコラーゲン・軟骨等の細胞間質の維持などに関与する成分です。欠乏症は壊血病という血液凝固障害が有名ですが、倦怠感・衰弱・下肢や腰部の疼痛を起こす場合もあります。

ビタミンP

血管を強化するリチン・クエルセチン・ヘスペリジンなどの総称です。欠乏すると紫斑などの微小出血を起こします。

チオクト酸

αリポ酸とも呼ばれ、αケト酸の酸化的脱炭酸の補酵素です。ビタミン様物質とされ、一時期ダイットに効果があるかのような宣伝がされましたが、その効果は否定されています。

脂溶性ビタミン

油に溶けやすい、つまり水に溶けにくい成分で、尿中排泄されずに脂肪組織に蓄積されやすいので、過剰症を起こす可能性があります。

体には必要な成分ですので、摂取が少ない状況が続けば欠乏症も起こります。

ビタミンA

上皮組織の代謝や骨・歯の成長に関与し、ロドプシン(網膜で光を感じる色素)の生成原料でもあります。欠乏すると、結膜や皮膚の乾燥症・新生児歯牙形成不全・夜盲症を起こします。過剰では催奇形性があり、乳幼児脳水腫・頭蓋内圧亢進も報告されています。

ビタミンD

腸管からのCaやPの吸収促進・尿細管のCa再吸収促進・骨へのCa沈着に働く成分です。欠乏症は、小児では骨の形成不全でO脚や猫背になるくる病・成人では骨軟化症や乾燥性皮膚炎があります。過剰では、高Ca血症・石灰沈着・腎障害などを起こします。

ビタミンE

抗酸化物質であり、過酸化物の生成を阻害します。末梢循環改善や血中脂質低下を目的に使用されます。欠乏した場合、ネズミでは不妊症が確認されていますが、人間では今まで確認された欠乏症はありません。確定的な過剰症も今まで報告されていません。

ビタミンF

必須不飽和脂肪酸(リノール酸・リノレン酸・アラキドン酸など)の別称です。

ビタミンK

血液凝固因子合成の必須成分で、欠乏すると血液凝固障害が起こります。また、骨形成を促進する作用もあります。確定的な過剰症は報告されていません。抗凝血薬ワルファリンの服用中は、摂取を控える必要があります。

必須ミネラル

こちらも5大栄養素の一つで、外からの摂取を必要とする成分です。

不足すると欠乏症が起こりますが、多過ぎても過剰症が起こりますので、大量に摂取すれば良いというものではありません。

分子量が大きい=原子番号が大きいミネラルほど、吸収されにくく排泄されにくい傾向があります。

主要ミネラル

1日あたりの必要所要量が100mg以上のミネラルです。

体組織の構成成分になっていたり、イオンが情報伝達の役割を担っているもので、以下の7種があります。

  • イオウ(S)
  • 塩素(Cl)
  • ナトリウム(Na)
  • カリウム(K)
  • マグネシウム(Mg)
  • カルシウム(Ca)
  • リン(P)

微量ミネラル

1日あたりの必要所要量が100mg以下のミネラルです。

酵素やホルモンの構成成分になっているものが大部分で、以下の9種です。

  • 鉄(Fe)
  • 亜鉛(Zn)
  • 銅(Cu)
  • マンガン(Mn)
  • ヨウ素(I)
  • セレン(Se)
  • モリブデン(Mo)
  • クロム(Cr)
  • フッ素(F)

フッ素を除けば分子量が大きいものが多く、吸収されにくく排泄されにくい成分です。

輸液によって栄養補給している場合には、不足に注意する必要があります。

今までセレンを補給する薬がありませんでしたので、特に不足しやすいミネラルとされていましたが、2019年2月に亜セレン酸Naが補給薬として承認されましたので対応しやすくなりました。


必須ミネラル16種の中で、イオウ・塩素・フッ素を除く13種には、摂取基準量が定められています。

漢方薬

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東洋医学と西洋医学

漢方薬とは、東洋医学において使用される薬です。

今まで紹介してきた薬の多くは、西洋医学において使用されるものであり、漢方薬よりも新しい薬という意味から新薬と呼ばれます。

根底となる学問が違いますので、新薬と漢方薬には大きな違いがあります。

歴史的には、新薬は自然の薬草や薬石から有効成分を取り出し、さらに改変を加えることで発展してきました。

よって、大部分は単味成分で、特定の作用が強くて適応が狭いという特徴があります。

対して漢方薬は、望む作用を相乗効果が高め・望まない作用を拮抗作用で弱めるために、様々な生薬を組み合わせて作られています。

よって、大部分は多味成分で、作用は穏やかで適応が広いという特徴があります。

本来の使用方法にも大きな違いがあります。

西洋医学では、診察や検査によって病名を決め、その病気に伴う部分的な不調を是正することで治療します。

東洋医学では、問診・望診・切診・触診などによって証を見定め、その証に合った薬で自然治癒力を発揮させて治療します。

今の日本の医療制度は西洋医学に則っていますので、証という概念がなく、保険適応のルールに従うためには、漢方薬を新薬のように病名に合わせて使用するしかありません。

漢方に関する詳しい紹介は「役立つ漢方」に記載していますので、そちらを参照してください。

代表的な漢方処方

煎剤や湯剤では生薬を自由に組み合わせて調合することも可能ですが、すでに散剤や錠剤となっているエキス製剤の方が服用しやすく保存性も良いためによく使われます。

保険適応が可能なエキス製剤は、現在のところ148種あり、よく使用される漢方処方名を列記します。

  • 葛根湯
  • 麻黄湯
  • 小青竜湯
  • 小柴胡湯
  • 麦門冬湯
  • 大建中湯
  • 六君子湯
  • 抑肝散
  • 防風通聖散
  • 八味地黄丸
  • 当帰芍薬散
  • 加味逍遥散

ここで一つ一つ解説しては膨大になりますので、個々の処方については「役立つ漢方」の処方解説から検索してください。

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