〓 | これまた凄い行動力の人だ。前向きというか、積極的というか、当たって砕けろというか。身分は石川県にある羽咋市の市役所職員で、かつ住職でもある。農林課にとばされたが、めげずに農村の立て直しを図る。JAを通さずに生産者自身で作物を売って利益を得る方法を身をもって示したり、宮内庁やローマ法王に直接手紙を送り羽咋の米を宣伝したり、人工衛星を使って農地の状態を調べたり等、会議にかけたら絶対つぶされそうなことを独断でやっていく。相手の肩書きにも躊躇せずに直接交渉で実現していく。宇宙に比べれば人間なんてちっぽけなもん、という発想だ。そしてほとんどが事後報告。その行動力も凄いが、それを認めた上司も太っ腹。他にも古文書を読んでUFOの町ということで村おこしをし、NASAと交渉して月の石やロケットを借りて宇宙科学博物館も設立したり、また化学肥料を使わない自然栽培農法の展開<このやり方をすると腐らずに枯れる>したりと大活躍である。科学的な目を持ち、おおらかな心を持つ超実践派。何でもやってやろうという気にさせる本だ。 |
〓 | 特許戦争じゃ。と言っても大企業同士のものではない。中小企業、佃製作所の社長・佃航平がロケットを飛ばすためのキーパーツであるバルブシステムの特許を取る。一歩遅れた大企業・帝国重工はその技術を使えない。特許権を得るために帝国重工は、佃社長に猛烈にアタックをしかけてくる。しかし佃社長は、ライセンスのロイヤリティを得ることに満足をせず、自分で部品を作り、供給したいと答える。帝国重工は佃製作所のアラ探しをして部品供給を食い止め、自社内製化の方針を貫こうとする。その小馬鹿にしたような態度に、佃製作所のメンバーの心に火がついた。大企業相手に中小企業が戦うという痛快な小説だ。中小企業であろうと特許を持っていれば強い。そして特許抗争では莫大な金が動くというのもよくわかる。今まで先発明主義であったアメリカも、2013年3月には先願主義になるらしい。まさに「先に出したもん勝ち」になる。 |
〓 | 和紙専門店の跡取り息子・国本洋司と友人の片平あゆむが、「サン・モリタニ」の会長・茂里谷長市郎の半生を聞く。戦後闇市での糸の商売から始まり、アメリカ人から舶来品を調達して商売をしていく。多くの有名人も顧客となる。川端康成、電通の4代目社長・吉田秀雄等も。写真家・名取洋之助の薦めでヨーロッパへ行き、グッチ、エルメスと直談判をして、日本で最初に販売するようになる。顧客の1人、今東光は<人間ほどおもしろい動物はいねぇんだぞ。人間と言う奴は遊びを知っている。それから美しいものがわかる。『美』と『遊び』だ。いいか、このふたつは人間だけが理解できる大事なものだ。だから塞いでないで、おまえもせいぜい遊べ。そして、もっともっと美しいものを追いかけろ>と言って励ます。いいですね、この言葉。グッチも、エルメスも現地独立法人設立により、茂里谷は販売権を手放すことになるが、今なお上質な物を求め、世界中を飛び回る姿勢に洋司、あゆむは触発される。実在の人物・茂登山長市郎(「サン・モトヤマ」の会長)をモデルにした小説。上質を味わいたくなる。 |
〓 | なかなか刺激的な本であった。DaiGoが問いかけ、苫米地英人がそれに答えると言う形で進む。例えば、超能力について。人間同士が通信し合えるのは当然で、人類全部合わせて人間というのが彼の定義。霊界について。<そもそも「この世が霊界である」。「霊界は存在するけど、この世はありません」が正解で、霊界しかない>。占いについて。占い師はうそつき。カウンセラーは正直なので未来のことは言わない。宗教について。新しい宗教は墓場利権争いが厳しいので、なかなか入り込めない等等。独自の物理空間ではない、<情報場>(こそが霊)、<抽象度>(を下げるとエネルギーが出る)という概念も面白い。DVD付。 |
