更新日:2023年4月5日
司法書士試験の受験勉強においては、よく似た制度・混同しやすい知識を比較しながら覚えていくことがとても大切です。
このページでは、こういった”特に暗記対策が必要となる知識”について、私自身が司法書士試験に合格した年度に使用した暗記メモに基づき、その内容を整理してご紹介したいと思います。
なお、私は、2020年度及び2021年度の司法書士試験において、択一式は9割を超える正答ができる知識レベルでしたが、当ページの掲載内容を参考にされる場合は、くれぐれもご自身でテキストを確認のうえ、ご利用いただきますようお願いします。
また、誤った情報を発見した場合は、管理人までお知らせいただけますと幸いです。⇒メールフォーム
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司法書士試験の暗記対策
司法書士試験の受験勉強においては、その知識が何の知識なのか、よく似た制度、混同しやすい知識を比較しながら覚えていくことがとても大切です。
このため、テキストの余白などに、関連する箇所のページ番号をメモ書きするなどして、関連知識のリンクを張りながら勉強を進めていくことが必要となります。
ただし、関連ページが多くなりすぎる場合や、別途まとめて整理した方がわかりやすい場合などは、別の場所に書き出した方が効果的に覚えられます。
私は、こういった”特に暗記対策が必要となる知識”について、別途メモに書き出して、移動中などのスキマ時間に、何度も何度も暗唱し、混同しやすい知識を固めていきました。
こうすることによって、それまで苦手だった分野が一気に得意分野に転換することを実感しました。
ということで、以下では、実際に私が作成した暗記メモをベースに関連知識を整理しましたので、「民法・不動産登記法編」、「会社法・商業登記法編」、「民訴・民執・民保、司法書士法、刑法編」の3つに分けて、ご紹介していきます。
暗記メモ・覚え方
民法・不動産登記法編
対象となる権利
様々な制度において、所有権や地上権など、どの権利が対象となるのかについて、記憶に定着させることがなかなか難しかったため、別途書き出して暗記しました。
時効取得できる権利
- 所有権 、用益物権
- 質権
- 不動産賃借権
即時取得できる権利
- 所有権(譲渡担保権含む)
- 質権
- 動産先取特権(不動産賃貸・旅館宿泊・運輸)
買戻特約
- 所有権
- 地上権
- 永小作権
抵当権が設定できる権利
- 所有権
- 地上権
- 永小作権
- 採石権
質権が設定できる権利
- 所有権
- 地上権
- 永小作権
- 採石権
- 登記された賃借権
不動産売買の先取特権の対象権利
- 所有権
- 地上権
- 永小作権
- 登記された賃借権
代価弁済の対象となる権利
- 所有権
- 地上権
※ 有償取得に限る。
※ 抵当権のほか、先取特権、質権にも準用
抵当権消滅請求の対象となる権利
- 所有権のみ
※ 無償取得もOK。
※ 抵当権のほか、先取特権、質権にも準用
信託の目的
- 所有権
- 地上権
- 永小作権
- 抵当権等の担保権など
善管注意義務でないもの(自己と同一の注意)
善管注意義務か、自己と同一の注意でいいのか、という論点については、基本的には善管注意義務が適用されますが、例外的に、自己と同一の注意でいいものがありますので、それを別途書き出して覚えるようにしました。
- 無償の寄託
- 受領遅滞後の保管
- 親権者の親権の行使
- 限定承認した場合の相続財産の管理
- 相続放棄した場合の次の相続人が財産の管理を始めることができるまでの財産の管理
なれない人(会社法・司法書士法に関連あり)
司法書士試験では、欠格事由などで、その制度の対象者に「なれない人」というものがよく出てきます。これは、民法だけでなく会社法や司法書士法でも登場してきますので、覚えるのがかなり厄介です。
ですので、別途書き出して覚えるようにしました。ちなみに、ここでは民法だけを記載していますが、関連として、会社法・司法書士法のところにも登場してきます。
