Companyia Elèctrica Dharma

Diumenge
L'oucomballa
Tramuntana
L'àngel de la dansa
Ordinàries aventures
L'Atlàntida
Al Palau de la Música amb la Cobla Mediterrània
Catalluna
Força Dharma! Deu anys de resistència
No volem ser
Homenatge a Esteve Fortuny
Tifa Head
Que no es perdi aquest so
20 anys de la Companyia Elèctrica Dharma
El ventre de la bèstia
Racó de món
Llibre Vermell
Dharmasseria
30 anys La Dharma l'arma! El joc de la Cobla i el rock
El Misteri D'en Miles Serra I Les Musiques Mutants
Mompou's Mood

Diumenge

　75年発表の1stアルバム。カンタベリー風だなぁと感心してしまうジャズ・ロックである。しかし、カンタベリー独特の湿った印象は薄い。このカラっと乾いた感触・おおらかさは大陸的とも言えるだろう。後の彼らと比較すると、あまりにも普通のジャズ・ロック過ぎて個人的には拍子抜けという感がある。

L'Oucomballa

　76年発表の2nd。基本的には前作を踏襲しているが、民族音楽色を少し取り入れてきている。4、8曲目などのエスニック感の濃い曲は、後々までレパートリーとして演奏されることになる。ヘンテコな部分にニンマリする事もあるが、本領発揮はまだまだこれからという感じ。

Tramuntana

　スペインのチンドン屋バンドとしての才能が開花したというべき、77年の3rdアルバムである。カタルーニャ地方の民族音楽のエッセンスを取り入れ、悲喜こもごもの感情をチンドン屋の如く展開している。基本的には軽快さ・ひょうきんな明るさを全面に出し、もの悲しい哀愁をスパイスとして利かせている。もう、ジャズ・ロック云々の世界を通り越してるなぁ。

L'àngel de la dansa

　続く78年の4thアルバムは、更に磨きをかけたチンドン屋ぶりである。明るく楽しいハチャメチャな演奏が繰り広げられ、端々に哀愁溢れるフレーズが飛び出してくる。軽快かつドタバタしたリズムをバックに、ボケるサックス・ツッこむギターというFortuny３兄弟のコンビネーションは素晴らしい。
　ちなみにこのバンドは、途中で「Electrica Dharma」とバンド名を短くし現在も活動しており、20枚もの作品を出している。

Ordinàries aventures

1981年、5th。時代を反映してなのか判らないが、これと次作の2枚はポップ色/ニューウェーブ色の濃い作品である。

L'Atlàntida

　1981年、6th。

Al Palau de la Música amb la Cobla Mediterrània

　1982年、7th。民俗音楽への傾倒を更に濃くし、エスニック・ロックとしての地盤を固めた記念碑的な作品だと思う。La Cobla Mediterràniaというジャズ・バンドをホーンセクションに迎え、全編を貫くラッパ隊の黄色い音色が印象的である。

Catalluna

　Elèctrica Dharmaとバンド名義を短縮した、1983年の作品。スペインの田舎祭りの開催を祝うような楽しげな曲調で幕があけ、地元カタルーニャ地方の伝統音楽フレーバーが満載である。

Força Dharma! Deu anys de resistència

　1985年、9th。

No volem ser

　1986年、10th。

Homenatge a Esteve Fortuny

　1987年、亡くなったEsteve Fortunyの追悼盤。Esteve作曲による映画音楽の様なクラシカルな4曲が収められており、Elèctrica Dharmaとはまた違った作風で、おチャラケだけに留まらない彼の優れたコンポーズ能力を伺わせるものである。