〓 | 1984年ではない、1Q84年の世界。それはふかえりと天吾が描いた小説『空気さなぎ』の世界であった。殺し屋・青豆は宗教団体<さきがけ>のリーダーを殺し、自分を犠牲にして天吾を救おうとする。行方不明となったふかえりは、天吾に匿われる。リトルピープルが鹿の死体からゾロゾロ出てきて、空気さなぎをつくる。空には月が2つ。すっかり1Q84年の世界につつまれる。青豆と天吾は互いに強く求め、青豆は天吾を間近に発見するが天吾にはわからず、1Q84年からの脱出を試みるが失敗に終わる。気になるのは、青豆の依頼人である老婦人と用心棒のタマル、そして新しく登場した牛河の存在だ。 |
〓 | いいですね。本の紹介とエッセイであるが、自身の本好きがひしひしと伝わってくる。それは激しいものではなく、ゆったりとして心地いい。しかしながら非常に深い。彼女は<人生の答えを求め、あてもなくさまよっている人間たちに、作家が示せるものは、小説しかない>という。これまたいい。あの『博士が愛した数式』の作者、小川洋子の作品をいろいろ読みたくなった。『まぶた』と『薬指の標本』は購入済だ。 |
〓 | 悪魔くんとは、太平洋電気の社長の息子・一郎のことだ。一郎は親も持て余すほどの大天才であった。悪魔を呼び出す術にふけっていた一郎の家庭教師に抜擢された佐藤は、あやうく<ヤモリビト>になりそうになるが、元の男前の佐藤ではなく、頭に1本角のあるおっさん(あのテレビに出てきたメフィストの外観)になってしまった。やっとのことで悪魔がでてくるのであるが、これがまた悪魔らしかぬケチでガメツイやつだった。そしてやっぱり笛の音には弱いらしい(テレビでは悪魔くんが笛を吹くとメフィストの角から煙が吹きだしていたが…)。しかし本当の敵は、世界を自分のものにしようとした石油業者の仮面を被ったサタンであった。悪魔くんとサタンの対決やいかに。悪魔くんは、実は部下思い(蛙男とヤモリビト)で、世界平和を願ういいやつなんである。<エロイム・エッサイム、我はもとめ、訴えたり。地上に天国のきたらんことを…>。 |
〓 | <青豆>という名前でもうすでに村上春樹の世界だ。小説家・天吾と殺し屋・青豆の物語が並行して進んでいく。小説家・天吾は、<小松>という編集者、<ふかえり>と呼ばれる少女と<空気さなぎ>という小説。青豆は謎の老婦人と警護の<タマル>、そして男あさり仲間の女性警察官と。そして徐々に彼らの共通項が明らかになってくる。それが<さきがけ>と呼ばれる宗教団体。その他、月が2つある世界とか、非日常の世界を描きながら得意な不思議世界に誘ってくれる。 |
〓 | 沢尻エリカの主演映画で話題の『へルタースケルター』。全身整形をしてスターの座についたりりこであるが、自分のことは良く分かっている。いつかは忘れられることを。頭の中で時計の音がコチコチと鳴る。整形の後遺症も出てきて終わりが近いことが知らされる。そこでのガムシャラぶりが痛々しい。そしてりりこが最後に思いついた方法は衝撃的だ。大衆が観たいものは何なのか。見世物という観点から見ると、美しいスターであることだけではない。ある意味見事な選択であったとも言える。岡崎京子は<スターというものがしばしば興味深くあるのは、スターが癌と同様、一種の奇形だからです>と言う。 |
〓 | 中日監督時代の落合博満と言えば、完全試合達成を目の前にした投手を交代させたことで印象に残る。個人の成績より勝つことを優先した結果だ。東芝府中からドラフト3位でロッテに入団した落合博満は、野球エリートではなかった。いろんな経験をしているので、監督として采配するときに生きてきている。一番いいところは、いろんな選手の立場がわかり、人の意見に惑わされないところであると思う。その落合は、リーダーにとって大切なのは<自分自身の方法論を部下に明確に示すこと>だという。「日本一になる」というだけではダメだということだ。 |
