COS
Postaeolian Train Robbery
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1.Postaeolian train robbery
2.Cocalnut
3.Amafam
4.Populi
5.Halucal
6.Coloc
[bonus track:Classroom]
7.La partie d'Echecs
8.Sur deux
9.Achille
10.L'Admirable Amas Cellulaire Orange
Pascale Son:vocals, oboe
Daniel Schell:guitar, flute, sound effects
Charles Loos:keyboards (1-7)
Alain Goutier:bass (1-6)
Robert Dartsch:drums (1-6)
Steve Leduc:percussion (1-6)
Adrian Stoop:introduction on "Postaeolian Train Robbery"
Jean-Paul Musette:bass (7-10)
Jean-Luc Van Lommel:drums (7)
Jean-Pierre Destree:vibes (8-10)
Roberto Pernet:drums (8-10)
74年発表の1st。エキセントリックで可愛らしいPascale Sonのハイトーン・ボーカルをメインに、軽快なカンタベリー風のジャズロックが繰り広げられる。デイブ・スチュワートに代表される曇った音色のオルガンは無いが、その代わりエレピが活躍しており味わい深い。(フルート&エレピがリードをとる5曲目なんか、まんまHatfieldsである。)そしてなんと言っても、COS最大の武器はPascale Sonのボーカルである。写真を見る限りオバハン臭い顔をしているのだが、歌声は何とも愛らしく聞き惚れてしまう。歌詞の歌唱・スキャット・コーラス(コバイアコーラス風?)と変化に富んだヴォーカルは非常に楽しい。
ちなみにbonus trackはCOSの前身バンドClassroom名義の曲。「ホントに前身バンド?」と言うぐらいCOSの音楽性は出来上がっており、また良い曲が揃っている。
Viva Boma
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1.Perhaps next record
2.Viva Boma
3.Nog verder
4.Boehme
5.Flamboya
6.In Lulu
7.L'idiot Léon
8.Ixelles
[bonus track]
9.Mon rebis (previously unreleased)
10.Reine de la vallée (previously unreleased)
11.Nog verder (demo version)
12.Fanfan la Tulipe (vocal improvisation)
Pascale Son:vocals, oboe
Alain Goutier:bass
Daniel Schell:acoustic and electric guitars, alto and bass flutes, devices
Guy Lonneux:drums
Marc Hollander:keyboards, bass clarinet, alto saxophone, devices
[Guests]
Bob Dartsch:drums, percussion
Denis Van Hecke:cello
Pipou, Jean-Louis Haesevoets:percussion
Marc Mouli:Mini-Moog
Roger Wollaert:drums
Willy Masy or Jackey Mauer:drums, vocal improvisatio
電子音を使っているわけではないが、どことなくエレクトリックな感覚が増した感じの76年発表の2nd。基本は1stの延長にあるジャズロックだと思うが、Pascale Sonのヴォーカルが醸し出す気だるい様なアンニュイな雰囲気が気持ちいい。特にNog Verder(3曲目)の前半とIxelles(8曲目)は曲調からして、天気の良くない曇った午後のほの暗い部屋で女性がまどろんでいる様を連想できるくらいヨーロッパ的である。フランス女の醸し出す退廃とは、若干違う感じがする。
女性ボーカルとジャズロックと言えば、Hatfield & the Northを思い浮かべる。COSもカンタベリー風ジャズロックであり、複雑な展開や楽器の絡みが無いわけではないが、よりシンプルな演奏に聞こえてくる。カンタベリー物よりもおおらかと言えば良いのかもしれない。加えてノーセッツの爽やかコーラスとは全く違うPascale Sonのヴォーカルが似て非なるサウンドに仕上げている。1st~3rdはカンタベリー好きな人にはもってこいのアルバムである。
降り注ぐ陽の光りを口で受け止める3匹のカバ。絵自体は荒い点描画モドキのイラストだが、非常に印象的なジャケットだ。
Babel
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1.Babel
2.Good wind
3.Cha Cha Cha
4.Mein Maschine ist schön
5.Sors ton pétard, Johnny
6.Oostend, Oostend
7.Greeneldo
[bonus track]
8.Ouverture for Dance
9.Considering a Movement
10.Boehme
11.Babel
12.Amafam
13.Nog Verder
14.Nacht in Hannover
Philippe Allaert:drums, percussion
Alain Goutier:bass
Daniel Schell:guitar, flutes, devices
Pascale Son:vocals, oboe
Marc Hollander:organ, alto & soprano saxes (4-7)
[Guests]
Dick Bogaert:soprano flute, vocals
François Cahen:grand piano (2)
