真社会性・・・ハチやアリの社会はすごい

 

 

 

真社会性

真社会性生物

真社会性の定義

真社会性の進化   : 前段階(亜社会性・側社会性)、社会性の進化、社会性昆虫の繁栄

分類                : ハチ目、シロアリ目、カメムシ目、コウチュウ目、アザミウマ目、十脚目(テッポウエビ科)、哺乳類(ハダカデバネズミ)、群体

群れの運営

 

 

ヒトを含む霊長類や、鳥類には、社会性があります。

恐竜にも、社会性があったという説があります。

 

更に、無脊椎動物である、昆虫の世界にも社会があり、真社会性といいます。

 

真社会性は、ハチやアリといった社会性昆虫が、

親が子の世話をするだけでなく、子供が大きくなっても親と共に生活し、大きな集団を形成するものです。

 

真社会性の重要な特徴は、集団の中に不妊の階級を持つことですが・・・

 

群体、更に多細胞生物を、細胞達の社会と考えると、

分化した細胞も、大元の受精卵ゲノム(遺伝子)は同一ですので、

真社会性、特にアブラムシのような単為生殖による社会は、生殖細胞と体細胞の関係に似ていますね。胚発生 有性生殖

体細胞は、個体としての子孫を残しませんし、

赤血球にいたっては、細胞核(遺伝子)もありません・・・不妊階級といってもいいような気がします。

 

ちなみに、真核生物だけでなく、原核生物である細菌も、バイオフィルム内で、コミュニティを形成しています。

 

 

ダーウィンの進化論では、

自分の子を持たない、社会性昆虫の形質は、子孫に伝わらないため、説明できません。

これを説明するものに、血縁選択説があります。

血縁度が高い集団では、自分は子を持たず、親を助けて兄弟を増やすやり方も、自分の遺伝子を残す目的に合います。

自分の子供を作らずに、親を助けて子育てをする行動を取らせる遺伝子・・・女王物質の遺伝子でしょうか?

 

尚、血縁がない場合でも、

無限回の繰り返しゲームになると、協調解が、ナッシュ均衡解として成立するようです(フォーク定理)。

そういえば、バイオフィルム内では、全く血縁がない様々な微生物が、共同生活をしていますね。

 

有性生殖にもいろいろあり、

ミツバチやアリのように、受精卵がメスになり、未受精卵がオスになるような昆虫では、

姉妹間で同じ遺伝子が存在する確率は、3/4にもなります。

 

余談ですが、オスに父親がない家系フィボナッチ数、出現するようです。

 

更に、アブラムシは、単為生殖なので、血縁度は1です。

 

 

ヒトは、不妊階級を持たないため、真社会性動物とはいえませんが・・・

人類は、一時絶滅寸前となったことがあり、血縁度が非常に高い可能性があります。

加えて、ヒトは、生殖可能な年齢を過ぎた後の生理的寿命が非常に長いです・・・

不妊階級に似ているような気もしますが・・・おばあさん仮説というものもありますね。

 

尚、言語の進化に関する仮説に、

言語は元来母語であり、母と子の間でのコミュニケーションのために言語が進化した、という説があります。

これに関して、フィッチは、ヒトが互いに信頼できる理由の一つとして、血縁選択説を提唱しています。

 

真社会性が観察された哺乳動物は、デバネズミ科ハダカデバネズミです・・・

霊長類は、真主齧類に含まれ、この中に、グリレス類ネズミ目とウサギ目)も含まれます。

 

 

コミュニケーションには、

ヒトでは言葉)が使われていますが、社会性昆虫ではフェロモンにおい)が使われているようですが・・・

実は、コオロギやセミだけでなく、多くの昆虫が「声」)でコミュニケーションをとっているそうです。 「 昆虫はもっとすごいP.71

ヒトには聞こえない音もあるようですが・・・

そういえば、モンシロチョウ等、ヒトにみえない紫外線を知覚する昆虫もいますね。

 

