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設備関連の設計・工事・維持管理の注意点について
A、昇降機(エレベーター)
1、
法的位置づけ
エレベーターの構造等は建築基準法で規制を受け、建築物の一部として扱われる。
特に、昇降路(カゴが昇降している竪穴)は火災時における煙や炎の拡大する場所であるため、その扉は、
煙や炎を防ぐ構造でなければならない。
そのため、リニューアルすると、エレベーターは現行法令に適用させるのは当然ですが、その時に建物に
も波及して、現行法令に基づく改修が義務付けられる場合がある。
その点、特定行政庁と事前協議が必要です。
2、
この20年間での重要な法令改正
(1)平成14年
告示1111号で許されていた扉の一定の隙間が、煙の通過道になるとのことで許されなくなった。
改修内容によって、扉の新替えを義務づけられる場合がある。
その場合に、メーカーによっては、新法に対応できない場合があり、そうなれば、ロビーに一旦、
煙を止める部屋を設けなければならなくなる。
これらを踏まえて、改修内容を調整し、リニューアルを考えなければならない。
(2)平成19年
東京港区でのシンドラー社のエレベーター事故を受けて、その安全装置と地震対策も併せて建築基
準法が改正された。
○戸開走行保護装置(UCMP)
○地震時管制運転装置の導入
○耐震設計
*平成21年
耐震設計 俗に09(2009年の意味)耐震という
*平成26年
耐震設計(特にカウンターウエイトの構造強化) 俗に14(2014年の意味)耐震という
3、
点検整備
(1) 見えない、分からないエレベーターが適正な点検整備が行われているか
○ワイヤーロープの錆び
○減速器からのオイル漏れ・・・モータの回転数を落とす機器
○ボルトナットのゆるみ
○過加重検知装置・・・乗り過ぎの場合110%
○加速度検出装置・・・落下を含んで異常速度を検出し、カゴを停止さ
○遠隔監視装置・・・トラブル時にメーカーに自動的に繋がる機器の機能や音声の音量
(2)日常のトラブル事例と原因
日常のトラブルを的確に修復しなければ事故に繋がる
エレベーターの日常の小さなトラブルの原因を調査し、確実に修理するのが
効な対策です。
不具合の概要 |
原 因 |
施工 |
乗り場の敷居溝に小石挟まってドア開閉できず |
乗場敷居溝に小石や土が入り込んだため開閉できず。 |
H13 |
3階で両方の扉が開いたまま停止 |
3階乗り場ボタンがずれていて、誤作動した。乗り場ボタンを交換。 |
H8 |
かご内車椅子用押ボタン”2”が動作しない |
ボタンが悪戯で壊されていました |
H13 |
5階で扉開いて停止したとのことだが、到着時は正常運転中 |
5階乗場の押しボタンが一時的に押し切りとなっていたため |
S44 |
12階の呼びボタンが上下降共、カバーが壊れている。 |
悪戯などで壊されたと考えられる。 |
S48 |
かご内照明が点滅している |
蛍光灯安定器の劣化のため |
H08 |
住民さんが鍵をピットに落とした |
住民さん不注意 |
H17 |
6階にて休止 |
9階乗場敷居に落とされた氷が融けて、昇降路内に落下し、扉機器や配線が絶縁不良となったため |
H15 |
2Fにて起動不能 |
2F乗場押ボタンが壊されていた |
H08 |
1階で戸閉停止。 |
1階ホール押ボタン入り込み。 |
H11 |
3階にて女性3名閉じ込め |
外扉閉検出装置もしくは内扉閉検出装置が接触不良した可能性が高い |
H7 |
音声放送聞こえない |
放送用基盤不良のため |
H19 |
3階停止時にかごとロビー床段差 |
原因を調査したが原因不明です |
H11 |
3階で停止 |
溝に異物が挟まり、ドア位置がずれて光電管が誤作動 |
H18 |
1階で扉が開かない。遠隔監視受信2分後に復旧。 |
原因特定できず |
S50 |
10階で停止。各乗り場押しボタン利かない。インジゲーター点灯しない。 |
落雷の為、関連する基盤が故障していた |
H14 |
10階から下降時に異常音がする。 |
かごガイドレールのオイル切れにより音がしていました。 |
H7 |
エレベーターのピットに鍵を落とした |
住民様の不注意 |
S54 |
1階乗場押ボタンが作動しない |
制御盤内乗り場ボタンのシーケンサーが不良。シーケンサーユニット取替 |
H14 |
10階にてエレベーター動かず。(5名閉じ込め) |
制御盤内ヒューズ溶断(制御盤の初期不良) |
H18 |
