〓 | あのウルトラQのマンジョウメさんかなと思ったら、マキメさんだった。話はめちゃくちゃ面白い。大阪の人間なのでよけいにそうかもしれん。もっともグッときたのは浜寺公園駅。子供のころから慣れ親しんだ浜寺公園駅が小説に登場するとは。東京駅と同じ建築家・辰野金吾が設計したらしい。南海電車とともに過ごしてきた者にとっては大変うれしい。心配なのは、現在南海電車は高架工事が進んでいて、浜寺公園駅は北から南から挟み撃ちにあっている。あの駅舎は残してくれよ〜。。 |
〓 | 自分というものもけっこう思い込みでできていて、その逆手をとってやろうということ。先ずは自分の<白紙化>。そしてプラスの自己イメージをつくる。キーワードは<尊敬できる自分>になること。 |
〓 | 上祐史浩がオウム真理教に入るきっかけ、また麻原彰晃への帰依から払拭までを語る。宇宙開発事業団に入るも、<その宇宙開発の結果が宇宙戦争に使われるのではないかという疑問があった。しかしオウム真理教には、当時の私にとって、解脱・悟りという人間の精神面の改革があるように思えた。それによってしかほんとうに幸福にはなれないんじゃないかと、当時の私には本当らしい主張に思えたんです>。そして、<自分はこの世で必要な存在になれる>という自尊心を刺激されたという。他人ごとではない、と感じる。幸せになる、自分の存在を価値あるものにするという魔力がそこにあった。 |
〓 | シリーズ第4弾。今回は全て江戸川乱歩だ。『孤島の鬼』、『少年探偵団』、『押絵と旅する男』。『孤島の鬼』はもちょっと本の中味も語って欲しかった。筒井康隆も『みだれ撃ち涜書ノート』の中で大絶賛している本である。『少年探偵団』のBDバッチ、いいなあ。いっぺん見てみたい。自分も江戸川乱歩に夢中になったのは、知り合いに借りたポプラ社の怪人二十面相シリーズだ。それから同じポプラ社のホームズ、ルパンシリーズへ続く。まあお決まりのコースかな。『押絵と旅する男』、大人になってから読んだ。これは春陽堂の文庫版。今回は、栞子さんのお母さんもけっこう活躍する。不仲なのは変わりないが。ポプラ社の本で今もうちあるのが、『宇宙怪人』、『鉄人Q』、『二十面相の呪い』、『魔術師』の4冊。背表紙が蜘蛛マークなのは『宇宙怪人』だけだった。あとは西洋兜マーク(2013.11.3)。よくよく確認してみるとちょっと違っていた。ポプラ社の江戸川乱歩は7冊、家にあった。背表紙の蜘蛛マークは『青銅の魔人』と『宇宙怪人』。西洋兜マークなのは『鉄人Q』と『二十面相の呪い』と『魔術師』。あと「名探偵シリーズ」として『呪いの指紋』と『大暗室』。この2冊の背表紙は小林少年っぽい(2013.12.17)。 |
〓 | 大沢在昌の新宿鮫シリーズの第3弾。読み終わってタイトルの意味がわかる。ぞ〜っとする。今回鮫島が相手にするのはすご〜く地味だが、すご〜く怖い。この怖〜い奴、やってることは凄まじいが、その心にあるものは決して否定はできない。しかしながら、表現が極端過ぎるので、決して社会が受けいられるものではない。人物の外見にしろ、その武器にしろ、すご〜く地味なのがいい。何しろ、<おばちゃん>だもの。 |
〓 | 表題作の『ティファニーで朝食を』。オードリー・ヘップバーンの映画もちゃんと見てないが、なんとなくオシャレな話かなと思っていたら、そうではなかった。主人公のホリー・ゴライトリーは奔放と言うか、波瀾万丈と言うか、孤独と言うか、つっぱってると言うか、戦ってるなあという感じがする。後悔もするが、自分で切り開いている。強くあろうとする女だ。そこがいい。『花盛りの家』のオティリーも戦うぞ。売れっ子の娼婦であったが、花盛りの家に嫁に行く。だがそこの姑にいやがらせをされるが怯まずに戦う。娼婦の仲間が連れ戻そうとするが思いとどまる。『ダイヤモンドのギター』。囚人農場にキラキラにデコされたギターを持った新人がやってきた。一目おかれた囚人シェーファーと共に脱走を試みる。だがシェーファーは途中で倒れ置いてきぼりになる。『クリスマスの思い出』。20年以上も前、当時7歳であった僕と親友であった60過ぎのいとこのおばさんの友情物語。2人でフルーツケーキを作り、クリスマスツリーを切り倒してきて飾った思い出話。子供のような彼女がかわいらしい。 |