〓 | 不良少年のアレックスは仲間と暴力三昧の日々を送っていたが、やがて殺人の罪で警察に捕まり、新しい治療方法、<ルドビコ法>の実験台にさせられる。これによりアレックスはまったく暴力をふるえない人物になる。人をロボットみたいにする政府を糾弾する文学者アレキサンダー。彼の著書が『時計じかけのオレンジ』というわけだ。しかしアレキサンダーは、妻が死にいたった原因がアレックスの暴力によるものであると気付く。政府の役人はアレキサンダーはアレックスに殺意を持つ危険人物として投獄する。アレックスは元の暴力的な人格に戻るが、最終章では「オトナ」として、社会的な人物になろうとする。実はこの最終章がないものが以前は出版されていた。本書を読むキッカケとなった『ビブリア古書店の事件手帖2』でも詳しく語られている。<みなさまのつつましき語り手>である主人公・アレックスのロシア語まじりの語りが意外と面白く、ハラショーであった。 |
〓 | 『白熱教室』シリーズで面白かったのが、シーナ・アイエンガー教授の『選択の科学』。両親はインドからの移民で、衣服から結婚相手まで決められた文化で育った。しかし、カナダで生まれた彼女は、自ら選択することが求められる。その選択こそがアメリカの力であると思い、選択について研究するようになった。自ら選択できることが重要で、仕事で長生きするのは、従業員よりも社長。それは裁量権があるから。逆に選択肢が多すぎてもダメな場合がある。彼女の研究で、ジャムの種類が多すぎると逆に売り上げが減る、というものがある。選択肢は多いほど良い、というものでもない。本書では選択のコツを教えてくれる。職業や結婚相手は直感で選んだほうがいいという。満足感や幸せは、数値で表すことができないからだ。しかし、直感は目の前の選択にしか通用せず、将来の目標を達成するには、自分を律することが必要。頑張るのではなく、習慣の力を利用するのがコツ。また選択に迷う時は、他人が選択した結果を参考にすること。他人と自分は実は大して違わない、と思えることがコツだ。 |
〓 | 0とはゼロ戦のこと。ライターの姉と就職活動中の弟が、おばあちゃんの最初の夫、宮部久蔵という人物のことを調査するこになった。彼は特攻で死んだという。当時のことを知る人物に会い、軍隊では命を惜しむ臆病者であったと、いう話から始まり、実は超一流のパイロットであり、人間愛に満ちた人物であったことが徐々に明らかにされる。彼らが話すゼロ戦のこと、特攻隊のことについては興味深く読めた。宙返りして相手の背後に付くことを得意としていたゼロ戦は当時は世界一の運動性能と言われていた。また爆撃機は通常は単独では飛ばず、護衛の戦闘機とチームを組んでいたこと、特攻隊は志願の形をとっていたが、その裏には人知れぬ葛藤があったこと、また敵兵からも勇敢で技量に優れた戦闘機乗りはリスパクトされていたことなど、国と国の戦いの先端に存在した人間の様子がよくわかる。物語は命を誰よりも大切にしてきた宮部久蔵が、どういう状況で死んだのかが解明される所でクライマックスをむかえる。戦争のことを知る為の本としては、本書と田原総一郎の『誰もが書かなかった日本の戦争』が双璧。 |
〓 | 睡眠薬を多量に飲み、自殺未遂をしたベロニカが目を覚ましたのが精神病院であった。そこで余命5日間と宣告され、逆に生きる希望を得ることになるというお話。精神病院内では、狂っていることが普通であるので、自由に振舞え、楽に生きられるというのは本当かもしれない。社会の制約から守られて居心地がいいので、狂っているふりをしている普通の人たちがいるのも本当かもしれない。普通というのも何だか良く分からんが、病院内の人物も普通の人のように描かれている。そこに留まるのは楽だが、そこから出るのが大変だ。自分が人とは違うということを認める覚悟が必要になるのだ。 |