1Fにて戸開閉を繰返して停止 |
敷居ごみ詰り |
H09 |
2Fにて停止 |
敷居ごみ詰り |
H12 |
ブザーが勝手に鳴る事がある |
非常ボタンを悪戯で押したと思われる |
H18 |
10階で扉が閉まった状態で動かない |
原因特定できず |
H14 |
1階で扉が閉まった状態で動かない |
制御盤基盤接触不良のため |
H14 |
4F押ボタン本体が外されている |
いたずらにより破損 |
H08 |
遠隔通報にて、起動不能信号を受信。到着時は正常運転中。 |
遠隔監視装置の不良によるもの。 |
S53 |
1階で扉開かない。開閉を繰り返している。 |
1階乗り場敷居に小石が挟まっていた為 |
H15 |
9Fにて閉ボタンを押しても閉まらない |
押しボタン壊され、開ボタン入りきり |
H12 |
1階で扉開閉繰り返し |
1階敷居溝異物混入 |
H18 |
遠隔監視にて起動不能信号を受信 |
制御盤内リレー端子部にて接触不良のため |
H18 |
1階で扉が閉まったまま動かないと通報 |
到着時正常のため、原因特定できず |
H10 |
1階のみドアが閉まっても起動しない時がある。 |
1階乗り場ドア敷居溝に大量の砂利が混入し、ドアが閉まり切らなかった。 |
S54 |
11Fにて戸開停止 |
押しボタン壊され、開ボタン入りきりのため |
H12 |
遠隔監視にて異常信号受信 |
1階乗り場ボタンに粘着物が付着していた |
H13 |
1階で戸開停止。 |
1階敷居に異物が挟まっていた為。 |
S48 |
1階で扉が閉まらない |
制御盤内ヒューズ経年劣化により切れていた為 |
S54 |
5階にてエレベーター動かず。 |
6階階選別スイッチにビニール袋が引っ掛り動作状態 |
H4 |
11階で停止。 |
乗られていた方が扉をゆすった為 |
S50 |
1階乗場の押釦が変形し、ドア開閉不具合 |
押釦内部にガムが入り込んだ為、動作不良を起こした |
S48 |
遠隔監視装置で異常信号受信 |
かご内押しボタンに悪戯で木片が入混まれていたため |
S58 |
2階で男女2人閉じ込め |
起動回路リレーが誤動作したと考えられる |
H10 |
(3)点検整備方法
1)
点検整備業者
○製作・据付メーカー系の保守会社
委託費が高い、技術問題は?
○独立系保守会社
委託費が安い、技術問題は?
2)契約内容
○FM契約
フルメンテ(ワイヤーロープまで)修繕費も含んだお金の先払いで
かつ、委託費は高い
任せっぱなしで不利益はないか?
○POG契約
消耗部品(パーツ、オイル、グリス等)で修繕は別契約なので委託費は安い。
高度な技術が必要な時は対処できるか?
3)検査の必要性
専門分野で見えない場所、どこまで信用できるか、昇降機等検査員
の検査も必要では?
4、
リニューアル(ここに記載はエレベーターですが、機械式駐車場は簡易な施設ですから流用できます)
(1)改修方法
機器の全て新替え、費用高い1500〜2000万前後(階数、内容、業者により)、
工期長い45日/基
躯体に取り付いているものを残置、費用中程1000〜1500万前後、
工期25日/基
○残置する機器類
カゴ用レール、つりあい重り用レール、マシンビーム(巻き上げ機械の基礎架台)
三方枠、敷居、カゴ(残さない場合もあり)
3)
制御系リニューアル
制御盤、カゴ内操作板等を新替え、費用安い500万〜800万(階数、内容、業者により)、
工期1週間まで/基〜
(2)機械室の有無
2)機械室なし(マシンルームレス)
機械室の有無を変更すると(有りからなしに)工期に影響する
「機械室をなくすと倉庫ができる」の甘言にだまされない
(3)見積もり徴収業者と重要な留意事項
大手はお互いに他社のエレベーターはリニューアルしない
また、管理会社が元請けになるケースが少なくない。どうしてもその分高くつくが、専門家がいるかとなると否定的である。
見えない分からない設備なので、専門家による見積や工事監理が必要です。
溶接やボルトナットという強度上重要な部位の検査が強く求められます。
多くの方は、一流の企業が責任をもって設計施工しているので安心と思うが、確かに事故などに繋がる事は稀ですが、地
震時等での安全性に対処できる監理や検査が必須と考えます。。
大手の工場検査で、かごの溶接が悪くで2基のエレベーターのやり替えを指示したケースが有ります。
令和の最近では、車や電車その他の部門で捏造が取り沙汰されているがエレベータではどうでしょうか、気になります。
判断基準を定める官公庁が有るとは思えないので、専門家による全箇所検査が必要と考えます。
