Tresure Chest of Musty Dusties 第10号  1983年秋発行

定価800円・全56頁第10号

TCMD10 ■特集:The Moonglows Special
■West Coast Group編 第4回 The Colts
■Flamingo Room 70年代前半のヴォーカル・グループ 第2回:LP編
■Doo Wop愛好家組織UGHAの実態を報告
■14カラット・ソウル直撃インタビュー
■ラッツ・アンド・スター・コーナー
■編集部から

第10号にしてようやく特集の組まれたThe Moonglowsです。デビューまでの足取りをいくつもの資料を元に正しい(読者を納得させるに充分なだけの推論による)グループ結成史を再構築していてとても参考になります。Tresure誌だからこその記事ですね。Alan Freedとの関わりも詳しく描かれています。35ページにわたる充実のスペシャルです。ラッツ・アンド・スターの鈴木・田代両氏へのMoonglowsインタビューもあります。彼等のアルバムであまり知られていないのが1976年にChessレコードを買収したAll Pratimumが「Rock'n Rhythm Series」としてリリースしたMoon GlowsというLP、未発表テイクが何曲か含まれているのでコレクションの対象にもなっています。ジャケットがチープ(まるで廉価盤に見えます)なので今でも探せばありそうです。次いでシングルの数が5枚程度なのに特集に取り上げられたThe Colts、執筆はいつものように桜井ユタカ氏です。Flamingo Roomは各自の選ぶベストLPです。第一位だけ記しておきます。The Trammps "Disco Champ"・The Delfonics "The Best of"・The Tompsons "I'll get over it"となっています。Trammpsは2名の推挙でした。「Doo Wop愛好家組織UGHAの実態を報告」コーナーは今でこそ私も知っています(これもアールさんに教えていただきました)が、本誌発刊当時はその存在すら何も知りませんでした。Soul On誌にもほんの少しだけ紹介された事がある程度でした。ここで行なわれているショーは、オリジナルメンバーが必ず一人や二人はいるDoo Wopグループが出演します。ほとんどが小さなステージで、所によっては舞台や照明すらないところ、さらには会員のひとりがキーボード一台で伴奏をつけているというような場面もありました。ちょっとラフすぎて記録映像は見ていてもイマイチでした。きっとその場にいたら最高の雰囲気だったのでしょうね。それでも彼等の姿をすぐそば(ほんとにすぐそこで歌ってるのです)で見れたりするところがスゴイですよね。今号のラッツ・アンド・スター・コーナーは「83年のステージを振り返る」です。モータウン・メドレーのことや、ルイードの演奏曲目を考えた事、Doo Wop時代からのファンとデビュー以降のファンとの間で葛藤しつつも成長していることなどがわかります。最後のページでTresure誌の1〜4号を再発行して会員に頒布する計画が頓挫したことが報告されています(会費制にも関わらず計画通りの発行が行なわれていませんでした)。つまり「本誌はどの号も再発行される事が無かった」ということで、現在本誌をお持ちの方は大切にしてくださいね。