〓 | テリー・プラチェットのディスクワールドシリーズ。『死神の館』の続編でもある。死神の弟子となったモルトは、死神の養女イザベルと結婚した。モルトとイザベルの間に出来た娘はスーザンだ。今回のお話は、死神の孫娘スーザンが活躍する。そしてロックバンドが登場。彼らの音楽は人を狂わす魂の音楽だった。人呼んで、ロックスインミュージック。ご存知?見えざる大学の魔道士たちも登場。ディスクワールドの住むトロール(巨人)、ドワーフ(小人)、図書館員のオランウータンも登場し、またもやドタバタが劇の始まりだ。スーザンは死神の仕事をやろうとし、ロックバンドのギタリスト・バディを救おうとする。バディが音楽か、音楽がバディか。宇宙の始まりは1つの音楽(雑音?)からだったかもしれない。 |
〓 | ひさびさのクリスティー、面白かった。<殺人事件は結果なのだ。物語はそのはるか以前からはじまっているーときには何年も前からー>。というのは八十歳近い弁護士・トレーブの言葉だ。<もし自分が書くなら、今この瞬間から書き起こすだろう。老紳士が暖炉の前で手紙の封を切っているとろこから始めてーゼロ時間に向かう…>。そしてクリスティーは書いた。今までにないパターンだ。殺人事件もなかなか起こらない。そして本当の目的は、それだけではなかった。練られた物語の中にロマンスもあり。クリスティーの真骨頂だな。他の作品では影の薄かったバトル警視も本作品では大活躍する。 |
〓 | ビブリア古書堂の事件手帖の第2弾。坂口三千代の『クラクラ日記』で始まり、『クラクラ日記』で終わる。私もこの本は古本屋で買った。『時計仕掛けのオレンジ』はタイトルが面白く、何度か読んでみようと思ったが読んだ記憶が無い。福田定一は実はあの人だったとは驚いた。しかも推理小説まで書いていたとは。足塚不二雄ってのはなるほど、あの人か。なるほどね、って感じ。本や作家に纏わる逸話が面白い。店主・栞子さんの秘密も徐々に明らかになってくる。著者のあとがきに<物語はようやく本編というところです>とあった。続きがあるぞ。楽しみだな。 |
〓 | 再読してようやく同じ著者の『刈り入れ』との関係がわかった。モルトは死神の弟子。イザベルは死神の娘。そのモルトとイザベルが結婚する。『刈り入れ』は死神のその後。『ソウルミュージック』は、モルトとイザベルの娘が活躍する、ということで、このディスクワールドシリーズは、やはりなかなか手ごわい。その都度解説はあるとはいえ、いきなりディスクワールドに放り込まれる。その世界のありよう、その世界ルールというものがあとから徐々にわかってくる。本書でモルトとイザベルの結婚を確認できたので、心置きなく『ソウルミュージック』読める。 |
〓 | 年始のNHKの番組で『新世代が解く!ニッポンのジレンマ』というのをやっていた。朝まで生テレビのような討論番組ではあったが、メンバーはかなり若返った面々だ。パネラーも面白かったが、途中で紹介された人物で本書の著者、瀧本哲史がいた。これから社会へ出て行く若者に向けてのメッセージだ。それは<非情で残酷な日本社会を生き抜くための、「ゲリラ戦」のすすめ>。「英語・IT・会計知識」を<奴隷の学問>と言い、代わりのきくその他大勢にならないように、スペシャルな人間になれという。また投資家としての目を持つように薦める。<非情で残酷な日本社会>に飲み込まれないように、投資したらうまく回収することが大事であると言う。会社員であっても、その会社に投資していると捉える。この悪い社会と戦い、負けない方法って感じだ。なんか殺伐とした感じがしないでもないが、自分の頭で考えることの重要性、そして投資家として最も重要なことが、<「リベラル・アーツ」を学ぶこと>というところはいい。幅広い分野の学問領域を横断的に学ぶことは大賛成だ。 |