民法と司法書士法では「未成年者・破産者」がベースになるイメージ、会社法では「法人」がベースになりますね。⇒ 会社法の「なれない人」、司法書士法の「なれない人」
公正証書遺言・秘密証書遺言の証人(立会人)
- 未成年者
- 推定相続人、受遺者、それらの配偶者・直系血族、公証人の配偶者、4親等内親族、書記、使用人
遺言執行者
- 未成年者
- 破産者
後見人
- 未成年者
- 破産者
- 家裁から免ぜられた法定代理人(親権喪失)、保佐人、補助人
- 被後見人に訴訟した者、その配偶者、直系血族
- 行方不明者
後見監督人
- 上記の後見人に加えて、後見人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹
信託の受託者
- 未成年者
※被後見人、被保佐人はなれるが、途中でなれば任務終了
権利能力なき社団がなれるか
上記の「なれない人」に類似した観点のものですが、権利能力なき社団(法人格なき社団)が、なれるかなれないか、という論点です。
なれない
- 登記名義人にはなれない
- 信託の受益者にはなれない(後に、登記名義人になる可能性があるため)
なれる
- 抵当権などの債務者としては登記可能
- 民訴の当事者能力あり
- 供託の当事者能力あり
引き直しできるか
登記を申請する際に、法定の上限を超えた登記原因証明情報を添付して、法定の上限まで引き下げて登記申請ができるかどうか(引き直しができるかどうか)という論点で整理したものです。
ここに登場したものだけでいえば、10年以内のものは引き直し可、5年以内のものは引き直し不可、という形で整理できます。
引き直し可
- 買戻特約(10年以内 ※定めなかったときは5年以内)※更新不可!
- 不動産質権(10年以内 ※定めなかったときも10年)※更新可
- 抵当権の利息制限法を超える利息(上限15%~20%)
引き直し不可
- 共有物不分割特約(5年以内)※更新可
- 根抵当権の元本確定期日(5年以内)
死亡で効力を失うか
これは、別途整理するほど複雑な論点ではありませんが。
使用貸借
- 借り主の死亡で終了
定期贈与
- 贈与者 or 受贈者いずれかの死亡で効力を失う
できない人
債務者が、できるかできないかという論点については、意外に混同してしまうため、整理しました。
抵当権消滅請求・根抵当権消滅請求
- 主債務者、保証人はできない。
※抵当権消滅請求は、所有権を取得した者のみ
※根抵当権消滅請求は、所有権のほか、地上権、永小作権、対抗力を備えた賃借権を取得した者もOK。
極度額減額請求・代価弁済
- 主債務者も保証人もOK
競売の買受人
- 債務者
所有権仮登記・買戻権
このふたつの権利は、何かと特別扱いになっていますので、整理しました。
名変登記
- 所有権仮登記の抹消時も、買戻権の抹消時も、「所有権以外」の扱いで、名変登記は省略可能
印鑑証明書
- 所有権登記名義人が登記義務者となる場合、印鑑証明書を提供するが、所有権仮登記の抹消時も、買戻権の抹消時も、「所有権」の扱いで、印鑑証明書を提供する。(潜在的な所有権と捉える)
cf.抵当権変更として債務者を変更する場合、所有権登記名義人が義務者となるが、印鑑証明書は不要
cf.根抵当権の債務者の変更は、印鑑証明書必要
後れる登記・抵触する登記の抹消方法
この論点は、各制度でそれぞれ取扱いが異なっており、比較して覚えないと覚えられないと思ったため、整理しました。
買戻し
- 共同申請(原因:年月日買戻権行使による所有権移転)
時効取得
- 共同申請(原因:年月日所有権の時効取得)
仮登記の本登記
- 本登記を実現する際に、承諾書をつけて職権抹消
※ 所有権に関する仮登記を本登記する場合のみ職権抹消可(用益権の本登記では、抵触する用益権を抹消できない)
仮処分
- 承諾書なしで単独抹消
原因:(日付なし)仮処分による失効、義務者、申請人