ちなみに、嗅覚には、嗅覚疲労という、嗅覚の感度が一時的に低下する現象がありますので、においがこもっても、気にならなくなりますね。

尚、ヒトでは、鋤鼻器(フェロモン受容)は退化していますが、性周期同調フェロモンというフェロモンがあるようです。

 

あと、フェロモンの原料は、テルです・・・

セスキテペンデンドロラシンは、植物だけでなく、アリからも得られるので、アリと植物もコミュニケーションを取っているかもしれませんね。

 

余談ですが、植物は、ジャスモン酸類を放出して、植物間でコミュニケーションを取ることができます。

 

 

アリ達は、菌類を栽培したり、ササラダニカイガラムシを飼育したりするものもあります・・・

農耕や牧畜もしているのですね。

 

 

アリ達の巣には、居候に相当する生物も住み着いていますが・・・ 「 同P.24

フリーライダー(義務を果たさずに、利益だけを得る者)が増えると、社会システムが崩壊してしまうので、

居候にも、何か役割があるのでしょうか?

真社会性

 

 

真社会性生物(真社会性動物)

ハチやアリといった、社会性昆虫が含まれます。

 

重要な特徴は、集団の中に不妊の階級を持つことです。

 

これは、ダーウィンの進化論で問題となりましたが、

血縁選択説により、社会性昆虫のありようが進化的に説明可能となりました。

 

親子が一緒に生活するものを、亜社会性といいます。

 

血縁のない個体同士が集団を作るのを、側社会性といいます。

 

これらは、真社会性の進化を考える上でも重要です。

 

ほとんどの昆虫は、親が孵化した子の世話をしません。

一方、ハチやアリ、シロアリは、親が子の面倒をみるだけでなく、

子供が大きくなっても共に生活し、大きな集団を形成します。

このような昆虫が、社会性昆虫です。

 

脊椎動物の多くは、母子や、つがいが、家族を形成し、

家族が個体群の中に含まれ、互いに縄張りや群れを形成する等、社会的な関係を持っています。

複数の個体や家族を含む集団が、

単なる集まりではなく、より複雑な構造と相互作用を持つ場合、社会性といいます。

一般には、ヒトの社会に類似するものです。

 

無脊椎動物でも、ハチやアリ等で

大集団を形成し、その集団の中に、女王や、働きバチ等の階級があり、それぞれに役割分担があります。

しかし、

階級の違いによって、個体の大きさや、構造に形態的な違いがみられること、

繁殖を行う個体が女王に限られ

群れを構成する大部分の個体は、互いに兄弟姉妹であること等、

脊椎動物の社会と大きく異なる点もあります。

 

特に女王が、群れの中で唯一、繁殖を行う個体という点は独特です。

そのため、真社会性という概念が登場しました。

真社会性

 

 

真社会性の定義E.O.ウィルソン

1.不妊カーストがいること(不妊の個体が繁殖個体を補助)

2.複数の世代が同居していること

3.共同して幼い個体の保育が行われること、です。

 

不妊カーストは、

ハチとアリでは、働きバチ(アリ)で、

シロアリの場合は、兵隊アリです。

 

新たな定義での、真社会性をもつ、昆虫(動物)の特徴

1.集団で生活していること。

2.集団がある程度固定的で、世代の重複があること。

3.その集団内での血縁度が高いこと。

 

これらは個体が分散せず、近親婚を行うことで、個体間の血縁度が高く保たれていると推測されています。

 

尚、生物学では、社会性と言った場合は、真社会性を持つものだけを指す場合もあります。

そのため、ヒトは、真社会性動物ではありません。

 

超個体

社会性昆虫では、構成員が互いに依存して生活し、単独の個体での生存が難しいこと、

生殖するのが、その中の単独の個体であり、繁殖する場合、新しい群れを作る形で行われること等から、

群れを一つの個体に当たるとみなし、これを超個体超有機体)という場合があります。

 

尚、雄蜂の存在を無視している(今西)、という問題もあるようです。

真社会性

 

 