〓 | <工業化社会からポスト工業化社会へ>という視点から現在日本の社会状況分析と社会運動の歴史をしめす。またそれだけにとどまらず、これまでの世界の科学、哲学も含めてすべてを解説してやろうという意気込みにあふれた本になっている。かと言って難解なものではなく、個々の学説もわかりやすく説明している。少々分厚い新書であるが、この社会を大掴みに知ることができる。で、こんな社会を変えるには?てことなんであるが、やはり自分が動くということ。デモに参加することもその1つであろうが、自分で社会を作ることは楽しいということを先ず言いたいんだろうな。我慢してないで、自分で行動を起こせばやりたいことができる。その方が楽しいよ、と。しかしそれは当初自分で考えた思い通りのものではなく、著者のいう<再帰性が増大している><作り作られる社会>であることがポイントかな。 |
〓 | 大沢在昌の新宿鮫シリーズの第2弾。台湾のヤクザ・葉が、台湾の<毒猿>呼ばれる殺し屋に狙われる。舞台はもちろん新宿だ。それを阻止しようとこれまた台湾の警察官・郭がやってくる。自分と価値観が似ていると感じた鮫島は郭とともに<毒猿>を追う。鮫島も郭も真摯であるが、組織よりも職務を優先させる。だから上層部からは煙たがられる。<人には、生きている証しを手にする権利がある。と鮫島は信じていた。それは、晶との恋愛であり、警察官としての職務遂行だった>。それにしても<毒猿>は強い。マンションでの格闘、そして新宿御苑、台湾閣での格闘は凄い。必殺技はあのアンディ・フグも得意だった「脳天踵落し」だ。 |
〓 | いきなリ<目標は低く持ちましょう!>、<人生は早めに諦めましょう>とくる。サブタイトルは『人生を100倍ラクにする方法』なんで、確かに楽になれそうだ。なんか消極的で、しっかりせぇよという声が聞こえてきそうであるが、思い悩んでいる人には、これで助かることもありそうだ。深く考えずに世間体を気にしてのことや、考えようによっちゃどーでもいいことに対して不必要な頑張りをなくすにはいい。まあそれだけではない。第3章の『賢く自由に「お金」とつきあう』など無駄を省くエコな考えのヒントもいろいろとある。「太陽と北風」で言えば太陽のようで、父性愛ではなく、母性愛を感じる本だ。 |
〓 | 「アイスキャンディ」と呼ばれる覚醒剤を巡り、新宿署防犯課の刑事・鮫島と藤野組の角、そして香川財閥との対決のお話。厚生省麻薬取締官・塔下は組織的には商売敵ながらも、鮫島との人間関係で協力体制を築いていく。またこの物語には平瀬という厄介者が登場する。やくざ社会からも「何をやっても半人前」、「妙に度胸のすわった薄気味悪い奴」と思われ、組織の中で伸びていけない奴。厄介者の集まりのやくざ社会からももてあまされる奴。香川財閥に単独で挑んでくる奴だ。そういう男はどんな奴か?との香川昇の問いかけに、元刑事は<カタギの社会と同じですわ。組織のタテマエよりも自分の本音を優先させる奴です>と言った。この言葉が妙に印象に残った。新宿鮫シリーズ、他の作品も読みたくなった。 |
〓 | そう言えば彼が所属している3人でやっている会社名も「ゼント」という。書名とかぶっているが、関係ないか。古市憲寿は、一見なよっと、ふわっとしているが、なかなか冷静だ。というか冷静過ぎるくらいだ。本書の内容は今はやりの?<起業>について。社会学者らしく、そのネーミングの由来や世界と日本の状況を歴史的に解き明かしていく。注記もいっぱいあり、それを読んでも皮肉屋(本人の弁)らしく面白く書いている。現在起業して成功している人の紹介や、なんで起業したかも説明している。誰でも起業すりゃあいい、ってもんでもなく、また出来ない。ある種の専門性があり、それにお金を払ってくれる人がいてるか、ということ。いずれにしても自分の好きなことを勉強して、それが職業とすることが出来れば最高だ。 |
