それからは毎日、問い合わせとか、指示とか注意とか、怒られる事ばかり。
 (あーあ、大変な事になってしもたなぁ。やっぱ止めとけば良かったかなぁ)と反省しつつ、でも、私は本当に幸せ者だと幸運に感謝した。

 社長の関東弁にも慣れ始めた頃、
 「知り合いの友人で新人の監督が、映画にしたいと言ってるらしいんだが、やらせてやってもらえないか?」と連絡が入った。

 (えっ!そんな・・何処までいってしまうんやろ?嬉しいけど何か怖いなぁ)

 「社長にはとても感謝してる。こんなに色んなチャンスを与えてもらって。でも何だか勝手に一人歩きしてしまってる感じで、怖くて眠れない」
 「愛、なに馬鹿な事言ってるんだよ!そんなんじゃこれからもたないぞ!ちゃんと食べて、寝て、体力つけておけよ」

 (電話するんやなかった。そんな言い方しなくたって)


 「顔を出したくないのは解かるけど、せめて監督と脚本家の先生には挨拶しておいた方がいい」と呼び出された。
 社長の計らいと言うか、担当の女性を付けてくれ、都心から少し離れた所にある、料亭の一室で会うことになった。

 彼女 Y さんは、すらりとした美人で、スーツが良く似合うとても素敵な人で、こんな人を私だと想像している人が、たくさんいるだろうなと思った。
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