真社会性の進化

前段階

社会性の進化

社会性昆虫の繁栄

 

 

真社会性の前段階

亜社会性側社会性が考えられています。

 

亜社会性サブソシアリティ

大きな群れを作らず、階層が分かれていませんが、家族集団を作るものです。

親による育児行動は、家族集団の形成を導き易いため、これを社会性の始まりとみなす説があります。

 

側社会性パラソシアリティ

複数個体の共同生活です。

個体間の関係が密になり、そこから真社会性の発生する、という可能性を示唆します。

 

コハナバチでは、複数雌が同一の穴の口を持つ巣を作る例があり、

アシナガバチ類では、複数雌による営巣が知られます。

真社会性の進化 真社会性

 

 

社会性の進化

ダーウィンの進化論では、たくさん子を残した個体が、子孫に形質を伝えることで進化が行われるとされるため、

自分の子を持たない社会性昆虫の形質は、子孫に伝わらず、説明できません。

 

これを説明する方法として、

ハミルトンによる、血縁選択説が登場しました。 真社会性動物

この説では、自然選択において選択されるのが、個体ではなく、個体の持つ表現形と考えます

つまり、ある個体が生き延びたのは、ある性質を持っていたからで、その性質の元になる遺伝子が選ばれた、とする説です。

そこで、個々の遺伝子の立場で、血縁度というものを考えます。

 

ヒトの場合、

親子の場合、共に自分の遺伝子の1/2が入っています。

兄弟姉妹の関係も、同じく1/2で、

自分の子供の世話をする遺伝子も、自分の兄弟姉妹の世話をする遺伝子も、同様に成功する可能性があります。

 

ミツバチやアリのように、

受精卵がメスになり、未受精卵がオスになるような昆虫では、

同じ両親から生まれた姉妹間で、同じ遺伝子が存在する確率は3/4となり、

自分の娘の世話をする遺伝子よりも、自分の妹の世話をする遺伝子の方が、コピーを後の世代に残しやすくなります。

 

このように、血縁関係の深い集団では、

自分は子を持たず、親を助けて兄弟を増やすやり方も、自分の遺伝子を残す目的に合致します。

 

自分の子供を作らずに、親を助けて子育てをする行動を取らせる遺伝子があれば、

その行動によって、自分の子供を作る以上に遺伝子を残せる可能性があり、

それに成功すれば、その遺伝子は自然選択によって残ります。

 

このようにして、社会性昆虫における働きバチのようなあり方が、自然選択説で説明できるようになりました。

 

このことは、社会性昆虫の特徴が、不妊の階層の存在にある、という考えをもたらしました。

真社会性の進化 真社会性

 

 

社会性昆虫の繁栄

社会性昆虫は、陸上の生物群集において、動物の現存量の大部分を占めます。

 

ブラジルの熱帯雨林での調査では、

ハチ目とシロアリで、昆虫の現存量の80に達し、

ハチ目の現存量は、魚類を除く、脊椎動物の4倍近くに達したようです。

 

ハチ目だけでも、同調査での昆虫の現存量の半分を占めますが、

その中で社会性の種は、全種数の1割であるにもかかわらず、現存量では95%を超えます。

 

地球全体で考えても、

昆虫の種数の2%でしかない社会性昆虫は、現存量では半分を占めるとの推定があります。

 

ハナバチ類は、顕花植物の受粉者として、

カリバチ類は、昆虫類の捕食者として、

シロアリ類は、特に熱帯域で植物遺体の分解者として、

社会性昆虫は、自然界において、非常に大きな役割を果たしています。

 

アリ類は、食性や生活の多様性が高く、

小動物の捕食、種子分散、他の生物との共生、土壌の改良等、様々な役割があります。

真社会性の進化 真社会性

 

 

真社会性が知られている分類群

節足動物門

昆虫綱

ハチ目              :アリ科・ミツバチ科・スズメバチ科等

シロアリ目         :全種

カメムシ目         :アブラムシ科の一部

コウチュウ目     :クロツヤムシやアンブロシア甲虫等

アザミウマ目

 

