「えっちゃん、どうして言わなかったの?痛いなら痛いって言わなきゃ。うちの社ではね、我慢は禁物なのよ。他の人に迷惑が掛かるからって我慢してたら、もっとひどくなって、もっと迷惑を掛ける事になるでしょう。だから、変だと思ったらすぐに、医務室へ行く事」

 「すみません。急に痛くなって、そしたら目の前が真っ暗になって・・」

 「出社時期はもう少し先にして、明日からは、治療と、習い事。申し込みは済ませたから行くようにね。夜はうちで語学レッスン。遅くても九時には来て。いいわね」

 「やっぱり私には無理だと思います。会長も解かったでしょう?」
 「とにかく、続くところまでやってみて。それから考えても遅くないでしょ?」
 「はい・・じゃぁ。ありがとうございました。おやすみなさい」


 「裕、どうしたの?車出して。何か忘れ物?」

 「ああもう。いらいらする!」

 休み休み階段を上っていくあいつを、担ぎ上げ部屋まで運んだ。

 「何するの!降ろして」
 「うるさい。暴れるな!」
 「ここか?」
 「うん」
 「じゃぁな」
 「ありがと」
 「ああ」
 「気をつけてね」
 「早く寝ろ。明日から特訓だからな」
 「うん」
 「ちゃんと治療行けよ」
 「うん」
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