膜電位・・・細胞膜ワールド
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膜電位の原理 : 静止電位の形成・イオン分布の差を引き起こす要素
膜電位・・・細胞膜ワールド(ブログ)
ATPがない時代?の原始生命は、
熱水噴出孔等から出る光エネルギーを、
膜電位として蓄えていたのかな、と妄想していますが・・・ →細胞膜ワールド
膜電位は、イオン分布の差による細胞内外の電位差です。
膜電位は、ヒトを含む多細胞動物に加えて、ゾウリムシ(単細胞生物)、オジギソウ(植物)にも存在します。
更に、シアノバクテリア(原核生物)にもみられ、生命共通の基本原理、という説もあります。
多細胞動物では、速い情報伝達に利用されています。
膜電位は、イオンポンプで生み出されますが、
イオンポンプは、ATPのエネルギーで、イオンを能動輸送します・・・
ATPは、現在の生物は、主に光合成や呼吸鎖で生成しています。
光合成では、光エネルギーを利用したプロトンポンプにより、
膜内外の、水素イオン(プロトン)勾配を作り出して、ATPを生成します。
呼吸鎖でも、ミトコンドリア膜内外の、プロトン濃度の差からATPを生成します・・・
ミトコンドリアでの、水素イオン(プロトン)の濃度差は、
NADHやFADH2のもつ還元力によって生み出されますが・・・
緑色硫黄細菌(光化学系I類似)は、
深海熱水噴出孔(深さ2500m)から出る光を利用しているものもあり、
光エネルギーで、NAD+からNADHを生成しています。
ちなみに、ミトコンドリアの起源とされる、アルファプロテオバクテリアにも、光合成を行うものもあります。
ミトコンドリアに近いリケッチア目の中で、最も祖先的な位置から派生する、ペラジバクターは、
プロテオロドプシンという、光依存性プロトンポンプの遺伝子を持つようです。
膜電位と、ATPの間で、光エネルギーが行ったり来たりしていますね。
原始生命は、光エネルギーを利用するように進化したのでしょうか???
太古の地球表面は、生命が生存するには、厳しい環境と思いますので、
生命の、大元のエネルギーは、
深海や、地下の光(熱)エネルギーでしょうか???
太古の月は、現在よりずっと地球に近かったので、
月の潮汐力も、エネルギー源になったかもしれませんね。
細胞膜の原型ができた後、
当初はコンデンサーのように、エネルギーを膜電位として蓄え・・・
プロポンポンプができると、膜電位をある程度自由に使えるようになり・・・
更に、ATPが誕生することで、原始生命?が誕生したかも、と妄想しています。
あと、補酵素Aや、NADなども重要ですが・・・
どう関係するのでしょう?
でも、多細胞動物(真核生物?)は、濃度勾配の維持に、
水素イオン(プロトン)ではなく、Na+を利用しているのはなぜでしょう?
そういえば、好アルカリ菌も、水素イオンの代わりにNa+を利用します・・・
真核生物の祖先は、好アルカリ菌? →真核生物の起源は、好アルカリ菌?
尚、テルモコックス属の、T. alcaliphilus は、好アルカリ菌( 至適pH 9 )で、
細胞壁を欠き、多数の細胞が集合した融合体を形成するものがあります。
ただし、進化的には、ユリアーキオータの基部付近で分岐したもののようです。
(真核生物は、クレンアーキオータに近いとされています。)
余談ですが、ミトコンドリアも分裂したり融合したりします。
膜電位は、膜内外での陰陽両イオンの電荷の総和で決定されます。GHK方程式
膜電位の原理について、
静止膜電位の濃度勾配を維持する要因は、Na+-K+ポンプですが、
その値を支配しているのは、K+漏洩チャネルです。
膜内外の電位差そのものは、イオンの移動に影響を及ぼします。
静止膜電位は、細胞内が細胞外に比べて負です。
負の細胞内に、陽イオンは入りやすく、
正の細胞外に、陰イオンは出て行きやすいです。
見かけ上イオンの移動が停止する膜電位を、(そのイオンの)平衡電位といいます。
平衡電位は、それぞれのイオンで別々に存在します。
また、見かけ上電荷の移動がない時の膜電位を、静止膜電位といいます。
ただし、イオンの流出入は、続いています。
静止膜電位から、膜電位が
プラス方向に変化することを、脱分極、
マイナス方向に変化することを、過分極といいます。
後、Ca2+は、細胞内のシグナル伝達に重要で、
細胞質内のCa2+濃度が低いのですが・・・
Ca2+は、小胞体に加えて、ミトコンドリアでも貯蔵されています・・・
真核生物とは逆に、ミトコンドリア(元、原核生物)の中のCa2+濃度が高いのはなぜでしょう? →カルシウムの謎
謎は、深まるばかりです。
細胞の内外に存在する、電位差です。
細胞は、細胞膜をはさんで、特定のイオンを選択的に取り込み、別のイオンを選択的に排出しています。
そのため、細胞の内と外でイオンの組成が異なっています。
電荷を持つイオンの分布の差が、電位の差をもたらし、これを膜電位といいます。
