Michel Altmayer



Troll Vol.2

    (Face 3)
    1.Igor - Dance & Rejoicing
    2.Break Down
    3.Ud Ior Less Ordek !!!
    4.Impressions for Tomorrow
    (Face 4)
    1.Ankh (Carrousel Celeste)
    2.When Come The Night
    3.Some Words About Trane

    Michel Altmayer:drums, keyboards, vocal, bass
    Nathalie Basset:alto violin
    Bernard Paganotti:bass, chapman stick
    Francis Moze:bass
    Roger Altmayer:congas
    Raphael Salvemini:guitar
    Hekene Houillon:violin
    Philippe Houillon:violin
    Jean-Luc Schaeffer:trumpet
    Yvon Guillard:trumpet
    Alain Guillard:sax
    Olivier Moingeon:trombone
    Benoit Schaeffer:flute
    Stella Vander:vocal
    Guy Khalifa:vocal
    Klaus Blasquiz:vocal

 ミシェル・アルトマイエールは70年代中盤に活動していたトロルというアンダーグラウンドなバンドの中心人物である。記憶が定かではないが、トロルの前身バンド、マンドラゴラには、80年代になってソロ活動で有名になったジャン・パスカル・ボフォも在籍していたらしい。マンドラゴラおよびトロルは共にZeuhl系の音楽性をもったバンドあるが、いわゆるインディーズレベルの活動であったらしく、作品はカセットテープでのみ発表されていたようだ。
 このアルバムは1988年に発表されたミシェル・アルトマイエールのソロ・アルバムであり、77年~84年までのトロルの曲が収められている。豪華なゲストを迎えて、86~87年にかけて録音されたものである。面白い事にアルバムタイトルがTroll Vol.2で、アナログA・B面がそれぞれFace3・Face4となっている。Vol.1という作品の存在を匂わせるが、どうやら未発表の様だ。尚、ミシェル・アルトマイエールのその後の活動もあまり知られていないが、2003年に出されたAtollの新作「Illian, J'entends gronder la Terre」にドラムで参加している。
 肝心の内容はZeuhl系というには余りにも軽いフレンチ・フュージョンっぽい作品だが、アルトマイエール本人もマグマ人脈のゲスト陣も凄腕のプレイヤーだけあって引き締まった演奏である。ほとんどの曲が英詩で歌われていること・アルトマイエールの歌い方がムーディー過ぎること・イジーリスニング調の曲が多いことを考えると、トロル本来の持ち味とは違ったニュアンスで録音し直したと思わざるをえない。
 否定的な感想になってしまったが、すべてが悪いということではない。1曲目「Igor - Dance & Rejoicing」はIgorという名前から想像できるように、ストラビンスキーのような風変わりで雄大なメロディーとリズムが反復する曲で、ステラ・バンダーとクラウス・ブラスキの目の覚めるような歌声が満喫できる。3曲目「Ud Ior Less Ordek !!!」は跳ね回るようなバイオリンとはじけたリズムが楽しい。そして極めつけが5曲目の「Ankh 」である。比較的単純なフレーズを繰り返す曲であるが、ナタリー・バセットの奏でる艶やかで情感溢れるアルト・バイオリンが素晴らしく、それをサポートする2本のバイオリンとホーンセクションが相まって非常にクラシカルかつ壮大な曲に仕上っている。