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司法書士の新人研修とは?合格後の中央研修・ブロック研修・配属研修を体験レポート!

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司法書士の新人研修とは?合格後の中央研修・ブロック研修・配属研修を体験レポート!

更新日:2023年10月8日

司法書士の新人研修

 司法書士試験の合格後は、司法書士になるための新人研修が用意されています。

 このページでは、新人研修とはどんな研修なのか、いつどれぐらい実施されるのかなど、実際に受講した私の体験も交えながら、解説していきます。

【執筆者】
㈱モアライセンス代表 大西雅明

市役所に22年間勤めた元公務員。宅建士、行政書士、司法書士、土地家屋調査士などの国家資格に合格し、15年以上にわたって当サイトで情報発信している。
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執筆者 大西雅明のアイコン
執筆者紹介

司法書士の新人研修とは

令和5年度司法書士新人研修スケジュール
出典:日司連研修総合ポータル

 司法書士試験の合格後に用意されている新人研修は、原則として、1年以内に司法書士の登録・入会を予定している方を対象に、日本司法書士会連合会会則第68条、及び、日司連新人研修規則の規定に基づき、「司法書士としての使命及び職責を自覚し、法律に関する理論と実務を修得することによって、司法書士としての品位と能力を備えさせること」を目的として実施されます。

 この新人研修には、中央新人研修・ブロック新人研修・司法書士会新人研修(配属研修)の3つがあります。

※ 詳細は、日本司法書士会連合会が運営する日司連研修総合ポータルに掲載されています。

司法書士の新人研修
  1. 中央新人研修
    • 日本司法書士会連合会が実施
    • 司法書士制度の歴史を知り、業務の成り立ちや職責・倫理などを学ぶ。
  2. ブロック新人研修
    • 全国8つのブロック会で、それぞれ実施
    • 実務で必要とされる知識、実務に直結する知識を学ぶ。
  3. 司法書士会新人研修(配属研修)
    • 各都道府県の司法書士会(単位会)ごとに実施
    • 一定期間、実際に司法書士事務所に配属され、実務を学ぶ。
    • 配属研修の受講は希望者のみ(即独を考えている人が中心) ※必須とされる単位会もあるので注意

 なお、新人研修が終わった後に、認定司法書士になるための特別研修もありますが、これは希望者のみが対象です。(私は受講しませんでしたが、ほとんどの新人が受講します。)

特別研修
  • 簡裁訴訟代理等関係業務を行うための試験(認定考査)を受験する前提として受講が必要な研修

 それでは、それぞれの新人研修について、具体的にご紹介していきます。

【中央新人研修】eラーニングで実施され18日間で視聴する

 中央新人研修は、日本司法書士会連合会(日司連)が実施する研修です。

 この研修では、司法書士制度の歴史を知り、業務の成り立ち、職責・倫理などを学びます。

実施方法

 「eラーニング研修」で実施されます。配信される映像コンテンツ(講義動画)を、各自で好きな場所・好きな時間に再生して受講できます。

 ただし、ただ視聴するだけでなく、コンテンツ途中に「効果確認問題」を解く必要があることと、「修了レポート(500字×5問)」を提出する必要があります。 ※2023年度は修了レポートの提出は無くなったようです。

実施日程

 12月中旬〜翌1月下旬にかけて、2つのグループに分かれて受講することになっています(全員が同時にアクセスできないため)。

中央新人研修実施日程(令和5年度)
グループ 実施日程
北海道・東北・中部・近畿・中国・四国・九州ブロック 令和5年12月11日〜12月28日
関東ブロック 令和6年1月5日〜1月22日

 各グループは、それぞれ18日間ずつ割り当てられますので、この18日間で計37時間の映像コンテンツを受講します。

受講料・費用

 44,000円(税込)

【ブロック新人研修】各ブロックにより形式も日程も異なる

 ブロック新人研修は、全国8つのブロック会(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)で、それぞれ実施される研修です。