Tifa Head

　1991年。

Que no es perdi aquest so

　1993年の作品。これは素晴らしい。ジャズロックとか、チンドン屋とかいった言葉で彼らを表現するのが申し訳ないくらいに、見事なエスニックロックだ。もちろんカッチリまとまったジャズロック的なところやお馴染みのチャルメラメロディーも健在ではあるがイロモノ的な感じがなく、カタルーニャ地方のメロディを主軸にした、非常に丁寧な作りのトラディショナルで一本筋の通った作品に仕上っている。
　特に前半6曲で構成される組曲「El llibre vermell」の出来が良く、スペイン民謡を題材にした曲もオリジナル曲と違和感なく溶け込んでいる。この組曲の原曲は、モンセラートの朱い本（カタルーニャ語原題：Llibre Vermell de Montserrat）という13～14世紀頃からバルセロナのモンセラート修道院に伝わる歌曲集である。アルフレッド・カリオンのソロ・アルバム「錬金術師」B面に収められている大作の後半にもこの曲の一節が挿入されており、このメロディーに耳馴染みのある方も多いと思う。

20 anys de la Companyia Elèctrica Dharma

　バンド結成20周年を記念して発表された1994年のライブアルバムで、2枚組CDとDVDのふたつがリリースされている。20周年の節目なのか否かは判らないが、バンド名義はCompanyia Electrica Dharmaに戻っている。
　ブックレットに掲載されている写真や、オープニングや曲間での熱狂的な歓声、コーラスパートでの観客のハモリなど、スタジアム級のかなり大きな会場でのライブであることが良く判る。はっきり言って「こんな変わり種バンドは小さなライブハウスで細々と続けている程度だろう」と勝手に想像していたが、さにあらず。地元では相当の支持があるバンドのようだ。内容は過去のレパートリーがテンコ盛りで、楽しく痛快なダルマ節パワーが全開で楽しめる。また、Max Sunyer(Iceberg)やMaria del Mar Bonet、Pascal Comeladeをはじめ、大勢のゲストが曲毎に参加しており、記念公演にふさわしい贅沢なステージになっている。

El ventre de la bèstia

　1996年のアルバム。前半部分はBGM付きナレーションと楽曲が交互になる様に配され、後半部分は6曲構成の「'Per Quan Un Dimoni Se't Vulgui Menjar(Dance)」という組曲となっている。90年代半ばにもかかわらずニューウェーブというのは変な比喩だが、ボーカル曲が多い為なのか幾分5th・6thアルバムに近いポップ/ニューウェーブ調の作風とも言える。ダルマ流のアホアホ・ロックン・ロール全開といった感じの楽しい作品。

Racó de món

　続く98年の本アルバムは3rd・4thアルバムに近いニュアンスであるものの、しっかりと民俗音楽フレーバーも保たれている。ちなみに前作とはうってかわって全曲インストルメンタルで占められており、Joan Fortunyのサックスによる哀愁のチャルメラ・メロディーをたっぷり堪能できる良作だと思う。馬の蹄の音とコケコッコーの泣き声で始まり、またそれで幕を閉じるという構成や、馬に乗った鶏のジャケットとインナースリーブのコミック的な挿し絵から、何かのお話しがコンセプトになっている様な気がする。

Llibre Vermell

　2002年発表の本アルバムはタイトルからも判るように、93年の「Que no es perdi aquest so」に収められていた組曲（El llibre vermell：モンセラートの朱い本）の完全版？といった内容である。元の6曲の間に別の曲を挿入してアルバム1枚に拡大したという体裁になっており、元の曲も別アレンジで再録されていて全体的にスケールアップした様な出来映えである。
　儚げなコーラスを要所に配しているせいか、いつものぶっ飛んだダルマとは少し違う荘厳な雰囲気の民俗音楽ロックに仕上っており、さらに彼らの持ち味であるタイトなジャズロック的ノリやチャルメラメロディーも十分保たれていることから、個人的には彼らの最高傑作ではないかと思ったりする。（へんてこチンドン屋ジャズロックとは方向性がちょっと違うので比べるのは何だが、はっきり言って4thよりも出来がいい。）