内容証明郵便で登記上の住所に通知後1週間経過で到達みなし※配達証明があれば待たずに登記可、登記原因証明情報は不要(通知を証する情報を添付)、代位登記されている場合は代位債権者にも通知)
※ 地上権・永小作権・区分地上権・不動産質権・賃借権(つまり、地役権以外の用益権、使用収益権)は、地上権・永小作権・賃借権を消せる。
差押え後
- 嘱託登記
利害関係人
この論点は、考えればわかる、といったあいまいな知識で長い間過ごしていましたが、実際に出題された場合に自信を持って解答できるようにするには、ガチッとした知識が必要と考え、整理して覚えることにしました。
仮登記
- 所有権の仮登記→本登記の場合のみ。後れる登記を消せる(対抗型)
※仮登記前に登記された抵当権に基づく差押えも消せる
仮処分
- 「処分禁止のみ」の場合→後れる登記を消せる(対抗型)
※仮処分前に登記された抵当権に基づく差押えは消せない - 「+保全仮登記」の場合→原則、消せない(例外として、地役権を除く用益権と不動産質権は、地上権・永小作権・賃借権を消せる)
債権額(極度額)の変更
- 【増額(対抗型)】後れる差押え、仮差押え、仮処分、所有権仮登記、担保権者
- 【減額(依存型)】ぶら下がっている担保権者等
順位変更
- 乙区にしか存在しない。
- ぶら下がっている担保権者等(依存型)+譲渡・放棄している人
用益権の変更、抹消
- 存続期間の延長、地代の減額
→後順位担保権者、差押権者に不利(担保価値減少) - 地役権の抹消
→要役地の後れる担保権者、差押権者に不利(担保価値減少)
区分地上権の設定
- 用益権者(仮登記含む)
- 不動産質権者
- これらを目的とする担保権者
抵当権の譲渡・放棄
- 利害関係人は存在しない
消滅時効・取消期間など数字モノ
暗記モノの定番、数字モノです。こういう暗記事項は、別途書き出して、スキマ時間などに繰り返し覚えるしかないですね。
区分 | 起算点 | |
(A) | できるを知った時から | できる時から |
(B) | 追認可能時から | 行為時から |
債権
- (A) 5年,10年
不法行為の損害賠償請求権
- (A) 3年,20年
生命、身体の損害賠償請求権
- (A) 5年,20年
「債権・所有権」以外の財産権
- (A) ,20年
確定判決後
- 弁済期到来済みの10年未満は、すべて10年になる
取消権
- (B) 5年,20年
詐害行為取消権
- (A) 2年,10年
相続回復請求権
- (A) 5年,20年
※相続人の一人は悪意有過失なら時効を援用できない。この人から譲り受けた人も同じく。
相続の承認・放棄の取消
- (B) 6ヶ月,10年
遺留分侵害額請求権
- (A) 1年,10年
※ 遺留分に算定するもの
→ 原則 1年、特別受益に当たるもの10年 ※悪意-悪意ならそれ以前も
特別寄与料
- (A) 6ヶ月,1年
婚姻・離婚の詐欺・強迫による取消
- (B) 3ヶ月,
養子縁組の詐欺・強迫による取消
- (B) 6ヶ月,
復氏
- 離婚(離縁)から 3ヶ月
※離縁の場合は縁組期間が7年以上必要
嫡出否認の訴え
- 出生を知ってから 1年
強制認知
- 死亡から 3年
財産分与請求権(協議に代わる処分)
- 離婚から 2年
滞納シリーズ
- 地上権消滅請求(永小作権も同じ)
→支払いを2年怠ったとき - 明渡猶予
6ヶ月。1ヶ月以上の支払いを催告されても支払わなかったときは、明渡しを拒めない。
収益なしシリーズ
- 地上権(永小作権も)の放棄
→3年以上収益なし、又は5年以上地代より少ない収益 → 放棄できる - 賃借権の減額請求・解除
→賃料より少ない収益→その額まで減額請求できる。2年以上続いたら解除できる。
2ヶ月・2年シリーズ
- 抵当権消滅請求
→2ヶ月以内に競売 - 個人保証で期限の利益喪失
→債権者は2ヶ月以内に通知 - 建物滅失した場合の借地権の対抗力
→滅失日と再築する旨を掲示し、2年以内に建築して登記
〇親等内の親族シリーズ