甲殻綱

十脚目              :テッポウエビ科の一部

 

脊索動物門

乳綱

齧歯目              :ハダカデバネズミ・ダマラランドデバネズミ

 

その他、

集団営巣するクモ類や、

家族集団を作るハダニ類等でも、真社会性の可能性があるようです。

 

類似の現象(群体)

 

分類 真社会性

 

 

ハチ目

スズメバチ科(スズメバチ、アシナガバチ)

ハナバチ上科の一部(ミツバチ)、

アリ科の全部が、社会性昆虫であり、真社会性です。

 

これらは、繁殖雌(女王)が生んだ子が、働きバチ(アリ)と呼ばれる不妊カーストとなり、雌親の繁殖を助けます。

 

アリには、兵アリを生じるものもありますが、これは働きアリから更に分化したと考えられます。

 

ハチ目は、複数の分類群の中に、

単独生活のもの、

家族生活等、集団生活するものに、

真社会性のものが混じっており、

目全体で、それぞれ独自に、十回以上の真社会性の獲得があったとの推測もあります。

 

社会性のハチには、親と子が共存する亜社会性の種があり、亜社会性から進化したという説(ホィーラー)があります。

1. アシナガバチ、スズメバチ等、肉食のもの。

先祖は、ベッコウバチやドロバチ、ジガバチ等の狩りバチであったようです。

狩りバチは、成虫が幼虫の餌になる昆虫等を麻酔し、巣穴に持ち込んで、そこに卵を産み、生まれた幼虫はその餌を食べて成長します。

卵を産むと巣を閉じてしまうものが多いですが、途中で餌を追加するものもあります。

そのようなものから、子育てをする家族生活を経て、社会性に進化したとされます。

 

2. ミツバチ等、花の花粉と蜜を食べるもの。

ハキリバチヒメハナバチ等、ハナバチの仲間には、単独生活のものが多数あり、それらが先祖型と考えられています。

巣穴に花粉と蜜を蓄え、卵を産むと巣穴を閉じるものから、

マルハナバチのような、小規模の家族的集団生活を経て、

ミツバチのような、大規模で高度の社会性に進化したとされます。

 

他方、集団営巣をするものから、共同営巣へと進化し、側社会性のものから真社会性が進化したという説( C.D.Michener )もあります。

これは、繁殖雌が複数集まって巣を作り、

その後に何らかの形で、一匹を除く、他の雌が繁殖能力を失うことで真社会性になったとされます。

 

温帯の社会性ハチとアリでは、群れは、単独の雌で始まることがほとんどですが、

熱帯性の社会性ハチでは、多雌による巣の形成が、多くみられます。

アシナガバチの一部では、複数の雌により創設された群れにおいて、

雌間に明確な順位制が存在し、最上位の雌のみが産卵するようになります。

 

アリは、

すべてが原則的には社会性昆虫です。

例外的に、アミメアリは、女王が存在しない亜社会性ですが、これも二次的なものと考えられています。

一部のアリでは、大顎の発達した兵隊アリが分化します。

 

社会性のハチとアリの社会は、

雌のみで運営されており、

受精卵からは雌

未受精卵からは雄が生まれます。

 

女王は、雄と交尾の後、単独で巣を作ります。

雄バチは、女王と交尾した後に死亡し、巣作りには関わりません。

産まれた卵からかえった幼虫を育てながら、産卵を繰り返します。

 

幼虫は成長して羽化すると働きバチとなり、巣に残って女王を助け、子守や餌運び、巣作りをし、自らは繁殖しません。

 

ほとんどのハチでは、秋になると女王と雄バチが生まれ、

それらは巣から飛び出して交尾ののち、女王は越冬しますが、それ以外のハチは死滅します。

 

従って、多くの蜂の巣は1年限りです(ミツバチとアリは、複数年にわたって巣を作るものもあります)。

 