 原則、開業予定地での受講が推奨されています。

※ 日程の都合が合わない場合など、異なる地域で受講される方もいらっしゃいます。

 この研修では、実務で必要とされる知識、実務に直結する知識を学びます。

実施方法・日程

 関東ブロック以外はすべて”集合形式”で実施され、関東ブロックは”集合形式&Web形式”の実施となります。

 日数・回数はブロックによって異なります。

ブロック新人研修実施日程(令和5年度)
ブロック 実施方法 実施日程
北海道 集合形式 1月中旬
連続する7日間
東北 集合形式 1月中旬
8日間(連続する9日間のうち1日休み)
関東 集合形式&Web形式 12月中旬〜1月中旬
4週間の中で「約35時間視聴+集合 2日」
中部 集合形式 1月中旬
連続する7日間
近畿 集合形式 12月中旬〜1月中旬
週末を中心に13日間(土日祝+α)
中国 集合形式 1月中旬
連続する7日間
四国 集合形式 1月中旬
連続する7日間
九州 集合形式 1月中旬
連続する8日間

 実施時期は、1月中に実施されるブロックが多いですが、12月中旬から始まるブロックもあります。

 日程も、土日平日関わらず丸々1週間というブロックが中心ですが、毎週末に実施するブロックもあります。

 時間は、集合形式の場合、どこのブロックも朝9時頃から夕方5時頃までの丸1日です。

受講料・費用

 33,000円(税込)

【司法書士会新人研修(配属研修)】一定期間事務所に勤める

 司法書士会新人研修は、各都道府県の司法書士会(単位会)ごとに実施される研修で、「配属研修」とも呼ばれます。

 この研修では、一定期間、実際に司法書士事務所に配属され、実務を学びます。

 また、司法書士会研修では、配属研修だけでなく、数回の集合研修が実施されるところも多いようです。

 なお、配属研修は、希望者のみが受講する研修になります。(※必須とされる単位会もあるので注意)

 事務所に勤務する人は、配属研修は受けない人が多いです。つまり、配属研修の受講者は、即独を考えている人が中心になります。

実施日程

 時期・期間は司法書士会によって異なりますが、例えば私が受講した兵庫県会の新人研修は、集合研修が3日間(12月に1回、3月に2回)と配属研修が6週間以上(1月下旬〜6月末までの期間内)とされていました。

 配属研修は、司法書士会が指定する研修指導員事務所にて実施されます。

 配属先は、申込書の「受講希望地」や、「特に指導を希望する分野」の選択欄などを考慮して決定されるものと考えられます。

 また、開業予定地と同一市内は避けられる傾向にありますので、隣接市の事務所が配属先になるケースが多いようです。(私も、同一市内ではなく隣町の事務所でした)

受講料・費用

 私が受講した兵庫県司法書士会では、受講料は無料とされています。(有料のところもあります。)

新人研修のスケジュール・費用まとめ

 以上、司法書士の新人研修について、ご紹介してきました。それぞれの実施方法・実施日程・費用を整理すると、下表のようになります。

中央研修 ブロック研修 司法書士会研修
(配属研修)
実施方法 eラーニング 関東以外は集合形式
(関東はWeb中心+集合2日)
実地研修
実施日程 2つのブロックに分かれて受講
12月中旬〜1月下旬の中で18日間
(ブロックにより異なる)
1月中旬の1週間程度のところが多い
※近畿は、12月中旬〜1月中旬までの毎週末
※関東は、12月中旬〜1月中旬
(司法書士会によって異なる)
※兵庫県会は1月下旬〜6月末までのうち6週間以上。別途、集合研修が3日間あり。
費用 44,000円 33,000円 (司法書士会により異なる)
兵庫県会は無料

働きながらでも新人研修は受講できる?

 司法書士の新人研修は、今の仕事を辞めずに働きながらでも受講できるのかどうか、気になっている方もいらっしゃるかと思います。

中央新人研修は働きながらでも全く問題なし

 まず、中央新人研修に関しては、eラーニングで、自分の好きな時間・場所で受講できますので、働きながらでも、まったく問題ありません。

ブロック新人研修は地域によって異なる

 次に、ブロック新人研修に関しては、地域によって事情が異なってきます。

 大きく分けると、1週間ほど連続して研修が実施されるブロックと、週末に実施されるブロック(近畿)、そして、Web形式が中心のブロック(関東)とに分かれます。

 1週間ほど連続して実施されるブロックの場合は、1週間まるまる休暇を取る必要がありますね。

 週末に実施される近畿ブロックの場合は、休暇を何日か取る必要がありますが、基本的に、働きながらでも受講は可能です。ただし、1ヶ月ほど土日がなくなり、無休になりますが。。

 Web形式が中心の関東ブロックは、Web形式が中心ですし、集合形式も土日だけですので、働きながらでも問題なくこなせますね。

配属研修を働きながら受けるのは無理

 次に、配属研修に関しては、働きながら受講するのは、”ほぼ不可能”と考えた方がいいと思います。

 地域によって期間は異なりますが、4週間〜6週間の期間(※短い単位会では2週間のところもあり)、実際に配属先の事務所に勤めるような形で研修を受講するわけですから、少なくともその期間は、仕事を休む必要がありますね。

配属研修は時短勤務できる?