- 後見、保佐、補助開始の申立て
→4親等内の親族 - 家裁により扶養義務を負わされる
→3親等内の親族 - 公正証書遺言、秘密証書遺言の立会人
→4親等内の親族 - 近親婚の禁止
→直系血族、3親等の傍系血族(養親子はOK) - (会社法)社外取締役・社外監査役
→2親等内の親族
5年シリーズ
- 法定相続情報一覧図
→ 5年間法務局で保管 - 協議を行う旨の合意
→ 更新5年まで - 担保仮登記
→ 清算期間経過後5年間は受戻可能(清算金が支払われるまで。第三者に譲渡するまで。) - 株主への通知
→5年間継続して到達しないときは、通知を省略できる。
重過失or有過失
細かい論点ですが、民法改正の絡みでバリエーションが増えて混乱したため整理しました。
錯誤で表意者に重過失がある場合
- 悪意・重過失(又は共通錯誤)→取消し可
顕名なき代理
- 悪意・有過失→本人に帰属
代理人の権限濫用
- 悪意・有過失→無権代理
表見受領権者
- 善意・無過失→有効
譲渡制限特約に違反
- 悪意・重過失→拒否れる
(預貯金)悪意・重過失→無効
相殺禁止特約に違反
- 悪意・重過失→無効
第三者弁済禁止特約に違反
- 絶対無効
契約不適合責任の1年以内の通知(種類・品質)
- 売主が悪意・重過失→過ぎてもOK
(数量は、いつまでも可)
競売の契約不適合責任の損害賠償請求
- 悪意ならできる
cf.代金減額請求と解除について、数量・権利に関するものは善悪問わず可(種類・品質は善悪問わず不可)
遺言執行者に反する行為
- 善意の第三者に対抗できない
共同親権で一方の意思に反して共同名義で代理行為
- 悪意なら無効
差押え禁止債権に対して、できないもの
差押え禁止債権や、譲渡制限特約付き債権などに対して、できるもの、できないものがあちこちで出てきますが、できないものは、とりあえずこの2つぐらいかなと思います。
- 差押え禁止債権に対しては、債権者代位権は行使できない。
- 差押え禁止債権を受働債権として、相殺できない。(自働債権はできる)
cf.質権設定は、差押え禁止も譲渡制限も可
cf.代理受領は、譲渡制限も可
cf.転付命令は、譲渡制限も可
一般債権者ができるか
A→Bへの通謀虚偽表示による所有権移転登記請求権を、Bの一般債権者であるCが代位行使
- できない(一般債権者は善意の第三者に当たらない)
cf.A→Bへの通謀虚偽表示による所有権移転登記請求権を、Bから善意無過失で所有権を取得したCが、Bに代わって代位行使
- できる(善意の第三者に当たる)
債務者BがAに対して負担している債務について、Bの一般債権者Cが、消滅時効を援用
- できない(正当な利益を有しない。間接的)
債務者BがAに対して負担している債務について、Bの一般債権者Cが、消滅時効の援用を代位行使
- できる(代位行使はできる)
借家人ができるか
通謀虚偽表示により取得した土地上に建てられた建物の借家人は、善意の第三者に該当するか
- 善意の第三者に該当しない。
借家人が、土地の取得時効を援用できるか
- できない(正当な利益がない。間接的)
借家人が、建物買取請求権を代位行使できるか
- できない(行使しても自己の債権を保全できない)
借家人が、土地所有者に代わって土地の賃料を第三者弁済できるか
- できる(正当な利益がある)
放棄・撤回できない
テキストを何回も繰り返していくと、 放棄できない、撤回できない、という表現があちこちで出てくることに気づきます。これは、例外も含めて整理しておく必要があると思い、整理しました。
あらかじめ放棄できない
- 時効の利益の放棄
- 相続放棄
- 遺留分の放棄(あらかじめするには家裁の許可が必要)
放棄できない
- 扶養請求権の放棄
- 認知の請求権の放棄
- 遺言の撤回権の放棄
撤回できない
- 追認・追認拒絶は撤回不可
- 賃借権の譲渡・転貸の承諾は撤回不可
- 【民訴】訴えの取下げに「同意しない」の撤回不可
- 契約解除の撤回不可
※相手の同意があれば可 - 認知の撤回・取消は不可