Dharmasseria

　2004年発表。時代的にもニューウェーブ感覚は無いが、80年代初期の頃のアルバムに似た、能天気ではっちゃけた感満載の楽しいポップ・アルバムだ。但し、最終曲「Catalluna」だけは趣が違い、83年の同名アルバムに収録されている彼らの代表曲のひとつ再録音版である。何度か競演しているCobla Mediterràniaを従えて、しっとりと落ち着いた演奏で哀愁感溢れるものに仕上げている。彼らのエスニック路線に惚れこんでいる人なら、この曲のためだけにでもこのCDを買う価値があると思う。

30 anys La Dharma l'arma! El joc de la Cobla i el rock

　2006年4月22日、La Musica Catalana劇場での30周年記念コンサートの模様を収めたDVD+2CDセット。82年の「Al Palau de la Musica amb la Cobla Mediterrania」や「20周年コンサート」でも競演したジャズ・バンド：Cobla Mediterràniaを再び迎えてのライブとなっている。会場が中規模のオペラ・ハウスであることや、11名のビッグ･バンドを従えていることから、非常に丁寧な演奏でビジュアル的にも厳かな雰囲気のコンサートだった様である。観客も孫が居そうなお爺さん・お婆さんみたいな人も散見され、高齢層の人が結構多いように見える。
　サックスを吹きながらステージ中をスキップするジョアン、土着的なリズムを叩きだすジョセフ、ラッパまたは笛を要所要所で披露する鍵盤担当のルイスとマリア、図太いベースでサウンドを引っ張る渋い風貌のヴィダル。地味ながら的確にカッティングしているギターのPep Ruisや、始終チャカポコチャカポコ叩いているアフリカン・ハンド・ドラムのTianan Bi Traも脇でしっかりサポートしている。ラッパや笛など吹きモノが10名以上居ることになるから全体の音が分厚く、その黄色い音色でチャルメラ・メロディーが奏でられるという豪華版チンドン屋サウンドは、彼らが好きな人には堪えられない作品だろう。コンサート前半では落ち着いた感じを受けるが、持ち味である躍動感溢れるノリで後半になると観客の反応も盛り上がってきて、最後の方にはいい年こいて客席で踊っちゃってるオッサンまでいる。

El misteri d'en Miles Serra i les Músiques Mutants

　2008年の最新作である。プログレ専門店のサイトでは”マイルス・デイビスへのオマージュ作”やら”マイルス・デイヴィスの曲を取り上げ彼に捧げられた作品”と説明されていたので、「ダルマが電化マイルスの如き演奏をしているのか！彼らにそんなこと出来るのか？」と聞くまでは興味半分・心配半分であった。実際CDを購入してブックレットを眺めつつ一通り聞いたところで、少し補足しておく必要がある。まず、曲クレジットを見ても分かるように、本アルバムはマイルス・デイビスだけでなく、ヨアキム・セーラ(Joaquim Serra）という作曲家へのオマージュを込めた作品でもあること。この二人の曲を引用しつつ、ダルマの過去のレパートリーのフレーズもちりばめながら、自分達の作品に仕上げている。また、1曲だけ、ウェザー・リポートのジョー・ザビヌルの曲も取り上げている。
　ヨアキム・セーラのことを知らないので何とも言えないが、物腰の柔らかい優しそうなメロディーの部分がそれなんだろうなと想象するのみである。マイルスの引用部分はLluís Fortunyの吹くトランペットが「ああ、マイルスだな」と一聴して分かる程度で、決して電化期の様な鬼気迫る演奏を繰り広げるわけではない。よくあるトリビュート・アルバムの一曲丸ごとカバーするといった代物ではないし、かといっていつものコテコテのチンドン屋サウンドでも無く、控えめなエスニック志向を漂わせたダルマらしい力強いジャズロック作品だ。かすかなチャルメラ・メロディーを気にしないなら、彼らの中ではかなり正当派ジャズロック寄りのアルバムかもしれない。

Mompou's Mood

　2010年発表、3曲入りミニ・アルバム。

紅溶岩と幻想のお話