多細胞動物の、神経細胞や筋細胞は、膜電位をすばやく、動的に変化させる事で、生命活動に役立てています。
膜電位(とその変化)は、
ゾウリムシ(単細胞生物)の繊毛、オジギソウ(植物)の小葉に加えて、シアノバクテリア(原核生物)にも存在する、
生物共通の基本原理と考えられています。
膜電位は、膜内外での陰陽両イオンの電荷の総和で決定されます。 GHK方程式
電荷バランスが崩れた領域は、膜近傍の2〜3nm(デバイ長)のみで、
大部分の電荷は、膜表面付近に集中しています。
細胞内外に大きな電位差があると、電位差を利用した、非常に速い情報伝達が可能になります。
膜電位が生じるためには、細胞内外のイオン分布に差が生じる必要があります。
細胞膜を構成する、脂質二重層の内部は、疎水性です。
このため、イオンは、細胞膜を介して自由に行き来することができません。
一旦イオン組成の差が起こると、そのまま細胞膜内外の電荷の差が生じる原因となります。
濃度勾配を維持する要因は、Na+-K+ポンプですが、
静止膜電位の値を支配している大きな要因は、K+漏洩チャネルです。
Na+とK+は、開いたイオンチャネルを通して、電気化学的勾配の影響の下で拡散します。
細胞膜において、K+の透過性は、Na+の透過性よりも75倍大きいです。
これはK+漏洩チャネルが、常に開いているためです。
静止電位が、−70mVと、
Na+の平衡電位+45mVよりも、K+の平衡電位−90mVに近い値をとるのは、この透過性の違いが主な要因です。
尚、静止電位と同様、多くの活動電位も、Na+とK+の透過性に依存しています。
イオンポンプは、
ATP等のエネルギーを利用して、特定のイオンを能動輸送するタンパク質です。
イオンポンプは、膜内外のイオン組成の違いに関わらず、一方通行のイオン輸送を担います。
イオンポンプの輸送速度は、あまり速くなく、
1分子のポンプ1秒あたり、高々数百のイオンを輸送できる程度ですが、
ATPのエネルギーがある限り、常に動き続けます。
膜電位に関わるイオンポンプには、Na+-K+ポンプがあります。
その他にも、カルシウムイオン( Ca2+ )や、水素イオン( H+ )を輸送するポンプもあります。
一旦イオン分布の差が生まれると、濃度差を利用した受動輸送が可能になります。
この受動輸送は、イオンチャネルというタンパク質によって行われます。
イオンチャネルは、イオンポンプ等によって濃度差が作られたイオンを、
イオン濃度の高いほうから低いほうへ拡散させる、イオンの通り道です。
そのため、方向に選択性はなく、膜電位がない場合は、常にイオンの濃度勾配に従った輸送です。
ただし、イオン濃度の低い方から高い方への移動が、全くないわけではありません。
イオンがチャネルを通過するかどうかは、イオンがブラウン運動によってチャネル分子に衝突するかどうかによります。
イオン濃度の高い側では、イオンのチャネルへの衝突が、低い側に比べて圧倒的に起きやすいため、
全体としては、高い方から低い方への流れが生じます。
イオンチャネルの多くは不活性型で、何らかの刺激に応じて開閉します。
ただし、漏洩チャネルは、常に開いています。
膜内外の電位差そのものも、イオンの移動に影響を及ぼします。
静止膜電位は、細胞内が細胞外に比べて負です。
負の細胞内に、陽イオンは入りやすく、陰イオンは入りにくいです。
逆に、正の細胞外に、陰イオンは出て行きやすく、陽イオンは出て行きにくいです。
これは、単純に細胞外の正電荷を持つ環境が、陽イオンを反発させようとするからです。
塩化物イオン( Cl- )の移動は、膜電位による移動に依存しています。
細胞膜の Cl- に対する選択的透過性が低いため、 Cl- は、比較的自由に膜内外を行き来することができます。
Cl- 濃度が、細胞外において高いのは、細胞外の方が正電荷を持つため、
膜電位による電場によって、受動的に引き寄せられるためです。
平衡電位 静止膜電位
イオンの流れは、膜電位そのものが起こす、電場の影響を受けます。
電場によって起こるイオンの移動は、受動的なもので、電場を打ち消すような方向に行われます。
ある一定の膜電位において、イオンの移動が見かけ上停止する点があります。
これを、平衡電位といいます。
細胞膜の、各イオンに対する選択的透過性は異なるため、
平衡電位は、それぞれのイオンで別々に存在します。
ネルンストの式によると、
平衡電位は、膜内外のイオン濃度(活量)によってのみ、決定されています。
そのため、平衡電位は、膜電位によって影響されません。
尚、各イオンの平衡電位の総和は、膜電位を決める重要な要素です。
また、平衡電位は、他のイオンの存在に関係なく、決まります。
つまり、他のイオンの作る電場に影響されません。
見かけ上イオンの移動が停止する膜電位は、
カリウムイオンは、-88mV、
ナトリウムイオンは、+59mVです。
逆に、