これらの見解は300台近いエレベーターの検査をしてきた専門家の経験でのことです。
また、中小のメーカーを技術力と実績を監査して決定する事も必要です。
この場合も計画段階から工事竣工まで専門家による監理や検査が必要です。
(4)階段昇降困難者(エレベーター使用不可時)の対策
1)ゴミだし 作業員、アルバイト
2)外出時 作業員や階段昇降機
3)椅子 階段昇降時の休憩
4)小荷物運搬 作業員、アルバイト
B,給排水設備
1、
管種について
管の種類によって耐用年数が違う。
竣工図面だけでなく現地確認が必要
○各住戸の排水主管が階下の天井上にないか、図面と実際で確認
○建物全体の排水本管が1階住戸の床下にないか、図面と実際で確認
○各住戸の排水横主管が階下の場合で現管理規約で専有部分となっている場合、階下への漏水は階上の区分所有者が
責任を負う必要有り。
○また、老朽時の改修工事費の負担も階上の区分所有者負担
○該当部分を共用部分とする規約改正が急務・・・4分の3以上の賛成が必要
○最高裁判決あり
甘言に惑わされないこと。
老朽化した給水管が圧力に耐えられるか確認
5、
管内の腐食状況調査
1)管洗浄時に内視鏡(ファイバースコープ)で撮影
2)ねじ部やバルブ部に注意
ねじ部:管厚は薄いし、また管の種類によって防食効果が悪い
ねじ部:配管の鉄とバルブの黄銅や青銅が接続すると異種金属による腐食
3)
想定される配管
腐食の少ない耐火二層管(トミジ管ともいわれ、塩化ビニール管の外側を繊維強化モルタルで補強)
若しくは、ねじ部を改造済みの塩化ビニールライニング鋼管と思われるが、確認を要す。
単なる配管炭素鋼管(白)なら腐食しやすい。
更生工事とは、管内の腐食が軽度な時期に、配管内に樹脂系の防食処置をする。
C、消防設備の点検結果の扱い方
1、誘導灯の劣化とだけ記載されていますが、内容を見なければ分かりません。
劣化だけでは、内容が不明。バッテリー不良は耐用年数が短い特性のため当然に交換ですが。
2、マンション外側にある連結送水管の送水孔の蓋がなければ、小動物が入り消防車からの消防用水の送水に影響が
出る恐れが有ります。
3、煙感知器の誤動作が2回有ったから交換とは早計です。
原因として
絶縁劣化や浸水若しくはクモの巣、埃、周辺の排気の煙りが考えられるので、交換すれば治るとは言えません。
4、屋内消火栓ポンプの呼び水槽のボールタップ不良で交換
劣化状況が分からないので、なんとも言えませんが、仮に動きが水位と連動しないなら
1)シュウドウ部(可動部)の腐食部をこすり、潤滑油で円滑にできるかも知れません。
2)単なる水位が正常でないなら、球の後ろのバーを曲げて治る場合もあります
5、フート弁不良は、屋内消火栓と思われる送水ポンプの羽根車周辺を満水にしなければ、火災時にポンプが空回りして、
水を送らないばかりか、ポンプが真っ赤に焼けてダメになることもあります。
水を送れないので、水を送るポンプの回転エネルギーが、熱エネルギーに変換し、高温になりポンプの内外(ケーシン
グ部)の鉄部が真っ赤に焼けるのです。
フート弁を取り出し、腐食状況次第ですが、錆が少ないなら、錆取り後、地上部からバルブを動かす操作できるように、
スレンレスの細いワイヤーを取り付ける事がポイント。腐食が進行しているなら、新替え後、ワイヤーを設置。
この屋内消火栓ポンプの「フート弁不良で、圧力が上がらない」と報告書に記載があるが、これは言葉を換えれば、火
災時に消火栓ポンプが水を送れなく、屋内消火栓ホースから水が出ない。
すなわち火災時に対応できない事を意味します。
「単なるポンプの圧が上がらない」・・・そんな気楽な表現をする業者は重要過失ですね。
早急に直さなければなりません。
6、消防設備の総合操作盤の留め金不良は必要
7、駐車場の大形移動式粉末消火器老朽化で交換とあるが
移動式粉末消火器が15年前のままということは、粉末消火剤や圧縮ガスが漏洩していないか点検や重量計測し内容物が
抜けていないかどうか等の検査をし、内容物を替えるだけか若しくは容器とも新替えか判断を要します。
消火器は消防法で1年に2回検査するものなのに、15年前のものがそのままで、最近の粉材や圧縮ガスの交換履歴がな
いようですが・・・これは手抜きです。
8、火災時の報知ベル不良で交換とありますが、その原因が何かを調査が必要です。
1)絶縁劣化
2)断線
3)回路中のヒューズかリレー不良
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