イオンチャネル・・・起源はプロトンポンプ?

 

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プロトンポンプ

ポリン

 

 

イオンチャネル・・・起源はプロトンポンプ?(ブログ)

 

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イオンチャネルイオンチャンネル

細胞の生体膜(細胞膜や内膜等)にある膜貫通タンパク質で、受動的にイオンを透過させるタンパク質です。

 

細胞の膜電位を維持・変化させる他、

細胞でのイオンの流出入も行います。

 

神経細胞等、電気的興奮性細胞での、活動電位の発生、

感覚細胞での、受容器電位の発生、

細胞での、静止膜電位の維持、等に関与します。

 

電荷を持つイオンは、油に入りにくいです。

このため、脂質二重層で構成された部分の生体膜を、ほとんど透過できません。

イオンを透過させる経路(チャネル)を提供する膜タンパクが、イオンチャネルです。

 

イオンは、細孔(ポア)を通って流れますが、

チャネルの途中に、ゲートという構造があります。

 

ゲートは、閉じた状態と、開いた状態があり、開いているときのみイオンを透過させます。

 

イオンの選択性は、チャネルによって様々で、

一種類のイオンのみ選択的に透過させる、イオンチャネルもあれば、

多くの陽イオンを通すものも存在します。

 

イオン選択性により、カリウムチャネル、ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル、陽イオンチャネル等といいます。

 

イオンは、イオンチャネルを、電気化学ポテンシャルの高い方から低い方へ透過します。

 

細胞の場合、電気化学ポテンシャルの勾配は、

膜内外でのイオン濃度差による、化学ポテンシャルの勾配と、

膜電位による、電気ポテンシャルの勾配の和です。

 

つまり、濃度の高い方から低い方へ流れる傾向と、

陽イオンの場合では、電位が負の方向へ動こうとする傾向の釣り合いにより、流れる方向が決まります。

 

細胞の内向きにはイオンを透過させますが、外向きには透過させにくい、内向整流性チャネルも存在します。

 

イオンチャネルの開閉の制御様式

電位依存性膜電位に応じて開閉するもの

時定数の異なる複数のゲートを持ち、

膜電位変化時に、時間に依存した特定の開閉を行うチャネルも多いです。

 

リガンド依存性分子の特異的な結合によって開くもの(イオンチャネル共役型受容体

イオンチャネル自体が、受容体となっています。

AMPA型グルタミン酸受容体

NMDA型グルタミン酸受容体等。

 

機械的変形や力が、機械刺激依存性チャネル分子に加わると開くもの

触覚、聴覚、重力感覚等を担います。

内耳の有毛細胞等。

 

温度依存性

温度によるもの。

種類によって、開きやすい温度が決まっています。

 

漏洩チャネル

通常開いており、少しずつ特定のイオンを漏らすように流すもの。

 

リン酸化依存性

他タンパクからのリン酸化シグナルによるもの。

 

尚、イオンポンプという、ATP等のエネルギーを使って、イオンを能動的に輸送するタンパク質があります。

これは、イオンの選択性や膜内外への輸送という観点では、イオンチャネルに似ていますが、

ポンプは、イオンを電気化学ポテンシャル勾配に逆らっても、能動的に輸送することができます。

(イオンチャネルは、受動的にしか移動できません。)

 

その他

複数の種類のイオンを、ある個数比で、

反対方向に輸送する、イオン交換体

同じ方向に輸送する、共輸送体、もあります。

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(電位依存性)ナトリウムチャネル活動電位

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カリウムチャネル

細胞膜に存在し、カリウムイオンを選択的に通過させるイオンチャネルです。

 

カリウムチャネルは、神経細胞のような活発な細胞で、活動電位と、静止電位を調節しています。

 

ホルモンの分泌調整にも関わっています。

 

種類

電位依存性カリウムチャネル :活動電位の再分極や、活動電位の頻度を調節

 

カルシウム依存性カリウムチャネル :細胞内カルシウムを増加させる刺激後の抑制。

 

内向き整流カリウムチャネル Gタンパク質共役型は、多くのGタンパク質共役型受容体を抑制。ATP依存型は、ATPが減少すると開きます。

 