Charles Loos:grand piano, strings (1-2-3-5)
Marc Moulin:organ (6)
Alain Pierre:sounds (6)
78年発表の3rdアルバムはリズムが力強くなった印象で、前作とはまた少し変わったニュアンスが感じられる。
メリハリの効いた正当派ジャズロックを中心に、チャチャチャのリズムあり、レゲエだかニューウェーヴだかを小馬鹿にしたような曲調ありと、非常にバラエティに富んでいる。Pascale Sonの舌っ足らずヴォーカルは相変わらず可愛らしいハイトーンで気持ち良いが、前作までのアンニュイな感じから1stに近いエキセントリックな感じに戻っている。
個人的にはFrançois Cahenのジャズ的ピアノが格好良いBabel(1曲目)・曲調が面白いMein Maschine ist schön(4曲目)と、Pascale SonのボーカルとMarc Hollanderのサックスが堪能できるGreeneldo(7曲目)が素晴らしいと思う。Sors ton pétard, Johnny(5曲目)はマグマ(Zao)風でヴォーカルもリズムも「ドゥヨ♪ドゥヨ♪」唄っているが、軽すぎて全然怖くなく笑える。けなしてるんじゃありません。結構好きな曲である。
全体的にAlain Goutierの安定したベースラインが心地良く、それを軸に各インストゥルメンツが控えめながらも絡み合って織りなされる質の高いジャズロックの好盤である。
Swiß Chalet
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1.Clic
2.Gigolo
3.Kibaki
4.Achtung! TV watchers
5.Love robots
6.Wagon
7.L'air de Dolly
8.L'air de rien
9.L'air de Bela
10.Liebe
11.Chasseur
Pascale Son:vocals
Daniel Schell:chemical guitars, vocals
Philippe Allaert:drums
Mutsari:bass
Alain Goutier:bass
Charles Loos:keyboards
Alain Pierre:sounds
これまではジャズロックを基本に微妙に印象を変えたアルバムを発表していたCOSであるが、79年発表の本作(4th)は全く別のバンドになってしまった様な作品である。レゲエ調というか、ニューウェーヴ調というか、明るいデカダンというか、ひねくれたポップさが全面に出ているアルバムである。ジャージーな展開をする部分も無いことはないが、もはやジャズロックではないな、こりゃ。(ちなみに「愛とお金」をテーマにしているらしい。)
このアルバムにはMarc Hollander・Marc Moulinといったジャズっ気のある人が不在であり、Pascale Sonのボーカルを全面に出している。唄いまくりなのは嬉しいが、如何せん良い曲が無さ過ぎる。Daniel Schellのギターでさえ、脇でカッティングしているだけである。80年代に入ってベルギーの新興レーベル:クレプスキュールからこの手の退廃的な女性ボーカル物が多数発表されたが、それに近い作風だと思えばいい。
Pasiones
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1.Amigos
2.En su arena
3.Trois femmes dans ma tête
4.Viva lamusica
5.Einstein J't'aime
6.Frau y man
7.Adios belleza
8.Zuviel Männer
9.Pasiones
10.Rentre ton pétard, Ramon
11.Hali halo
12.Paralytic lovers
13.Rumba y canones
*14-20 (bonus track - live at the Bikini, Toulouse)
14.Ensu Arena
15.Fast Love Sabine
16.I am in This Song
17.La Vie
18.Paralytic Lovers
19.Pasiones
20.Rumba y Canones
*21(bonus track - rehearsal)
21.Dolly Dolly
*22-23 (bonus track - "Hotel Atlantic")
22.Hotel Atlantic
23.Tres Joli
Philippe Allaert:drums, trumpet, chorus
Ilona Chale de Barcelona:vocals
Pierre van Dormael:acoustic guitars, chorus
Nicolas Fiszman:guitars, chorus
Alain Pierre:keyboards, sounds
Dañel Schell:Chapman stick, vocals
5作目にして、COS最後作品である。前作もお話が元にある作品だったが、これはもっとロックオペラっぽい作りである。曲調はなんとも無国籍風で、リズムはアフリカンだったりレゲエ調であったり、南国風・欧風が入り混じった表現のしにくい作品だ。トーキング調の男性ボーカルは聞いていてダルくて面白くないが、ロックオペラ的には常套手段だからしかたがないのかもしれない。女性ボーカルの方はというと、クレジットではIlona Chale de Barcelonaとなっており、声質も歌い方もパスカル・サンと較べると無個性である。しかし6曲目「Frau y Mann」だけは、あれ!パスカル・サンが歌ってるの?と思わせる。しかもこの曲だけ、2ndの頃のCOSに少しだけ近い感じの曲である。
COSというバンドの設立時からの中心メンバーは勿論ダニエル・シェルであるが、前作の「Swiß Chalet」からは、ダニエル・シェルの個人的プロジェクトに移行していったと考えたほうが良い様な気がする。前作からジャズロック志向が薄れてきており個人的には物足りない感もあるが、4th・5thでの何でもありの音楽性は突然のものではなく、初期から結構ヘンテコな音楽性を持ったバンドだったと言えるだろう。英国カンタベリー一派よりも、COS(ダニエル・シェル)の方が音楽要素の引き出しを多く持っているバンドだと思う。