「もしもし。すみません、こんな時間に電話して。昼間お会いしただけなのに・・だけど、誰かに聞いて欲しくて・・」
 「構わないわよ。どうかした?」

 私は、さっき会った最低男の事をぶちまけた。

 その人は、今日、ハローワークに仕事を探しに行った帰りに出会った。
 おばあさんと言うには失礼かな?ちょうど、姑になるくらいの歳の人で、ハローワークの入り口で座っていた。
 気分が悪そうだったので、とりあえず家に連れて帰って休ませ、色々話をし、お好み焼きを食べたりして、歳は離れているけれど、お友達になった。

 まだ現役で仕事をしていて、“いい歳をして独身で、仕事は真面目にするけれど、毎晩遊び歩いている、問題児の息子”と二人で暮らしているらしい。

 「ひどい人ね」
 「そうでしょ?むかつくでしょ?」
 「うちの息子も、外で女の人にそんな事言ってないといいけど・・」
 「そんなの大丈夫ですよ。あんな最低男より、ひどい人なんていないと思いますよ」
 「ひっぱたかれた事もあるみたいよ」

 「そうなんですか?“お母さんに心配かけない様に”って、いつか私が説教してあげます。何か聞いてもらってたら、楽になりました。すみません。こんな時間につまらない事言って」
 「いつでも電話して。それに家にも遊びに来てね」
 「はい。じゃぁ。ありがとうございました。おやすみなさい」

 
「なにが“人生を共にする人と出会うでしょう”よ。占いなんて嘘っぱち」携帯に八つ当たりした。
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