直列ポアドメインカリウムチャネル :静止電位を調節。

 

哺乳類には、カリウムチャネルのサブユニットをコードする遺伝子が80個以上あります。

 

細孔は、4つのサブユニットに囲まれています。

 

サブユニットには、ポアループ構造があり、この構造により、カリウムのみを選択して通すことができます。

 

尚、ナトリウムイオンは、カリウムイオンより小さいですが、選択フィルターにより、チャネルを通過できません。

 

カリウムチャネルは、イオンが選択フィルターに入ると、イオンの水和シェルを取り除きます。

 

選択フィルターは、各サブユニットのアミノ酸5残基( TVGYG )で構成されています。

このサブユニットは、フィルター孔に向いて並んだ、電気的に陰性カルボニル酸素原子( CO を持っています。

 

選択フィルター中の結合サイトの、カリウムイオンとカルボニル酸素原子の距離は、

水和シェル中の水の酸素原子と、水溶液中のカリウムイオンの距離と同じです。

 

フィルターと細孔のヘリックス間では、強い相互作用が働くため、

小さなナトリウムイオンのサイズに、チャネルの形が崩れるのを防いでいます。

そのため、ナトリウムイオンが通過しにくくなっています。

(カリウムイオン1000個に対し、ナトリウムイオンが1個通過)

 

選択フィルターは、細胞外側に開き、グリシン残基( KcsAGly79 )のカルボニル酸素を露出させます。

細胞外側の次の残基は、Asp80です。

このAsp80残基と、フィルターの5つのアミノ酸残基により、細孔が構成されています。

 

カルボニル酸素は、電気的に強い陰性であり、カチオンを引き寄せます。

フィルターは、S1からS44つのサイトで、カリウムイオンを収容することができます。

 

フィルターのアミノ酸残基は、

真核生物イソロイシンが、

原核生物ではバリンに置き換えられている場合があります。

 

中心孔

10Åの広い中心孔は、エネルギーバリアの高いチャネルの中心部分に位置しています。

水の満たされた孔( cavity )と、細孔( pore )のヘリックスのC末端は、イオンへのエネルギーバリアを緩和します。

 

カリウムイオンが、いくつか反発することにより、後のカリウムイオンが通過しやすくなります。

トッ

 

 

カルシウムチャネル

カルシウムイオンを選択的に透過する、イオンチャネルです。

 

電位依存性のものは、活動電位の形成や、神経伝達物質の放出に関係します。

 

イオンチャネル内蔵型受容体には、IP3受容体リアノジン受容体があり、小胞体等で発現します。

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アクアポリンAQP ) ポリン

水チャネルともいいます。

水分子を選択的に通過させることができ、細胞への水の取り込みに関係しています。

 

細胞膜に存在する、細孔 pore )を持った、膜タンパク質で、

MIPmajor intrinsic proteins )ファミリーに属します。

 

ヒトの細胞や、植物、更にある種のバクテリアで認められるようです。

 

アクアポリンは、4つの同一サブユニットで構成されており、それぞれのモノマーが水チャネルとして働いています。

水分子は、このチャネルの細孔を通過します。

 

水チャネルが働くことで、水の細胞膜透過性が上がっています。

 

グリセロール二酸化炭素アンモニア尿素等の、電荷を帯びていない小さな分子を通すものもあります。

しかし、電荷を帯びたもの(電子等)は通さないため、膜の電気化学ポテンシャルを保つことができます。

 

アクアポリンの構造

アクアポリンは、6個の右向きのαヘリックス構造を含んでおり、

N末端とC末端は、細胞質側の細胞膜表面に突き出しています。

 

N末端側とC末端側の半分の配列は、類似しており、繰り返し配列が存在しています。

この繰り返し部分は、進化の初期段階に、半分のサイズの遺伝子が重複したもの、という説があります。

 

ヘリックス間には、5個のループ構造( A-E )が存在し、細胞外と細胞内の連絡をしています。

ループBEは、疎水性で、Asn-Pro-Ala NPA )モチーフという構造を含んでいます。

 

