シンは、パーティに出席しなければならないので、私はホテルで待っているつもりだったけど
「心配だから一緒に行こう」と言い出した。
「パーティなんて苦手だし、第一、ドレスを持って来てないからここにいる」
「大丈夫、買えばいいから」と連れて行かれた所で、ドレスを合わせてもらい、ヘアメークからネールアートまでやってもらい、シンが来るのを待っていた。
「本当に愛なの?」
「なんか変でしょ?やっぱり似合わないよね」
「そんな事ないよ。別人かと思った」
シンにエスコートされ、会場に入ると、監督や先生がいたので、手を振って会釈したのに無視された。
「ちょっと挨拶して来るから、監督達といて。絶対外に出ちゃ駄目だよ」
「監督、先生お久しぶりです。ちょっと挨拶して来ますので、愛をお願いします」
「えっ!愛さん?愛さんなの?社長の連れは誰だ?って噂してたんですよ」
「手を振ったのに、無視されたから“忘れられちゃったのか”って思ったわ」
「色っぽくて、別人みたいだったから、解からなかっただけですよ」
「監督もお世辞が上手になって・・」
携帯がなった。
「お友達が、偶然このホテルに来てるらしくて。ちょっと会って来ますので、社長が来たら、電話してくれるように伝えて頂けますか?」と伝言して、電話をしながら会場を出た。
「愛は?U君、愛、知らないか?」
「さっき、電話しながら出て行きましたよ」
「絶対出ちゃ駄目だと言ったのに」僕は会場を飛び出した。
「あっ社長!愛さんから伝言が・・」
話中だったが、何度かかけている間につながった。
「愛!何処だ?出ちゃ駄目だって言っただろ?」
「あれ?監督に伝言しといたんだけど。友達に会っちゃって。ティーラウンジにいるからとにかく来て」
「紹介するわ。友達のNさんとご主人。単身赴任のご主人に会いに来てたんだって。友達から私が結婚したって聞いて、電話をかけてくれたら、偶然ここにいたって訳」
「松浦晋さんです」
『初めまして』
「結婚祝いに食事でもどう?」
「シン、いい?」
「ああ、いいよ」
「じゃぁお言葉に甘えてご馳走になります」という訳でパーティを抜け出した。
明日、シンは仕事なので、その間、彼女が街を案内してくれる事になり、Nさん夫婦と別れた。