「こら、美海(みう)。お友達の物を取っちゃ駄目だよ」
 「違うんです。うちの子がこの僕のおもちゃを取ったので、お譲ちゃんが“とっちゃだめ”って。ごめんなさいね」
 「そうだったのか。美海は優しいな」

 「はい。どうぞ」
 「朝日(あさひ)、お姉ちゃんにありがとうは?」
 「ありがと」
 「お譲ちゃんありがとう。お名前は?」
 「もりむらみうです」
 「みうちゃんって言うの?可愛いお名前ね」
 「ルイジィがつけてくれたの」
 「美海、ルイジィって言うのは止めて。おじいさんみたいだから」

 「Luijiさんですよね?お子さんいらっしゃったんですか?」
 「僕の子供じゃないんです。兄夫婦のような人が今日、仲人をしているので」
 「じゃぁ、新郎の会社の?」
 「ええ。森村社長の子供で、僕が名付け親なんです」
 「私たちは新婦のKさんの方の松浦です。よろしく」
 「こちらこそ。朝日君って言うんですか?」

 「ええ。キラキラと朝日に輝く海で生まれた子なので」

 「美海も、夕日の美しい海で生まれた子なので、そう付けました」


 「由さん、遠いのに来て下さってありがとう。ソンジェさんも一緒ね、ありがとう」
 「おめでとうございます」
 「・・・私も、裕久さんに子供を抱かせてあげられなかったわ・・・」
 『僕は、由が側にいてくれるだけでいい。それだけで、充分幸せです。由の愛があれば、他に望むものは何もない』
 「ソンジェ・・・」
 『裕久さんもきっと、僕と同じ想いだと思いますよ』
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