愛は、監督や先生ともメールを始めたらしく、僕が返信しなくても、毎日メールでそれを報告してきた。
 それを見るのも何故か苛立ち、そんな事で苛立っている自分にも苛立っていた。

 (社長から連絡来ないけど、忙しいみたいやな。それとも病気でもしてるんやろか?一人暮らしや言うてたし・・)
 「もしもし社長?どうしたの?忙しいの?それとも身体の具合でも悪いの?社長のお説教聞かないと、何か調子狂っちゃって・・」
 「どうせ、説教としか思ってないんだろ?」
 「・・・なんか変ね。失恋でもした?あっ、そっか・・失恋したんだ」
 「・・・・・」
 「大丈夫よ。社長はもてるから、すぐいい人が現れるわよ。ファイト!失恋くらいで落ち込むなんて、社長らしくないわよ」
 「らしくない・・か」
 「そうよ、らしくない。きっと社長のこと良く解かってくれて、幸せにしてくれる人が現れるから。元気出して!」
 「そうだよな?きっとそうだよな!」
 「そうそう、その調子!」

 「・・・ところで、愛は好きな人とかいないのか?」
 「好きな人はいっぱいいるわよ」
 「そういう好きな人じゃなくて・・」
 「ああ、恋人って事?そんな人がいたら、社長に電話なんかしてないわ。そんな人がいたら、今頃は、愛するその人の“う・で・の・な・か”」
 
ケラケラと笑い、「じゃぁ元気出してねー」と切ってしまった。

 何故か肩の力が抜けていくように感じた。

 失恋して、落ち込んでいると思われているのもシャクなので、今までのようにメールや電話をするようになったが、内容は日に日に変わっていったと思う。
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