※無効の訴え可 - 相続の承認・放棄の撤回不可
※民法総則による取消・無効の主張可 - 【供託法】供託受諾の撤回不可
※錯誤の主張可
検察官の登場
成年後見人等の請求【〇】 (本人、配偶者、4親等内親族、検察官) |
|
失踪【×】 (利害関係人) |
不在者財産管理人【〇】 (利害関係人+検察官) |
婚姻取消【〇】 (当事者、親族、検察官) |
縁組の取消【×】 |
嫡出否認【×】 (特別代理人) |
親子関係不存在確認【〇】 (検察官) |
特別養子縁組の離縁【〇】 (子、実父母、検察官) |
|
親権喪失など【〇】 (子、親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検察官) |
一般承継人からの申請・相続登記など【記述式の雛形】
ここで少し記述式対策が混ざり込んできてしまいました。基本事項ではありますが、よく似たパターンが出てきますので、混同しないようにしっかりと覚える必要がありますね。
保存(74-1-1前)
所有者 | 亡A |
上記相続人B |
保存(74-1-1後)
所有者 | (被相続人A) |
B |
名変
申請人 | 亡A相続人B |
移転(権利者)
権利者 | 亡A |
上記相続人B |
移転(義務者)
義務者 | 亡A相続人B |
※生前売買も遺贈も同じ |
相続
相続人 | (被相続人A) |
B |
【法人】移転(権利者)
権利者 | A |
上記承継会社B |
【法人】移転(義務者)
義務者 | A承継会社B |
【法人】合併(所有権)
権利承継者 | (被合併会社A) |
B |
【法人】合併(抵当権)
抵当権者 | (被合併会社A) |
B |
抵当権の一部系【記述式の雛形】
これ、面倒くさいですよね。。整理しないと無理です。
債権の一部を代位弁済(債権の一部を譲渡)
- 〇番抵当権一部移転
年月日一部代位弁済(債権一部譲渡)
弁済額(譲渡額) 金〇万円
連帯債務者の一人の債権を譲渡
- 〇番抵当権一部移転
年月日債権譲渡(連帯債務者Aに係る債権)
抵当権の共有者XYのXに弁済(Yに弁済しても同様)
- 〇番抵当権変更
年月日Xの債権弁済
変更後の事項 債権額 金〇万円
根抵当権の準共有者XYのXに弁済
- 〇番根抵当権の根抵当権者をYとする変更
年月日Xの債権弁済
根抵当権の準共有者XYのYに弁済
- 〇番付記〇号根抵当権一部移転抹消
年月日Yの債権弁済
AB共有のうちA持分に設定された抵当権について、AがB持分も取得し、追加設定
- 〇番抵当権の効力を所有権全部に及ぼす変更(付記)
年月日金銭消費貸借年月日設定
AB共有の全体に設定された抵当権について、B持分に対する抵当権を放棄
- 〇番抵当権をA持分の抵当権とする変更
年月日B持分の放棄
共有抵当権者のAが持分を放棄(債権譲渡)
- 〇番抵当権A持分全部移転
年月日持分放棄(債権譲渡)
根抵当権者の債権の範囲に追加する特定債権の書き方
- 年月日債務引受(旧債務者A)にかかる債権
- 年月日債権譲渡(譲渡人A)にかかる債権
暗記メモ・覚え方
【会社法・商業登記法編】知識の横断整理
なれない人(民法・司法書士法に関連あり)
民法のところで出てきましたが、欠格事由の関連知識です。この論点については、本当に苦手でしたが、比較して整理したところ、一発で覚えられました。⇒ 民法の「なれない人」、司法書士法の「なれない人」
発起人(持分会社の社員も同じ)
- 誰でもなれる(法人OK、未成年者OK)
※ 持分会社の社員は、破産、解散、後見開始による退社については、定款で退社しないように定めることも可。また、死亡・合併により一般承継人が承継する旨の定款の定めも可。
取締役、監査役
- 法人
- 会社法関連の刑で2年(執行猶予含む)、その他の禁錮以上(執行猶予除く)
※ 成年被後見人、被保佐人OK(2021年向け改正)
支配人
- 法人
※ 成年被後見人、被保佐人OK
訴えまとめ