NPAモチーフは、

脂質二重層内部で重なっており、漏斗状の構造をしており、水分子が1列になって通過します。

水分子は、チャネルの壁の原子によって作られる電場に順応することで、狭いチャネルを通過します。

 

重なった2つの部分のうち、

1つは、ペプチドのチャネル締め付けサイトといいます。

もう1つは、より狭い、ar/R 選択フィルターといいます。

 

ar/R(芳香族/アルギニン)選択フィルターは、

水分子に結合したまま、細孔に入ろうとする分子を除去します。

この働きにより、チャネルを水以外の分子が通過できません。

 

細胞外側の入口に存在し、細孔の最も細い部分を形作っています。

 

この構造は、水の水素結合を弱める働きがありますが、

と、正電荷のアルギニン(プロトンフィルターの役割をします)との相互作用には影響しません。

 

哺乳類のアクアポリン

哺乳類が持つアクアポリンは、少なくとも13種類が知られており、

その内6種類は、腎臓にあります。

 

水は、脂質二重層と水チャネルを通ることによって、細胞膜を通過します。

 

アクアポリンの大部分は、水以外の物質を通しませんが、

アクアグリセロポリンという、水の他に、グリセロール等の小さな分子を通すものもあります。

 

植物のアクアポリン

植物は、根から吸い上げた水を、維管束を通して全体に運びます。

 

この経路には、アポプラストとシンプラストという経路があり、

アクアポリンは、シンプラストによる水の輸送を促進しているようです。

 

アクアポリンのゲート制御は、細胞中の水の量が少なくなった時等に行われると考えられます。

 

根では、少なくとも2種類のゲート制御が行われています。

これらは、特定のセリン残基の脱リン酸化と、特定のヒスチジン残基へのプロトン付加によって起こると予想されています。

 

アクアポリンのリン酸化は、植物の開花と閉花にも関係しています。

 

PIPという、原形質膜に特有のタンパク質もあります。

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プロトンポンプ

生物体内で、光エネルギー等を利用して、水素イオン(プロトン)を能動輸送し、

生体膜の内外に膜電位やプロトン勾配を作り出す機能、またはそれを行うタンパク質複合体です。

 

プロトンポンプによって形成されたプロトン勾配は、ATP合成等に利用されます。

ATP合成酵素自身も逆反応として、ATPの加水分解によるエネルギーを利用してプロトンポンプとして働くことができます。

 

胃酸の分泌にも、ATPをエネルギー源とするタイプのプロトンポンプが働いています。

 

高度好塩菌の表面に存在する紫膜では、バクテリオロドプシンが配向しており、

光エネルギーを利用し、プロトンポンプ機能を発現しています。

 

この他、光合成反応中心による)や、電子伝達系酸化還元による)も、プロトンポンプ機能を持っています。

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ポリン アクアポリン

βバレル構造を含む、膜貫通タンパク質です。

他の膜輸送タンパクとは違って、分子の受動的拡散が可能な大きな孔を持ち、イオンチャネルのような働きがあります。

 

イオンアミノ酸のような、小さな物質の拡散に関与しています。

 

グラム陰性菌ミトコンドリア葉緑体外膜に存在します。

 

グラム陰性菌の内膜が、ほとんど透過性を持たないのに対し、

外膜は、ポリンが存在するため、1500ダルトン以下の物質を透過させます。

 

ポリンは、βシート構造で構成されており、細胞質側のβターンとアミノ酸の長いループで結合しています。

βシートは、逆平行であり、βバレル構造を作っています。

βシートでは、極性アミノ酸と無極性アミノ酸が交互に並んでいます。

無極性アミノ酸は、外部に面して、無極性脂質と相互作用し、

極性アミノ酸は、βバレルの内部に面して、水チャネル?(aqueous channelと相互作用します。

 

ポリンのチャネルは、空洞の内部に突き出た、アイレットeyelet)というループ構造があり、

チャネルを通過できる溶質のサイズを決定しています。

グルタミン酸アスパラギン酸等の荷電アミノ酸により生じた電場が、孔を横断していて、

チャネルを通り抜けることができる分子が決定されるようです?

 

尚、ヌクレオポリンは、細胞核の核膜孔を通した輸送に関与するポリンですが、全く別個のものとみなされています。

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