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  「大地の涙」

 「アレクセイと泉」という映画があります。これは1986年チェルノブイリ原発の大事故で汚染された村で、こんこんと湧き出す泉の物語です。泉があるのは、チェルノブイリ原発から180キロ離れた、ベラルーシ共和国東端のブジシチェ村の森の中。森は放射能に汚染されているのに、泉の水からは放射能は検出されないそうです。大地に降り注いだ天水が100年かけて湧き出したのがこの泉で、村人は「100年の泉」と呼んでいるそうです。とてもおいしく、生きていることを実感する水であるといいます。そしてそれは、まるで汚染された大地から湧き出す清らかな水が、戦争や温暖化で傷ついた地球の流す涙のようであるともいわれるのです。

 私たちの世の中は、煩惱に汚された穢土であると教えられております。つまり汚染された世の中であります。その世の中にあって、仏様の教えはこの泉の水であり地球の流す涙でありましょう。そして仏様の教えを聞く場は、まさにブジシチェ村の森の中の泉ではないでしょうか。

お寺という場所は、地球の流す涙、仏の教えがこんこんと湧き出すところなのでありましょう。なくしてはならないのであります。
                                合 掌
            (かむろ)



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