「ここは?寝ちゃった?ごめん。ほっといてくれてよかったのに」
 「いくら俺でも、こんな所に死体みたいにほっとけるか」

 「今夜はありがとう」
 「ああ」
 「今、いつでも呼んだら来てやるとか思わなかった?」
 「そんな事思うか」
 「そうだよね」

 「なぁ・・・」
 「なに?」
 「いや・・・」

 「・・ねぇ?メールやってる?」
 「仕事でもしてるし、お前ともしてる」
 「そうじゃなくてメル友っている?」
 「メル友?」
 「そう、メル友」

 「いや。ああ一人いた。もう別れたけど」
 「メル友も別れたって言うの・・・?女の人?」
 「たぶん。メル友って不思議だよな。名前も歳も、顔も何処に住んでいるのかも、どんな人なのかも、性別すら解からないのに、物語のキャラクターのように創りあげて話してるなんてな」

 「その人の事、好きだったの?」
 「いや。好きな人の事を相談してた」
 「そんな人いたんだ・・・」

 「彼女のアドバイスのせいでひどい目に遭った」
 「ひどい人だね。メル友のアドバイスなんか真に受けるからよ」

 「いや、いい人だった。彼女のお陰で俺は、その人に告白する勇気が出た。お前は?メル友いるのか?」

 「もう別れたけどね」
 「男か?」
 「たぶん。ブリザードさんって言うんだけどね」
 「ブリザード・・・」

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