「もしもし、ゆうさん?わたし、イ・ソンジェです」
「えっ?ソンジェさん?日本語?」
「はい」
「どうして?日本語が?」
「ゆうさん、かんこくご、べんきょうしてないでしょう?だからわたし にほんご、べんきょうしました」
(どうして解かっちゃたんだろ?)
「らいげつ、にほん、いきます。きょうからわたし、ゆうさんに、かんこくご、おしえます」
「大丈夫です。自分でやりますから(又そんな事言って)」
「だめです。ゆうさん、べんきょうしない。だから、まいにち、でんわします」
(わぁー、大変な事になちゃった)
その日から、特訓が始まったが、ソンジェさんは教えるのがうまく、私も苦痛じゃなく勉強が出来た。
自分の無責任さを反省していた事もあったのだけど・・・。
ソンジェさんが韓国語を、私が日本語をお互いに教え合い、最初は単語だけだったのが、だんだん会話となり始め、徐々に通じるようになっていった。
もっとも、私の発音の悪さをソンジェさんがうまく理解してくれていたのだろうけど。
翌月、約束どおり二人は、仕事で、この街にやって来た。
電話での特訓の間にソンジェさんとは色々と話をし、すっかり打ち解けていたので、今日で会うのは二度目だという感じはしなかった。
お昼を一緒に食べながら、日本語と韓国語が入り混じっているとは言え、何とか会話している私達を見て、社長もすごく驚いていた。
「僕は、用があるので、ソンジェ、彼女と話しでもしてゆっくりしててくれ。明日からまた忙しくなるし。夕食までには帰るよ」そういい残し、社長は出かけて行った。