 ちなみに、子育て中の方など、”時短勤務”が認められるかどうか、気になっている方もいらっしゃるかと思います。

 配属研修の勤務時間は、受け入れ先の事務所次第の部分が大きいです。逆にいうと、その事務所との話し合い次第で、なんとでもなる可能性があります。

 私の同期の話になりますが、家庭の事情で、時短勤務をさせてもらった方も何人かいらっしゃいました。

 私自身は、配属先事務所の定時どおり、8:30〜17:30の勤務でしたが、時短勤務の方は、9:30〜16:30という方や、10:00〜16:00という方もいらっしゃいました。

 配属先が決まった段階で、その事務所と直接、日程や時間を相談のうえ決めることになるはずですので、そこで事情を説明すれば、なんとかなる可能性はありますね。もちろん、その事務所次第ですが。。。

働きながら受けれる?
  • 中央新人研修 ⇒ まったく問題なし
  • ブロック新人研修 ⇒ 地域によって異なる
  • 配属研修 ⇒ ほぼ不可能
  • ※時短勤務は、配属先次第で可能性あり

新人研修を受けないとどうなる?

 司法書士の新人研修は、上述したように、原則として1年以内に司法書士の登録・入会を予定している方を対象としています。

 このため、1年以内に司法書士の登録をする予定がない方は、受ける必要はありません。

 将来、実際に司法書士として登録しようと思い立ったときに受ければ大丈夫です。

 逆に言うと、司法書士として登録する場合は、この新人研修は必ず受ける必要があります。

 なお、司法書士会によっては、新人研修の受講前に登録が認められる地域もあるようですが、その場合でも、「必ず新人研修を受講します。」という誓約書の提出が求められ、その後も毎年、受講したかどうかの追跡調査が行われるようです。

受けないとどうなる?
  • 1年以内に司法書士の登録予定がない方は、受ける必要なし 。
  • 司法書士の登録をする場合は、 必ず受ける必要がある。
  • 受講前に登録できる地域もあるが、誓約書の提出と、その後の追跡調査がある。

司法書士新人研修 体験レポート

 それではここからは、私が実際に司法書士の新人研修を受講しながら、研修内容をレポートしていきたいと思います。(これは、令和3年度の話になります。)

中央新人研修

 11月中旬に中央新人研修に申し込み、受講料の支払完了後、日本司法書士会連合会から、中央研修で使用する教材一式が届きました。(12月上旬)

 段ボールに入ってドッサリ届くのかと予想していたのですが、届いたのは、厚み1.5cm程度の資料だけでした。

司法書士中央新人研修資料一式

 届いた研修資料は、以下のとおりです。

  • 受講証(ID・PASS)
  • 司法書士中央新人研修のしおり
  • 倫理に関するレポートの作成方法/提出方法
  • 倫理に関するレポートの課題について
  • eラーニング受講マニュアル
  • eラーニング操作説明書
  • 配属研修生の手引
  • 司法過疎地配属研修の実施について(お知らせ)
  • 司法書士のための法教育・消費者市民教育ハンドブック

 12月末になり、いよいよ受講開始です。これから17日間32時間の講義効果確認問題レポート作成(500字×5問)をしないといけません。しかも、年末年始を含んだ期間で。。

研修カリキュラム

 中央新人研修のカリキュラムは、以下のとおりです。

  • 司法書士の歴史
  • 司法書士の業務と職責
  • 憲法と司法書士
  • 不動産登記と司法書士
  • 商業登記と司法書士
  • 裁判業務と司法書士
  • 成年後見業務と司法書士
  • 法律家を目指す君たちへ
  • 民事訴訟実務の基礎
  • 類型別要件事実
  • 司法書士倫理
  • 司法書士の使命を謳う司法書士法の規定