〓 | 珍しい車が主人公のお話。その主人公は望月家の自家用車である緑色のデミオ。そのデミオが望月家の家族が巻き込まれる事件を車目線?で語る。望月家の3人の子供とそのお母さんの言葉は解るが、デミオから語りかけることはできない。車同士では会話は成立するが、自転車やバイクの言葉は何を言っているのか解らないらしい。また車輪の多い電車には尊敬の念を抱いているようだ。この物語で起きる事件では、末っ子で小学生の亨が大活躍する。生意気な奴だが、望月家の中では一番の切れ者だ。緑のデミオを一番気に入っていたのも彼のようだ。この本を読むと、車同士が情報交換できるように、外に連れ出してあげよう、という気になる。それとあまり無謀な運転をすると車は気絶するようなので気をつけよう。 |
〓 | 『ニッポンのジレンマ』、論客メンバーの1人がこの宇野常寛。彼の最大の主張は、インターネットや、ゲーム、アニメ、アイドル等のサブカルチャー(これを<夜の世界>と呼んでいる)の日本的想像力が、現代社会の「表の顔」である<昼の世界>を変えていくというもの。サブカルチャーにおいて快楽を享受できるのは、与えられたソフトではなく2次創作できるソフトであること。例えば、楽曲を作れば歌って踊ってくれるボーカロイドの初音ミク。その作品(動画)をアップして、それをまた誰かが編集したりするという楽しみ方が大事であるという。そして日本文化の<夜の世界>としての象徴としてあげるのがAKB48のシステムだ。新聞やテレビではなくネットによって広まり、選挙によってメンバーが選ばれたりするところ。与えられたものではなく、自分たちがいっしょに作り上げていくという達成感、ワクワク感がそこにはある。<昼の世界>にそれはなく希望のない社会になっていることに警鐘を鳴らす。<夜の世界>のシステムを使って<昼の世界>をワクワクするものにしていこうというのは面白い。ワクワク感は大事だな。 |
〓 | 2012年のノーベル文学賞をとったのが、著者の莫言だ。その莫言の代表作が『赤い高粱一族』シリーズ。本書は、その第1章『赤い高粱』と第2章『高粱の酒』となる。ノーベル文学賞をとった小説ってどんなもんかと読んでみたが、これが非常に面白かった。わたしの祖父・余占鰲(ユィ・チャンアオ)と祖母・戴鳳蓮(タイ・フォンリエン)、この2人が中心となる。どちらも奔放で痛快な人物。けっこう血なまぐさい話もあり、日本人が敵だったりするが、実は濃い〜家族の物語だ。また高粱畑の描写がいろんな場面で描かれ、強烈な原色の映像が浮かぶ。そしてその自然の中で、人間の生々しさ、毒々しさが味わえる。 |
〓 | 星新一7冊目。これはショートショート。コイツもずっと鞄に入れていて、やっと読み終わった。主にココイチのお持ち帰りカレーを待っている間によく読んだ。本の端もボロボロだ。どれも面白かったが、長い時間をかけたので最初の方の話はもう忘れてしまった。印象に残っているのは『ここちよい相手』。究極のサービス業かもしれん。とりあえず次の星新一を入手しとこ。 |
〓 | ビブリア古書堂シリーズ第3弾。今回は『王様の耳はロバの耳』、ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』、エドゥアルド・ウスペンスキー『チェブラーシュカとなかまたち』、宮澤賢治『春と修羅』に纏わる事件が起こる。宮澤賢治も生きている間は売れなかったんだなあ。『たんぽぽ娘』はちょっと読んでみたくなった。栞子さんの両親との関係も徐々に明らかになっていく。 |
〓 | 著者の安藤美冬は、会社に縛られないノマド(遊牧民)ワーカーの成功者としてNHKの『ニッポンのジレンマ』にも再三登場している。有名会社を退社したあとは、フェイスブックや、ツイッター等を活用して自分を売り込み、仕事をして収入を得ている。インターネット時代の働く若者の代表的存在でもある。ネットを使うことにより、会社に所属して働くよりももっと広い分野に進出できる可能性はあると思う。また生活スタイルもある程度好きにできるのも魅力だ。しかし、厳しさは会社にいる時以上になる。でもそういうことを乗り越え、自分のスタイルに合った仕事をしていこうとしている人たちにとって、背中を押してくれる本だ。前向きで元気になれる本。 |
