Nova



Blink

    1.Tailor Made
    2.Somthing Inside Keeps You Down
    3.Nova
    4.Used to be Easy
    5.Toy
    6.Stroll On

    Elio D'Anna:Sax, Flute
    Corrado Rustici:Guitars, Vocals
    Luciano Milanese:Bass
    Franco Loprevile:Drums
    Danilo Rustici:Guitars

 75年発表の1st。ジャズ・ロックと言えばジャズロックであるが、そこはそれ、やっぱりOsanna系特有の変な匂いが感じられる。音質的にそんなに良くないせいか、ロック色の強い混沌としたジャズロックが勢いに任せて力技のように展開する。1曲目の出だしなんか、ドゥービー・ブラザーズかと笑ってしまうが、しかしドン臭いドロドロした演奏にすぐさま変わってしまう。インターナショナルなジャズロック志向を目指してのNovaであったのだろうが、血統は隠せないというか・・・ しかし裏を返せば特徴的なイタリア臭さが有るわけで、Osannaファンには面白い一品だとも言える。2曲目のボーカルに絡むフルートの調べなんか、まさにイタリアの哀愁。確かに、よりイタリアらしい旋律を散りばめたOsannaの「Suddance」の完成度と比べると、力任せに突進するタイプのこの演奏は歩が悪い。けど何故か大好きでよく聴くアルバムである。(2ndより大好き。これホント)

 

Vimana

    1.Vimana
    2.Night Games
    3.Poesia (To A Brother Gone
    4.Thru The Silence
    5.Driftwood
    6.Princess and The Frog

    Corrado Rustici:lead guitar, 6&12 string acoustic guitars,marimba, lead vocal
    Elio D'Anna:tenor & soprano saxophones, flute, synthesized flute on 6
    Renato Rosset:Fender Rhodes piano, acoustic piano, nini-moog, string ensemble, clavinet
    Percy Jones:bass guitar
    Narada Michael Walden:drums, Fender Rhodes piano on 6
    Phil Collons:percussion
    Zakir Hussain:congas
    produced by Robin Lumley

 76年発表の2ndは、Percy Jones・Phil CollinsのBrand X組+Narada Michael Waldenという超絶リズム・セクションを加えてのスーパーフュージョン・サウンドを繰り広げている。ちなみにプロデュースはこれまたBrand XのRobin Lumley。まんまBrand Xと言っても差し支えないくらいのサウンドであるが、リードを取る3人のイタリア人の存在は類似化を引きとどめている。曲調も良く、各自の演奏のセンスとテクニックを堪能でき、世間一般にジャズロックの名盤と言われるのもうなずける作品である。

 

Wings of Love

    1.You Are Light
    2.Marshall Dillon
    3.Blue Lake
    4.Beauty Dream - Beauty Flame
    5.Golden Sky Boat
    6.Loveliness About You
    7.Inner Star
    8.Last Silence

    Elio D'Anna:soprano, tenor, alto, baritone saxophones, flute
    Corrado Rustici:lead guitar, 6&12 string acoustic guitars,glockenspiel, triangle, gong, lead vocal
    Renato Rosset:Fender Rhodes piano, acoustic piano, nini-moog, poly-moog, clavinet, hammond organ
    Barry Johnson:bass guitar, wind chimes, lead vocals on 1&7
    Ric Parnell:drums, percussion
    Nectar Smile Choir:backing vocals on 4
    produced by Narada Michael Walden

 77年発表の3rdアルバムは、前作でドラムを担当したNarada Michael Waldenがプロデュースをしている。前作のBrand X組からRic ParnellとBarry Johnsonにリズムセクションが交代しており、黒人ベーシストの参加が影響しているのかブラック・コンテンポラリー色が出て来ている。ドン臭いジャズロック(1st)からスーパーフュージョン(2nd)を経て、本作は非常に洗練されたフュージョンっぽいテクニカルなロックに仕上っている。各楽器は奇麗な曲想を崩さないよう流麗な演奏を繰り広げており、多分にアメリカナイズされていて捨て曲も若干あるとは言え、Novaの作品の中でも完成度は非常に高い。
 3曲目(Blue Lake)・5曲目(Golden Sky Boat)・7曲目(Inner Star)の出来が素晴らしく、特にBlue Lakeは狂おしいまでのイタリア的旋律がギターとサックスのユニゾンによって繰り返され、ラストで一気に加速する。オドロオドロしさは皆無だが、Osanna系列のなかでも屈指の名曲だと思う。(ちと誉めすぎか!)


Sun City

    1.Morning Flight
    2.Modern Living
    3.Illusions
    4.Light were My Years
    5.Sailors
    6.Fantasies
    7.Lean on Me
    8.All You Have (Is What You Are)
    9.Starchild

    Elio D'Anna:soprano, tenor, alto, baritone saxophones, flute
    Corrado Rustici:lead guitar, 6&12 string acoustic guitars,glockenspiel, triangle, gong, lead vocal
    Renato Rosset:Fender Rhodes piano, acoustic piano, nini-moog, poly-moog, clavinet, hammond organ
    Barry Johnson:bass guitar
    Ric Parnell:drums, percussion

 78年発表の最終作。前作を引き継いだテクニカルなロックだが、ジャズロックまたはフュージョンのかけらもない。各楽器とも派手で的確なプレイを繰り広げており、プレイ自体は非常に良い。だが、曲がダメダメなのである。もはやイタリアの哀愁もへったくれもない、脳天快晴かと疑うほどのアメリカンな曲ばっかりである。3rdで感じた良く言えばユニバーサル志向、悪く言えばアメリカナイズされた部分だけを取り出して、その感性だけでもう1枚作ったという感じで残念至極。
 CD化もされていないので20数年間聞いてみたいと思っていたアルバムだが、そんな期待を一撃で脆くも砕いてくれた。Novaファンの皆さん、3rdまでで止めておきましょう。・・・とは言うものの、産業ロックだと割り切ってみると、不思議なことに意外と聞ける代物でもある。