 これらのカリキュラムで、司法書士の歴史から、各業務の成り立ち、そして司法書士の職責・倫理などを学びます。

eラーニング

 中央研修は、すべてeラーニングで受講することになっています。

 このeラーニングにログインするためには、送付された資料に入っている「受講証(ID・PASS) 」が必要です。

 受講証は小さなカードになっているのですが、私は、ログインしようと受講証を探したところ、あれ?あれ?としばらく見つかりませんでした。。

 かなり焦りましたが、結局、封筒の底にクシャクシャになっているのを発見し、ホッとひと安心。。

 ということで、1日4時間を目標に、受講期間(17日間)の半分ぐらいの期間で仕上げる予定で講義の視聴を開始しました。

講義動画

 講義は、標準倍速のほか1.5倍速・2.0倍速で再生が可能でしたので、私は、原則2.0倍速で再生して時間短縮を図りました。

講義資料

 講義資料はPDFで提供されるので、自分でダウンロードして印刷しました。

効果確認問題

 効果確認問題というのは、講義の一定の区切りのところで、Web問題集のような形で出題されます。

 「講師が言及した内容をすべて選べ」、「誤りをすべて選べ」、「正しいものをすべて選べ」といった出題です。

 つまり、組み合わせ問題ではないため、かなり難易度が高かったです。。

 正解するまで次に進めませんが、何度でも解答できるので、あらゆる組み合わせパターンを試しつつ、ようやく正解できるという出題もありました。。

 とはいえ、倍速で視聴したことで、想定よりも早く、5日間で講義視聴+効果確認問題が終了(1日3〜4時間)。

レポート作成

 そして最後は、「倫理に関するレポート」の作成です。

 設問が5問与えられ、それに対して自分の考えを書きます。

 設問内容は、「こんな相談を受けて業務を受任した場合に、こんな対応をすることは、司法書士倫理に照らして適切か?」といったものです。

 『司法書士倫理』というのは、92条の条文で構成されており、司法書士の使命である「国民の権利の擁護と公正な社会の実現」を果たすための基本姿勢が定められています。

 ということで、92条の条文に一通り目を通してから設問を読み、怪しいなぁと感じる部分に関連する条文を引用しながら、レポートを書き上げました。

 レポート作成には、およそ3時間かかりました。

 ということで、中央新人研修は、1日3〜4時間×6日間(合計 20〜22時間ぐらい)で完了しました。

ブロック新人研修

 中央新人研修の資料が届いた数日後に、近畿ブロック新人研修の資料も届きました。(12月上旬)

 こちらは、想像以上のボリュームのテキストが、段ボールに入ってドッサリと届きました。。

ブロック新人研修の資料が入った段ボール

ブロック新人研修の資料一式

 このテキストを毎回持っていかないといけないのか、、と思いましたが、一応、各回で使う分だけ持っていけばよさそうです。

 近畿ブロックの研修は、大阪の天満研修センターという施設で、すべて集合研修の形式で13日間実施されます。他の地域は7〜9日間程度ですので、13日間というのは全国最大のボリュームですね。

 12月中旬に入り、いよいよ研修スタートです。ここから1月末までのほぼ毎週末、1時間半ほどかけて、大阪まで通わないといけません。

 近畿ブロックの合格者は計118名でしたが、ブロック新人研修の参加者は109名です。ということは、ほとんどの方が参加されているようですね。(必ずしも、合格地と研修地が一致するわけではありませんが。)

服装・持ち物

 服装は、スーツ。

 持ち物は、研修テキスト、六法、筆記用具、名刺。

 それと、コンビニで昼食(おにぎり)と水を買っていきました。昼食は、研修室の座席で食べることができます。周辺に飲食店もありますので、食べに出ても構いません。

 ブロック研修では六法が必要という話をTwitterや合格者グループLINEで聞いていたので六法を持っていきましたが、1日目・2日目では、まったく使いませんでした。ということで、重いカバンを軽くするため3日目から不要としました。

 ところが、3日目の研修で六法を引く場面がバンバン出てきました。。とはいえ、スマホに六法のアプリを入れていたので、それで対応可能です。以降も荷物軽減のため、六法はアプリのみで対応しました。