〓 | 今年度4月からから毎月放送することになったNHK『ニッポンのジレンマ』の司会を務めることになった古市憲寿の処女作がこの本だ。26歳の若者が書いた若者論。今までの「若者論」の比較をしたり、いろいろなデータを見せながら、現在の「若者」の実態にせまっていくあたりは社会学者らしい。日本は不景気で、少子化時代なのに正規雇用が少ない状況ではあるが、インターネット等便利なものが普及したお蔭で、お金を使わなくても幸福感はあるようだ。統計によれば20代の生活満足度はその他の世代よりも高い。著者も<日本が終わってしまってもいい>と言う。日本を守る為に戦争をする気もないが、かといって個人主義ではなく、友達や仲間は大切にする。<なんとなく幸せで、なんとなく不安。そんな時代を僕たちは生きていく。絶望の国の、幸福な「若者」として。>と結ぶ。まあ若者の中にはもっとガツガツいく奴もおるんだろうけど。 |
〓 | 北朝鮮について認識を改にすべきことは、北朝鮮の国民は非常に貧しいこと。普通に働いても飯が食えない。そこで北朝鮮を脱出する人がいる。いわゆる脱北者と呼ばれる人だ。もちろん命がけだ。見つかれば死刑か、ロシア辺境での重労働が待っている。その脱北者が中国との国境近くに居る。中国と北朝鮮の関係も微妙だ。人道的には彼らを受け入れるようとするし、政治的には彼らを北朝鮮に送り返そうとする。国境周辺を歩いて取材した著者は、密輸に関係する人々と話をし、河を渡り脱北する少女を目撃する。また中国に留学している北朝鮮の学生たちは、危機感を強く持ち、自分の頭でしっかり考えていこうとしている姿を知る。金正日亡き後、金正恩がこれからどう国を開いていくのかは注目だ。やるかな? |
〓 | 前作『武器としての決断思考』に続く第2弾。決断して実行していく為には、人との交渉が必ず必要になる。その交渉のテクニカルな説明書でもある。若者たち向けに書かれた、社会に出て必要になる、専門知識以外のことについて、自分で考え、決断していかねばならないというある意味一番重要なことについての本。ポイントは<バトナ>。バトナとは<相手の提案に合意する以外の選択肢のなかで、いちばん良いもの>。 |
〓 | NHKの『日本のジレンマ』で知った瀧本哲史。京大の大学生に講義の内容をまとめたもの。基本的には自分で考えて、自分で決めていくことの薦め。本書はそのテクニカルな面を詳しく書いている。ディベートの基本もわかる。シーナ・アイエンガー教授の『選択の科学も』そうだが、これからの日本人は特に必要なことなんだろうな。ポイントは<「いまの最善解」を導き出して、とにかく行動すること>。 |
〓 | 街の標本製作屋。こんなものが実在するんだろうか。あるわけないけど、その世界にスッと引き込まれていく。そこの標本室に<封じ込め>たい物をもって、人々がやってくる。それらの客は、「標本にして封じ込める」という意味を十分にわかっている。という世界。薬指の先端をなくした若い女性(わたし)が、この標本部屋の受付係りとして就職する。仕事は標本技師(弟子丸氏)との2人だけ。ある日、標本技師に黒い靴をプレゼントされる。それはあまりにピッタリの靴で、だんだん体と同化していく。そして黒い靴だけを履いた状態で全裸にされ、抱かれる。彼女は言う。<自由になんてなりたくなんてないんです。この靴をはいたまま、標本室で、彼に封じ込められていたいんです>。もう1つ『六角形の小部屋』が収録されている。あのミドリさんは、実はカタリコベヤの人だった。これもどこかにあるかもしれない不思議な世界。 |
〓 | 超情報化社会となった現在では、Facebookなんてのも本名を明らかにすることが前提で、仕事でもプライベートでも、情報がすぐに広がり、いつもいいひとにならないと「いい評価」はしてもらえない。それならばそれを戦略としてやろうということ。本当にいいひとでなくても良い、いや本当にいいひとなんていない、ということを前提にしている。現在の状況を<貨幣経済社会>とすると、これからは<評価経済社会>であるという。「いい評価をされる」というあざとさがあっても積み重ねれば本物になる、という考えだ。著者が「いやな人戦略」と言っている<「自分の信じることを進めるため、評価は気にしない」>というスタイルも昔はカッコ良く思えたが、それは「自分の為」というのが根本にあり、他人の満足になり難い。服装にしろ、髪型にしろ自分の為だけでなく、「他人の為でもある」いう考えが、年のせいか少し惹かれるようになってきた。 |