訴えの関係は、提訴期間と提訴権者については、最低限、暗記する必要があります。
提訴権者の基本形は、「株主等」と「株主等+α」のパターンがあります。
株主等 | 株主、取締役、監査役、執行役、清算人 |
+α | 破産管財人、不承認債権者 |
・資本金の額の減少の無効の訴え
- 6ヶ月,株主等+α
・組織再編の無効の訴え
- 6ヶ月,株主等+α
・設立無効の訴え
- 2年,株主等
・持分会社の設立取消しの訴え
- 2年,社員(会社を訴える)・債権者(会社及び社員を訴える)
・株式の発行の無効の訴え
・自己株式の処分の無効の訴え
・(新株予約権の発行の無効の訴え)
- 6ヶ月(非公開は1年),株主等(新株予約権は新株予約権者も)
・新株発行等の不存在の確認の訴え
- 確認の利益がある限り、いつでも誰でも
・株主総会の決議の取消しの訴え
(手続違反、内容が定款違反、特別利害関係で著しく不当な決議)
- 3ヶ月,株主等・決議取消しにより株主等になる者
・株主総会の決議の無効確認の訴え
(内容が法令違反)
・株主総会の決議の不存在の確認の訴え
- 確認の利益がある限り、いつでも誰でも
決議関係まとめ
通常の株式会社の決議事項を覚えるだけでも大変ですが、それを色々と変化させたものが、創立総会や特例有限、さらには社員総会や評議員会と登場してきます。
もう最悪ですよね。。しかし、株式会社の標準形の、どのパターンが崩れたものか、という観点で整理すれば、案外すっきりと覚えられます。
創立総会
普通決議(特別決議の崩れ) | |
議決権の過半 であって 出席議決権の2/3の決議 |
←「の出席」を「であって」に変化させる |
※譲渡制限、取得条項を定めるときは、会社成立後と同じ |
特例有限会社
普通決議 | 特別決議(4項特殊と同じ) |
株式会社と同じ | 総株主の半数 かつ 議決権の3/4 |
社員総会
普通決議(普通決議と同じ) | 特別決議(3項特殊の崩れ) |
議決権の過半の出席 | |
出席議決権の過半の決議 | 総社員の半数(頭数) かつ 総社員の議決権の2/3の決議 |
↑「議決権あり株主」を「総社員」に変化させる |
評議員会
普通決議 | 特別決議 |
評議員の過半(頭数)の出席 | |
出席評議員の過半(頭数)の決議 | 評議員の2/3の決議 |
善意・無重過失 or 善意・無過失
商人のところで、無過失なのか無重過失なのか覚えにくかったですが、別途書き出せば一発です。
名板貸
- 善意・無重過失の場合に、本人も責任を負う
表見支配人
- 悪意でない(善意・無重過失)場合に、本人も責任を負う
顕名なしの代理
- 善意・無過失の場合に、代理人も責任を負う(本人も)
cf.民法では、原則、代理人に帰属。悪意有過失なら本人に帰属。
二重の公告不可(官報公告+各別の催告が必須)
二重の公告が使えるか使えないか、という論点については、テキストのあちこちで出てきますので、整理しないと覚えられないと思い、別途書き出しました。
- 清算(合名・合資を除く←無限責任だから)※添付不要(2ヶ月で判断)
- 組織変更又は組織再編で、無限責任がいなくなる場合と分割会社の不法行為債務がある場合
- 外国会社で日本住所の日本における代表者全員が退任する場合
- 一般法人で公告方法が「見やすい場所に掲示」の場合
再任時は不要なもの
再任時に提供が不要となる添付書面を整理しました。
- 本人確認証明書(取、監、執)
- 就任承諾書の印鑑証明書
- 会計監査人の就任承諾書(みなし再任時)
添付書面がほぼ不要なケース
この論点は、何度テキストを読んでも知識が定着しませんでしたが、別途書き出すことで、しっかりと頭に定着しました。
組織再編の消滅会社等
- 解散の場合→一切不要(組織変更、特例有限の移行による解散も)
- 変更の場合→委任状のみ ※2021年向け改正で 印鑑証明書は不要になった
本店移転の新所在地分
- 委任状のみ
20日前シリーズ
