こんな元旦を迎えたのは何年ぶりだろう?いや、おそらく初めてだ。

 毎年、どこかのパーティでカウントダウンをし、酔いつぶれ、フラフラと部屋にもどり、初日の出を拝み、そのまま眠りに付く。
 ここ何年もそれが恒例となっていた。

 今年は、愛する人と二人で、カウントダウンをし、その人を腕に抱き、初日の出を拝むこともなく夜が明けた。



 カーテンの向こうには、日の光を浴び、キラキラと輝く穏やかな海が広がっているのだろう。

 (これは、夢かもしれない)

 カーテンを開けようと、起き上がろうとして、僕は止めた。

 (夢なんかじゃない)

 左腕の軽いしびれ感と、身体に触れる温もり、かすかに聞こえる寝息が、現実だと教えてくれた。


 (そうだ、今日は二人で初詣に行こう。神様にこの報告と感謝をしに行こう)

 愛の髪を撫でながらそう決めた。



 でもそれも、もっと遅い時間でいい・・・・・・。
P11へ  トップへ P13へ
前へ トップ  次へ