〓 | テリー・プラチェットのディスク・ワールドシリーズ第11作。死神が自分の仕事を放棄して人間になってしまう。死神の仕事とは、<死者から魂を切り離すこと。切り離しには大鎌を使う。まさに人が死ぬ瞬間に立ち会う>。決して死神が人を殺す訳ではない。死ぬことが決まっている人の傍に来るのだ。仕事が嫌になって人間(ビル・ドア)になった死神は、農家で麦の刈り入れの仕事に就く。得意の大鎌をふるうのだが、何故か刈り取りは1本1本だ。しかも高速。人間1人1人のイメージか。また大鎌の研ぎ方が凄まじい。砥石の次は絹、そして蜘蛛の巣、風、最後は陽の光で磨く。あまりにも鋭くなったので、なんと本書の文字列もスパッ、スパッと切り裂かれる。こんな表現の仕方は初めて見た。人間となり寿命という時間に縛られることになった元死神ビル・ドアの前に、後継者の死神が近づく。死神と元死神の対決が見物。また死神が仕事をしなくなったので、死ぬ運命にあった魔道士・ウィンドルは、アンデッド(死にきれていない者)となって活躍?する。死にきれていない者が体を持つ感覚の描写や、手押し車の大群が登場するドタバタ劇の想像力に圧倒される。 |
〓 | メチャメチャ前向き男だ。スティーブ・ジョブスという男は。やりたいことをとことんやる。周りの人間は付いていくのは大変だろうな。パワハラなんて何するものぞ、って感じ。ただ目標が<世界を変えてやろう>という高いものであり、それを実現させようとしているのだ。そして、しつこくやり続けるのだ。<問題に向かい合っても、初めに思いつくのはひと筋縄ではいかない解決法で、たいていの場合はそこで中断してしまう。それでもタマネギの皮をむくようにたゆむことなく続けていると、簡潔で当をえた解決に行き当たることが少なくない。多くの人はそこまでは粘らず、根気も続かない>。また彼は33年間毎日<もし今日が人生最後の日だったら、今日やろうとしていることをやりたいと思うか?>というのを自問自答していたらしい。松下幸之助語録よりも熱く、本田宗一郎語録よりも過激だ。 |
〓 | 途中で宮本武蔵が出てきたのには驚いた。なるほど同じ時代であったんだなと、改めて思った。この強敵と霧隠才蔵との対決は見物。才蔵は凄い技を使う。自分の魂を抜き、相手に殺す気をなくさせるという優れもの。力対力の対決を避けた。また風魔獅子王院という家康側につく忍者が才蔵に立ちはだかる。この獅子王院というのが凄まじい。才蔵にくるぶしから足先を切られるが、逆立ちをして逃げる。それが足で走るよりも速いのだ。また忍者の基本技に、<吊り歩き>というのがある。天井を逆四つん這いになって歩くのだ。かなり指の力が要るぞ。忍者になるのも大変だ。そして才蔵は女にもてる。青子、お国、隠岐殿等。組織には属さず、主従関係をもたない。金で雇われるのみ。社会的成功の欲もない。政治的人間ではない。自由であるが孤独でもある。でも最後には一人の女を手に入れた。 |
〓 | 離陸決心速度というものがある。このスピードに達すると絶対に離陸しなければならない。他にこの<決心>という言葉が使われるのが、着陸決心高度。この高さまで降りてきたら着陸せねばならない。GS(グランドスタッフ)とCA(キャビンアテンダント)との業務範囲は飛行機の扉を境とするとか。飛行機にとって重要なのは対地速度でなく、エアスピードであるとか。→エアスピードが遅いと失速してしまう。だから向かい風の方が安全なのだ。しかし、追い風時はより対地スピードを上げるので、早く目的地に到着するし、燃料も少なくてすむ。また要注意時間は<クリティカル11>と呼ばれる離陸、着陸の11分とか。着陸時の降下の角度は3°くらいであるとか。機体が斜めになって着陸する時の前後の車輪の接地のさせ方とか。バードストライクの危険とか。本書は飛行機と空港でのドタバタ劇であるが、こんな話がちりばめられていて面白い。これで飛行機なんて怖くない??著者も飛行機が苦手であったが、取材でいろいろ知ることで楽しくなったと言っている。まさにハッピーフライトだ。あ、それとCA(昔はスチュワーデスと言ったが)は基本的には保安要員であって、機内食とかのサービスはその次だってことだ。 |