会社法では、「2週間前」というのが定番の期間ですが、「20日前」というのが稀に出てくるため、すごく混乱します。。このため、「20日前シリーズ」として、別途整理しました。
- 株式買取請求(効力発生日の20日前から前日までに請求)
- 特別支配株主の売渡請求(取得日の20日前までに通知または公告)
- 全部取得条項付種類株式の取得(取得日の20日前までに通知または公告)
- 株式の併合(効力発生日の20日前までに通知または公告)
就任承諾書(承)・選定議事録(選)に印鑑証明書(印証)が不要なケース
この論点は、設立、清算、組織再編、持分会社、一般法人、と各場面で登場してきます。しっかりと整理しないと覚えられませんよね。
- 設立時代表取締役…(選)の印証不要
- 清算人(代表清算人)…(承)の印証不要、(選)の印証も不要、本人確認証明書も不要
- 新設合併、組織変更…(承)の印証不要
- 持分会社の代表社員…(承)の印証不要
- 一般財団法人の評議員…(承)の印証不要
登記所届出印の押印があれば、印証不要なケース
これは、特に整理するほどのものではありませんが、上記との関連です。
- 代取の選定議事録
- 登記所に印鑑を提出している取(代取)、執(代執)の辞任届
- 「商号譲渡」、「商業譲渡人の債務に関する免責」の登記における譲渡人の承諾書
裁判所関連で嘱託 or 申請
これは、ある程度学習が進んでから、あれ??と思い、整理したものです。要するに、解散判決後の清算人の就任だけが特別扱いということになりますが、関連する知識はまとめておいた方がよいと思います。
- 解散判決による解散登記→嘱託
- そこで選任された清算人の就任登記→申請
- 解任判決による解任登記→嘱託
- 職務代行者の就任→嘱託
- 仮取締役の就任→嘱託
cf.仮会計監査人の就任→申請(監査役が選任するため)
定款記載事項
最初の頃は、こんなもの覚えられるわけがない、、と思っていましたが、何度か回すうちに、株式会社をベースにすれば、案外すっきりと覚えられるんじゃないかと気づいて整理したところ、簡単に覚えられました。
株式会社 | 持分会社 | 一般社団 | 一般財団 | |
目的 | 〇 | 〇 | 〇 | |
商号 | 〇 | 〇 | 〇 | |
本店所在地 | 〇 | 〇 | 〇 | |
発起人の住所氏名 | 〇 | 〇 | 〇 | |
出資財産の価額 | 〇 | 〇+目的 | -- | 〇 300万以上 |
発行可能株式総数 | 〇 | 社員の態様 | 公告方法 事業年度 |
|
社員の資格得喪 | 評議員の選解任 設立時理事等の選任 |
委員会の選定or単独
この論点は、2021年度試験で、どストレートに問われましたね。整理しておいて大正解でした。
選定した委員ができること
- (監)取以外の取の報酬、選解任等に対する意見
- 業務財産の調査
- 訴えの代表
- 取締役会の招集
委員単独でできること
- 差止請求
- 自分の報酬に対する意見
(監)取と監査委員の違い
「(監)取」は、監査等委員会設置会社の監査等委員である取締役を指し、「監査委員」は、指名委員会等設置会社の監査委員を指しています。
任期・解任決議
- (監)取は、監査役に近い扱い
- 監査委員は、ただの取締役扱い
兼任禁止の業務
- (監)取も監査委員も、監査役扱い
組織再編の設立登記など「年月日」が登記の事由に入ってくるもの【記述式の雛形】
ここで記述式対策が混ざり込んできてしまいました。
このパターンは限られていますが、覚えようとして覚えない限り、覚えられないと思いますので、整理して暗記しました。
設立
- 年月日発起(募集)設立の手続終了
(登記事項を記載)
登記記録に関する事項 設立
新設合併
- 年月日新設合併の手続終了
住所Aと住所Bの合併により設立 - 新設合併による解散
住所Bと合併して住所Cを設立し解散
新設分割
- 年月日新設分割の手続終了
住所Aから分割により設立 - 新設分割による変更
住所Bに分割
株式移転
- 年月日株式移転の手続終了