尚、群居して巣を作らないものもあります( Y.P.Cruz )。

寄生バチには、宿主昆虫内で、幼生が多胚形成によって増殖するものがあります。

そのような種で、幼虫に二形があり、その一つが兵隊となります。

トビコバチの一種、Copidosoma tanymemusで、みられるようです。

日本でも、キンウワバトビコバチに、同様の例が発見されたようです。

 

この場合、多胚形成による個体間の血縁度は1ですが、世代の重なりがないため、上記の定義には合いません。

それでも、不妊カーストの存在を重視して、これを真社会性と見なすことも多いです。

分類 真社会性

 

 

シロアリ目

シロアリ目は、全種が真社会性です。

 

兵アリが、不妊カーストです。

 

働きアリも、すべての種で見られますが、

原始的なものでは、生殖虫が未成熟な期間に労働を行うものがあり、その場合には不妊カーストではありません。

 

シロアリの場合、すべてが社会性なので、共通の祖先において、一回だけ真社会性が獲得されたと考えられています。

 

シロアリは、ハチとは異なり、幼虫は自力で餌をとり、親による子への給餌は行われません。

そのため、ハチとは異なった経緯があると考えられますが、詳細は不明です。

 

シロアリは、材木を食べるために、セルロース分解能を持つ、共生する腸内微生物を持っています。

生まれた子供は、それを親の口移しで手に入れる必要があり、そのような過程で家族生活が発達したという説があります。

 

更に、木材等の内部に密閉された生活から近親交配が多くなり、血縁度が上がったことによるとの説もありますが、反論もあります。

 

シロアリは、巣から羽アリが飛び出し、交尾すると、雄雌ペアになって巣を作ります。

雌雄は、王、女王となり、交尾、産卵を繰り返します。

 

生まれた子供は、親と同じ姿で、ある程度成長すれば働きアリとして、王や女王を助け、巣を作る等の作業を行います。

 

子供は、雌雄両方があり、それらは成長してゆくにつれ、一部のものが兵隊アリに分化します。

兵隊アリは繁殖をしません

 

残りの働きアリは、一部が羽アリとなって巣外へ出て行きます

 

シロアリの群れの多くは、年を越して維持されます。

分類

 

 

カメムシ目

アブラムシの仲間に、兵隊アブラムシを持つものが観察されました。

アブラムシは、有翅の雌が飛んできて、植物上に定着すると、そこで単為生殖によって子供を産み、大きな集団を作ります。

アブラムシのある種は、生まれた子の一部が、鋭いくちばしと鎌のような前足を持ち、天敵が近づくとそれにしがみついて防御します。

このような幼虫は、成長せず死んでしまいます。

アブラムシの集団は、同じ母親から単為生殖で生まれたクローン(血縁度1)であるため、

血縁度は高く、真社会性が発達しやすいと考えられます。

 

ボタンヅルワタムシは、新たな観点から真社会性であることが発見された、初めての種(青木)です。

このアブラムシでは、一齢幼虫に、二形があります。

通常の幼虫以外に、非常に足の発達したものが現れ、

天敵である、ヒラタアブの幼虫が近づくと、この足でしがみついて口吻で刺すことが観察されています。

更に、この形の幼虫は、二齢になれないことが発見されました。

つまり、群れの防衛を行い、繁殖しません

 

その後、タケツノアブラムシのように、頭に角を持ち、これを突き刺すタイプの兵隊アブラムシを持つものも発見されました。

 

更に防衛のみでなく、巣内の清掃等を行う例も発見されており、

現在では2亜科60種以上が真社会性とされます。

 

しかし、アブラムシのコロニー間では個体の出入りがある例もあり、

血縁度が必ず1であるとは言い切れないようです。

 

また、アリ等では当たり前にみられる、コロニーの識別がないらしく、

他のコロニーの個体が交じった場合も攻撃を受けることはないようです。

分類 真社会性

 

 

コウチュウ目

クロツヤムシアンブロシア甲虫等は、朽ち木に住み着いて、微生物と家族生活を営みます。

これはシロアリの生活に近いことからも、真社会性の可能性が疑われています。

 

