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  『ドラえもん』

 9月3日はドラえもんの誕生日(2000年で31歳)。いまでも絶大なる人気をもつ。そのドラえもんの顔の特徴は、目の位置が高いことだそうだ。ふつう低年齢向けの可愛いキャラクターは、子供の目の位置のように顔の下のほうにある。目が高い所にあるのは大人であることを意味し、それはドラえもんが、実は何でも可能にしてくれる理想の大人であることを暗示しているという

 さて世の大人たちはどうであろう、今やなにを履き違えたか、目だけでなく鼻まで高くなり、そして善人ぶった傲慢な人間になりはてている。最近の国会議員や一流企業の役員など、社会のトップの言動はそのことを物語っている。

 ドラえもんのテレビアニメを見て育った私には、ドラえもんがポケットから取り出すさまざまな便利な道具をのび太が勝手に使いそして失敗するというストーリーが心に残っている。そこにはのび太がドラえもんの道具によって、逆に自分のおろかさを知らされていくという姿が描かれていた。

 「理想の大人」とは、実は自分というものを過信しわが身をふり返らない大人ではなく、慢心に沈みがちなおろかな自分に痛みを感じながら、苦しみ精一杯生きる人のことを言うのではないだろうか。
 「目に見えない地位学歴で人となるのではない。傷つけあう有限な生身と知って愛ある人となる」(故平野修師)の言葉が思い出される。

     (「サンガ」季節風から)(禿)


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