名刺

 司法書士の新人研修では、”研修用の名刺”を用意しておいた方がいいという話を事前にTwitterなどで見聞きしていたので、私も用意していきました。

 名刺に何を記載するか、というのは悩みますよね。。

 下記の4つの項目が、ほぼほぼ共通する項目です。

名刺の記載項目(共通)
  • 氏名
  • 住所(〇〇市まで)
    ※登録予定地や受験地(〇〇県)といった表現の場合もあります。プライバシーに配慮して、「〇〇市」までしか書かないのが慣例です。
  • 携帯番号
  • メールアドレス

 その他、「〇年度司法書士試験合格」と入れてあったり、TwitterやLINEのアカウント、趣味や職歴、保有資格、ちょっとした自己紹介文、顔のイラストや顔写真などを入れている方もいらっしゃいました。

 既に、司法書士事務所に勤務されている方は、その名刺を使っていましたね。

 ちなみに、私が名刺に入れた項目は、氏名、住所・登録予定地(〇〇市まで)、携帯番号、メールアドレス、LINE ID、Twitterアカウント(モアライセンス@moalicense)、会社名(株式会社モアライセンス)、会社URLです。

 何名かの方から、Twitter 又はホームページで私のことをご存じの方がいらっしゃって、声を掛けていただけたのは嬉しかったです。

 名刺は、ネットで発注する方が多いのかもしれませんが、私はパソコンで作成してプリンターで印刷するという方法で作成しました。(市役所勤めの頃から、ずっとこの方法で作成していましたので)

研修カリキュラム

【第1日】理事長・各部員挨拶、オリエンテーション、近司連・単位会の説明、相談、司法書士の業務範囲の拡大、市民の権利擁護と司法書士の役割、相続法改正、法定相続情報証明制度、法務局における遺言書の保管等に関する制度の概要

【第2日】裁判手続の流れ、本人訴訟支援、模擬裁判

⇒ 基本的に、先生の講義を受講する形態です。「模擬裁判」というのがあり、何かさせられるのかと思いましたが、見るだけだったので安心しました。

【第3日】簡易裁判所の手続、民事保全手続、民事執行手続

【第4日】労働法、家庭裁判所の手続、家庭裁判所の実務

⇒ 2日目〜4日目は裁判業務を中心とする研修内容でした。そもそも司法書士は「裁判書類作成業務」をルーツとしていることを再認識し、司法書士業界として裁判業務に積極的に取り組み、司法書士の簡裁訴訟代理権の維持、さらに業務拡大を図っていきたいという思いが研修に表れています。

【第5日】成年後見制度の概要、模擬成年後見

⇒ この「模擬成年後見」というのも、模擬裁判と同様、見るだけで大丈夫でした。

【第6日】消費者問題、クレサラ実務入門、ADR

【第7日】税務一般 最小限の税務知識 相続税・固定資産税 譲渡税・所得税、国籍法と帰化、職務上請求の留意点、所有者不明土地問題への対応〜令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法の概要〜

【第8日】行政制限、表示登記(表題登記を含む)、許可・承諾 農地法

【第9日】登記原因証明情報 本人確認 登記識別情報 権利証の見方、相続登記、渉外不動産登記及び渉外相続の入門

⇒ ここからいよいよ、司法書士のメイン業務である「登記業務」の研修が始まりました。ここまでは、裁判や成年後見など、私にとっては馴染みのない業務が多く、具体的なイメージができませんでしたが、ここからはリアルな実務研修として研修に臨めました。

【第10日】不動産登記に関する登録免許税、立会の実務 不動産取引の流れ、模擬立会

⇒ この「模擬立会」も見るだけで済むのかと思いきや、、、なんと、当てられて、前に出て、その場のアドリブで立会をさせられるというパターンでした。。

【第11日】会社設立、役員変更 増減資、清算・解散・事情承継・企業法務その他の変更登記

【第12日】会社の合併・会社分割、法人登記、商業登記における許認可、オンライン申請の活用

【第13日】利益相反・職業倫理〜事例から検討〜、特別研修案内、法テラス、報酬、質疑応答、閉講式・修了証授与

受講した感想

 基本的にどの講義も、実務を経験していない段階では、あまり身に入ってこないというのが正直な感想です。

 最初のガイダンスでも、これから実務に入ってから、研修であんなことを言っていたなぁと思い出し、研修資料を引っ張り出して実務に活用してもらいたい、というお話があったように思います。

