Magma


   




 私のマグマとの出会いは「Retrospektïẁ」ライブだった。このアルバムからマグマに入った人間というのも、少ないのではなかろうか。確か82年頃だったと思うが、中古盤セールのワゴンの中にこの「I-II」と「III」をたまたま見つけたのである。それまでは名のみ聞くだけのバンドであり、見つけた時は買うべきか否か大変迷った事を覚えている。LPジャケットには異様な眼力を発する危なげな顔つきのVanderの写真。Magmaの名称と共に、Christian Vanderの名前が書かれている。「これ何? もしかしてソロ・アルバム?」といった状況であった。恐る恐る店員さんに質問したもののマグマに関しては知らないらしく、「retrospectiveって回顧録という意味だから、ベスト盤かもしれませんね」という回答しか得られなかった。
 最終的には「安いから買ってみれば?」という商売上手な言葉に押されて購入し、聴いてビックリ。今まで体験した事の無い音楽が聞こえてきて、腰を抜かすほどの衝撃を受けたのである。自分の中では、それまでで一番驚愕した作品であったキング・クリムゾンの「太陽と戦慄」を軽く凌駕するほどで、ショックの度合いは自分のプログレ暦のでは最大のものであった。それ以来、Magmaの音楽は私の心を離れることはない。