カリウムイオンは、膜電位が-88mVになるまで、
ナトリウムイオンは、+59mVになるまで、移動を続けようとします。
活動電位が発生すると、ナトリウムチャネルが開放され、Na+の細胞膜内外の行き来は自由になります。
そのため、膜電位は、+59mVに向けて急上昇します。
その後、ナトリウムチャネルは、不活性化されて閉じ、
今度は、電位依存性のカリウムチャネルが開放されます。
そのため、膜電位は、-88mVに向けて下降し、
静止膜電位である-70mV付近を越えて、アンダーシュートします。
尚、ネルンストの式は、膜電位そのものは算出できません。
膜電位を算出する式には、ゴールドマン・ホジキン・カッツの式( GHK方程式 )があります。
静止膜電位 膜電位によるイオンの移動
イオンは、常に細胞内外を移動しています。
イオンの流出入は、細胞が生きている限り、止まることはありませんが、
電荷の移動は、ある条件において見かけ上動かなくなります。
この時の膜電位を、静止膜電位といいます。
この時、細胞は一種の定常状態にあり、見かけ上電荷の移動はなく、膜電位は安定します。
ただし、イオンの流出入は、続いています。
つまり、単位時間当たりに流出するイオンの総電荷量と、流入するイオン総電荷量が一致しており、
かつ、その状態が長く続くような条件が、静止膜電位です。
細胞の膜内外に存在する電位差は、細胞外と比べ、細胞内がマイナスです。 分極
これは、カリウム漏洩チャネルにより、K+はくみ入れても、ある程度は細胞外に漏れ出るためです。静止電位の形成
静止状態での神経細胞内イオン組成は、
ナトリウムイオン( Na+ )や、塩化物イオン( Cl- )濃度は低いです。
一方、カリウムイオン ( K+ )濃度は高く、また負電荷を持つ有機低分子(アスパラギン酸等)の濃度も高いです。
これらは、
イオンチャネルによる、膜の選択的透過性と、
Na+-K+ポンプによる、能動輸送が関与しています。
脊椎動物の静止膜電位は、-70mV付近であり、
そこからカリウムチャネルが開いて、K+が細胞外に流出しても、
高々-90mV(カリウムの平衡電位)、つまり20mV程度しか膜電位は変化しません。
これは、漏洩チャネルによる、外向きのイオン流が、存在するためです。
一方、Na+は、ほとんど細胞内に漏洩しないので、
ナトリウムチャネルが開くと、Na+が大量に細胞内に流入し、大きな透過力が発生します。
これが活動電位の正体であり、膜電位は、-70mVから+40mV付近まで、一気に変化します。
尚、Cl-が、細胞外に多いのは、膜電位による電場によります。
その他、カルシウムイオン( Ca2+ )や、マグネシウムイオン( Mg2+ )も、比較的細胞内には少ないです。
特に、Ca2+濃度が、細胞内で少なく維持されていることは、重要です。
Ca2+は、必要に応じて細胞外や、小胞体から細胞内に放出され、
カルモジュリン等、種々のカルシウム依存性タンパク質を活動させる引き金であり、
多くのシグナル伝達カスケードを動かす、最初のキューとして非常に重要です。
そのため、Ca2+は細胞外への輸送だけでなく、小胞体内へも能動輸送され、細胞内濃度を低く保っています。
この状態を、膜が分極しているといいます。
静止膜電位から、膜電位が
プラス方向に変化することを、脱分極、
マイナス方向に変化することを、過分極といいます。
尚、プラス方向に変化することが脱分極であるため、必ずしも、膜電位が正になるわけではありません。
一旦プラスに転じた膜電位が、再度静止膜電位に戻ることを、再分極といいます。
神経細胞は、シナプスという構造を通じて情報伝達をしていますが、
伝達を受けた神経細胞が、脱分極するか、過分極するかは、重要です。
脱分極を引き起こす伝達は、興奮性伝達と呼ばれ、活動電位を引き起こす助けとなるのに対し、
過分極を引き起こす伝達は、抑制性伝達と呼ばれ、活動電位の発生を抑える働きをします。
活動電位の発生は、
入力された興奮性/抑制性伝達の総和が、ある一定の値(閾値)に達するかどうかによって決定されます。
ナトリウム-カリウムポンプ( Na+ - K+ ATPアーゼ、ナトリウムポンプ )
静止電位の形成 ポンプによるイオンの移動 静止膜電位 漏洩チャネル
細胞膜上に散らばって存在し、ATPの加水分解によるエネルギーを利用して、
3個のナトリウムイオン( Na+ )を細胞外にくみ出すと共に、
2個のカリウムイオン( K+ )を細胞内にくみ入れるタンパク質です。
このポンプのおかげで、細胞内はNa+が少なく、K+が多いという濃度勾配を維持できます。
カリウム漏洩チャネル チャネルによるイオンの移動
細胞内のK+を、細胞外に流出するカリウムチャネルのうち、常に開いているものです。
このチャネルにより、ナトリウム-カリウムポンプでK+をくみ入れても、ある程度は細胞外に漏れ出ています。
尚、ナトリウムチャネルは、通常不活性化されて、開いていません。