長い一週間が終わり、また前の生活が戻ってきた。
「もうえっちゃんも日常会話は大丈夫だし、裕の特訓もそろそろいいんじゃないの?」
「駄目だ。まだこの程度じゃ卒業証書はやれないよ」
「この〜。って言いたいところだけど、あんたのお陰でここまで来れたんだから、感謝してます」
「じゃぁ、あんたって言うな」
「もう二人とも!そうそう、えっちゃん。もうすぐ裕の誕生日なんだけど、子供達も連れて夕食を食べに来ない?裕もいいでしょう?」
「いいよ。誰かさんに似ずに、とってもいい子達だからな」
「逆の場合もあるから。ママに似たら、とってもいい子だったのにね」
「お前なぁ!」
あれから母は、あいつの家に行ったり、子供達を家に呼んだりと、家族ぐるみで付き合っている。
母の事を“ママ”と呼ぶのは、あいつの子供達がそう呼び始め、母もそう呼ばれる事を喜んでいるから。
一度、母に連れられ、あいつの家に遊びに行った事があった。
狭いけれど何故か、ホッと出来る空間だった。
白いペルシャ猫がいた。
「動物は駄目なんじゃないのか?」
「そうなんだけど、もう年寄りで、誰かに預ける訳にもいかないでしょ。最後まで面倒見てやらないと・・だから・・」
「ふーん。ミルクって言うのか。ミルクがこの家の女達を守ってるナイトか。しっかり守ってやれよ。気が強くて、守ってやらなくてもいいのもいるけどな」
「あんたねぇ!」
「ほらな」
そんな日々を送っているうちに、季節も変わった。