 現時点では、研修のどこが役に立った、というのはまだありませんが、少なくとも、司法書士の業務は多岐にわたっているんだなぁということは実感することができました。

 資料はとても充実していますし、メモもたくさん取りましたので、今後、実務に入ってから役立てていきたいです。

司法書士会新人研修【集合研修編】

 私が受講する兵庫県司法書士会では、配属研修のほかに、集合研修(3回)が用意されています。

第1回集合研修

 第1回目の集合研修は、12月前半の土曜日に実施されました。

 2021年度の神戸の合格者数は39名でしたが、参加者は26名(うち1名欠席)。

 13:00に開会し、17:55に閉会挨拶。研修メニューは以下のとおりです。

  • 研修ガイダンス
  • 近司連・日司連・特別研修への流れ
  • 兵庫県新人研修について
  • 配属研修ガイダンス
  • 組織の説明 (司法書士会)
  • 自己紹介(自己紹介ひとり1分)
  • 司法書士倫理
  • 綱紀案件事例紹介
  • グループディスカッション(司法書士倫理・綱紀案件)
  • 質疑応答・全体発表

 今回の研修は、何かを学ぶというよりも、今後の新人研修や司法書士会のガイダンスと、同期との顔合わせが中心ですね。

服装・持ち物

 服装は、もちろんスーツにしました。他の参加者も、男性は全員スーツでしたね。

 それと、持ち物については特に何も指示はありませんでしたので、「筆記具」と「名刺」だけ持っていきました。

 ブロック研修では六法が必要という話をTwitterなどで聞いていましたが、今回の兵庫県会の研修メニューでは、六法を使いそうなメニューがありませんでしたので、不要としました。

即独のすすめ

 それと、印象に残っているのは、役員の方から「即独」を勧める趣旨のお話があったことです。

 その役員の方のお話では、新人研修は、即独できるようにメニューを考えている。致命的なミスさえしなければ大丈夫。私の話を信じて即独し、廃業した人は誰もいない。皆さんはこれまで色んな仕事を経験してきて、今回ようやく司法書士試験に合格できたんだから、今さら誰かに雇われたいですか?独立でしょ!(林修先生の「いつやるか?今でしょ!」風に)

 といったお話でした。私は即独を目指していますので、そのお話は、本当に心強く感じました。

第2回集合研修

 第2回目の集合研修は、3月中旬の土曜日に実施されました。

 研修内容は、「模擬決済」です。

 私自身、司法書士試験に合格するまで、不動産取引の「決済」というものが司法書士の重要業務のひとつだということを知りませんでした。

 決済というのは、金融機関などにおいて売買代金を支払うことをいいますが、その決済の場に司法書士が立ち会い、所有権が買主に移転し、所有権移転登記が確実にできる状態であることを司法書士が確認することをもって、売買代金支払いと所有権移転の同時履行を担保するものです。

 この決済について、事前課題として送付された書類をあらかじめ準備し、研修当日に、3人ずつのグループに分かれて、司法書士・売主・買主の3者の役割を、それぞれ模擬的にシミュレーションするという研修内容でした。(3人ともが司法書士役をできるように、3回実施しました。)

 私は、配属研修を受けている最中でしたので、決済の場を見たことはありましたが、実際に自分でやってみると、わちゃわちゃになってしまいました。。。

 やはり決済の立会いは、とにかく経験が必要ですね。

第3回集合研修

 第3回目の集合研修は、3月下旬の土曜日に実施されました。

 研修内容は、「模擬相談」です。相談のテーマは、@裁判、A相続、B債務整理、C成年後見、D設立の5つ。

 事前に相談事例が配布され、あらかじめ調べて相談に対応できるように準備が必要でした。

 正直なところ、私は特別研修を受ける予定はないので裁判や債務整理には興味が持てず、成年後見もするつもりはないので興味が持てず、さらーっと調べただけで、結局しっかりと準備をしたのは、相続と設立だけでした。

 研修生は、5人ずつ5つのグループに分かれて、各自、最低1回は主たる司法書士役として相談にあたるように分担します(主たる司法書士役以外のメンバーはサポート役)。そして、研修委員の先生が相談者の役をしてくださいます。

 私のグループは、欠席者もあり3人だけでした。私以外の2名が、裁判、相続、債務整理、成年後見を担当してくれて、私は設立だけを担当するという、なんともズルい役割分担、、、ご迷惑をおかけいたしました。。