オーストラリア産のナガキクイムシ科の昆虫である、Austroplatypus incompertusが、真社会性と報告されました。

この種では、雌が受精後に樹皮下に杭道を作り、アンブロシア菌を摂取して幼虫を育てます。

子供のうち、雄は外に出ますが、

は残り、これが働きアリと同様の不妊カーストとして、巣の拡張や管理、防衛を行うとされます。

分類 真社会性

 

 

アザミウマ目

オーストラリアのOnchothrips haburusO. tapperiの二種が、真社会性と報告されています。

 

これらは、受精した雌が、アカシアの葉に虫コブを作り、その内部で繁殖してコロニーを作ります。

そこでは雌に、短翅型と長翅型の子が生まれますが、前者が先に羽化し、群れを防衛する行動をとります。

 

ハチと異なる点として、コロニーに雄個体が含まれ、兵隊となっている例があります。

コロニー内での近親交配の率が高いためとする説があります。

分類 真社会性

 

 

十脚目

カリブ海のサンゴ礁に生息する、テッポウエビ類の、Synalpheus regalisが真社会性とされます。

このエビは、大型のカイメン類に共生し、300個体にも及ぶ大きな群れを作ります。

しかし繁殖は一個体の雌に限られ、

他の個体は、保育や防衛を行います。

 

繁殖に際しては、稚エビを生じる直接発生を行い、そのまま集団に加わって生育するようです。

分類 真社会性

 

 

哺乳類

真社会性が観察された哺乳動物は、デバネズミ科

ハダカデバネズミと、

ダマラランドデバネズミ、の2種のみです。

分類 真社会性

 

 

類似の現象(群体)

群体を構成する個体に、形態的な分化がみられるものがあります。

 

刺胞動物門ヒドロ虫綱の、

群体ヒドラや、

管クラゲ類は、

一部の個体が、生殖個虫となります。

 

内肛動物門では、大部分が通常個体で、

少数の個体が鳥頭体等、群体の防衛等に特化して、生殖能力を失っています。

 

これらの動物の場合も、単為生殖で形成された集団であるので、

血縁度は1で、真社会性の出現する必然性があります。

分類 真社会性

 

 

群れの運営

社会性昆虫の多くでは、生殖虫(女王バチ等)は繁殖のみを行い、

それ以外のすべての作業は、ワーカー(働きバチ)等が行います。

 

生殖個体は、巣に1個体(1ペア)が通例ですが、

これは、生殖虫がフェロモンを出し、自分以外の生殖虫の出現を抑制しているためです。

多くは、口移しに餌を与えあう行動が日常的に行われ、それによってフェロモンの伝搬も行われているようです。

 

生殖虫が死亡した場合、巣内の幼虫から生殖虫の候補が出現するもの(補充生殖虫)があります。

そのうち、1個体が新たな生殖虫となると、他のものは殺されます。

 

ハチやアリでは、食料はすべて巣外に取りに行きます。

そのような場合、多数の個体が同一の餌場に出かけ、巣に戻るための目印として、足跡フェロモンを使うことが多いです。

 

ミツバチでは、餌の位置を他個体に知らせるために、8の字ダンスを踊ることが知られています。

 

ワーカーの役割としては、餌運びの他に、巣の維持管理や幼虫や生殖虫の世話等があります。

 

アリ・ハチ・シロアリは、巨大な巣を作るものもあり、巣が新たな環境を提供し、そこに生息する多くの生物群を生み出しています。

彼らが栽培する、菌類や、

家畜的に飼育する、ササラダニカイガラムシがいるのは特殊な例ですが、

彼らの巣には、居候に相当する、様々な小動物も住み着いています。

 

更に、巣の周辺では、食料や排泄物が蓄積されて、土壌の窒素の含有率を高めたり、周辺の昆虫を排除したりするため、

植物も、巣の周辺に選択的にみられるものがあります。

 

好蟻性(こうぎせい)、や好白蟻性(こうはくぎせい)という言葉もあります。

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