あなたへ

　今日は、ジャンボの発売最終日。
　末等しか当たった事はないけれど、億万長者への夢を買う為、仕事帰りにこのショッピングセンターへ立ち寄った。

　その人に会ったのは（見つけたと言う方がいいのかも知れない）駐車場に車を止め、発売所に向っている時だった。

　２〜３人の高校生が自転車で走り抜けて行った。
　「危ない！」思わず声を出してしまった。
　入り口に立っていたその人とぶつかりそうになった。
　「すみません」と言って、彼らは走り去った。

　（良かった。ぶつからなかったみたい）
　だけどその人は、彼らを避けるために手をついた時、どうやら手首を傷めたらしい。
　手首を押さえ、顔は青ざめていた。

　「大丈夫ですか？」と声をかけたが、返事がない。
　顔を上げたその人と目が合い、もう一度「大丈夫？」と声をかけた。
　「ケンチャナヨ」と聞いた事のある言葉が返ってきた。
　（韓国の人だったの・・）
　「ケンチャナヨ？」恐る恐る尋ねてみた。

　ここのところの韓流ブームに、しっかりはまってしまっている私は、ドラマや映画で聞きかじった単語を試してみた。

　私が、韓国語を話せると勘違いしたのか、その人は、話しかけてきたが、ほんの数種類の単語を知っているだけの私には、理解出来るはずもなく、知っている限りの韓国語、英語、身振り手振りで、日本語しか話せない事を伝え、手を見せるように言った。

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