〓 | ひょっとしたらこの人、ノーベル文学賞なんてのをとるかもしれませんね。文学の王道をいっている感じ。不思議で残酷で上品な小説。海外でも翻訳されている。本書は全8編の短編集。どれもが味わい深い。『飛行機で眠るのは難しい』、飛行機の中で、出会った老婦人が死んだ話を聞かされる。『中国野菜の育て方』、自転車に乗って野菜を売りにきた老婦人。自転車でヨロヨロ帰っていく。『まぶた』は純愛物。レストランでカードが使えず、裏口から追い出される。別れの場面、渡し舟と海の景色が浮かぶ。『お料理教室』はドタバタコメディのよう。料理教室の先生のキャラがいい。『匂いの収集』のラストはやんわりと背筋が凍る。『バックストローク』は水泳選手であった弟の腕が抜け落ちる。SFチック。『詩人の卵巣』詩人の博物館に入る。『リンデンバウム通りの双子』は年老いた双子の兄弟の枯れた日常生活を見ることができる。 |
〓 | 面白いけど、危ないなあ。社会の利権の構造を暴露しまくりなので、そこで安住している人には嫌われるやろうなあ、と思った。例えばオリンピックのIOCやサッカーワールドカップのFIFA。また国際通貨基金(IMF)や国際決済銀行(BIS)。これらは世界を統一するという思想がある。それが正義で、但し、自分たちの都合のいいように、というオマケつき。日本相撲協会、NHK、そして電通。赤十字が民間団体であることも始めて知った。絶対的な「正義」というものはなく、あると思われているものは洗脳されているからであると言う。そしてその裏には利権が。ということだ。学校内でも、制服やランドセルの利権。生徒が教室の掃除をするのも労働力がタダなので、という訳だ。騙されないように、抽象思考を身につけろと言う。そのトレーニングとして、本を読むときは<本の内容に対して、頭の中で反論する>ことを薦めている。<正義とは法のもとの平等>である。但し法を守ればいいというのではなく、その法の精神を学べという。お薦めのモンテスキュー『法の精神』も読んでみよう。 |
〓 | 洒落た短編集やなあ。アイデアがどれも素晴らしくて、短編であることで余計にその良さが引き立つ。表題作の『傍聞き』は、直接話をするのではなく、別の人に話をしている振りをして、盗み聞きさせるというもの。気になっていることは「耳がダンボになる」というやつだ。これがけっこう印象に残ったりする。『迷走』は、救急車のサイレンを流しながら、それを電話で聞いている人の居場所を探す。自分のサイレン音をその電話から聞くというもの。これには感心した。『899』は、ちょっとした懲らしめに自責の念を覚えるお話。『迷い箱』は、一種の「捨てる技術」を題材にしたもの。一気に捨てるのを躊躇う時は、一旦<迷い箱>に入れ1日1回目に触れるようにすると、数日経てば捨てる決心がつくというもの。どの話もよく出来ていて面白い。 |
〓 | タイトルに合わせて12月に読了しようと思っていたが、1月までかかってしまった。で、それで終わり?って感じもする。なんか普通に終わったけど。いろんなものを残したまま、純愛小説として完結した。1Q84年の不思議な世界、謎の宗教団体の行く末は?そして名脇役、しつこ〜いNHKの集金人はどうなったんだろう。読みどころはタマルと牛河の対決。 |
〓 | 東京理科大学ソフトボール部35年間の歴史。創部したのは丸山克俊教授。日本一を目指した丸山先生の格闘の歴史でもある。徹底的に強いたのは無遅刻、無欠勤、全力疾走だ。ここをしっかりやれるかどうかが大事だと言う。監督者として凄くエネルギーが要る仕事だ。同時に練習での工夫もいろいろしている。東京の神楽坂と千葉県の野田市に校舎があり、練習は野田市で行われる為、全員が揃っての練習は週2回としたり、その全体練習の呼び名も<義務練習>から<権利練習A>と変えたり、個人練習は<権利練習B、権利練習C>とし、日々の練習レポートを提出させる。また就職活動で困らないよう、部員全員に役職を持たせたりとか、人づくりに重きを置いた指導だ。その結果、理科系の大学でありながら、インカレでベスト8、関東ソフトボールリーグで全勝優勝を成し遂げた。<100年がかりでも「日本一」のチームをつくる>という丸山先生には「ロマン」という言葉が似合う。 |