次の日、愛の家へ向った。
帰って来る娘達に認めてもらう為に。
(どこかで聞いたようなフレーズだな。真珠とえりかの事は物語の中の事と思っていたけれど、まるで彼等の世界を体験しているような気分だ)
娘達にも許してもらい、一緒に御両親の墓参りを済ませ、愛の職場にも挨拶をしに行った。
「えー!そんなの困る」
「でも、寿退社じゃ仕方ないなぁ。その代わり必ず幸せになってよ」
「淋しくなるなぁ。でも、しばらくは来てくれるんやろ?」
「くれぐれも川下さんを頼みます」と何度も念を押されて帰って来た。
娘達と待ち合わせ、夕食を食べに行った。
そこでばったりと愛の友達と会った。
「あっちゃん誰?紹介して」
「か・れ・し」
「えー!いつ、何処でこんな素敵な彼を見つけたん?全然そぶりも見せなかったくせに・・・。初めまして」
「初めまして。松浦晋です」
「で?」
「役所が開いたら入籍するつもりです」
「えー。もうそんな話になってるん?パパ、あっちゃんが結婚するんやて」
皆でワイワイ喋っている言葉は、僕には良く理解出来なかったが、お祝を言ってもらったり、冷やかされたりしているのだろうというのは何となく解かった。
今日は、こっちに泊るつもりだったが、
「明日になったらそろそろ込んでくるから、今日帰った方がええで。仕事が始まったら帰って来なあかんし、当分、行ったり来たりになるんやろ?」と言う娘の言葉で、強行スケジュールだったが、帰ることにした。
帰りは、愛の携帯が鳴り続けで、愛はこの街で皆に愛されていたんだと実感し、必ず、二人で幸せになろうと誓った。