(通常設立と同事項を記載)
登記記録に関する事項 設立 - 株式移転
株式移転計画新株予約権消滅
吸収合併
- 吸収合併による変更
年月日 住所Aを合併 - 吸収合併による解散
年月日 住所Bに合併し解散
吸収分割
- 吸収分割による変更
年月日 住所Aから分割 - 吸収分割による変更
年月日 住所Bに分割
株式交換
- 株式交換
年月日、、、変更 - 株式交換
年月日 株式交換契約新株予約権消滅
組織変更
- 組織変更による設立
年月日 Aを組織変更し設立
(効力日) - 組織変更による解散
年月日 住所Bに組織変更し解散
特例有限会社の移行
- 年月日商号変更による設立
(決議日)
年月日 Aを商号変更し、移行したことにより設立
(登記日)←本来不要な日付だが、わかりやすいように。 - 商号変更による解散
年月日 住所Aに商号変更し、移行したことにより解散
(登記日)
清算人の就任(選任)
- 年月日清算人及び代表清算人の就任(選任)
清算人 A
※法定清算人・定款→就任
※株主総会・裁判所→選任
暗記メモ・覚え方
【民訴・民執・民保、司法書士法、刑法編】知識の横断整理
口頭弁論(審尋)する or しない
口頭弁論(又は審尋)をするかしないか、というのは、民事執行法と民事保全法を通じて、けっこう厄介な論点だと感じましたので、整理しました。
民執
- 原則、任意的(決定、命令だから)
- ただし、債権執行は審尋しない。ただし、間接強制は審尋する。
- 執行異議、執行抗告は、任意的
- ただし、請求異議、第三者異議は、必要的(訴えだから)
民保
- 基本は任意的(オール決定主義)
- ただし、仮の地位を定める仮処分、保全異議、保全取消、保全抗告は、必要的
- ただし、仮の地位を定める仮処分で、目的達成できなくなるときは、しない。
即時抗告できるか
この論点は、民訴の学習の中で、一番苦手でした。。しかし、一度書き出して整理してしまえば、なんてことはありませんね。
即時抗告(民訴・民執は1週間以内、民保は2週間以内)
※口頭弁論を経ない決定・命令に対する不服
管轄移送
- (決定) 可
- (却下) 可
訴状の却下
- 可
証拠の申出
- (決定) 不可 ←証拠決定は裁判所の裁量
- (却下) 不可 ←証拠決定は裁判所の裁量
文書提出命令
- (決定) 可
- (却下) 可
証拠保全
- (決定) 不可 ←お急ぎだから
- (却下) 可
判決の更正決定
- 可
不適法な控訴の却下
(一審裁判所の決定)
- 可
引受承継
- (決定) 不可
- (却下) 通常抗告
補助参加
- (許) 可
- (否) 可
訴えの変更を許さない旨の決定
- 不可
〇歳未満シリーズ
綺麗に順番に並びました。
16歳未満
- 【民訴】証人の宣誓をさせることができない
15歳未満
- 【民法】遺言できない。代諾縁組の対象。特別養子縁組の対象
14歳未満
- 【刑法】刑法が適用されない
13歳未満
- 【刑法】強制わいせつなどの同意ができない。
なれない人(欠格事由)(民法・会社法に関連あり)
民法・会社法でも出てきましたが、これらはまとめて覚えてしまうのがよいと思います。民法と司法書士法では「未成年者、破産者」がベースになるイメージ、会社法では「法人」ですね。⇒ 民法の「なれない人」、会社法の「なれない人」
また、年数は、会社法では2年、司法書士法では3年、という違いにも注意です。
司法書士の登録
- 未成年者
- 破産者
- 禁錮以上3年(執行猶予含む)、公務員懲戒免職3年、業務禁止3年、公認会計士の抹消3年、土地家屋調査士・弁理士・税理士・行政書士の業務禁止3年
刑の軽減など
罰しない(免除する)
- 心神喪失→罰しない
- 配偶者・直系血族・同居親族の窃盗→免除する
軽減する
- 心神耗弱→軽減する
- 従犯(幇助)→正犯の刑を軽減する
免除できる
- 親族が犯人蔵匿→免除できる
軽減できる
- 過剰防衛→軽減できる
- 法律の錯誤(知らなかった)→軽減できる
- 自首→軽減できる