 それにしても、メンバーの一人は、すごかったです、、スラスラと流れるように説明をして、それはもう本当に凄かったです。同じ同期でも、こうも違うものかと少しショックを受けました。

 まぁとにかく、経験を積むしかありませんね。

司法書士会新人研修【配属研修編】

 次は、いよいよ配属研修です。

申込み

 兵庫県会の場合は、12月中旬に配属研修の申込締切があり、12月下旬に配属研修を受講できる旨の決定通知が届き、1月下旬に配属先の決定通知が届く、という流れでした。

※ 受け入れ先の事務所は司法書士会から指定されますが、受け入れ先が見つからない場合は、配属研修を受講できないというパターンもあるようです。私の同期では、他県の方ですが、配属研修が受講できない方もいらっしゃいました。

 なお、配属研修の申込みの際には、「司法書士を目指したきっかけ」や「取り組みたい業務」などをテーマとしたレポート(800字以上)の提出が必要でした(配属研修の申込みにレポート提出を求められるのは、兵庫県会に特有のようです。)

事前打合わせ

 配属先の決定通知が届くと、配属先に直接自分で電話連絡を入れて、研修期間等について調整することになっています。

 兵庫県会の配属研修は、「1月下旬から6月末までの間で6週間(実日数30日)以上」という大枠が決まっています。

 電話を入れたあと、面談でもするのかなと思っていたのですが、私の場合、電話連絡だけで、2月1日(電話を入れた5日後)から研修開始ということが決まりました。(私の同期の話では、やはり研修開始までに一度面談をするケースが多かったです。)

 電話では、研修期間のほか、勤務時間と交通手段(車 or 自転車)について確認しました。⇒勤務時間は8時30分〜17時30分、交通手段は自転車になりました。

服装・持ち物

 服装は、もちろんスーツで行きます。

 持ち物として司法書士会から指示があったものは、誓約書(秘密保持など)と名札(司法書士会が印刷してくれたもの。名札ケースは自分で用意)です。

 あとは、メモ帳と筆記具を持参しました。それと、2日目以降、六法とブロック研修の資料(不登法・商登法)と、受験時代に使っていたテキスト(不登法・商登法)を、毎日1冊ずつ持ち込んでいきました。※自転車通勤のため、重くて一度に持っていけなかったので。

 メモ帳は、手のひらに収まるような小さなメモ帳です。このメモ帳とペンを常に手に持ち、先生から教わったことを書き留めていきます。

 私は、メモをとった内容を後でマニュアル化するために、毎日家に帰ってからすべてデータに打ち込むようにしました。

 ちょうど半分の実日数15日を経過した時点で約3万文字になりましたので、1日に2,000字ぐらいメモを取っている感じですね。(半分を過ぎてからは、メモを取る内容がかなり減ってきたため、最終的に研修を終えた時点で4万文字でした。)

 六法は、詳細登記六法を持参しています。コンパクトな司法書士合格六法も持っていますが、やはり実務をするには、登記六法の方が相応しいかなと個人的には思っています。

 というのは、試験科目しか収録されていない合格六法では、実務に必要な法令が載っていないから、というのはもちろんですが、お客様の前で合格六法を開くのは、法律の専門家として格好悪いように感じますので。。

研修内容

 それでは、実際の研修内容に入っていきます。

 先生は、とても良い人で、気さくに話をしてくれるので、毎日安心して研修に臨むことができました。

 研修は、基本的には手元にある案件をもとに、書類のチェックや戸籍の見方、職務上請求書の書き方、申請書の書き方、申請書類の組み方、オンライン申請の仕方、報酬の決め方などについて、指導を受けていきます。

 私は、配属研修が終わればすぐに開業したいという意向を伝えていましたので、先生もそのつもりで教えてくださいました。

 その他、金融機関に書類の受け渡しや決済立会い、法務局に登記の申請、市民センターに戸籍の請求、公証人役場に定款認証、などにも同行しました。

 できるだけ受け身にならず、積極的に学ぶべきだと思うのですが、なかなか難しかったです。。

 とにかく、忙しいなか研修生のために手をとめて指導してくれる先生には、本当に感謝しています。ありがとうございました。

 私は、配属研修終了後に即独しましたが、その後も配属先事務所に毎週1回、研修の延長のような形で修行に行かせていただいています。


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