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   電話相談  全国一斉電話相談「シニアの悩み110番」”

 
 シニアライフアドバイザーによる電話相談の始まりは20数年も以前の事でした。
 当初は、「定年退職前後の悩み110番」という名目で実施されていました。そのような
 中で高齢者からの親族に関する悩み、相続に関する悩み等々日常的な相談が多くなり、
 現在の「シニアの悩み110番」となりました。

 現在は、東京・名古屋・大阪・福山・広島・福岡の全国シニアライフアドバイザー協会
 で一斉に2日間実施されています。
 今回2015年は9月26・27日に実施されました。
 全国シニアライフアドバイザー協会の資料を使用させて頂きました。感謝申しあげます。

イラスト 1)相談者数・年齢

 性 別  男性 143人 女性 331人  合計474人 
 年齢別  49歳~50歳代 16人 . 60歳代 139人. 70歳代 216人. 80歳代 93人
      90歳代 10人.

  70歳代以上の相談者は、20年前には、退職前後の悩みとして相談を申し込まれた方々
 と考えられます。この結果をみても超高齢社会の到来が伺えます。
 70歳には健康保険の「高齢受給者証」75歳には「後期高齢者医療制度」などの
 一身上の変化が出て来る年齢であり、体力的にも精神的にも変化が現れる年代となり、
 色々な悩みが出て来る年代と考えられます。
 この年代こそがそれ以後の人生の準備に欠かせない年代ではないでしょうか。
 最も大切な年代ともいえます。多くの準備や心構えを考える必要性が感じられます。
 相談者に限らず、どこの集まりでも女性の方が多いようです。男性も自分のこととして
 勉強し、最終章の準備を計画する必要があると考えます。
  
    2)年齢層と相談内容

  どの年代も相続遺言書の相談が断トツに多く寄せられています。遺言・相続は、
 私の個人的な相談でも最も多い相談です。ほぼ全年齢にわたり寄せられています。

  私に寄せられる相談で遺言書に関しては、遺言書の種類とその長所と短所。
 公証役場のこと。費用などについての相談がよく持ちかけられます。
  相続については、揉め事が多いのですが、お金が有るとか無いとかの問題でなく、
 相続財産が少ない場合がもめ事が多いようです。私のアドバイスは、概略をお話しし、
 質問内容をアドバイスし、法律専門家を紹介することとしています。
  遺言書を作成することで相続のもめ事が半減します。ニュースによりますと、
 遺言書を作成すると相続税が考慮されるようにとなると新聞等で言われています。

  第2の相談は、50歳代~80歳代は家族問題となっています。
 私に寄せられる家族問題は、親との同居問題、介護、家族内の不和などが多いのですが、
 今回の電話相談では、二世帯住宅を建築後同居に関する揉め事、家族同士の考え方の違い、
 即ち、嫁と姑親子関係などが寄せられていますが、当初は良好な関係でも同居生活が長引
 くうちに不和が生じるようです。今回の相談の中には、離婚・リストラに合ったりして
 親の年金で生活して居るが、親が亡くなればどうすればよいかなどと甘えというか、
 情けない相談もあるようです。

  その他、住居・経済・健康医療の相談があるようですが、私には健康医療の問題、
 入院・老人施設入所時の保証人の問題が多く寄せられます。
  成年後見制度の相談もよくあるのですが、法律相談は、例えば成年後見制度のみで
 解決するものでなく、それに付随した、相続・遺言・保証人の問題と家族構成等々
 関連付けて考える必要があります。

    3)暮らしの形態

  暮らしの形態をみてみると、夫婦世帯が25.5% 一人世帯が44.5% 家族同居世帯
 が30%となっています。一人世帯が最も多く現在の家族構成が現れているようです。
 家族同居が思ったより多いと思います。
 同居からくる悩みも多く出て来るのではないでしょうか。
 一人世帯の方々の寂しさが現れているように思われます。

