「会長から社長宛の書類を預かって参りました。お返事を頂いてくる様にとの事ですので、よろしくお願い致します」
 「なんだよ。気持ち悪いな」
 「お仕事モードに入っておりますので」
 「いつもお仕事モードでいたら静かでいいのにな」
 「このー」
 「なんだよ」
 「いいえ。外に居りますので、よろしくお願い致します」

 「ねえ?あなたが新しい会長秘書の人?」
 「そうじゃないの。見学に来るようにって言われて。村川絵美です。よろしく」
 「大変なんでしょ?会長秘書って。社長時代からの秘書の人が退職されてから、長くて三ヶ月、一週間も、もたなかった人もいる位よ」
 「そうなの?いい人だと思うけど・・社長秘書の方が大変でしょ?あの社長じゃ・・」
 「とんでもない。社長は、仕事は出来るし、部下を怒鳴ったりした事もないし、優しいし・・みんなの憧れよ」
 「まさか」
 「ほんとよ。ただちょっと、夜遊びが好きみたいだけど・・」

 「痛・・・」
 「村川さんどうかした?」
 「大丈夫よ」
 「顔色が悪いわよ。気分でも悪い?先生呼びましょうか?」
 「大丈夫、ちょっと・・」
 「村川さん!?」

 「村川さんに入ってもらって」
 「社長、村川さんが・・」
 「どうした?」
 「急に顔色が悪くなって・・」
 「すぐに先生を」

 「村川さん。解かりますか?大丈夫ですか?」
 「よかった。気が付いて。村川さん大丈夫?」
 「すみません、ご迷惑掛けて」

 「急にどうしたの?」
 「足が痛くなって・・」
 「足?こんなに腫れて。最近、痛めたことは?」
 「三ヶ月くらい前に骨折を」
 「骨折?ギブス外してから、リハビリとか行きました?」
 「いいえ・・」
 「それに何故、こんなヒールの靴履いてるんです?」
 「何故か今日は履きたくなって・・・」
 「とりあえず、手当てしておきますが、無理は禁物です。もちろん、ヒールなんてとんでもない。治療とリハビリに行って下さいね」
 「解かりました。すみませんでした」
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