昔、“ゴースト”という映画を見たことがある。
 彼女もこんな気持ちだったのだろうか?

 誰にも理解してもらえないだろう。
 気が変になったと思われるかも知れない。
 でも、気が変になった訳でもないし、理解してもらえなくても構わない。
 むしろ、私とソンジェの愛を、理解してほしくなんかない。

 誰にも解からない。
 私達がどれほど愛し合っているかなんて・・・。


 それからの私達は、前と何も変わらなかった。
 私には見えるソンジェの姿が、他の人に見えないということ意外は。

 だから、カフェでコーヒーとミルクティを注文してしまい、二杯飲むことになったり、一人で喋っているように見え、おかしい人と思われたりと、失敗も多かったけれど、出かける時は、心で話す方法も身につけ、だんだんと、ソンジェとの生活に慣れていった。

 そんな二人だけの、幸せな生活が続いていたある日、社長から電話が入った。

 「由さん、問題発生だよ。君のH.Pが、更新されているんだ。どうする?」
 「構わないわ、社長。きっと熱心なファンの人が、ソンジェさんの代わりに翻訳してくれてるのよ」
 「だけど・・」
 「好きにさせてあげて。構わないから」


 私には解かっているもの。
 それが、誰の仕業なのか・・・。


 だって、そのパスワードを知っているのは、ソンジェだけだもの。
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