  各家族構成より見る相談内容

 ①夫婦世帯
  相続問題 妻に渡したい・その為の遺言書など妻に相続させたいと言う相談が多いよう
  です。高齢期を迎えて長年苦楽を共にした伴侶に相続させたいと言う意思が伝わってき
  ます。これは、私に寄せられる相談にもよく表れています。
  最近よく話題になる熟年離婚も相談が寄せられています。女性でも男性でも一人になっ
  た場合の生活を考えているのでしょうか。普段からの会話とお互いに相手を尊敬する
  気持ちがたいせつですが、言うは安し、最も難しい事かも知れません。
  一人暮らしの大変さ、日常的にきたす困難さ等々考慮して決断すべきでしょう。
  男性は、一人暮らしのみじめさ、女性は、経済的な貧困などなどよく考えましょう。

 ②一人暮らし
  将来的な不安感がよく表れていますが、一人暮らしであれ、夫婦くらしであれ、
  家族同居であれ、人間は最後は一人であると言うか覚悟をし、常に準備を心掛けておく
  必要があるように思われます。それも危機管理の一つです。
  その他、地域貢献の場やボランティア、生きがいなどについての相談も多くあるようで
  すが、冷たい言い方かもしれませんが、電話相談では、解決しないと思います。
  自分の意思が最も大切であり、社会に出て多くの人達と交流を持つことで実現するもの
  と思われます。
  一人暮らしの方は、あまり心配事を考えすぎないことが大切と思います。
  社会資源の勉強と利用方法を学び、人と交わり、余った少しの力を社会貢献にまわして、
  明るい前向きの日常が大切と思います。最後は皆一人になるのです。

 ③家族同居暮らし
  家族同士の会話なし、パラサイトシングル問題、ギャンブル問題、家庭内暴力の問題等。
  これほど難しい問題はありません。
  どのような意見やアドバイスも当事者にはなれないのです。
  アドバイスや意見もそれは相談を受ける側の考え方です。高齢夫婦なら日常的な買い物、
  料理を一緒につくることで会話も生まれてくるような気がします。

  私の場合は、食材の買い出しにはほぼ毎日妻と一緒です。否応なしに会話が生まれます。
  パラサイトシングルの問題・ギャンブル・家庭内暴力に関する問題は私では答えること
  ができません。本人の自覚とこころしか解決できないのではないでしょうか。
  それらに答える方々の話を聴いてみたいものです。
  親の年金で生活している子供の親亡き後のこと等心配することこそ子供の自立心を妨げ、
  甘えた行動に結びついている大きな原因と考えます。
  当事者自身が考えるしか解決しません。

考察  4)考察 

  相談は、あくまで相談であり、その答えは一例にすぎません。
 本人自身が考えなければ解決の道はないと思います。
 相談には、受ける側と相談をする側の二者で成り立つものですが、それぞれの心が必要と
 考えています。私流の考え方を述べてみます。

  <相談を受ける側>
  シニアライフ アドバイザーとして約10年間相談を受ける側にいました、
 その後も現在インターネット上や地元で身近な相談を受けていますが、私が、常に心して
 いることは相談を受ける側は、決して相談する人ではないと言うことです。
 受ける側として決して相談をする側になることはできません。
 データーの提示、一般的な知識はお伝えしても回答などはできるものではないと考えます。

  <相談をする人>
  どのように立派な答えを提示されても相談を受ける側の人は相談する人にはなれません。
 色々な相談ごとを受ける側の方より言葉を頂いても、それを自分のものとして消化し、
 自分自身で答えを考え導き出す資料として参考にはなりますが、それは答えではありません。

 自分で考え、自分で動き、自分で実行することが大切と思います。特に高齢期と言われる
 人々は日々が自分の最終章の準備と考えて、自立した日常を目指すことです。

私の考える自立とは次の5Kです。 健康・経済・こころ(生きがい)・共生・危機管理
 


                               シニア ライフ アドバイザー
                                      岡島 貞雄



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